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ネコ軍団

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第3章 灼熱の砂海を渡る一輪の花

第198話 決戦の地へ行く前に

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 グレン達が乗る砂上船の前に壮大な岩山が並んでいる。以前、グレン達が訪れたグレートワインダーキャニオンだ。この岩山の向こうにシルバーリヴァイアサンが済む砂海がある。
 岩山の切れ目で谷となり砂が流れる場所の手前で船がゆっくりと停止した。船首にラウルとジョシュアを含めた全員が集まった。
 皆が集まるとクレアは砂が流れる谷を指して口を開く。

「この谷を越えたらシルバーリヴァイアサンの棲み処である雨天蓋アマノテンガイです」

 全員がやや緊張した面持ちでクレアが指した谷を見つめる。クレアは話を続ける。

「近づいたら問答無用で襲ってくるでしょう」
「あぁ。俺達が前に見たときは口から青い光線を吐いてたよな」
「あれはすごい威力でしたね。直撃は避けないといけません」

 クレアとグレンの会話にラウルが入ってい来る。

「なーに任せておけ。わしの操船と相棒たちのスピードがあれば光線などかすりもせん」
「ちょっおじさん…… 自信過剰は怪我の元だよ。無理しないで年寄りの冷や水になっちゃうよ」
「なんじゃと!! この人を年寄り扱いしやがって!!!」
「はぁ!? じじいなのは本当のことだろ」

 ラウルが眉間にシワを寄せジョシュアに顔を向けた。ジョシュアは舌を出して笑っている。彼の態度にラウルはつかみかかろうとする。二人の間にクレアが割り込んで止める。

「もう…… ダメですよ。喧嘩したら……」
「すまねえ」
「ごめんなさい……」

 クレアに停められ落ち込むしょんぼりとする二人だった。クレアは微笑みキティルへ顔を向ける。

「ラウルさんの腕は確かですがなにかがあるといけません。キティルさん。いざとなったらあなたの魔法で船を守ってください」
「えっ!? 私ですか? 魔法なら他の人でも」
「いえ…… あの攻撃はキティルさんでないと防げません。だからお願いします」
「わっわかりました……」

 いざとなったら船を守れという重大な指示にキティルは自信なく返事をしていた。キティルの方にメルダがそっと手を置いた。驚いた顔でキティルはメルダに顔を向ける。メルダは彼女にニコッとほほ笑んだ。
 
「キティル。もっと自信を持ちなさい。今のあなたなら大丈夫よ」
「うん。ありがとう」

 キティルはメルダが置いた手の上に自分の手を重ねた。緊張していた彼女の顔は和らいでいく。
 難しい顔で腕を組んで考えていたグレンが口を開く。

「後はどうやってあいつを倒すかだよな」
「それなんですが…… おそらくシルバーリヴァイアサンにもどこかに賢者の石があると思います」
「えっ!? 本当か?」

 クレアの言葉にグレンが驚いた顔で問いかける。クレアは彼に小さくうなずく。

「はい。おそらくキラーブルーと同じでシルバーリヴァイアサンは古代遺跡を守る兵器なんだと思います」
「あぁ…… そういやモニー浮遊島に武器を運び込んでたんだよな…… ならあいつらも賢者の石を動力にしているってことか……」

 ドラゴンスローン遺跡で見た絵を思い出しうなずくグレンだった。遺跡の絵にはモニー浮遊島に武器を運び込む光景が描かれていた。モニー浮遊島が古代遺跡でシルバーリヴァイアサンが守るために起動したのは合点がいく。

「はい。それであれば賢者の石を破壊すれば停止するはずです」
「わかった。でもどこに賢者の石があるかわからないんだよな……」

 シルバーリヴァイアサンが古代遺跡を守る兵器なら賢者の石を破壊すれば良い。ただ、どこにあるかは判明していたいのだ。グレン達が以前は見たときは遠目で賢者の石の位置まではわからなかった。
 二人が難しい顔をしているとメルダが口を開く。

「じゃあ探すしかないわね……」
「えぇ。グレン君のルーナライトなら石の場所はわかりますよね?」

 クレアがグレンに確認すると彼は力強くうなずいた。

「あぁ。問題ないぜ。シルバーリヴァイアサンの注意を引いてくれ」
「わかりました。私、クロースちゃん、メルダさんでグレン君が石を探すためにシルバーリヴァイアサンの注意を引きます」

 メルダの言葉にクレアはうなずいた。オリビアが慌てた様子で手を上げた。

「おっおい!? 私は?」

 自分を指してクレアに問いかけるオリビアだった。ラウルとジョシュアは操船、キティルは船を守りグレン、クレア、クロース、メルダはシルバーリヴァイアサンの討伐と役割が決まったがオリビアは何もないのだ。
 オリビアにそっとクロースが近づき声をかける。

「あなたは決まってますでしょ。グレゴリウスさんと船をお守りなさいな」
「おぅ。そうだな。わかった。任せろ。なぁ? キティル」
「うん。頑張ろうね」

 胸を叩いてオリビアはキティルに笑顔を向けた。キティルは大きくうなずいて彼女に答えるのだった。
 クレアは顔をあげ砂の谷を見つめた。グレンが彼女の肩に手を置いた。

「じゃあ行こうか」

 振り向いたクレアの瞳に最愛の義弟グレンが真顔で谷を見つめる凛々しい姿が映る。彼女は目をうるませ優しくほほ笑み返しうなずく……

「「ぐぅううううううううううううきゅるるるーーーーーーーーーー」」

 緊張感が漂う甲板の上に空腹を告げる、少々間が抜けた音が重なるように響き渡った。グレンは優しくほほ笑みクレアは頬を赤くした。オリビアは寂しそうに腹を押さえ飢えた子犬のような顔をグレゴリウスへと向ける。

「グレゴリウス様…… 申し訳ありません。奥方とご友人が空腹のようですわ」
「そうだね。じゃあ行く前に腹ごしらえだね!!」
「「おぉ!!!」」

 グレン達はシルバーリヴァイアサンに挑む前に、グレゴリウスが作った料理を食べ決戦前に英気を養うことになった。
 数十分後…… 甲板の上に置かれたテーブルが置かれ食器やグラスが並ぶ。

「ふぅ。お従姉ちゃんに作ってもらったオーブンと違うけどうまくいったよ」

 トレイに乗せた料理を笑顔でグレゴリウスがテーブルに並べていく。彼がおいた皿には野菜たっぷりのソースがかかったワンダーパーチの砂蒸しが乗っていた。

「さぁ。召し上がれ」
「うおおおおおおおお!!!」
「いただきまーす!!」

 料理が並べられたグレゴリウスが手で指した。オリビアとクレアが料理に我先にと食らいつくのだった。

「グレうまいぞ」
「もう…… オッちゃん! お口が汚れているよ」
「おぅ」

 空になった皿をテーブルに重ねながらオリビアはグレゴリウスをほめる。もごもごと動くオリビアの口はソースまみれでグレゴリウスはナプキンを出して彼女の口を拭く。

「これ美味しいですよ。はい」
「えっ!? それは…… ちょっと」
「ん!!!」
 
 隣に座るグレンに向かってクレアはフォークに乗せ魚の切り身を差し出した。クレアはグレンに魚を食べさせたいようだ。ちなみにクレアがグレンに食べさせようとするのは、二人きりの時はよくやる行為である。
 皆の前だからと躊躇するグレンに、ムッとしてフォークを突き出すクレアだった。グレンはこれを断ると面倒なことになることがわかっていた。なので渋々義姉の行為を受け入れる。

「わっわかったよ」
「ニコっ! 美味しいですか?」
「あぁ…… 美味しいよ」

 口を開けたグレンに嬉しそうに口に魚の切り身をいれるクレアだった。美味いかと尋ねられたグレンは適当な返事をする。クレアは不服そうに眉間にシワを寄せた。

「そこはお姉ちゃんが食べさせてくれたから美味しいよでしょ!」
「はああああ!?」

 クレアの言葉に顔をしかめるグレンだった。グレンの反対側に居たキティルが二人をうらやましそうに見つめていた。彼女はクレアの真似をしフォークで魚の切り身を刺す。大きな魚の塊をフォークで刺してグレンの肩を叩くキティルだった。

「グレンさん! これも美味しいですよ!」
「えっ!? それさっきのと同じ…… それにでかいよ……」
「うぅ…… ダメですか……」

 フォークをグレンに差し出して目に涙を溜めるキティルだった。グレンは気まずなってすぐにうなずく。

「あっあぁ…… もらうよ」
「ニコ! あーん」
「あがが……」

 必死に口を開けグレンはキティルが差し出した魚の塊を口に入れた。口を手でふさぎ溢れそうになる魚を押さえるグレンだった。

「美味しいですか?」
「あぁ…… 美味しいよ…… いた!!!」

 グレンの足をクレアが思いっきり踏みつけた。

「何をするんだよ」
「ふーんだ! べーーーーー」

 怒ったグレンに舌を出して腕を組みそっぽを向くクレアだった。キティルはグレンの後ろで勝ち誇った顔をする。むかいにいたクロースとメルダは三人を見てあきれた顔をするのだった。
 オリビアとグレゴリウスは二人で仲良く食事をするのだった。
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