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番外編「おいで、妖精さん」(※)
4話 彼の頼み
しおりを挟む授業が終わって、私は妖精と名残惜しく別れた。途端にハヤトが近寄ってくる。
「オリビア、さっきのは酷いよ…」
「ごめんなさい。だって、あんなに怖がってるあなたを見るのは初めてだったんだもの。あぁ、面白かった」
私は鼻にシワを作って意地悪く笑った。
「僕にとっては恐怖でしかなかったよ」
「変なの。そこまで妖精を怖がる人なんて、聞いた事ないわよ」
「……。まあ、とにかく、僕は君のように妖精とは仲良くなれないんだ」
「じゃあ、今度からハヤトが私をからかったりしたら私もお友達を連れてこなくちゃね」
なおもクスクス笑い続ける私を、彼はじーっと見つめる。怒ったかな?
「…それなんだけどさ。オリビア、次の休みに、僕に教えてくれないか?妖精の扱い方とか…。克服したいんだ」
「えっ……?」
ハヤトが私に、勉強を聞くですって?
「私があなたに…?」
「そうだよ。教えてくれるかい?僕に」
こんな日が来るとは。いつも私が彼に教わる一方だったのに。
「も…もちろん!いいの?私はあなたと違って、説明が下手よ」
一応、教師志望だけど。
「ああ、いいよ。頼んだ」
そう言って、彼は微笑んでみせた。ほんのわずかに目の奥が怪しく光ったような気がするけど、気のせいよね?
「分かったわ」
私は彼のお願いを引き受けた。嬉しい。私がハヤトに勉強を教えるんだ!そうと決まれば、張り切って準備しなくちゃ。妖精の生態について詳しく書かれた本を持って行こう。先生に、あの子を連れ出してもいいか許可を取らなきゃ………………
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