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ネコ軍団

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第3章 灼熱の砂海を渡る一輪の花

第209話 次の旅へ

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 開いた扉の先はさらに下へと続いていた。クレアを先頭にメルダ、キティル、クロース、オリビア、グレゴリウス、グレンの順で進む。しばらく歩くと白い壁に覆われた長方形の細長い部屋へと出た。天井は低く左右の壁に三つずつ等間隔に扉が並んでいた。扉の上に賢者の石が置かれている。

「なんですかね。ここ……」

 先頭のクレアが部屋を見渡しながら慎重に先に進み皆が彼女に続く。
 
「これなんて書いてあるの?」
「一階~二階保管庫…… 三階~四階居住エリア…… 五階商業区…… 六階執務室…… 七階空港…… 屋上庭園」

 扉の横に書かれた金属板には古代文字が書かれておりキティルが読み上げていく。

「階層の案内版ですね…… ということは」

 文字を読んでいたキティルがハッとした顔をし、彼女は扉の前にある賢者の石に向かって短剣をかざした。しかし、賢者の石は反応しなかった。キティルは静かに首をかしげた。

「あれ!? そうか…… じゃあこっちか」

 小さくうなずいたキティルはと隣の扉の前へと向かう。隣も同じように反応しなかったがキティルはめげずにさらに隣の扉の前で同じように短剣をかざした。
 賢者の石から青い光が伸びて来て短剣に当たると扉が横に自動で開いた。開いた先は小さな円形の部屋で詰めれば二十人ほどが一気に入れるようにスペースがあった。

「うん…… やっぱりこれはエレベーターですね…… 動くみたいです」

 扉の中を見てうなずくキティル、彼女は振り向いて皆に声をかけた。全員がキティルの元へと集まって来た。

「エレベーターですか……」
「はい。乗ってみましょう」

 クレアが前に出てエレベーターの中を覗き込む、横でキティルが早く乗ろうと促す。キティルはエリィの元へと向かおうと焦っているようだ。

「そうですね…… 階段もないようですし乗るほかにないでしょう」
「じゃあ行きましょう」
「みんな乗ってください」

 クレアはキティルの焦りを察していたが、他の階層へと移動する手段が見当たらないためキティルの提案を受ける。グレン達はエレベーターへと乗り込んだ。
 皆がエレベーターに乗り込んだ。エレベーターの内部の扉の横に賢者の石が埋め込まれていた。キティルは短剣を賢者の石にかざした。青く瞬いた賢者の石から声が聞こえる。

「何階ヘ向カイマスカ?」
「えっ!? 何階って…… えっえっと……」

 賢者の石からの質問に迷ったキティルは困った様子で振り向いた。気持ちが焦っていた彼女は何階へ向かおうとも意識せずにエレベーターに乗り込んでいた。クレアはにっこりと微笑み彼女に答える。
 
「上からで良いですよ」
「そうだな……」
「わかりました。すぐに下の階へお願いします」

 上から行こうというクレアに彼女の横に居るグレンも同意した。キティルはうなずいてすぐ下の階へ向かうようにエレベーターに告げた。

「了解シマシタ…… 空港ヘ向カイマス」

 扉がしまり静かにエレベーターが動き出した。数十後にエレベーターは止まった。

「空港デス…… マタノオ越シヲオ待チシテオリマス」

 青い宝石が瞬いて扉が開いた…… エレベーターからグレン達が降りる。

「なっなんだ!? これ……」

 グレンが開いた扉の空港を見て声をあげた。エレベーターの扉の向こうは巨大な空間が長方形の空間が広がり、桟橋のような物が三本ならんでいた。桟橋の横にはレンガ造りの建物が三つ並んでいる。天井の中心には巨大な青い賢者の石がシャンデリアのように吊るされていた。
 ただ…… グレンが声をあげたのは空港が想像したより広かったからではない。

「キラーブルーが……」

 桟橋や床に石人形ゴーレムであるキラーブルーがいくつも転がっていたのだ。キラーブルーの近くには武器が転がっていた。床や建物は刀傷が無数につけられ一部は破壊されていた。刻まれた傷は真新しく戦闘がつい最近行われたことを物がっている。

「皆! 警戒してください」

 クレアの声でみな武器に手をかけ慎重に進む。倒れているキラーブルーは動く気配がない。歩いていたメルダが地面を見て何かに気づき駆け出した。

「メルダ!?」

 いきなり駆け出したメルダを追いかけるキティルだった。メルダは走った並んだ三つの建物へ駆けていく。並んだ中央の建物の扉の前で彼女はしゃがんだ。

「どうしたの?」

 キティルがメルダの肩越しに声をかけると彼女は立ち上がりすぐに振り向いた。彼女の手には一本の矢が握られていた。メルダは落ちていた矢を見つけて拾ったようだ。

「ねえ。キティルこれって……」

 メルダはキティルに拾った矢を差し出した。

「エリィのです!!」

 キティルは矢を見てすぐに反応した。彼女の声を聞いた皆が集まって来た。
 メルダが拾った矢はなんの変哲もない矢だったが、キティルがそれはすぐにエリィの物だと判断できた。なぜならこの矢は故郷から持って来た全て矢を使いきってしまい、エリィと二人で大樹の森で材料を集めテオドールの鍛冶屋で作成してもらった思いいれのあるものだからだ。
 矢をメルダから受け取りそっと抱きしめるキティルだった。

「ここに矢が落ちてたってことは確かに彼女はここに居たんだな…… でもどこに行った……」
「下の階へ行ってみましょう!」
「待って下さい」

 キティルがエレベーターを指した。今にも駆け出していきそうなキティルをクレアが止めた。クレアは顔をグレゴリウスへと向けた。

「グレゴリウスさん! グレン君が渡した水晶を持ってますか?」
「えっ!? はっはい!」
「少し貸して下さい」

 グレゴリウスはうなずいて砂上船でグレンから受け取った水晶をクレアに渡した。クレアは受け取った水晶に自分の冒険者ギルドの職員証をかざす。

「義姉ちゃん…… でも…… 確か反応しなかったはずじゃ」
「えぇ。わかってます。ただ……」

 水晶から白い光が伸びて四角いディスプレイになった。ディスプレイには緑の点と地図が表示されている。

「反応ありました…… でもここじゃないみたいです」
「えっ!?」

 クレアの言葉に皆が驚きの表情を浮かべた。クレアは地図をジッと見つめまた口を開く。

「ここからもっと東…… グレートワインダー砂漠の先にあるギガントヴァレーを超えた先…… 深層の大森林ディープフォレストですね」
深層の大森林ディープフォレスト…… エリィは生きているんですか?」
「えぇ。緑の反応は生きています」

 心配そうなキティルにクレアは微笑みうなずいた。キティルは目を涙でにじませ嬉しそうに笑った。

「よかった……」
「クレア! 君の転送魔法ですぐにキティルだけでも彼女の場所に連れて行ってもらえるか?」

 オリビアがクレアの転送魔法を使ってエリィの元へキティルを連れて行くように依頼する。しかし、クレアは残念そうに首を横に振った。

「ダメです…… この場所…… 未開発地域ですね…… 転送魔法で行ける場所でないです」

 転送魔法は自在に移動できる魔法ではあるが、自身が過去に訪れたことがある場所か魔石柱などの道しるべがないと転送できない。エリィがいるのは未開発地域であり転送魔法ではいけないのだ。

「じゃあ…… 歩いて行くしかないか……」
「そうですわね。キティルさん、メルダさん、よろしいですわね?」
「はい! もちろんです」
「あーあ。面倒だわ……」
 
 四人はうなずいた。ロボイセで見た情報通り、グレートワインダー砂海にエリィは確かにいた。しかし、彼女はすでに移動していた。エリィを探すキティルの旅は深層の大森林ディープフォレストへと続くのだった。
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