とある高校生は世界を滅ぼす破壊兵器を奪還するはめになりました。

市川 雄一郎

文字の大きさ
22 / 54
第2章・新たなる太郎のはじまり

【mission22】東根康一

しおりを挟む
  僕達が『政府本拠地』へと向かう計画を立てていた頃、僕の世界ではある夫婦が警察署へとやって来て抗議をしていたのであった。


 「おい!あんた達!康一はどうなったんだ!?俺の大切な息子が未だに見つからないって言ってるのにいつになれば捜査を始めるんだ!?」


 「ですからご主人さん・・・まだ調査をしておりまして捜査を開始できないんですよ~!」


 「そう言って太郎君の捜査もまだしていないんだろ!?いい加減にしろ!!」


 警察署の若い男性の警察官に対して机を両手でドンと叩いて怒鳴り付けていたのは1日夜から行方不明になった僕の大切な仲間の康一の父である【東根ひがしねこだま】さんだ。


 「あ・・・ああ~!お、お名前は?」


 「俺は【東根こだま】だ!」


 「私は巡査の【大石田おおいしだ景春かけはると申します。】」


 「あのね!大石田さん!あんた子供はいるか!?」


 「はい・・・二人の女の子が。」


 「子を持つ親なら分かるよな!?子供がいなくなって不安と何か事件に巻き込まれたんじゃないかという恐怖の気持ちが!!」


 「分かります・・・本当に分かります。」


 子(康一)を心配するあまり警察官にまで怒鳴り付けるこだまさんは本当に子思いなお父さんである。一方の僕の親は何をしているのかというと・・・


 「なあ中山なかやま!村山の親に会ったか?」


 「会ったけど『あの子のことだからもう少ししたら帰ってくるわ』と言われたよ。」


 ・・・呑気すぎて僕が直接それを知ったらあまりの差の大きさに絶句してしまいそうだ。こだまさんの爪のあかを是非とも親に飲んでほしいと思ってしまう。



 ・・・・・・しかし一方で問題なのは康一の方である。現在も消息は誰にも掴めておらずどこで何をしているのか情報すら入ってこないのだ。勿論僕が康一の行方不明になった話を知らないのは当然のことである。今でも僕と康一のことを仲間達が毎日のように探してくれている。


 「おーい!太郎!」


 「村山くん!どこー?」


 必死で探す彼ら・・・本当ならマンホールの蓋を開けてサプライズで登場して皆に謝罪したいがそれすら出来ない僕の立場だ。しかし僕の立場はさておき、このあと康一が僕の今後に大きく関わってくる存在になろうとはこのときはまだ僕は知らない。



 ――パレスの研究所ラボ――



 その頃、何とか『政府本拠地行き』計画を聞かれずに済んだ僕たちはとにかく次のステップを踏もうとしていた。


 「とにかくパレスさん!僕は、僕はアスタルさんという方に抗議がしたいです!証拠もなく死刑になんかなりたくない!」


 「そうね!太郎君!私達も協力するから一緒に行こうね。勿論バレない究極のテクニックをそこで教えてあげるからね。」


 「究極のテクニック?」


 パレスさんのいう究極のテクニックとは?僕は何だろうと疑問に感じていると一匹の茶色いダックスフントのような犬がやって来たのである。そして僕の口をペロペロしてきたのだ。


 「わ、何だ!くすぐったい!」


 「長敏ながとしさんところの犬ね!」


 「長敏さん?」


 長敏って誰だろう・・・と思っているとリンカンさんが犬の名前らしきものを呼んでいた。


 「おーい!【コトーゲポチロー】君!」


 「スサミノさん、審議します。」


 その名前で犬を呼ぶリンカンさんに真顔で「審議する」と言ったパレスさんの表情が威圧感があって怖かったのは内緒だ。


 「すみません!この子の名前は?」


 「この子は【コート】って言って《スイダースダックス》の種類なの。」


 「スイダースダックス・・・」


 「おーい!【コトーゲポチロー】君!」


 「再び審議します!」


 別名(?)で呼ぶリンカンさんに向けたパレスさんの目付きに強力な威圧感がありました・・・(汗)。



 ――とある地下研究所――



 一方、僕のいる研究所とは違うであろうとある地下室の研究所にある髭を生やした白髪の怪しい学者がいた。


 「さあ、お前が目覚めし時に世界が変わるだろう!くひひひひ!」


 そして学者は目の前のカプセルに視線を向けるとその中にはなんと康一が眠っていたのだ!


 「お前が・・・お前が我々の理想郷ユートピアを築き上げるのだ!」


 康一がまさか地下室の研究所で眠っているだなんて僕も元の世界にいる仲間達も皆が知らないはずだ。



 ――その頃、ある街――



 このときある街の薬屋で商品を大量購入する男性がいた。男性はそれをレジまで持っていき店員の女性に気さくに話しかけていた。


 「じゃあ、お会計頼むよ。」


 「西川にしかわさん、いつもありがとうございます!」


 この西川という人物は何者だろうか?
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

俺、何しに異世界に来たんだっけ?

右足の指
ファンタジー
「目的?チートスキル?…なんだっけ。」 主人公は、転生の儀に見事に失敗し、爆散した。 気づいた時には見知らぬ部屋、見知らぬ空間。その中で佇む、美しい自称女神の女の子…。 「あなたに、お願いがあります。どうか…」 そして体は宙に浮き、見知らぬ方陣へと消え去っていく…かに思えたその瞬間、空間内をとてつもない警報音が鳴り響く。周りにいた羽の生えた天使さんが騒ぎたて、なんだかポカーンとしている自称女神、その中で突然と身体がグチャグチャになりながらゆっくり方陣に吸い込まれていく主人公…そして女神は確信し、呟いた。 「やべ…失敗した。」 女神から託された壮大な目的、授けられたチートスキルの数々…その全てを忘れた主人公の壮大な冒険(?)が今始まる…!

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。

もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。 異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。 ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。 残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、 同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、 追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、 清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

巻き込まれて異世界召喚? よくわからないけど頑張ります。  〜JKヒロインにおばさん呼ばわりされたけど、28才はお姉さんです〜

トイダノリコ
ファンタジー
会社帰りにJKと一緒に異世界へ――!? 婚活のために「料理の基本」本を買った帰り道、28歳の篠原亜子は、通りすがりの女子高生・星野美咲とともに突然まぶしい光に包まれる。 気がつけばそこは、海と神殿の国〈アズーリア王国〉。 美咲は「聖乙女」として大歓迎される一方、亜子は「予定外に混ざった人」として放置されてしまう。 けれど世界意識(※神?)からのお詫びとして特殊能力を授かった。 食材や魔物の食用可否、毒の有無、調理法までわかるスキル――〈料理眼〉! 「よし、こうなったら食堂でも開いて生きていくしかない!」 港町の小さな店〈潮風亭〉を拠点に、亜子は料理修行と新生活をスタート。 気のいい夫婦、誠実な騎士、皮肉屋の魔法使い、王子様や留学生、眼帯の怪しい男……そして、彼女を慕う男爵令嬢など個性豊かな仲間たちに囲まれて、"聖乙女イベントの裏側”で、静かに、そしてたくましく人生を切り拓く異世界スローライフ開幕。 ――はい。静かに、ひっそり生きていこうと思っていたんです。私も.....(アコ談) *AIと一緒に書いています*

ちゃんと忠告をしましたよ?

柚木ゆず
ファンタジー
 ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私フィーナは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢アゼット様に呼び出されました。 「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」  アゼット様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は最愛の方に護っていただいているので、貴方様に悪意があると気付けるのですよ。  アゼット様。まだ間に合います。  今なら、引き返せますよ? ※現在体調の影響により、感想欄を一時的に閉じさせていただいております。

処理中です...