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第2章・新たなる太郎のはじまり
【mission33】あんな男が・・・
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調査を続けていたコザヤマさんと西川博士だったがさすがにコザヤマさんの体力が落ちてきていたのだ。
「キョウイチ、一旦休もうか。」
「ええ、さすがにきついですわ。」
二人は休憩することを決めて研究所を出て近くの食堂へと移動したのであった。
ー研究所ー
ちょうどその頃、研究所に僕は戻ってきたので入れ違いであった。僕を出迎えてくれたのはセレスティアさんと西川博士に長年協力を施した研究員【ヌイ・ミャーノ】さんだ。
「おかえりなさい太郎くん、二人は食事しに出ているわよ。」
「あ、そうですか?分かりました!」
「君が太郎くんかな?はじめまして!私は【シェリーオクトーブ】から来た【ヌイ・ミャーノ】と申します。君のことは噂で聞いていたよ。これからもよろしくね!」
「こちらこそはじめまして!村山太郎と言います。よろしくお願いします!」
ーラビリンシングタウン駅・駅長室ー
その頃、ラビリンシングタウン駅の駅長らしき初老の男性がまだ幼い女の子をあやしていたのである。
「高い高~い!!」
「キャッキャッ!!」
すると駅長室の扉をノックする音がして男性の声がしたのだ。
「すみません、駅長!!」
「ワカサ副駅長か、入りなさい。」
駅長室にやって来たのは若く見える男性であった。鉄道員の制服を着ており、どうやら副駅長のようだ。
「駅長!その子についてですが・・・」
「やはり孤児院か?」
先程まで優しい笑みを見せていた駅長の男性の顔が曇る。副駅長も緊張したような表情で室内は重苦しい雰囲気に包まれていた。しかし・・・
「違います!ラビリンシングタウンの母の実家がその子を預かってくれると言ってくれました!」
「つまりその子は・・・」
「はい!僕の養子として迎えることが出来ます!!ラビリンシングタウンなら仕事が終われば会いに行けますし、うちの家内も子供達も歓迎してくれてますから!!」
副駅長の話を聞いた途端に駅長は心から喜んでいることが分かる笑顔を見せ、副駅長も家族として迎えることが出来たからか素敵な笑みを見せたのである。
「本当に良かったな・・・!!」
「はい、あの人の想いを汲むことが出来るので良かったです!!」
「そうだな!しかし・・・」
「・・・?」
「あんな男がどうしてこの国のトップなんかになったんだ!!」
“ドンッ!!”
「うえ~ん!!」
「あ、ああ!!ごめんなちゃいね~!!」
急に怒り口調となって机を叩く駅長。すると子供が泣き出したので慌ててあやしたのである。その光景を見て副駅長は目をつむる。
ー数日前ー
ラビリンシングタウン駅の柱の部分にもたれて座っている男性はこの駅の副駅長である【ヨウスケ・ワカサ】氏に声をかけた。
「頼む、あんたに俺の子を託す・・・見知らぬやつに急に言われて戸惑うだろうが・・・この子を守ってやってほしい・・・!!」
「・・・!!」
背をもたれながら弱々しい口調でワカサ副駅長を見つめながら直訴する男性を見てワカサ副駅長は目が潤んでいた。
ーー
すると駅長である【ヒデユキ・オートリゾノ】氏はワカサ副駅長に彼のことを話をしたのである。
「彼は【クリアー】という男性でとある戦地となった村の出身だ。紛争で家族を失い、娘と共にここまでやって来たようだが娘の食事を確保させようと市場で窃盗事件を起こしたりして逮捕歴もあったようだ。外に出てから孤児院にいた娘を引き取ってこの日に至るようだ。」
「・・・・・・」
「ワカサ君、これを見てみな。」
「これは大きな瓶の中にあん団子ですか?」
オートリゾノ駅長が見せたのはあん団子がたくさん入った瓶であった。それをワカサ副駅長は食べようとしたのだが・・・
「あ、ワカサ君。食べたらダメだ!!」
「え・・・あれ、匂いが変だなあ。」
「だろうね。それは泥団子だよ。多分娘が作ったやつだろうね。お腹が空いていたんだろうな・・・一つ少しかじった泥団子がある。」
「・・・ここまで人を追い詰めたのはあいつでしょう!!スペードでしょう!!国民から吸い上げて自分達だけが美味しい汁を吸う・・・あいつらが政権を握らなければこんなことにはならなかった!!それがまた国の一番上に立つなんてどうなっているんだよ!!」
泥団子の話を聞いたワカサ副駅長は怒りを露にした。その怒る姿を見ていたオートリゾノ駅長は気持ちが分かるのか何も口出しせず腕を組んで見守っていた。その時駅長室の扉の入口近くには『D』のローマ字が綴られた野球帽に『アラドセキュリティ』と綴られた作業服を着た男性が話を盗み聞きしているようだ。名札もついてあり『カリーブ』と書かれていた。
「(・・・!!)」
男性は二人の話を目をつむって腕を組ながら聞いていた。そして目を開けると天を仰ぎ怒りの表情を見せていた。
「(スペード・・・許さん!!)」
ー研究所ー
僕は研究所内で休憩していると食事を終えた二人が帰ってきたのである。僕は二人に感謝の気持ちを込めて頭を下げた。
「お疲れ様です!ありがとうございます!」
「いや、僕達も事件を解明したいから・・・ね!」
コザヤマさんの言葉を聞いて僕も二人の力になろうと思ったのだ。
「キョウイチ、一旦休もうか。」
「ええ、さすがにきついですわ。」
二人は休憩することを決めて研究所を出て近くの食堂へと移動したのであった。
ー研究所ー
ちょうどその頃、研究所に僕は戻ってきたので入れ違いであった。僕を出迎えてくれたのはセレスティアさんと西川博士に長年協力を施した研究員【ヌイ・ミャーノ】さんだ。
「おかえりなさい太郎くん、二人は食事しに出ているわよ。」
「あ、そうですか?分かりました!」
「君が太郎くんかな?はじめまして!私は【シェリーオクトーブ】から来た【ヌイ・ミャーノ】と申します。君のことは噂で聞いていたよ。これからもよろしくね!」
「こちらこそはじめまして!村山太郎と言います。よろしくお願いします!」
ーラビリンシングタウン駅・駅長室ー
その頃、ラビリンシングタウン駅の駅長らしき初老の男性がまだ幼い女の子をあやしていたのである。
「高い高~い!!」
「キャッキャッ!!」
すると駅長室の扉をノックする音がして男性の声がしたのだ。
「すみません、駅長!!」
「ワカサ副駅長か、入りなさい。」
駅長室にやって来たのは若く見える男性であった。鉄道員の制服を着ており、どうやら副駅長のようだ。
「駅長!その子についてですが・・・」
「やはり孤児院か?」
先程まで優しい笑みを見せていた駅長の男性の顔が曇る。副駅長も緊張したような表情で室内は重苦しい雰囲気に包まれていた。しかし・・・
「違います!ラビリンシングタウンの母の実家がその子を預かってくれると言ってくれました!」
「つまりその子は・・・」
「はい!僕の養子として迎えることが出来ます!!ラビリンシングタウンなら仕事が終われば会いに行けますし、うちの家内も子供達も歓迎してくれてますから!!」
副駅長の話を聞いた途端に駅長は心から喜んでいることが分かる笑顔を見せ、副駅長も家族として迎えることが出来たからか素敵な笑みを見せたのである。
「本当に良かったな・・・!!」
「はい、あの人の想いを汲むことが出来るので良かったです!!」
「そうだな!しかし・・・」
「・・・?」
「あんな男がどうしてこの国のトップなんかになったんだ!!」
“ドンッ!!”
「うえ~ん!!」
「あ、ああ!!ごめんなちゃいね~!!」
急に怒り口調となって机を叩く駅長。すると子供が泣き出したので慌ててあやしたのである。その光景を見て副駅長は目をつむる。
ー数日前ー
ラビリンシングタウン駅の柱の部分にもたれて座っている男性はこの駅の副駅長である【ヨウスケ・ワカサ】氏に声をかけた。
「頼む、あんたに俺の子を託す・・・見知らぬやつに急に言われて戸惑うだろうが・・・この子を守ってやってほしい・・・!!」
「・・・!!」
背をもたれながら弱々しい口調でワカサ副駅長を見つめながら直訴する男性を見てワカサ副駅長は目が潤んでいた。
ーー
すると駅長である【ヒデユキ・オートリゾノ】氏はワカサ副駅長に彼のことを話をしたのである。
「彼は【クリアー】という男性でとある戦地となった村の出身だ。紛争で家族を失い、娘と共にここまでやって来たようだが娘の食事を確保させようと市場で窃盗事件を起こしたりして逮捕歴もあったようだ。外に出てから孤児院にいた娘を引き取ってこの日に至るようだ。」
「・・・・・・」
「ワカサ君、これを見てみな。」
「これは大きな瓶の中にあん団子ですか?」
オートリゾノ駅長が見せたのはあん団子がたくさん入った瓶であった。それをワカサ副駅長は食べようとしたのだが・・・
「あ、ワカサ君。食べたらダメだ!!」
「え・・・あれ、匂いが変だなあ。」
「だろうね。それは泥団子だよ。多分娘が作ったやつだろうね。お腹が空いていたんだろうな・・・一つ少しかじった泥団子がある。」
「・・・ここまで人を追い詰めたのはあいつでしょう!!スペードでしょう!!国民から吸い上げて自分達だけが美味しい汁を吸う・・・あいつらが政権を握らなければこんなことにはならなかった!!それがまた国の一番上に立つなんてどうなっているんだよ!!」
泥団子の話を聞いたワカサ副駅長は怒りを露にした。その怒る姿を見ていたオートリゾノ駅長は気持ちが分かるのか何も口出しせず腕を組んで見守っていた。その時駅長室の扉の入口近くには『D』のローマ字が綴られた野球帽に『アラドセキュリティ』と綴られた作業服を着た男性が話を盗み聞きしているようだ。名札もついてあり『カリーブ』と書かれていた。
「(・・・!!)」
男性は二人の話を目をつむって腕を組ながら聞いていた。そして目を開けると天を仰ぎ怒りの表情を見せていた。
「(スペード・・・許さん!!)」
ー研究所ー
僕は研究所内で休憩していると食事を終えた二人が帰ってきたのである。僕は二人に感謝の気持ちを込めて頭を下げた。
「お疲れ様です!ありがとうございます!」
「いや、僕達も事件を解明したいから・・・ね!」
コザヤマさんの言葉を聞いて僕も二人の力になろうと思ったのだ。
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