Salvation_過去編

世界

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『孤独』-空虚の世界

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ワタシは世界の誇る大四神の最後の一人
調和を司る神としてこの世に生み落とされた。

けれど世界は、どこまでもワタシを拒絶する。

元は、世界の均衡を保つ大三神、神樹、天神、創造神が、
世界が豊かになるに比例して懸念するべき点が増えた為に、
全てを調和する強い神力を持った神様を望んだことがキッカケだった。

ワタシは、望まれて生まれてきたはずだった。

この世に生まれたその日、瞼を開いた瞬間まずは硬い石を投げつけられた。
そして鈍器のような重たいもの、ガラスの破片や紛れもない刃物すら無数に飛んできた。

皆が声を揃えてこう怒鳴る。

「そいつは赤い目だ!災厄の再来だ!」

生まれて数秒の、右も左も分からない、
自分が何者なのかすら理解していない赤子同然のワタシに、
痛い痛いと無抵抗で泣き喚くワタシに、
さも当たり前のように、まるでそれが正しい事かのように、誰もが暴力を絶え間なく与え続けた。
ようやく手を下ろした民衆は、全身が痛々しい傷や痣で覆われ、呼吸も浅く、
冷たい地面に横たわったまま小指すら動かせないワタシを横目で見下しては、
ゾロゾロとその場から立ち去って行く。

自分の血液でできた池の中心に溺れるワタシは悟った。
この世界に、ワタシの味方はいない。

恐怖、動揺、怒り、殺気、そんな感情が、悪意に満ちた目線が、ワタシに注がれていた。
思い出すだけで怖くて震えが止まらない。
ふと、静まり返った暗闇の向こう側、明るい街灯に照らされる住宅街の方から、
楽しげな声が聞こえてしまう。それは、幸せな家族の一家団欒。
愛しい我が子の誕生日を祝福する盛大な宴
耳を塞ぎたくても体が動かない。
優しげな母親の声が、妙に鮮明に聞こえた。

「生まれてくれてありがとう」

途端に涙が溢れ出てくる。
なんて惨めなんだろう、あの子供が羨ましい。
ワタシは誰にも、生まれたことを祝福されなかった。
いっそ死ぬことを望まれたのだろう。

ワタシはどうして生まれたの?
今はただ、その答えだけが欲しかった。
真っ暗闇の中で月だけがワタシを照らす。
どうしようもなく虚しい。
暗い、寒い、怖い、寂しい、孤独だ。
誰にも必要とされないのなら、このまま消えてしまいたい。
ワタシは瞳をゆっくりと閉じた。
もう何も聞こえないように、これ以上自分が惨めにならないように、
意識を手放すことだけに集中する。

「大丈夫?ルナ」

ふいに頭上から声が降ってきた。
先程まで浴びていた罵詈雑言とは明確に違う、優しくて、柔らかな女性の声だ。
そしてその声が呼びかけたのは、確かにワタシの名前、ルナだった。
驚きのあまり動かないはずの身体を咄嗟に無理矢理動かしたせいで、
苦痛に悶える情けない声を聞かれてしまう本当に消えたくなった。
けれど女性は、ふふ、と小さく笑みを零す。

「可哀想に、けれど思っていたより元気そうで良かった。大丈夫よ、すぐに痛みは治るわ」
そう言って女性はその場に座り込む。ワタシと目を合わせるために。
視界に入ったその人物は、色白で、触れると消えてしまいそうなほど儚くて、
とても美しかった。
彼女の吸い込まれるような透明な瞳に目を奪われている間に、全身の痛みはすっかり消えていて、
その様子を悟った彼女はワタシに手を差し伸べる。
「迎えに来るのが遅くなってごめんなさいね、立てるかしら?」
自然とその手を取り、支えを受けながらゆっくりと立ち上がる。
「あ、ありがとうございます…」
「いいのよ。私は御伽噺、あなたの母親のような存在と言えば伝わるかしら」
生まれたばかりでまだ理解していない事は多いけれど、その名前は脳に刻まれている。
御伽噺、彼女はこの世界の大四神の頂点、創造神だ。
ワタシは慌てて膝をつき頭を下げる。
まだ礼儀などはきちんと弁えていない、けれど咄嗟にそうしなければと思ったんだ。
だって、ワタシはこの人に、嫌われたくない。
優しく声をかけてくれたこの人にまで、民衆のような、あんな目で見られたら…
想像するだけで、また震えが止まらなくなる。
そんな事をぐるぐる考えていると、急に両頬を細い指でがっしりと掴まれ
無理矢理に顔を上げさせられる。
すると鼻と鼻がぶつかりそうなほど目の前に、御伽噺様の顔があって
ワタシはフリーズする。

「やっぱり、あなたの目はとっても綺麗な赤色ね。私はこの色が大好きなのよ。」
その言葉に、喉が詰まった。
何か口に出さなければ失礼だと思うのに、どうしても声が出ない。

綺麗だと言われた真っ赤な目からまた涙が溢れ出して、
訳もわからないまま、その場に崩れ落ちた。
あたたかい手がワタシの頭を優しく撫でる。
反動だろうか、真っ白なはずの彼女は、何よりも色鮮やかに見える。
ひたすら泣き続けるワタシを、御伽噺様はそっと抱きしめてこう言うのだ

「私はあなたが生まれてきてくれるのを心待ちにしていたのよ。
ルナ、あなたは私のために生きてくれる?」

不思議なほどに、御伽噺様はワタシが欲しい言葉を全て的確にくださる。
ワタシは考えるより先に大きく何度も頷いていた。
「そう、あなたは良い子なのね、愛しているわ、私の可愛いルナ。」

それから、ワタシは御伽噺様のためだけに生きるようになった。
ワタシの居場所はそこしか無いから、もはや他のものなんてどうでもいい。
ワタシにとって、生きる理由がある、と言う事は
何よりも重要で幸せなことなのだ。



「あら、そんなところに隠れていたのね」
神像の影に隠れて座り込むワタシを見て、御伽噺様は面白そうに言う。
「またみんながルナをいじめたの?」
ワタシはこくりと小さく頷く。
あれからワタシに向けられる悪意の目や罵詈雑言の嵐は止むことなく続いている。
「御伽噺様、あまりワタシに近付くのはお辞めください。
ワタシのせいで、御伽噺様まであの悪意に晒されたらと思うと、ワタシは…」
体が凍り付いたように冷えて、ぶるぶると震えだす。

いつも民衆の目から逃れようと隠れるワタシを、必ず見つけ出してくださる御伽噺様
あなただけは、ワタシのような目には遭ってほしくない。
「あらあら、ルナってば本当に良い子ね、そんな心配は要らないわ。
この世界で私に逆らえる存在なんて、神族にだっていないもの。」

どこか含みのある声色で御伽噺様はそう仰り、ワタシの髪を掬う。愛おしそうに。
けれどその目の映るのはワタシでは無い。
彼女の瞳が何を捉えているのやら、ワタシには到底理解が及ばないのだ。

「けれどそうね、可能性を挙げるとするならルナ、あなたくらいだわ。
私に匹敵する、いいえ、それ以上の力を持つ神様は」
「そんな…、ワタシなど御伽噺様の足元にも及びません…」
「ふふ、全てを調和する為の力を持って生まれた世界の大四神様の一人が
随分と面白いことを言うのね。」
彼女は小さく笑い、その時ようやくワタシを見た。
確かにワタシには世界随一を誇る神力が宿っている。
それはつまるところ、ワタシはこの世界で最も強いと言うこと。
けれどそんなことは自分を誇れる自信にはなり得ない。
調和神と言う役割を持って生まれたワタシは、未だ自分の使命を理解していないのだから。
神樹は世界を支え、天神は恵を与え、御伽噺様は命を生み出す。
それなら、ワタシの調和と言う役割は?
世界最強を謳っても過言ではない神力を持ってして自己肯定感が著しく低いワタシを
御伽噺様は興味深い目で見ている。
ワタシはなんとなく分かっていた
御伽噺様は、予測できない、自分の想像通りに動かないものが
面白い存在がお好きなのだ。
もしもワタシが、彼女にとって面白くない存在になってしまったら…?
考えただけで背筋が凍る。生きた心地がしない。
肩を小刻みに震わせるワタシを眺めながら、御伽噺様はそれを口にする。
「ねえルナ、あなたに最初の仕事をあげるわ。」
ワタシは目を見開いた。
御伽噺様、あなたはいつでもワタシの心を見透かしているようだ。
恐る恐る耳を傾けて、彼女の言葉を待つ。
満面の笑顔を浮かべた愛する人から放たれた言葉は

「ルナの神力を、神樹に分け与えて欲しいの」


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原初の世界から長年に渡り大地を支え続けた神樹は、
すでにその神力を失いかけているらしい。つまりは老衰だ。
けえど神樹の存在がなくなれば、この世界全体の均衡が大きく崩れてしまう。
曰く、神樹は世界に必要不可欠なのだ。
だから、強い神力を持って生まれたワタシに、その神力を分け与えて欲しいと
それが調和の役割だと、御伽噺様は言った。

ワタシは全てを理解したような気になった。

こんな強い神力を持って生まれたのは
調和と言う役目そのものが、他の必要な存在に神力を譲渡するための器だったから。
世界に忌み嫌われる赤い瞳で生まれたのは
この強大な神力を己の為に使う尊大な人格を生み出さないため、
あえて、卑屈で自己肯定感が低く扱いやすい性格に育てるため。

そう言うことなのですね、御伽噺
結局ワタシは、生まれた瞬間からあなたの手のひらの上だった。
きっとあなたの予想通り動くつまらない存在だった。
ワタシはもともと、誰かの代わりになるために生まれてきたのだ。

この際もう、それでいい。
どんな感情、どんな興味、偽りだっていい。
あなたがワタシをコントロールしようとしてくれた
ただそれだけで、ワタシは全てを納得することにしよう。

例え、あの日ワタシが背負った痛みも傷も恐怖も、忘れられない記憶も
誰かに縋り付かないと生きられない、消えたいと願ってしまうこんなワタシも、こんな運命も
全てを創り出したのが、あなただとしても
ワタシはあなたの「愛してる」と言う言葉に救われてしまった
あなたが口にする全てが偽りでも、ワタシを都合良く扱うための耳障りの良い言葉だったとしても、
ワタシにはもう、あなたにしがみついて生きることしかできない。
だって、愛を偽ってくれる存在すら、彼女の他にはいないのだから。

これからワタシは御伽噺様の望む通りに生きる。


「惨めな人生だな」

心を落ち着かせるために無心で歩いていたワタシは、ふいに不躾な言葉を投げかけられる。
気付くと周りは木々で囲まれた深い森の中だった。
周囲に人影は無かったが、その強大な気配で、ワタシはそれが誰なのかを理解した。
「神樹…」
目の前に聳え立つ大木を睨みつけた。
彼は少々不機嫌そうな声色で返事をする。
「なんだその態度は?あの女狐と居る時とはえらい違いだな。
流石は支配を受け入れたマリオネット。従順なのは主人にだけか?」
癪に触る言葉をつらつらと並べられ、ワタシの中に感じたことのない感情が湧き上がる。
初めて感じるこれは、恐らく『怒り』だ。
「女狐とはまさか、御伽噺様のことか」
「そう殺気をたてるな。お前はあの化物の本質を何も知らぬのだろう、愚か者め。」
「ふざけるな!ワタシは知っている。
あの方がワタシを生み出した理由も、都合よく利用されていることも全て!
それでもいいんだ、ワタシはワタシの意思であの方を愛しているんだ!」
「いいや、お前は何もわかっていない。
基、お前が言うお前の意思など、存在しないのだ。」

頭が真っ白になった。体が、血が、熱くなる。
ふつふつと湧き上がるそれはついに沸騰を超え溢れ出した。
お前に何が分かると言うんだ。
こいつはワタシの全てを否定したのだ。
ワタシが御伽噺様を愛していること、それすらも否定したのだ。

「うるさい」

瞬く間に木々は燃え盛り、森全体が真っ赤に染まる。
この神樹の森は、神樹の命そのもの。
ワタシはこのとき間違いなく、こいつを殺す気でいただろう。
何かに殺意を抱くのは生まれて初めてだった。

誰が、こんな奴にワタシの神力をくれてやるか!
御伽噺様を侮辱したうえ、ワタシの唯一無二の、大切な感情すら否定するような奴に!

気付いた頃にはもう遅い、そうしてワタシは己の力を行使していた。
「やめろ!話を聞け!」
そう訴える神樹の声も、その時のワタシには聞こえていなかっただろう。
燃え盛る森の片隅に、小さな子供が三人見えた気がした。
ワタシはひたすら燃やし、破壊を続ける。
怒りとは、こんなに危険な感情なんだ。それは感情の昂りに連動するようで、止まることができない。

「やめなさいルナ」

気持ち悪いほど鮮明に、耳にスッと入り込んでくるその声に
先程まで暴走していた感情がプツッと途切れる音がした。
そしてワタシは、なぜか震え出した。
いいや、理解している。彼女のその声色は、今までの優しいものではなかったのだ。
自分の意思に関係なく、頭で考える前に項垂れたまま膝をつく。顔を上げることができない。
軽い足音は目の前で止まった。

「ルナ、最期まで良い子でいてくれると期待していたのだけれど
残念ね、あなたにはガッカリだわ。」

血の気が引いていく。寒い、寒い、寒い
御伽噺様の冷たい声が脳に響く。震えが止まらない。

「神樹の森をこんなにしてしまうだなんて…

ねえルナ、一体どうするの?
もちろん、あなたの全てで償ってくれるのよね?」

その言葉と共に、彼女はワタシの両頬を細い手で強く掴み、無理矢理に顔を上げさせる。

鼻と鼻がぶつかりそうなほど近い距離で、彼女の目にはワタシが写っていた。
冷たい手、冷たい声、冷たい目…
生まれた日に見た民衆と同じ、軽蔑の感情が注がれる。
あの時のあたたかさはもうどこにも無い。

冷静になれば、当然の報いだと思った。
ワタシはあなたを愛していると言いながら、あなたの望む通りに動くことができなかった。
もはや使命に反して、世界の崩壊を招くような愚行をしてしまったのだから。

御伽噺様は告げる。

「神樹の森を修復する為、そして神樹に神力を譲渡する為、あなたの力を全て没収します。」

その瞬間、ワタシは黒いモヤのようなものに囲まれ
それは恐ろしい程の勢いでワタシを覆い包んでいく。
とても怖かった。先に見えたのは深い暗闇。
寒い、怖い、嫌だ、嫌だ!
言葉通りに神力を全て奪われたワタシに、抵抗する術は残されていない。

それでも必死に手を伸ばした。
在りもしない一縷の希望に賭けて、叫んだ。

「御伽噺様…ワタシはあなたを愛しています!」



手を差し伸べてくれることを期待したわけじゃない。
助けてくれると思ったわけでもない。
ワタシはただ、これで最後でも構わないから、彼女がくれる、
都合が良くて、耳障りのいい、優しい偽りの言葉を、
ワタシの望む言葉を、もう一度だけ聞きたかったんだ。



「もういいわルナ、あなたはもう要らないの」





そこは永遠に続く暗闇だった。

手をピンと伸ばして歩き続けてみても、何かに触れることすらできない。
世界の果てすら存在しなかった。
大声で、喉が枯れるまで叫んでみても、その声は惨めに暗闇に吸い込まれて消えていく。
いいや、喉が枯れた痛みすら感じることを許されなかった。
自分の姿すら視認できない暗闇。
もはやここに自分が存在しているかすらわからない。

何も聞こえない
何も感じない
何も存在しない
紛れも無い空虚な世界


ワタシはそんな世界に幽閉された。

自業自得だと分かってはいるけれど、
生まれてまだ日の浅いワタシに、初めて感じる怒りをコントロールできなかったことは、
仕方がないことじゃないか、と独りで勝手に言い訳をしていた。

けれど、そんなことを考える余裕があったのも最初だけだ。
ワタシは寿命の存在しない神様
この意識ある限り、真の意味で永遠に、この暗闇で生き続けなければならない。

永遠に終わらない孤独

気が狂いそうだった。
いや、次第に狂っていった。

時間もわからない世界で、ただひたすらに叫び続けた。
痛みを感じることすらできないから、
惨めに、痛々しいほど情けない悲鳴を喚き散らした。
顔や頭を血肉が飛び出すほど掻きむしっても何も感じられない。

ワタシは一体何年の時を、そうやって過ごしたのだろうか。
ワタシは次に、眠ることを覚えた。
考えることをやめたくて、必死に意識を手放した。
それでも幾度と無く悪夢を見ては目を覚まして、
終わることのない悪夢のような暗闇に再び呼び戻される。

くるしい

ワタシはそんなに、悪い子だっただろうか。


後悔したところでもう遅い。
けれど、例えあの時、自分の感情をコントロールできたとして
この世界の外にだって、ワタシの居場所はどこにも無かった。

ワタシは生まれてからずっと、孤独なままだ。

自分が今どんな状態になっているのかすら分からなくなってきて、
ただ、瞳からずっと、涙が溢れていることだけはわかる。

独りぼっちは嫌だ

怖い、苦しい、寒い、寂しい…

ワタシはどうして、生きてるの
ずっと、孤独なまま生かされているの?
消えてしまえた方が楽だったのに
御伽噺様は、そんなにワタシを苦しめたいのか


どうして、どうしてどうしてどうして


この世界には命の数だけ『罪』が存在する。

ワタシに課せられた罪は、あまりに重くて、
背負う覚悟すらさせてくれなかったのに、何も教えてくれなかったのに、
それを永遠に抱えたままこんな暗闇で、孤独に、生きるなんて、
到底耐えられる訳がなくて

それでもワタシは、この世界の全てに、
首を垂れて謝らなければならないんだ。






「生まれてきてごめんなさい」






目が眩んだ。

突然、世界に一筋の光が差し込んだ。

あまりに信じ難い光景だったが、ワタシの目は暗闇に慣れすぎていて
光から咄嗟に目を逸らしてしまう。

ふと、ズルズルと、何かを引きずるような鈍い音が近付いてくるのに気付いた。
この世界で初めて聞いた、何かの音
咄嗟に振り返ると、光の中から、小さな人影がこちらに向かって歩いてくる。
ゆっくりと、遅過ぎるほどゆっくりと、足を引き摺りながら。
長く伸びたボサボサの髪の毛、ボロボロに汚れた布切れのような薄い服
裸足のまま、キョロキョロと辺りを見回しながら向かってくるその子供は
ワタシの存在を視認してから、少しだけ急足になったような気がする。

ようやく目が慣れてきて
その子供の姿をしっかり見れるようになってから、ワタシは息が詰まった。

子供の体は傷や痣だらけで、まだ真新しい傷からは血が流れていた。
そして痩せ細った枝のような体躯、
足を引きずっているのは、骨が折れているからなのか、上手く動かせないからだ。
ワタシは気付けばその子供に駆け寄っていた。
驚いた子供がよろけて倒れかけるのを、焦って抱き支える。
随分と久しぶりに触れた誰かの体温。
その体は、確かにあたたかかった。

「いたい…?」

ふいに、か細い声と共に、頬にぬくもりを感じる。
子供は、ワタシが自分で掻きむしった傷を見て、心配しているらしい。
痛みなんて感じないけれど、感じないはずなのに、なぜか、心臓が痛くなる。
どうしようなく痛くて、目が、鼻が、体が、どんどん熱くなって
目から大粒の涙がボロボロと溢れ出てきた。

「あ、わ…、えっと」

子供は驚いて慌てている。
あたたかい体温が、優しい声が、そして、この子供の痛々しい体が
ワタシの心をどうしようもなく掻き乱す。
なんで泣いてるのかも分からないまま涙が止まらない。
すると途端に、ワタシの全身が温もりに包まれた。

「よ、よしよし…!だいじょーぶ、だいじょーぶ」

ワタシよりもずっと小さな、傷だらけの体で、
子供はワタシを精一杯の弱々しい力で抱きしめて、ぎこちなく必死に頭を撫でた。

ワタシは大声でみっともなく泣き喚いていた。
小さな体にしがみついて、本当に情けない。
それでも子供は、ぎゅうっと抱きしめる腕の力を強める。
その痩せ細った腕から、骨の軋むような音がした。
ああ、本当の優しさとは、こんなに違うものなんだ。
御伽噺様が与えてくれた偽りの優しさと、この子がくれる
不器用でも本物の優しさは、あたたかさが全く違う。

「ここ、くらいね…、こわかったよね…」
「ああ、怖かった…。すごく怖かった…」
「ぼくもずっとまっくらなところのいるの。おんなじだね。」

子供はそう言うと、ワタシの目を真っ直ぐ見つめた。
ワタシは驚愕する。その子の瞳は、まるで宝石のように美しい青色だった。
薄汚れたボロボロの体のせいか、その瞳だけが異様の輝いて見える。
怖いくらいに美しい惹きつけられる青い瞳
この子は愛されるために生まれたと言わざるおえない容姿をしているのに
どうして、こんな…

「おなまえは?」
「……え?」
「おなまえを、おしえてください」
子供は突然、少し控えめに、けれど真剣な眼差しでワタシを見つめる。
その美しい瞳に逆らえる者なんて、そうは居ないだろうに。
「ワタシは、ルナ」
名前を聞いた途端、子供はぱぁっと顔を明るく輝かせる。
ワタシと目を合わせて、会話をして、こんなに嬉しそうなのは、この子くらいだ。
なんて眩しい子なんだろう…
そんなことを考えていたワタシに、子供は笑顔で、少し恥ずかしそうに言う
「るな!あ、あのね、おねがい、があります」
ワタシはつい身構えてしまった。
『お願い』…それには良い記憶がない。
恐る恐る耳を傾けて、子供の言葉を震えながら待つ。
けれど、放たれた言葉は、全く予想していないもので
ワタシの心を、救ってしまった。


「ぼくと、おともだちになってください!」








「こんばんは、るな!」

あれから、あの子は度々この世界を訪れるようになった。
あの子が言うには、夜眠ると、いつの間にかこの世界に居るらしい。
だからきっと、あの子にとってワタシとの出来事は
全て夢のようなものだろう。

それでも、あの子が毎日、ワタシに笑顔で会いに来てくれることが
幸せで幸せで、仕方がなかった。

「おかえり、ライト」

あの子の名前はライトと言うらしい。
『現界』と言う、御伽噺様が神界から派生して創造した世界に住まう人間の男の子だ。
ライトもワタシと同じで、ずっと真っ暗で誰も味方の居ない部屋に幽閉されていると言う。
だから、ワタシはこの世界をこの子の居場所にするために、毎日「おかえり」と言うのだ。

「お前、また傷が増えてるじゃないか」
「えへへ、きょうはおとおさんきてくれたから」
ライトは毎日痛々しい傷を作ってくる。
それはどうやら、親につけられるものらしい。
いわゆる虐待と言うものだ。
毎日、散々酷い暴力を与えられていると言うのに、この子はいつも笑っている。
「痛くないのか…?」
「え?ううん!とってもいたいよ!」


ワタシはいつも理解ができなかった。
なんで笑っていられる?この子が受けているのはきっと
ワタシが生まれた日に受けた所業と変わらない
それなのに、どうしてそんな幸せそうに笑っていられるんだ
「怖くないのか?嫌じゃないのか?」
ワタシは凄く怖かった、苦しかった、痛かった。
嫌だった、死ぬかと思ったし、いっそ死にたいとさえ思った。
それと、一体何が違うんだろうか
「なんで?だって、こんなにいたいのは、
おとおさんとおかあさんが、ぼくをあいしてくれてるから、なんでしょ?」
「………は?」
「おかあさんがいってたの。いたいのはあいされてるあかしなんだって」
あの時のような感覚。
怒りが腹の底から込み上げてきた。
この子の両親は、この子が逃げ出さないようになのか、
都合のいい解釈をするように、洗脳をしているのか。
こんなに、酷い暴力を与え続けておいて
こんなに痛めつけておいて、愛しているだと?
この子はそれを信じきっている。
痛みを与えられることが『愛』なんだと。
だからこんなに、幸せそうに笑えるのか……

「…ねえ、そうなんだよね?」

ライトの目は小さく揺れていた。
笑顔のまま、けれど、それはどこか…


ああ、そうか。

そんな世迷言を信じているわけではない。
この子は両親を信じたいんだ。
この子が両親を愛しているから
真実から目を背けて、都合のいい言葉を鵜呑みにしているように振る舞っている。
この子はちゃんと分かっている。
気付いていないフリをしているだけ。
本当は愛されていないことを、自覚しないため
自分の心を、守るために。

ライトは本当に、ワタシに似ている。

ワタシは言葉を詰まらせた。
お前が求めている答えはどっちなんだ
それを必死に考えた。
そのうえで、ワタシは頷いて、こう答える。

「お前のお母さんが言うなら、きっとそうなんだろうね」

ワタシにはできなかった。
この子に、残酷な真実を突きつけることなんて。
まして、それを他人から言われてしまえば、認めざるおえない。
今まで心を守ってきた全ての認識を、否定されてしまうことになる。
そうなった時の怒りを、絶望を、ワタシはよく知っている。
ライトはワタシに「そうなんだよね?」と問うてきた。
もしかしたら、お前は、真実を求めていたのかもしれない。
それでも、もしその真実を知って、お前が、変わってしまうのが
消えてしまうのが怖くてたまらなかったんだ。

ライトは少しだけ、笑顔を綻ばせた気がした。
けれど、またすぐに眩しい笑顔を見せて
ほっと息を吐いた。

「そうだよね!」

その言葉に胸が痛くなった。
ごめん、ごめんねライト。


それからも、ライトは新しい傷を作りながら、毎日ワタシに会いに来た。
色んな話をして、ずっと一緒に居た。
外の世界を知らないワタシたちは、空想の話ばかりしていたけれど
それはそれで面白かった。
何より、ライトが笑ってくれるから、ただそれだけで良い。
独りぼっちの二人で肩を寄せ合い、傷を舐め合いながら
惨めに、二人だけの世界で生きていた。
ワタシが「おかえり」と言うと、ライトは「ただいま」と言うようになった。
この世界は、ワタシは、あの子の居場所になれたんだ。
そう思うと、すごく嬉しかった。

今日も、ライトが来る夜を待っていた。

けれど



いつまで経っても、ライトは世界に来ない。

どうして…?

何かあったに違いない。まさか、親に殺されたのか?
酷い怪我を負わされた?骨を折られて全く動けないのかもしれない。

どうしよう、もうライトはここに来られないのか?
嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ、寒い、寂しい、寂しい
ライト、ライト、ライトライトライトライトライトライトライトライト


はやくここに来て
またいつものように笑顔で名前を呼んで
居なくならないで、会いたい、会いたい。

ワタシはいつの間にか、また、どうしようもなく愛してしまっていたのだ。
縋りついて、あの子はいないよ生きられなくなってしまったのだ。
それなのに、一体誰が、ワタシのライトを奪ったんだ…!


「あ、るな!」

また狂いそうになっていた時、ライトの声が聞こえた
勢いよく振り向くと、そこにはちゃんと彼が居た。
「ライト!無事で良かった…!」
「ごめんね、なんでかな、ねむってもこられなくて」
ライトは申し訳無さそうにそう言う。
ワタシは首を振って、急いでライトに駆け寄る。
身体中にできた新しい傷跡を確認して
「何があったんだ?何をされた?大丈夫なのか?」
詰問を受けて驚くライトは、穏やかな笑顔で「だいじょうぶだよ」と言う。
なんとなくライトの雰囲気が、いつもと変わって見える気がした。
絶対に何かがあったんだ。
ワタシは焦った。次はもう二度とここに来られなくなるかもしれない。
怖い、ライトを失うことが怖くて仕方がない。
そんな恐怖に耐えきれず、ワタシは強い口調で衝動的にそれを伝える


「ライト、ずっとここで二人で生きよう」


目の前の愛する人は、その美しい瞳を丸く見開いて、驚いた様子だった。
そうして何やら考え込むような顔をして
ライトはまた、穏やかに笑った。



「…ごめんね、ぼく、ずっとここにはいられない」




頭が真っ白になった。










「あのね、だいすきなおねえちゃんができたんだ。
ぼく、おねえちゃんをひとりにできないから。ごめんね。」









気付くと、ワタシは、

ライトの首を絞めていた。
愛する人は苦しみ悶えながら必死に抵抗している。
ワタシは、この子を殺そうとしているのか。

ライトは、嬉しそうに語っていた。
それは本物の笑顔だった。
ワタシに見せていた偽りの笑顔では無かった。
ワタシは勝手に、ライトの居場所になれたような気がしていた
けれどその実、ライトがワタシの居場所であろうとしてくれていたのだ。
あの子はずっとワタシに優しかった。
ワタシに同情していたから。

あの言葉にあと、ライトは
「でも、またあいにくるから、たくさんおもしろいはなし、しようね」
そう言ってワタシに背を向けた。

ワタシは、怖かったのだ。
その後ろ姿を御伽噺様に重ねてしまって
また、愛する人に裏切られると思い込んでしまった。
お前は、ライトはそんな子じゃない
ワタシを独りにする気は本当に無かっただろう。
けれど、そもそもこの世界とあの子の夢が繋がったのはきっと

ワタシとあの子の『孤独』が同調したからだ。

あの子がこの世界に来れなくなったのは
『お姉ちゃん』と言う存在に出会って、孤独ではなくなったから。

だから、どんなにあの子がワタシに同情したところで
ライトはもう二度と、この世界には来ない。

ワタシは置いていかれる。
また、この暗闇で永遠に独りぼっちになってしまう。

ねえ、どうして

お姉ちゃんは独りにできないのに、ワタシは独りになってもいいの?
どうしてワタシを置いていくの?
もう独りぼっちになりたくない
嫌だ、独りぼっちは怖い、苦しい、寒い、寂しい
お前だけはワタシの気持ちをわかってくれると思ってたのに
同情してくれるなら、ずっとここに居てよ…!
羨ましい
お前には結局、愛してくれる人が居たんじゃないか
ワタシには、お前しかいないのに
ワタシの方が、誰よりも絶対に!

なんでなんでなんで

ワタシはこんなにも、こんなにも……!


「ライトを愛しているのに!」


ワタシは愛する人の首をギリギリと強く締め付け
ボロボロと涙を流しながら、大声で叫んでいた。

「る、な…」

それは、細い首の骨が折れる寸前だったと思う。
ワタシはライトの顔を見て、咄嗟にその手を離した。


「    」


横たわったままゲホゲホと咳き込み、死にかけている彼を眺めてから
ワタシは無心で、彼に近付いて
その美しい青い瞳をくり抜いた。

「あ"あああああああああ⁉︎」

悲痛に叫びながらバタバタと悶えるライトの
血塗れで空洞になった窪みに、
自ら抉り抜いた赤い瞳をはめ込む。

ごめんなさい。

ごめんなさい、ライト。

ワタシなんかがお前を、愛してしまって。

でも仕方が無いじゃないか
どうしようもなく愛してしまったんだから。
私は元々そう言う性分なんだ、だって
愛さないで、と言われて、はい分かりました
なんて聞き分けよく諦められる『良い子』なら
ワタシはこんなことになっていないのだから。








あの子は世界から消えていて
残されたワタシの中には何故か、強い神力が宿っていた。
そのせいか空虚な世界は崩壊してしまい、
ワタシは外の世界にいつでも出られるようになった。


ワタシは、まず神樹を殺した。


何故か以前よりも強い神力を扱えるようになっていたワタシは
御伽噺様をも圧倒してしまい
ワタシは復讐と称して、新しく創り出した空虚の世界に彼女を幽閉した。
そのとき、彼女は笑っていたのだ。
ああ…そうだった
あの方は、予測のつかないことや、自分の思い通りに動かない者がお好きなんだった。
お気に召しただろうか、ワタシの復讐は。

御伽噺様が持っていた『創造の書』を奪い取り
ワタシは世界の仕組みを知った。

結局は、この世界の生命の全てが、御伽噺様の玩具であり
手のひらで踊らされるマリオネットだったのだ。
そう言えば、彼女を幽閉する瞬間、その瞳が赤く見えた気がした。

ワタシはその書物から、ライトのこと、それから、
今後ライトと関わりを持つ存在を調べた。

未だにワタシは、彼のことを愛している。

けれど彼は、これから先、たくさんの出会いがあり、たくさんの愛情を受ける。
いつしかワタシのことも、
古傷のように記憶から錆びれて、忘れ去られてしまうだろう。
本には、そうなるように記されているから。

それがどうしても許せなかった。

ワタシは『悪い子』だ。
もう良い子のふりをして耐え続けるのはやめよう。
あの子を手に入れたい。
ワタシには、あの子しかいないんだ。

いっそ、失望させて欲しかった。

首を絞めて殺そうとしたあのとき
ライトはワタシを見つめて泣いていた。
軽蔑も、恐怖も、感じなかった。
あの民衆や御伽噺様、他の有象無象と同じように
ワタシを冷たい目で見ることは最後の最後までしなかった。

ライトはワタシが泣いているのを見て、
苦しみに悶えながら、掠れた細い声で言ったんだ


「ごめんね」


いっそ嫌ってくれたら良かったのに
軽蔑して、拒絶して、ワタシを恐怖の対象にして
ああ、結局お前もアイツらと同じなのか、と失望させてくれたら
ワタシはお前を諦められたかもしれないのに。
どうしても、ワタシの中から消えてくれないんだ。


ごめんなさい、愛してしまって。

お前の幸せを祝福してあげられない
喜んであげられない、悪い子で

それでもワタシは、お前を愛している
愛する気持ちを止めることはできない。
それがないと、生きられないから。


ワタシは、これから
御伽噺様から奪い取った『創造の書』と、取り戻した神力を駆使して
愛する人を手に入れるために、罪を重ねる。
そうやって、愛する人を何度も傷付けるのだ。


ああ、ごめんなさい

愛してしまってごめんなさい

生まれてしまってごめんなさい

だから、だからどうか、その手で………


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