悪役令嬢にならないための指南書

ムササビ

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Lesson.5 物語の終わり

127.彼女の言い分2

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「私は“最期に美しい姿をアレクサンデル様に見せましょう”と、ユニカ様を騙して、少しずつ光の魔力を分け与えていったわ。
そうすれば、永遠にユニカ様と一緒に居られるでしょ?
だけどある日、ユニカ様が睡眠から目覚めなくなってしまって……。
アレクサンデル様が亡くなった後、この屋敷に眠ったままのユニカ様を連れてきたの。
最初はユニカ様を車いすに乗せたりして、ご存命だということを見せていたのだけど、だんだん限界がきて、ユニカ様は亡くなられて、聖女が密葬を執り行ったと嘘をついたの。」

リーリウムの問いに、意外にも素直に話し始めたマリア。
マリアは何百年もの間、眠ったままのユニカと二人きりでこの屋敷で過ごしていたのだ。
もしかすると、ずっと誰かに話しを聞いてもらいたかったのかもしれない。
そこにいる全員がそう感じ、静かにマリアの話に耳を傾けた。

「ユニカ様はあの状態だから、水分しか摂らせてあげられなくて……。
私の魔力とお水、あとは果汁なんかを毎日差し上げていたわ。
私は時々街へ行って買い出しに行ったりもしていたのだけど、神殿の人たちに見つかりそうになることも多くて……。
そんな日々を過ごしていると、私、自分がどんどん老けていっていることに気が付いたの。」

リナがギョッとして顔を上げる。
マリアは聖女として召喚されて以来、年を取らない設定だったのだ。
そんなことが起こるはずがなかった。

「原因はわからない……。
ユニカ様に魔力を送りすぎてしまったからか、聖女らしからぬ行動をとっていたからか……。」

マリアは自嘲気味に話す。

「だけど、私はちょっとホッとしたのよ。
私も年齢を重ねることが出来るんだって。
それに、みんな若い私を探していたから、街にも出やすくなったし。
ただ問題は、ユニカ様に分ける魔力が少なくなっていったことなの……。」

ユニカの生命維持には魔力が不可欠だった。
光の魔力のせいで睡眠状態に陥ったのだが、生命を繋ぎとめるにもまた、魔力が必要だったのだ。

「それで、私考えたの。
光の魔法は私しか使えない。
でも、その他の魔力を持つ者なら、この国にたくさんいたわ。
だから、少しずつ魔力を分けてもらおうってね。
それでまずは、光と親和性の高い火・土・木の魔力を集めはじめたの。
元々ユニカ様は火の魔法使いだったしね。
最初は本当に少しずつだったのよ。
私が他の魔力を扱うのが下手くそだったから、一度に集めすぎると土魔法が暴走して地震を起こしてしまったこともあったわ。」

「この屋敷が崩れた原因は、マリア様だったのか……。」

ヘンリクスがつぶやく。

「そう。この屋敷はその時に壊れてしまったのよね。
もうずぅっと昔の話だけれど……。
その時はすでに地下で生活をしていたから、私たちには何の支障もなかったし、むしろ時々、その当時の王子たちが肝試しがわりに屋敷に入り込んでいたこともあったから、ちょうど良かったとも言えるわねぇ。」

マリアが真剣な顔をするヘンリクスを愛おしそうに見つめる。
ユニカとアレクサンデルの子孫であるヘンリクスから、二人の面影を探しているようにも思える、慈愛に満ちた表情で。
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