封印された獅子

プリオネ

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第十話 終わらない屈辱※

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 ブラウスの下で硬くなった中心をねっとりと弄られ、思わず漏れたのは、情けなくも甘い吐息だった。藻沼はうなだれた私の背中を静かに見下ろし、冷たい息を耳元に吹きかけた。

「待って、話が違う……!」

  私は、結束バンドに括られた両手首を、理性を失い思わず乱暴に振り回してしまった。その力が一瞬、ケーブルに集中し、デスクトップパソコンの太い電源ケーブルがピンと張った。差し込み口が傾いたのが見え、私の肝が冷えた。その瞬間、藻沼は私の両手首をさらに強くデスクに押さえつけ、ケーブルを元の位置に深く差し込むことで事なきを得た。

 危なかった……!!心臓の音がドクドクと、耳の奥で激しく鳴っている。

「言ったはずです。今、このパソコンは重要データの更新プロセスを実行中です。万が一、このケーブルが抜けてしまった場合、データは失われ、会社にも甚大な損害をもたらす。あなた一人でその責任を負えますか?」

「な、なんでやめてくれないの……?それに、どうして星垣さんの席なの。こんなことしたら、彼にも迷惑がかかるじゃない。友達なんじゃないの!?」

「ええ、友人ですよ」

 藻沼はあまりにも、涼しげに答えた。

「だったら、どうして……」

「私の言う事を聞かなかった罰です」

「そんなの、星垣さんの自由じゃないの。やっぱり、あなたは星垣さんに嫉妬していたんでしょ。あの人が羨ましいからこんな、こんなこと……!」

「はは……笑わせないでください。あなたなんて大嫌いですよ。品のない喘ぎ方をするあなたなんて」

 彼の体が私に覆いかぶさる姿勢のまま、両手がブラウスの下から私の下腹部へと滑り込んできた。

「う、噓でしょ、まだ続けるの」

 藻沼の手は、容赦なく下着の中へと侵入し、冷たい指先が太ももの内側を、ゆっくりと、強い圧をもって這い上がってきた。これから起こるであろう行為への恐怖が、私の体を硬直させた。

「あなたの軽蔑するような視線には気が付いていました。人を値踏みするような視線。他人の見た目や行動、何を選び取るか。表面的な部分で価値を決め、蔑む態度。すべて、分かっていましたよ」

「や、めて……」

 私を無視し、冷たい指先はついに体の最も敏感な中心に辿り着く。藻沼がそこを強く押さえつけると、私の体は反射的に跳ねた。

「ひゃあっ!」

 その刺激は、抵抗しようとする私の理性とは裏腹に、背筋を駆け上がる強烈な熱を帯びていた。羞恥と快感の濁流に、私は声を抑えきれない。

「品のない顔をしますね、桑折さん」

 藻沼は私の快感に歪む顔を見ては、吐き捨てるように言い放った。

「あなたが見下し嫌悪した、私のような男に触れられても、快楽を感じるのですか」

「ち、ちがう……っ、はぁっ……」

 否定しようとした言葉は、藻沼が指を深くまで滑り込ませたことで、甘い悲鳴に変わる。

「言ったでしょう。認めない内は、やめませんよ」

 藻沼はまるで土下座を強要しているかのように私の頭をおさえつけた。私は額を星垣さんの冷たいデスクに押し付けられ、呻き声を漏らす。その間にも藻沼は私の腰の上から片方の腕を回して、そこばかりを責めた。

「やだ、藻沼、あっ、謝ってるじゃん!!私のこと嫌いなら触らないでよ!」

 妙に優しい手つきで、確実に私の快感を引きずり出していく。でも、愛情からではない。機械を操作するように、私が反応する体の部位を的確に撫でているだけだ。それでも体はごまかせず、彼に素直に従い高まっていく。

「あなたの無様な姿が見たいもので」

「あ、ああ、もうやだ、ごめんなさいっ、もう星垣さんには関わらないってば、ねぇっ」

 藻沼の指は、私の訴えを嘲笑うかのように、さらに正確に、無情に快感を積み上げていく。片足を持ち上げられ、さらに無防備になってしまった一番恥ずかしい所を、溢れた愛液を絡めとりながらなぞられる。

 私は必死に声を殺した。下半身に力を入れて何も感じないように努めた。でもそれに集中すると、手が暴れてケーブルが抜けそうになってしまう。ケーブルに気をとられていると、気が緩んで声が出てしまう。

「くうっ……んっ……ふぅっ……」 

 歯を食いしばって耐えていたが、次から次へと襲い来る甘い痺れに、私の腰は勝手に前後に揺れ始めた。我慢できているのは声だけで、私の体は藻沼の指に身を委ね、最後まで駆け抜けようとしている。

「んっ…は、う……んんっ……!」

 ついに私は達してしまった。藻沼にバレないように、体がこわばっていると気付かれないように、顔を隠して小さく震わせる。

 でも、藻沼はあっさりと見破った。

「桑折さん。今、私に黙って絶頂しましたね?小さく痙攣していますよ」

「し、してない……!」

「では続けましょうか。ここは小さかったはずが赤く膨れ上がっているように見えるのですが、満足していないのならば仕方ない」

 そう言って、つんと触った。

「ひゃあっ!!」

 すでに敏感になっている私には強すぎる刺激だ。

「ま、待って!藻沼……!!」

 藻沼はここまでずっと立って私を責め立てていたが、腰を下ろす衣擦れの音を立てて、しゃがみこんだのが分かった。すかさず蹴り飛ばそうとした私の右足を捕まえて、足首を何かにくくりつける。

「全く……まるで暴れ馬だ」

 辛い姿勢でなんとか頭を起こして振り返る。足を動かすと同時に、星垣さんの椅子が揺れるのが見えた。これに縛られたんだ。もう片方も簡単にとらえられて、どこからか転がしてきた椅子に同じように縛り付けられた。私の抵抗は重い枷と化したキャスターによって受け流され、完全に封じ込められた。

 私にできることはもはや左右に腰を振るのみで、それさえも大した抵抗にはならなかった。藻沼は悠々と私のスカートを捲り上げ、ストッキングをパンツごと膝裏まで下ろした。

 こんなこと、あってはならない。こんな男に。あの藻沼なんかに。

 あの黒いマスクを外しているのだろうか、生暖かい息が、両手で掴まれた私の体の最も恥ずかしい場所に吹きかかる。

 すっかり濡れてしまった秘所を広げられると、すぐにぬるりとした感触があった。藻沼の、泥に潜む蛭のような舌が、割れ目を這って進入してきた。

「ぁ……っ」

 喉の奥で声にならない悲鳴が上がった。デスクに額を押し付ける。ぎゅっと瞑った目から、涙が流れ落ちた。星垣さんのパソコンが更新を続ける機械音に混じって、藻沼の冷たい息遣いと、卑猥な水音だけが耳に響く。

「藻沼っ!藻沼ってば!!あっ、あっ、ん、んぁ…っ」

 藻沼の舌は膣内を掻き分け、私が反応する場所を暴くように動いた。私の体は大嫌いな男の舌を必死に拒絶しようとしていたはずだったけれど、その意志とは裏腹に、とめどなく蜜を溢れさせてしまう。藻沼はそれをすすり、わざとらしくぴちゃぴちゃと音を立てて舐めとった。濡れた水草を絡みつかせて、私を快感の沼へと引きずりこんでいく。

 私は体をくねらせてもがいた。それを面白がってか、余計に意地悪く大胆になっていく。



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