新大陸の冒険者支援課 ~新大陸での冒険は全て支援課にお任せ!? 受け入れから排除まであなたの冒険を助けます!~

ネコ軍団

文字の大きさ
184 / 304
第3章 灼熱の砂海を渡る一輪の花

第184話 帝国を追い詰めろ

しおりを挟む
「ウガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!」

 迫る男性兵士を見た炎の魔人が不機嫌そうに眉間にシワを寄せ、天井に顔を向け声を上げた。口を大きく開いたまま炎の魔人は男性兵士を向いた。直後に強烈な赤い光が周囲を照らす。あまりの強烈な光にキティルが両手を前に出して目を覆う。
 炎の魔人の口からマグマよりもはるかに高い熱を持つ光線が発射された。火の粉をまき散らし男性兵士へと光線は飛んで行く。男性兵士は反応すらできずに一瞬で光線に飲み込まれていった。

「ギャアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!! アアア……」

 男性兵士の声と影が小さくなってすぐに消えた。
 光線がおさまるととこに男性兵士の姿はなく銀色の足の先だけが残っていた。光線が通った床が熱で溶け数十センチほど円形にへこみ溝のようになっていた。

「がうあ!!!」
「よーし。じゃあ戻れ!」

 キティルはやすらぎの枝を掲げ炎の魔人は消えていった。

「ふぅ…… あっ!」

 炎の魔人が消えるとキティルは安堵して小さく息を吐いた。すぐに彼女は何かを思い出しハッとしてすぐに振り向き駆け出すのだった。

「はぁ…… またあたしだけ…… ううん。いいのよ。これで……」

 肩に刺さった凍った槍を両手でつかんだ姿勢のまま、消えていく炎の魔人をメルダは静かに見つめつぶやいた。大きく首を横に振った彼女は両手に力を込める。彼女の手が赤く光り炎が出て凍った槍を溶かした。

「グっ!」

 顔を歪ませ両手に力を込めて槍を引き抜くとメルダは槍を捨てた。そこへキティルが駆けてくる。

「大丈夫? メルダ」
「えぇ…… 問題ないわ……」

 キティルが心配そうにメルダに声をかけた。メルダは肩に自分の手を当て、魔法で治療しながら答えるのだった。寂しそうな表情をするメルダをジッと見つめるキティルだった。メルダはキティルが自信を見つめているのに気づいて笑った。

「どうしたの? 何か?」
「ううん…… 何でもない!」

 振り向いてキティルは歩き出した。彼女は転がったメルダの弓を拾って戻って来た。

「はい。これ」
「ありがとう…… うん!?」

 キティルから差し出された弓を笑顔で受けとりメルダが背負った。弓を背負う時にメルダは何かに気づいた。

「待って!」

 弓を背負ったメルダは女性兵士の元へと歩きだしキティルが慌てて追いかける。女性兵士は息絶え横たわったまま焦げた体が転がりすぐそばに彼女が銀色に変化した右足が転がっていた。
 メルダは手を伸ばし転がった銀の足を拾い上げた。

「炎の魔人の攻撃でも無傷なのね……」

 まじまじと銀色の足を見つめるメルダだった。銀色の足は彫刻のようであり断面はほぼ垂直で綺麗だ。さらに炎の魔人の拳を叩きつけられたのにほとんど傷もなかった。
 キティルがメルダの元へとやって来た。興味深げに彼女の横からキティルも銀の右足を覗き込む。キティルにメルダは足を差し出した。キティルはうなずいてメルダから足を受け取る。

「白銀兵や銀色のミノタウロスと同じものかしらね……」
「うーん…… そうだと思うけど…… ちょっと違うと思う……」

 手に持った銀色の右足を見つめ首をかしげるキティルだった。

「違うの? フフ。古代人の勘ってやつかしら?」
「ううん。古代人とかじゃないよ。ただ…… テオドールで戦った白銀兵は体が銀色になっただけのような気がして…… これはなんというか…… 道具というか武器と言うか……」
「白銀兵は生き物でその足は生命じゃないってこと?」

 メルダの質問にキティルは少し考えてからうなずいた。

「うん…… なんとなくね……」
「そっか。面白いわね。まぁでも今はそんなに考えている場合でもないけどね」
「そうだね…… 行こう」

 キティルは大きくうなずく。二人は揃って駆け出すのだった。

「さぁて…… 残りは……」

 ゆっくりと振り返るオリビア、足元には仰向けに倒れた帝国兵士がいる。帝国兵士はすでに息はなく、右手は砕かれなくなり腹にはメイスがめり込んでいた。
 オリビアは顔をある場所へと向けたままメイスを帝国兵士の体からゆっくりと上げていく。帝国兵士の腹がメイスにくっつき一瞬だけ盛り上がりメイスがはがれるとすぐに元に戻る。はなしたメイスを肩に担いで歩きだすオリビアだった。彼女のすぐ後ろをグレゴリウスが付いて行く。

「彼だけですわね……」

 グレゴリウスの横を爽やかな風とわずかな花の香りが過ぎていく。オリビアの横にすっとクロースが現れ並び歩く。

「でもあいつは厄介よ」
「そうだねぇ……」

 オリビアの右手からメルダとキティルが現れた。メルダは不機嫌そうに黙ってキティルはオリビアに笑顔で手を振ってからオリビアの横に並ぶ。

「そうだな…… でも、私達の敵じゃない。そうだろ?」

 笑ってオリビアは視線を左右に動かした。彼女の言葉にクロース、メルダ、キティルの三人はほぼ同時にうなずいた。オリビア達は同時に立ち止まった。腕を前に出しオリビアはメイスの先端を前に向けた。

「さぁ…… 終わりにしようか…… ロック!!!」

 オリビアが突き出しメイスの先に左腕を銀色に変えたロックが立っていた。四人の後ろに倒れている部下を見てロックは顔をしかめている。

「はあ。全滅ですか…… 情けない」

 右手を眼鏡のつるへ持って行き直しため息をつくロックだった。彼は右手で腰にさした細長い剣を抜いて前に出た。
 オリビアの横に立ったクロースが前を見たまま尋ねる。

「どうします?」
「まず、私が行く。君は援護を頼む」
「かしこまりましたわ」

 クロースが返事をするとメイスを肩に担いだオリビアが前に出る。キティルはオリビアの背中を見て隣にいるメルダに顔を向けた。

「メルダ…… 無理しないで良いからね」
「わかってるわよ。あんた達の戦いにはついていけないもの」

 笑ってキティルに答え矢筒に手を伸ばすメルダ、キティルは横に動きながらオリビアの斜め後ろに立った。オリビアは横を向き視線を後ろに向けすぐに前を向いた。

「はあああああああああああああああああああああああ!!!」

 前を向いたオリビアはロックへと向かって駆け出した。ロックは静かに右腕を後ろに銀色の左腕を前に出して姿勢で構えた。
 ロックに接近したオリビアはメイスを振り上げ横から彼に叩きつけた。大きな音を立て空気を切り裂きながら、ロック左側面からオリビアのメイスがしなるようにしてロックを襲う。オリビアの両手に衝撃が伝わり風圧により周囲の砂埃が激しく舞う。

「ぬぅ!?」
 
 目を見開き驚きの声を上げたオリビア、彼女の視線の先に銀色になった左手でメイスをつかんで笑うロックがいる。

「驚きましたか? 銀細工はこの程度の攻撃を防ぐのは簡単なんですよ!!!」

 ロックはメイスを握りしめる手に力を込め動けくすると胸を開くようにして、引いていた右腕を突き出した。ロックの剣先がオリビアの首へとめがけて鋭く伸びて来た。

「フッ!」
「なっ!?」

 慌てることなくオリビアは冷静にメイスから左手を離すと体を後ろにそらしたロックの剣をかわした。剣を持ったロックの右手首を今度はオリビアがつかんだ。彼女は力ずくでロックの左腕を開いていく。二人は両腕を開いたしせいで向かい合うようになった。

「何をする気だ……」
「さあて…… ねっ!!!」
「えっ?」

 オリビアは両腕の力を込め右足で踏ん張り左足で地面を蹴り、ロックを持った体の向きを反転させた。ロックは背中がじんわりと熱くなりわずかな音が聞こえた赤い光が覆う。

「しまっ!?」

 振り向いたロックが悔しそうに声をあげた。彼の目の前にキティルが放ったファイボールが迫っていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜

サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。 〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。 だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。 〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。 危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。 『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』 いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。 すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。 これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。

『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』

チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。 気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。 「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」 「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」 最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク! 本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった! 「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」 そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく! 神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ! ◆ガチャ転生×最強×スローライフ! 無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!

魔眼の剣士、少女を育てる為冒険者を辞めるも暴れてバズり散らかした挙句少女の高校入学で号泣する~30代剣士は世界に1人のトリプルジョブに至る~

ぐうのすけ
ファンタジー
赤目達也(アカメタツヤ)は少女を育てる為に冒険者を辞めた。 そして時が流れ少女が高校の寮に住む事になり冒険者に復帰した。 30代になった達也は更なる力を手に入れておりバズり散らかす。 カクヨムで先行投稿中 タイトル名が少し違います。 魔眼の剣士、少女を育てる為冒険者を辞めるも暴れてバズり散らかした挙句少女の高校入学で号泣する~30代剣士は黒魔法と白魔法を覚え世界にただ1人のトリプルジョブに至る~ https://kakuyomu.jp/works/16818093076031328255

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

底辺から始まった俺の異世界冒険物語!

ちかっぱ雪比呂
ファンタジー
 40歳の真島光流(ましまみつる)は、ある日突然、他数人とともに異世界に召喚された。  しかし、彼自身は勇者召喚に巻き込まれた一般人にすぎず、ステータスも低かったため、利用価値がないと判断され、追放されてしまう。  おまけに、道を歩いているとチンピラに身ぐるみを剥がされる始末。いきなり異世界で路頭に迷う彼だったが、路上生活をしているらしき男、シオンと出会ったことで、少しだけ道が開けた。  漁れる残飯、眠れる舗道、そして裏ギルドで受けられる雑用仕事など――生きていく方法を、教えてくれたのだ。  この世界では『ミーツ』と名乗ることにし、安い賃金ながらも洗濯などの雑用をこなしていくうちに、金が貯まり余裕も生まれてきた。その頃、ミーツは気付く。自分の使っている魔法が、非常識なほどチートなことに――

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

神眼の鑑定師~女勇者に追放されてからの成り上がり~大地の精霊に気に入られてアイテム作りで無双します

すもも太郎
ファンタジー
 伝説級勇者パーティーを首になったニースは、ギルドからも放逐されて傷心の旅に出る。  その途中で大地の精霊と運命の邂逅を果たし、精霊に認められて加護を得る。  出会った友人たちと共に成り上がり、いつの日にか国家の運命を変えるほどの傑物となって行く。  そんなニースの大活躍を知った元のパーティーが追いかけてくるが、彼らはみじめに落ちぶれて行きあっという間に立場が逆転してしまう。  大精霊の力を得た鑑定師の神眼で、透視してモンスター軍団や敵国を翻弄したり、創り出した究極のアイテムで一般兵が超人化したりします。  今にも踏み潰されそうな弱小国が超大国に打ち勝っていくサクセスストーリーです。  ※ハッピーエンドです

帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす

黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。 4年前に書いたものをリライトして載せてみます。

処理中です...