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第17章・ステラガーデン死刑台編
宇宙会食⑦の21・竜太とウィンガタウンに伝わる謎の世界①(※長文)
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竜太がウィンガタウン駅についた頃、マリアスヘッドというとある地域のフィールドに五人の男女がいた。5人とも仲が良さそうでワイワイしていたのである。
「さてこのマリアスヘッドで調査しましょう!」
「よしっ!」
「サファイアさん、今日も上品な姿で・・・!」
「やめなさい!徳高!」
サファイアという女性はハンマーを取り出すと徳高を叩いたのである。
「あ~、痛いっ!」
するとハンマーを持つサファイアに狼らしき怪物が襲いかかってきたのだ。するとその怪物に向かって大人しそうな短髪の若い女の子が人差し指から青い光を放ったのである。。
「青の冷却!」
すると狼は少し鎮静化してどこかに去ってしまったのである。
「わあ!!すごいわ葵ちゃん!」
「いえいえ・・・あれは青の冷却といって相手の興奮を抑えることが出来る技なのよ。私の特殊能力は【鎮静効果使い】よ。」
「私の能力と葵ちゃんの能力は少しタイプが違うけど相手を鎮静化させるのはなかなか役に立つわね。」
「でもサファイアさんの技もなかなか良い技ですよ!!」
「言うわね!葵ちゃん!」
「なあ、葵ちゃん!!」
「どうしましたでしょうか?徳高さん!」
「葵ちゃんは可愛いなぁ!」
「照れますよ!やめてくださいよ!」
顔を真っ赤にしたのは鍵村葵といい、外見は普通の女の子である。
●葵こと鍵村葵(日紙氏支流鍵村家で母はチチクジャク村の浮孔氏支流吉田家分家繭越家出身)
●サファイアことイーストスタジウス王国・スタジウス8世国王の王女、サファイア・ト・ザ・スタジウス
●サファイアの父方従兄(マリアスヘッド国の領主の子孫でサファイアの父の妹の子)のクリス・マリアスヘッド
●名門・上島水軍家の分家筋の上島竜太の子・忠道
●忠道の弟で上島家18男・徳高
※忠道達の父方祖母はドーリンの日紙家(ひかみ印刷所経営)で母の父方はマリンガシティの旧貴族の京豊氏で母方はマリアスヘッド党首・タカユキ・マリアスヘッドの家系。
葵は戦闘力がない変わりに猛獣だらけのこのマリアスヘッド地方でモンスターの戦意を奪う(興奮を冷ます)この力でこれまでの危機を乗り越えてきた人物である。
「私の能力はどんな敵も戦意を無くすから絶対戦うことや襲われることはないわ。」
すると葵は自分に自信がついたからか広い広いフィールドを駆ける。この世界は緑が広がり、空も青く鳥のさえずりが聞こえてくる美しい自然の地だ。既に死んだ兄・雄太の夢だった『世界中の人を助けたい』という遺志を継いで仲間達と行動する葵。しかし彼女のその気持ちがややこしい事態を招くことになるとは誰も知る由はなかった。
「(雄太兄さん・・・私は兄さんの夢を叶えるからね!)」
そう呟く彼女の目にはうっすらと涙が浮かんでいたのだ。
◆◆◆◆◆◆◆◆
一生は竜太が帰ってこないことを少し気にしているようだ。
「一生、竜太はまだ帰ってこないのか?」
「輝代、もし帰ってこなければ私は探しに行く。」
「ええ、そうした方がいいわ。」
竜太のことを心配する二人であった。
◆◆◆◆◆◆◆◆
少しすると葵は足を止めたのである。なんと夢中でスキップし過ぎて4人の元から離れてしまったのだ。
「あ・・・・・・どうしよう!!サファイアさん達と離れてしまったわ!!」
周りには原っぱしかなく何もない。葵は不安とストレスが強くなり泣いてしまったのである。
「どうしよう・・・サファイアさん!!クリスさん!!忠道さん!!徳高さん!!」
すると少し離れたところで鎧を着て自分の身長より大きい剣を背負って槍を持つウサギが歩いていたので葵はすぐさま泣き止んで手を振った。
「あ、ウサギさんだっ!!でもなんか鎧を着ているわ・・・面白いわね。モンスターかもしれないけど声をかけようかしら。おーい!!」
しかしウサギは葵を一瞬見るも気付かなかったのか無視したのか何も反応せずに去っていってしまったのだ。
「ああ・・・行っちゃったわ。」
葵は気付いてもらえず寂しそうな顔をしたのだがすると彼女の視界に何かが見えたのである。
「(あれ?布団が空を飛んでいる?)」
なんと空に布団らしき物体が飛行しているのだ。気のせいかと思い頬をつねると痛かったのでどうやら気のせいではないのだ。
「(あれについていけばもしかしたら皆の元に・・・)」
葵は布団らしき物体についていけば4人の元に戻れると思ったのか物体を追いかけた。
「おーい、待って~~っ!!」
追いかける葵であったが物体のスピードが非常に早く見失いかけそうになったが・・・
「待って~~っ??!待てってば~~っ!!」
すると物体はUターンして葵の方に猛スピードで突っ込んできたのである。
◆◆◆◆◆◆◆◆
竜太はその頃、仙人宅(というが実際は駅小屋)でお茶に呼ばれていたのである。
「お前さんはどこから来たんじゃ?」
「麓のウィンガタウンから!」
「ほぉ・・・そうかそうか。ご苦労じゃったな。それでこんな高原のようなここに来た目的はなんじゃ?」
「ただ、噂に聞いていたから来たかったの。俺はこういう場所が好きやねん。」
「では目的はあれじゃないのじゃな?」
「あれ?」
「ああ、実は噂でしかないがこの駅から不思議な世界に行くことが出来ると聞いている。その名は・・・」
「その名は?」
「不思議な国と噂されるボーガンドームじゃ!!」
◆◆◆◆◆◆◆◆
その頃サファイアは葵が居なくなったことに気付いて少し不安そうな表情に変わっていた。それもそのはずサファイアは葵のことを可愛がっているからだ。
「やだ・・・あの子はあれ知っているかしら?」
「サファイアさん、どうされました?」
「この辺に出没するあれのことよ。あれはあのこの能力ではどうにもならないのよ!!あなた達の中であの子にこの話をしたのは・・・!?」
「していません・・・」
「同じく・・・」
「これは大変だわ。もしあの子がそれに遭遇したら非常に危険な事態よ!!」
「非常事態だが何もできない僕らは非情・・・」
「ギャグを言わないの!徳高!」
サファイアはハンマーを召喚するとそれで徳高をポカッと叩いたがその時に彼女の目の前にさっきの鎧を着たウサギが現れたのである。
「やあ、サファイア・・・!!久しぶりだな。なのにどうしたんだ?深刻な表情をして。」
「あ・・・スペード!!久しぶりだけど・・・あのね、さっき一緒にいた女の子がどこかに行って・・・」
このウサギはトランプ王国のラビアン・オールスペード元国王のひ孫のスペードである。トランプ王国は知性を持つ人のような動物達が住む国の一つである。
「そういえばさっきマリアスヘッドのあたりに女の子がいたような。大体事情は理解したから今から行ってくる!!」
「たまたま会えて良かったわ。あなたしか頼れないの!!お願い!!」
「分かってるさ。大丈夫だ・・・お前が恐れる最悪の事態にはならないよ。私とお前は古い仲だ。その子に何か思うことがあるのはお前の顔を見て分かっているさ。」
「お願いするわ、スペード!!」
そしてスペードはサファイアの顔を見て頷くとすぐに出発したのだ。彼の後ろ姿を見て心配するサファイアであった。
◆◆◆◆◆◆◆◆
一方、レオは豪四郎、万知子とウィンガタウンへ向かうが豪四郎があることを思い出したかのようにレオに話しかけたのである。
「あのさあ、あれを知っているか?」
「あれとは?」
「ウィンガタウンの更に山の中に異世界に繋がる場所があるそうだ。」
「え!?」
レオは豪四郎の話を聞き、驚いていた。
◆◆◆◆◆◆◆◆
その時、布団のような物体が葵の元に猛スピードでやって来たのだが彼女は雰囲気からその物体の狂気を感じたのか人差し指で物体に指を指した。
「きゃっ!!襲って来てる!?でもそんな時は・・・相手の気持ちを治めましょ♪不満減滅!!」
襲われる恐怖を感じるもそれを隠して人差し指から緑の光を放つも物体は大人しくなるどころか彼女の全身を布団むしのごとくに包んで強く締め付ける。中から物体を振り払おうとしているのかもがくも物体もその都度強く締め付けて解放しようとしない。すると・・・
「くそ!既に襲われていたか。でも私が助ける!!とらぁ!!」
物体の元に急いできたスペードが現れたのである。スペードは今度は槍を背負って剣を持ち、中の葵を斬らないように物体に斬りかかろうとすると物体は葵を締め付けるのをやめてスペードの全身を布団むしにして締め付け始めたのだ。解放された葵は苦しさから少し咳き込んだのであった。
「ゲホッ!ゲホッ!!・・・助かった・・・って誰か包まれてる!?」
葵は物体が誰かを包んでいるのに気付い。
「だ・・・誰かが包まれているわ!!助けなくちゃ!!・・・ぐ、技が発動できないわ!」
締め付けられて調子が狂ったか能力を使えない葵。しかし次の瞬間、物体から何かが斬れる音がすると物体はバラバラに切断されてスペードが中から出てきたのである。
「君、大丈夫か?」
「あ、あなたは、さっきの・・・?」
「(さっきの・・・とは先程いた子がこの子か。)君がサファイアの言っていた子か。私はスペードという。騎士としてこの世界を守る存在だ。」
「スペードさん・・・サファイアさんの知り合いでしょうか・・・」
「バカ野郎!!」
葵がサファイアのことに触れるとスペードは突然激怒した。
「ひっ・・・!!」
「君は一人で何をうろうろしているんだ!?この世界は何があるか分からないのだぞ!!うろうろすると危険だぞ。さあ、一緒にサファイアの元に行くぞ。」
すると怒られたからか葵はくちもとを両手で押さえて泣いたのである。
「・・・ごめんなさい。」
「泣くな少女。私と一緒に行けばもう安全だ。」
「うん・・・」
葵はスペードの顔を見て頷くと一緒にサファイアの元に向かう。
◆◆◆◆◆◆◆◆
その時竜太は仙人からある話を聞いていた。
「ボーガンドームは知らないようだな。」
「うん、俺そんな場所知らない。」
「そりゃ分からなくても無理はない。ボーガンドームはこちらの世界とまた違う異世界だからじゃ。」
「そうなんだ。異世界ってほんまにあるんや。」
すると電車が駅に到着したのかブレーキをかける音がする。が、仙人は竜太に言う。
「さあ、あれに乗れ!!」
「え!?」
仙人のまさかの言葉に竜太は驚いたのだ。
◆◆◆◆◆◆◆◆
サファイアの元に戻ってきた葵は心配してくれていた彼女から色々なことを教えてもらった。
「大丈夫?良かったわ。あのね、葵ちゃん。この能力は本に書いていたけど生物には通用するけど心や魂を持たない『物』には通用しないのよ。」
「!?」
「良かったわ、無事で!!スペードから色々聞いたわ。怪我はなかった?」
「ごめんなさい・・・!!」
サファイアは安心をして葵を抱き締めると葵は涙を流して心配かけさせたことを謝ったのであった。
「(私はこの能力を自分が理解していなかった。そしてちゃんとこの能力を上手く生かしたい!雄太兄さんの夢を叶えるためにも鍵村と繭越の血を持つ私が頑張らなくちゃいけないんだわ。サファイアさん達にも迷惑をかけたくない!)」
「(私はこの子が本当の娘のように愛おしくて心配するわ。お兄さんを無くしてどうすればいいのか悩んでいるかもしれないけど大丈夫!!あなたは私が必ず護ってみせる!!)」
葵とサファイアの内心はお互いに対する思いやりで溢れていた。するとサファイアは葵に質問をする。
「そういえば以前から聞きたかったんだけどあなたの鍵村のルーツは何かしら?」
「私は父が200年程前に日紙家から分家した鍵村家の出身で昔から名のある一族でした。それと母は浮孔氏の末裔です。浮孔氏は1000年近く前に皇帝の王子が『浮孔』を名乗ったと聞いてます。そして繭越家まで繋いできたと母から聞きました。」
「そうなのね・・・」
「ねえ、僕を歓迎しないのかな?」
「誰!?」
突然二人の会話の中に紛れ込む声・・・二人が後ろを向くと可愛らしい瞳をした男性が立っていた。
「さてこのマリアスヘッドで調査しましょう!」
「よしっ!」
「サファイアさん、今日も上品な姿で・・・!」
「やめなさい!徳高!」
サファイアという女性はハンマーを取り出すと徳高を叩いたのである。
「あ~、痛いっ!」
するとハンマーを持つサファイアに狼らしき怪物が襲いかかってきたのだ。するとその怪物に向かって大人しそうな短髪の若い女の子が人差し指から青い光を放ったのである。。
「青の冷却!」
すると狼は少し鎮静化してどこかに去ってしまったのである。
「わあ!!すごいわ葵ちゃん!」
「いえいえ・・・あれは青の冷却といって相手の興奮を抑えることが出来る技なのよ。私の特殊能力は【鎮静効果使い】よ。」
「私の能力と葵ちゃんの能力は少しタイプが違うけど相手を鎮静化させるのはなかなか役に立つわね。」
「でもサファイアさんの技もなかなか良い技ですよ!!」
「言うわね!葵ちゃん!」
「なあ、葵ちゃん!!」
「どうしましたでしょうか?徳高さん!」
「葵ちゃんは可愛いなぁ!」
「照れますよ!やめてくださいよ!」
顔を真っ赤にしたのは鍵村葵といい、外見は普通の女の子である。
●葵こと鍵村葵(日紙氏支流鍵村家で母はチチクジャク村の浮孔氏支流吉田家分家繭越家出身)
●サファイアことイーストスタジウス王国・スタジウス8世国王の王女、サファイア・ト・ザ・スタジウス
●サファイアの父方従兄(マリアスヘッド国の領主の子孫でサファイアの父の妹の子)のクリス・マリアスヘッド
●名門・上島水軍家の分家筋の上島竜太の子・忠道
●忠道の弟で上島家18男・徳高
※忠道達の父方祖母はドーリンの日紙家(ひかみ印刷所経営)で母の父方はマリンガシティの旧貴族の京豊氏で母方はマリアスヘッド党首・タカユキ・マリアスヘッドの家系。
葵は戦闘力がない変わりに猛獣だらけのこのマリアスヘッド地方でモンスターの戦意を奪う(興奮を冷ます)この力でこれまでの危機を乗り越えてきた人物である。
「私の能力はどんな敵も戦意を無くすから絶対戦うことや襲われることはないわ。」
すると葵は自分に自信がついたからか広い広いフィールドを駆ける。この世界は緑が広がり、空も青く鳥のさえずりが聞こえてくる美しい自然の地だ。既に死んだ兄・雄太の夢だった『世界中の人を助けたい』という遺志を継いで仲間達と行動する葵。しかし彼女のその気持ちがややこしい事態を招くことになるとは誰も知る由はなかった。
「(雄太兄さん・・・私は兄さんの夢を叶えるからね!)」
そう呟く彼女の目にはうっすらと涙が浮かんでいたのだ。
◆◆◆◆◆◆◆◆
一生は竜太が帰ってこないことを少し気にしているようだ。
「一生、竜太はまだ帰ってこないのか?」
「輝代、もし帰ってこなければ私は探しに行く。」
「ええ、そうした方がいいわ。」
竜太のことを心配する二人であった。
◆◆◆◆◆◆◆◆
少しすると葵は足を止めたのである。なんと夢中でスキップし過ぎて4人の元から離れてしまったのだ。
「あ・・・・・・どうしよう!!サファイアさん達と離れてしまったわ!!」
周りには原っぱしかなく何もない。葵は不安とストレスが強くなり泣いてしまったのである。
「どうしよう・・・サファイアさん!!クリスさん!!忠道さん!!徳高さん!!」
すると少し離れたところで鎧を着て自分の身長より大きい剣を背負って槍を持つウサギが歩いていたので葵はすぐさま泣き止んで手を振った。
「あ、ウサギさんだっ!!でもなんか鎧を着ているわ・・・面白いわね。モンスターかもしれないけど声をかけようかしら。おーい!!」
しかしウサギは葵を一瞬見るも気付かなかったのか無視したのか何も反応せずに去っていってしまったのだ。
「ああ・・・行っちゃったわ。」
葵は気付いてもらえず寂しそうな顔をしたのだがすると彼女の視界に何かが見えたのである。
「(あれ?布団が空を飛んでいる?)」
なんと空に布団らしき物体が飛行しているのだ。気のせいかと思い頬をつねると痛かったのでどうやら気のせいではないのだ。
「(あれについていけばもしかしたら皆の元に・・・)」
葵は布団らしき物体についていけば4人の元に戻れると思ったのか物体を追いかけた。
「おーい、待って~~っ!!」
追いかける葵であったが物体のスピードが非常に早く見失いかけそうになったが・・・
「待って~~っ??!待てってば~~っ!!」
すると物体はUターンして葵の方に猛スピードで突っ込んできたのである。
◆◆◆◆◆◆◆◆
竜太はその頃、仙人宅(というが実際は駅小屋)でお茶に呼ばれていたのである。
「お前さんはどこから来たんじゃ?」
「麓のウィンガタウンから!」
「ほぉ・・・そうかそうか。ご苦労じゃったな。それでこんな高原のようなここに来た目的はなんじゃ?」
「ただ、噂に聞いていたから来たかったの。俺はこういう場所が好きやねん。」
「では目的はあれじゃないのじゃな?」
「あれ?」
「ああ、実は噂でしかないがこの駅から不思議な世界に行くことが出来ると聞いている。その名は・・・」
「その名は?」
「不思議な国と噂されるボーガンドームじゃ!!」
◆◆◆◆◆◆◆◆
その頃サファイアは葵が居なくなったことに気付いて少し不安そうな表情に変わっていた。それもそのはずサファイアは葵のことを可愛がっているからだ。
「やだ・・・あの子はあれ知っているかしら?」
「サファイアさん、どうされました?」
「この辺に出没するあれのことよ。あれはあのこの能力ではどうにもならないのよ!!あなた達の中であの子にこの話をしたのは・・・!?」
「していません・・・」
「同じく・・・」
「これは大変だわ。もしあの子がそれに遭遇したら非常に危険な事態よ!!」
「非常事態だが何もできない僕らは非情・・・」
「ギャグを言わないの!徳高!」
サファイアはハンマーを召喚するとそれで徳高をポカッと叩いたがその時に彼女の目の前にさっきの鎧を着たウサギが現れたのである。
「やあ、サファイア・・・!!久しぶりだな。なのにどうしたんだ?深刻な表情をして。」
「あ・・・スペード!!久しぶりだけど・・・あのね、さっき一緒にいた女の子がどこかに行って・・・」
このウサギはトランプ王国のラビアン・オールスペード元国王のひ孫のスペードである。トランプ王国は知性を持つ人のような動物達が住む国の一つである。
「そういえばさっきマリアスヘッドのあたりに女の子がいたような。大体事情は理解したから今から行ってくる!!」
「たまたま会えて良かったわ。あなたしか頼れないの!!お願い!!」
「分かってるさ。大丈夫だ・・・お前が恐れる最悪の事態にはならないよ。私とお前は古い仲だ。その子に何か思うことがあるのはお前の顔を見て分かっているさ。」
「お願いするわ、スペード!!」
そしてスペードはサファイアの顔を見て頷くとすぐに出発したのだ。彼の後ろ姿を見て心配するサファイアであった。
◆◆◆◆◆◆◆◆
一方、レオは豪四郎、万知子とウィンガタウンへ向かうが豪四郎があることを思い出したかのようにレオに話しかけたのである。
「あのさあ、あれを知っているか?」
「あれとは?」
「ウィンガタウンの更に山の中に異世界に繋がる場所があるそうだ。」
「え!?」
レオは豪四郎の話を聞き、驚いていた。
◆◆◆◆◆◆◆◆
その時、布団のような物体が葵の元に猛スピードでやって来たのだが彼女は雰囲気からその物体の狂気を感じたのか人差し指で物体に指を指した。
「きゃっ!!襲って来てる!?でもそんな時は・・・相手の気持ちを治めましょ♪不満減滅!!」
襲われる恐怖を感じるもそれを隠して人差し指から緑の光を放つも物体は大人しくなるどころか彼女の全身を布団むしのごとくに包んで強く締め付ける。中から物体を振り払おうとしているのかもがくも物体もその都度強く締め付けて解放しようとしない。すると・・・
「くそ!既に襲われていたか。でも私が助ける!!とらぁ!!」
物体の元に急いできたスペードが現れたのである。スペードは今度は槍を背負って剣を持ち、中の葵を斬らないように物体に斬りかかろうとすると物体は葵を締め付けるのをやめてスペードの全身を布団むしにして締め付け始めたのだ。解放された葵は苦しさから少し咳き込んだのであった。
「ゲホッ!ゲホッ!!・・・助かった・・・って誰か包まれてる!?」
葵は物体が誰かを包んでいるのに気付い。
「だ・・・誰かが包まれているわ!!助けなくちゃ!!・・・ぐ、技が発動できないわ!」
締め付けられて調子が狂ったか能力を使えない葵。しかし次の瞬間、物体から何かが斬れる音がすると物体はバラバラに切断されてスペードが中から出てきたのである。
「君、大丈夫か?」
「あ、あなたは、さっきの・・・?」
「(さっきの・・・とは先程いた子がこの子か。)君がサファイアの言っていた子か。私はスペードという。騎士としてこの世界を守る存在だ。」
「スペードさん・・・サファイアさんの知り合いでしょうか・・・」
「バカ野郎!!」
葵がサファイアのことに触れるとスペードは突然激怒した。
「ひっ・・・!!」
「君は一人で何をうろうろしているんだ!?この世界は何があるか分からないのだぞ!!うろうろすると危険だぞ。さあ、一緒にサファイアの元に行くぞ。」
すると怒られたからか葵はくちもとを両手で押さえて泣いたのである。
「・・・ごめんなさい。」
「泣くな少女。私と一緒に行けばもう安全だ。」
「うん・・・」
葵はスペードの顔を見て頷くと一緒にサファイアの元に向かう。
◆◆◆◆◆◆◆◆
その時竜太は仙人からある話を聞いていた。
「ボーガンドームは知らないようだな。」
「うん、俺そんな場所知らない。」
「そりゃ分からなくても無理はない。ボーガンドームはこちらの世界とまた違う異世界だからじゃ。」
「そうなんだ。異世界ってほんまにあるんや。」
すると電車が駅に到着したのかブレーキをかける音がする。が、仙人は竜太に言う。
「さあ、あれに乗れ!!」
「え!?」
仙人のまさかの言葉に竜太は驚いたのだ。
◆◆◆◆◆◆◆◆
サファイアの元に戻ってきた葵は心配してくれていた彼女から色々なことを教えてもらった。
「大丈夫?良かったわ。あのね、葵ちゃん。この能力は本に書いていたけど生物には通用するけど心や魂を持たない『物』には通用しないのよ。」
「!?」
「良かったわ、無事で!!スペードから色々聞いたわ。怪我はなかった?」
「ごめんなさい・・・!!」
サファイアは安心をして葵を抱き締めると葵は涙を流して心配かけさせたことを謝ったのであった。
「(私はこの能力を自分が理解していなかった。そしてちゃんとこの能力を上手く生かしたい!雄太兄さんの夢を叶えるためにも鍵村と繭越の血を持つ私が頑張らなくちゃいけないんだわ。サファイアさん達にも迷惑をかけたくない!)」
「(私はこの子が本当の娘のように愛おしくて心配するわ。お兄さんを無くしてどうすればいいのか悩んでいるかもしれないけど大丈夫!!あなたは私が必ず護ってみせる!!)」
葵とサファイアの内心はお互いに対する思いやりで溢れていた。するとサファイアは葵に質問をする。
「そういえば以前から聞きたかったんだけどあなたの鍵村のルーツは何かしら?」
「私は父が200年程前に日紙家から分家した鍵村家の出身で昔から名のある一族でした。それと母は浮孔氏の末裔です。浮孔氏は1000年近く前に皇帝の王子が『浮孔』を名乗ったと聞いてます。そして繭越家まで繋いできたと母から聞きました。」
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