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ネコ軍団

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第4章 深い森に迷う二人の姉

第296話 残念な報告

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 営業を終えた深夜近くのグレゴリウスの屋台。グレン達は席に座ってそれぞれの今日の報告を行っていた。クレア、グレゴリウス、オリビア、クロースが並んで座り、向かいグレン、キティル、メルダ、ジャスミンが並ぶ。レイナは夕食を終えグレンが宿に送った後である。

「そうですか…… ディーアさんがエリィさんだったと…… やはり彼女は福音派に捕らわれていたんですね」

 キティル達の報告をクレアは神妙な顔つきで聞きうなずいた。三人はグレン達にエリィをガエロの怒りの断崖の向こう側で見つけた家に居たこと、彼女がキティルやメルダのことを覚えてなかったことを……

「間違いじゃねえんだな?」

 クレアの向かいに座るグレンが横を向きキティル達に尋ねた。

「はい。絶対にエリィでした。ねぇ!? メルダ!」
「えぇ。そうよ。あれはエリィよ。間違いない」

 キティルの問いかけにメルダは力強くうなずく。二人は皆にディーアはエリィだと強く主張したのだ。二人を見てクロースが口を開く。

「エリィさんをよく知っているお二人がこうも言っているのですから、まず間違いはないですわね」
「でしょうね……」
「そうだな」

 クレアはクロースの言葉にうなずきグレンに視線を向けた。彼もうなずいて二人の主張に同意した。

「どうする? すぐに助けに行くか?」

 グレンはすぐに助けに行くか向かいに座るクレアに尋ねた。クレアは少し考え冷静に首を横に振った。

「それは難しいですね…… おそらく今日のことで相手は警戒を強めます。うかつに動くとエリィさんも危険でしょうしね」
「まぁ。そうだな……」

 エリィの周辺の警戒が強まるとクレアは予想し、早急に救出することは難しいと言う。グレンは彼女の言葉に同意する。考え込む二人にメルダさらに口を開く。

「それと…… あいつらの中に魔族がいるわ」
「なに!?」
「確かですか?」

 福音派に彼らが忌み嫌うはずの魔族が驚くグレンとクレアだった。クレアの問いかけにキティルがうなうじた。

「はい! ねえ? ジャスミン」
「間違いないでござるよ…… ディーアと一緒に拙者も見たでござる」

 話を振られたジャスミンはうなずく。グレンとクレアは顔を見合わせ互いに首をかしげる。

「どういうことだろうな? クレア義姉ちゃん」
「さぁ!? 私に聞かれても……」

 困惑した様子のグレンとクレア、話を聞いていたグレゴリウスが手を上げ話を始めた。

「そんなに難しい話でもないと思いますよ」
「グレ!?」

 話を始めたグレゴリウスに皆の視線が集中する。彼は落ち着いた口調で話を始めた。

「敵の敵は味方ってだけじゃないですかね…… 魔族は現生主義派に王を殺された。福音派は現生主義派が邪魔。利害が一致すれば組むことは可能ですよ」
「そうか…… 組む理由はあるのか」
「確かに…… あたし達にとっても少数派とはいえ教会の組織の後ろ盾があるなら動きやすいしね」

 グレゴリウスの言葉に納得したようにうなずくグレン達だった。ただ、クレアだけは納得いっていない様子で難しい顔をしていた。

「でも…… 本当にそんなことだけで…… 魔族と手を結びますかね……」
「クレアさんの言う通りで他にもっと理由はあるかも知れませんね」
「まぁ…… 今それを考えてもしょうがありませんね」

 ほほ笑んだクレアは並んで座るキティルとメルダとジャスミンに顔を向けた。

「三人がエリィさんと接触したことは福音派にバレてないですよね?」
「多分…… 大丈夫だと思います」
「追手は全て片付けたでござる」

 キティルとジャスミンが答えた。メルダは首を横に振り口を開く。

「どうかしら…… エリィがジャスミンの話をしているかも知れないわ」
「えっ!? そんなことエリィがするわけ」
「キティル…… あの子は私達のことわからかかったのよ。悲しいけど…… 今は福音派側の人間とみるべきよ」
「そんな……」

 うつむいて悲し気な表情を浮かべ何も言えなくなるキティルだった。反論をしたいが彼女も自身のことを覚えていないエリィを見ていた。

「じゃあジャスミンの素性を知られたと考えて動いた方がいいな」

 グレンは腕を組み口を開き視線をグレゴリウスに向けた。クロースが彼の言葉に反応し答える。

「そうですわね。わたくし達とジャスミンさんが行動を共にしているのは何度も福音派に見られておりますもの」
「わかりました。明日の営業は少し様子を見た方がいいかも知れませんね」
「はい。わたくしも警戒いたしますわ」

 グレン達はジャスミンと行動しているのを、福音派に見られているため警戒し行動することにした。

「まぁ。ここに来る福音派の奴らはルドルフが締めてるから問題はないけどな」
「ふふふ」

 腕を組んでどこか得意げな顔で話すグレン、向かいに座るクレアが彼を見てほほ笑んだ。

「なっなんだよ!!」
「別にぃ」
「チッ!」

 恥ずかしそうにするグレンにクレアはとぼけた顔をする。グレンは舌打ちをして顔をしかめていた。満足そうに笑ったクレアはジャスミンに顔を向けた。

「ジャスミンさんは明日は何もしないで冒険者ギルドにいてください」
「わかったでござる」

 クレアは福音派に正体がバレたと思われる、ジャスミンに冒険者ギルドにとどまるように伝えた。

「じゃあ…… 次はグレン君ですね…… ガーラム修道院に行ったんですよね?」
「あぁ…… レイナ姉ちゃんと一緒にな」

 首をかしげて問いかけるクレアにグレンは答える。まず彼はガーラム修道院の壁の向こう側にある、ノウレッジと違う喧騒のない静寂の町の様子を伝えた。

「活気のない静かな町ですか……」
「あぁ。おそらく戒律で厳しいんだろうな…… それに……」

 グレンは続けて町の構造について話す。修道院に向かう道や曲がり角にあった建物について話す。

「やはり…… 要塞化しているんですね」
「あぁ。それに……」

 難しい顔でつぶやくクレアにグレンは大きくうなずいた。少し間を開けグレンは話を続ける。

「一番気になるのはツリーローダーへの道だ。距離はあるがかなり整備されて歩きやすい。馬車も通れるし大きな軍隊も展開できそうだな……」

 ツリーローダーとガーラム修道院を結ぶ道に付いてグレンが話をする。

「なるほど…… 祭りを見学したいというのは…… そういうことですか」

 グレンの言葉に聞いて妙に納得した様子でクレアがつぶやく。クレアの様子を見たクロースが彼女に口を開く。

「クレア…… 何か気づいたのですか?」
「福音派の人たちはガーラム修道院に向かわず。何人かツリーローダーに残ってます……」
「内部からツリーローダーを叩くため…… どういうことですわね」

 クロースに向かってクレアは真顔でうなずいた。福音派の一部がツリーローダーに残っているのは内部からツリーローダーを攻撃するためだった。

「あっあの道は…… 我々の援助で作られたござる……」

 声を震わせるジャスミン、彼女の言葉から怒りと悲しみが滲み出ている。ガーラム修道院への道は現生主義派が融和の象徴として提供したのものだ。福音派はその道で融和を踏みにじろうとしていたのだ。

「そんなの騙される方が悪いのよ…… 戦場の鉄則よ」
「メルダ氏……」
「えぇ。メルダさんの言う通りですわ。修道院を建設するだけなら小さな道でも構わないはずですわよ。それを相手の言いなりで提供したのが悪いんですわ」
「うぅ……」

 メルダとクロースの言葉にジャスミンはしょんぼりとしてしまった。グレンは落ち込むジャスミンを見て手を叩きいた。

「俺の報告はこれで終わりだ」
「ありがとうございます」
「それで明日はどうする?」
「とりあえず動くのは危険です。グレゴリウスちゃん達は様子を見ながら屋台の営業をお願いします。私達は冒険者ギルドで大人しくします」

 クレアは皆に指示を与える。警戒するであろう福音派を刺激しないように明日は動かないことになったのだった。グレゴリウスはホッと安堵の表情を浮かべ横に座るオリビアに視線を向けた。

「じゃあこれで終わりだね。帰ろうか。オッちゃん」
「ぐうううううぅぅぅぅぅキュルルルルルーーーーーーーーーー!」
「へっ!?」

 間抜けな音が広場に響き、眉を下げオリビアが腹をさする。

「腹減ったな……」
「はぁ…… 大人すう思ったら…… はああああ! 相変わらずおめさは!!!」

 クロースはあきれた顔で首を横に振りため息をついた。他の皆は苦笑いをしていた。
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