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第2章・新たなる太郎のはじまり

(mission16)太郎とパレス

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 【とある高校生は世界を滅ぼす破壊兵器を奪還するはめになりました。】



 “第2章”



 【mission16】・・・『太郎とパレス』



 【原作・キャラクターデザイン】市川雄一郎



 【現在の時刻・・・2017年4月3日午前5時56分】





 ――とあるラボ――



 「わっ!!」


 「やあ!おそよう!!」


 いつの間にかラボのベッドの上にいた僕をあのさっきの・・・・女の子が起こしに来たのであった。僕は何を話せばいいか分からず少し混乱していた。


 「え、え、ここはー?」


 「そういえば自己紹介がまだだったね!私は【パレス・オオタニ・タリム】っていうの!あなたの名前は?」


 「ぼ、僕は村山太郎です。えーと・・・」


 「別世界・・・から来たんでしょ?」


 「え?」



 ――リュウと太郎との会話の回想〈その1〉――



 「注意しておくが異世界から来たような振る舞いを絶対しちゃダメだよ。輩の中には君のような異世界人の研究をしているやつらがいてそいつらに捕まると生きて解剖をされるという噂もあるから・・・!!」



 「か・・・解剖!?」


 「ああ。どんなやつがその関係者かは未だに特徴は分からないだろうからどんな相手にも本性を語るなよ。」



 ――回想終わり――



 パレスと名乗る女性はなぜか僕のそれ・・を知っていたのだ。彼女の言葉を聞いた途端にリュウさんからの警告を思い出して僕は身体が震えたのだ。勿論彼女にそれを言った記憶もないし、リュウさんやマスタードさん等一部の人にしか知られてないはずだが・・・と思いきやある事実が判明したのであった。


 「ん~、太郎君。あなた寝ている最中に寝言で言っていたわよ!」


 「はい?」



 ――30分前――



 ラボで眠りについていた僕の元にパレスさんがやって来た。


 「ねー、目を覚まして!」


 「ぐ~、異世界の生活は・・・つら・・・い・・・」


 「(異世界の・・・?あ、もしかしてこの子!!?)」



 ――現在に戻る――



 なるほど、僕は寝ている最中にそんな発言をしていたのかと自分で自分に対して呆れているとパレスさんがどや顔でとんでもない発言をしたのである。


 「あなた、眠りについている最中に能力を手に入れたわよ!正式には私があなたに能力を授けたわ!」


 「は!?」


 ――リュウと太郎との会話の回想〈その2〉――



 「太郎くん、君は無理に強くなっちゃダメだよ。」


 「しかし僕はリュウさんがいなくなれば兵器を奪還なぞできない・・・」


 「それでも強くなっちゃダメだよ。だって君はここで強くなりすぎ・・・・・・・・・れば現実世界での生活に悪影響を及ぼす・・・・・・・・・・・・・・・・からね。」


 「・・・しかし・・・」


 「大丈夫だ。君には仲間が現れるから・・・君は兵器を奪還出来るから・・・!!」



 ――回想終わり――



 能力を授けた・・・そう彼女が言った途端僕はリュウさんの言葉を思い出して絶望したような表情になったのである。今・・・いや、それどころかこの世界でもし元の世界に戻れた時に能力を持ってしまうと日常生活に影響が出る危険性があるからだ。その忠告を受けていたのにまさかこんな形で能力を取得してしまうとは・・・


 「・・・」


 「大丈夫、あなたの力になるから!」


 「え・・・ええ・・・」


 いや、そういう問題じゃねえと言いたかったが彼女に悪気はない。だから何も抗議は出来なかったわけだが・・・するとパレスさんは何事もなかったかのように続ける。


 「私はこの研究所・・・の副所長よ。」


 「副所長?」


 「所長は私の親族よ。今は外出していて居ないけどまた帰ってきたら紹介するわよ!」


 「・・・!」


 すると研究員の服装をした女性が僕のために食事を運んできてくれたようだ。


 「はじめまして。」


 「あ、はじめまして!」


 「パレス、この子なのね?」


 「ええ、そうですよ。太郎君、この方はこの研究所の【主任研究員】の【セレスティア・イン】さん!」


 「よろしくね、太郎君。」


 「は・・・はい、セレスティアさん。こちらこそよろしくお願いします。」


 ――その頃――


 僕が研究所で食事をしている頃、エーガ村に到着したシルクハットを被ったスーツ姿のある男性は駅前の飲食店に入り食事をしていた。すると丸刈りでスーツ姿のある男性がやって来て彼の席に座ったのである。


 「やあ、久しぶりだな。」


 「ああ、久しぶり。」


 「ところで先日のテロ事件についてはご存知だな?」


 「ああ、知っているさ。あの事件は確かムラヤマ・・・・なる青年が犯人だろう。確か最初の裁判で死刑判決を受けて・・・」


 「そうだ。だが彼じゃないようだ。」


 「え?どういうことだ?」


 「ああ、実は兵器についてある新情報が入ったんだ。だけどこの情報はどうしてもラビリンシングタウンまで届けないといけないんだ。」


 「何?詳しく聞かせてくれ!」


 「ああ・・・しかしこの情報は知ると君の命・・・に関わる。命を狙われるような機密情報だからだ。だから君には無事にラビリンシングタウンまで届けて・・・ほしい。私には敵が多すぎて・・・・・・ラビリンシングタウンまで行くことが出来ない。」


 「お・・・俺に・・・重要な任務だな。分かった、あんたの代わりに届けてやるよ!」


 敵が多すぎるとは一体何があったのか・・・そして命を狙われるような重要な兵器関連の情報の内容とは・・・?そしてこの二人が僕と関わりを持つのは遠い未来ではないようだ。


 ――パレスの研究所――


 僕はパレスさんとセレスティアさんに挨拶をすると食事を済ませて研究所から去ろうとした時だった。すると・・・


 「パレスさん、セレスティアさん、この度はありがとうございました。」


 「ありがとうございました・・・・・・・・・・・?太郎君、お世話になって帰ろうとするの?」


 「い・・・いや・・・」


 僕は「お世話になってなんかいねえよ」と言いたかったがパレスさんの気持ちはどうやら違うようであった。


 「あなた、ここの研究所に所属しなさい!!」


 「はいっ!?」


 これから旅に出なくちゃいけないのに研究所に所属しなさいというパレスさん。むちゃくちゃだと思ったが彼女もセレスティアさんも僕の方を見て熱く目を輝かせている。彼女達は僕の立場を知っているのだろうか・・・!?
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