放置した彼女は溺愛彼氏におしおきされたりする

プリオネ

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番外編「おいで、妖精さん」(※)

5話 罠

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待ちに待った休日。私はハヤトの家の前にいそいそとやってきた。てっきり宿舎の方のハヤトの部屋かと思っていたのに、彼はどうしてかここを指定した。ここは、彼が転校してくる時に手違いで借りた一人暮らし用の小屋で、今は別荘みたいな扱いになっている。まぁ、どこでもいいか。

「じゃあ入りましょうね、妖精さん」

私はしっかり彼女を連れて来た。やっぱり、勉強するなら本物を相手にしないとね。この子を肩に乗せる時に嫌がられないように、服装にも気を遣った。繊維がチクチクしない、柔らかい素材のTシャツだ。

ハヤト、怖がるかしら。またあの情けない顔が見られると思うとワクワクしてきた。私って意地悪ね。

ふふ、と笑って、扉をノックした。しかし、反応が無い。

「あれ?ハヤト?開けるわよ?」

そろそろとドアノブを回す。鍵はかかっていなかった。キィ、という音を立てて開くと、中は真っ暗だった。まさか、逃げた?

「ハヤトー?いないの?」

声をかけると、部屋の奥から声が聞こえてきた。

「ごめん、ちょっと今手が離せないから、入ってきていいよ」

「あ、いたのね。びっくりしたぁ。お邪魔します…」

ハヤトの声に安心して、彼の家に1歩足を踏み入れた時だった。

突然物凄い音が聞こえてきた。ボンという爆発音の後、白い煙で周りが見えなくなった。

「きゃあ!!……妖精さん!?」

何が何だか分からないまま、私は妖精を守ろうとした。しかし、彼女はさらにすばしっこかった。とっさに煙から逃れたが、山の方へ逃げ出してしまった。あっと思ったけど、妖精さんが無事なら、ひとまずそれでいい。

白い煙は時間をかけて消えていく。私には何が起きたのか分からない。爆発?でも、周りを見ても何も壊れていない。

ハヤトは?目をこらすと、部屋の奥から現れた。いつの間にか明かりがついている。至って平気そうだ。それなら謎の爆発に巻き込まれた私の心配をしてくれてもいいはずなのに、なぜか笑顔でいる。

「ハヤト!?なんだろう、今の…」

「オリビア、可愛いね」

不思議がる私を見てニヤニヤと笑っている。意味が分からない。まさか、ハヤトの魔法?

「…なに?あ、分かった、妖精さんを驚かせようとしたんでしょう。かわいそうに、逃げちゃったわよ?あの子がいないと、生態の勉強出来ないじゃない」

「大丈夫だよ、ちゃんと勉強するから」

「え?ええまぁ、一応本も持ってきたけど、こういうのは本物を前にした方が…」

「いるじゃないか。目の前に」

「何言ってるのよ。山の施設に帰ったんだってば。全く、私まで嫌われたらどうするのよ…」

私はブツブツ言いながら歩いた。ハヤトってば、何も嫌がらせしなくたって。
仕方なくテーブルに勉強道具を置こうと、カバンに目を向けた時だった。

「……え………」

下を向いて自分の体が目に入った途端、私は絶句してしまった。地味な色のTシャツを着てきたはずなのに、いつの間にかフリルのついたピンクのドレスになっている。それもかなり短い丈だ。大きく開いた胸元からは谷間が見えてしまっている。どういう事…?それにこの服、なんだか見覚えがある…。

混乱して後ずさると、背中が壁にぶつかって、カサリと何かの音がした。振り返ると、虹色に光を反射する蝶々のような羽が見えた。これは、妖精の羽根…の、レプリカだ。

目の前に姿見が立てかけてあり、鏡に映し出された自分の全身を見てしまい、固まった。
私はさっきまで一緒にいた、妖精の格好をしていた。







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