とある高校生は世界を滅ぼす破壊兵器を奪還するはめになりました。

第２章・新たなる太郎のはじまり

【mission３７】釈放

　その頃、道を歩いていたコザヤマ交通開発副長官の携帯電話に着信が入る。


　「もしもし、コザヤマだが・・・ああ、お前か。」


　『はい、私です。“ディエゴマー”ですよ。いつもお疲れ様です。』


　「ああ、お疲れ様。そういえばお前は今日“マークウェル国際スポーツ副長官”と行動していたのでは？」


　『数時間前に別れましたよ。お互いに色々と意見が交わせて有意義な時間でしたよ。』


　「フフ・・・良かったじゃないか。」


　どうやら電話の相手は“ディエゴマー氏”というようで恐らく何らかの副長官と見られる人物だ。すると相手人物が衝撃発言をしたのだ。


　『それでそこから少ししてからバルカン司法副長官とカンピオーニ司法長官代行に偶然会いまして食堂で話をしたんですよ。』


　「ほお、それで？」


　「ええ、それで司法局で【エクトル・ウィリアムス】死刑囚の釈放の話が持ち上がっていることを知りました。」


　「そ、それは本当か！？」


　なんと司法副長官から話を聞いて死刑囚の釈放の情報を掴んだというその人物がコザヤマ交通開発副長官に報告するとコザヤマ氏は興奮気味に確かめていたのだ。死刑囚の正式な釈放など僕の世界では余程のことでない限りはあり得ないことだがそれを聞いたコザヤマ氏はなぜ喜ぶか・・・しかし理解できない事態だ。


　「ディエゴマー・・・よくぞやった！！話をつけてくれたな。」


　「任せてくださいよコザヤマさん・・・私は誰ですか？」


　「フフ・・・分かるさ。“全国民行動副長官【ディエゴマー・クリンチーニ】”だろ？」


　「はい、ディエゴマー・クリンチーニでございます。あと【チャーリー・バルカン】副長官には私から連絡していますから。」


　「あ、ああ！ありがとうな！！」


　どうやらコザヤマ交通開発副長官の電話の相手はクリンチーニ全国民行動副長官という閣僚の一人であった。しかし死刑囚釈放に喜ぶコザヤマ副長官には何かがありそうだ。勿論西川博士達がこれを知れば喜ぶはずがないと思うがこの情報を知るのは現時点では一部の閣僚のみなのだ。


　「何年ぶりの夢が叶うのだろうか・・・なあディエゴマー！！」


　『ええ、あの長官・・・・の長年の努力もありましたしね。』


　「そうだな・・・！」


　一体『長官』とは何者なのか？謎が謎を呼ぶ中で死刑囚釈放の意図が隠されている。



　ー帰宅道ー

　その頃、僕は道である古ぼけた紙切れを見つけたのだ。


　「あ、何か書いている？」


　普段はこういう類いの物は拾わないのだが何だか気になるので拾うと何かが書かれていたのだ。


　「何々・・・？『殺人疑惑のウィリアムス氏がメディア関係者と食事か。相手は』って破けていて相手が分からない。これは新聞だな・・・しかしせっかくのスクープ記事みたいなのに文章も途切れてやがる。これじゃ内容が分からないから博士に聞いてみようかな。」


　このウィリアムス氏という人物が誰なのか気になって仕方がないのでこの記事を持って帰って西川博士が何か知っていたら聞くつもりでいたのだが・・・