終焉の教室

シロタカズキ

文字の大きさ
23 / 36

奈落の橋 〜揺れる命の綱〜

しおりを挟む
「奈落の橋」に足を踏み入れたのは――

千堂 悠馬(せんどう ゆうま)
柊 八千瑠(ひいらぎ やちる)
鷹宮 迅(たかみや じん)
 3人は、それぞれ別のルートから橋の前に到着し、顔を見合わせた。

 「……まじかよ、かぶっちまったか」

 千堂 悠馬が息を吐く。

 「3人でここに来たってことは、誰かが脱落するってことだよね~」

 柊 八千瑠が、場違いなほど無邪気に笑う。

 「この状況で、笑っていられるのか……?」

 鷹宮 迅が冷たい視線を投げる。

 目の前には、細長い一本橋が架かっていた。

 それは長さ20メートルほどの鉄製の橋で、中央部分には無数の小さな穴が開いていた。

 その下は、深い闇に包まれている。

 落ちれば確実に死ぬ。

 モニターが起動し、新たな指示が表示された。

『奈落の橋 ~バランスの試練~』
最大3人まで挑戦可能。
3人は一本橋を渡り、対岸にたどり着くことを目指す。
橋の中央部には「落とし穴ゾーン」が存在し、体重や振動によって床が抜ける可能性がある。
誰かが落下すれば、残りの者はそのまま進むことができる。
全員が生き残ることはできない。
 「……なるほど、体重や振動で床が抜けるってことか」

 千堂 悠馬が険しい表情を浮かべる。

 「ってことは、誰かが犠牲になれば、他の二人は安全に渡れるってことだね~」

 柊 八千瑠は、楽しげに足を軽く踏みならす。

 「軽く見てると死ぬぞ」

 鷹宮 迅が睨みつけた。

 「誰かが落ちるなら、お前が先だろうな」

 「え~、そんなこと言って、迅くんのほうが落ちちゃうかもよ?」

 柊 八千瑠は、ニヤニヤと笑ったまま橋に足をかけた。

 「まぁ、やるしかないか……」

 千堂 悠馬がため息をつき、続いた。

 最後に、鷹宮 迅が慎重に足を乗せた。


 カン……カン……

 3人は、一歩ずつ慎重に橋を進んでいく。

 「……思ったより、安定してるな」

 千堂 悠馬が呟く。

 「うんうん、意外と大丈夫そ~……」

 柊 八千瑠が、気楽そうに歩く。

 ギギギ……

 突然、橋の中央部分で軋む音が響いた。

 「っ!!?」

 千堂 悠馬が立ち止まる。

 「ここが“落とし穴ゾーン”ってやつか……」

 鷹宮 迅が足元を見つめる。

 彼らの目の前には、薄い鉄板が敷かれた部分があった。

 「どっちにしろ、進まないとどうしようもないな……」

 千堂 悠馬が覚悟を決めて、一歩踏み出した――

 カチッ。

 「っ!?」

 ガコンッ!!!

 橋の一部が突然外れ、彼の足元が崩れ落ちる――

 「くそっ……!!」

 千堂 悠馬は、咄嗟に橋の縁に手をかけ、なんとか落下を免れた。

 「悠馬!!」

 柊 八千瑠が駆け寄る。

 「ちっ……助けがいるのか?」

 鷹宮 迅も躊躇しながら手を伸ばした。

 だが――

 その時。

 「やっば~い、今のうちに行っちゃおうっと♪」

 柊 八千瑠が千堂 悠馬の手を蹴り落とした。

 「――っ!!?」

 「てめえ……!!」

 千堂 悠馬が驚愕の表情を浮かべる。

 ズルッ!!!

 彼の手が外れ、闇の奈落へと落ちていった。

 「うわああああああ!!!!」

 ドサッ。

 千堂 悠馬の絶叫が、深い闇の中で消えた。

 『千堂 悠馬、退場。』

 「……お前、やったな……」

 鷹宮 迅が、静かに柊 八千瑠を睨む。

 「えへへ~、だって誰かが落ちないと渡れないんだもん♪」

 柊 八千瑠は、満足げに橋の向こうへと歩いていく。

 彼女は笑っていた。

 それが、どこまでも純粋な悪意の笑みであることを、鷹宮 迅は理解していた。

 クラスの人数は、11人になった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

日本新世紀ー日本の変革から星間連合の中の地球へー

黄昏人
SF
現在の日本、ある地方大学の大学院生のPCが化けた! あらゆる質問に出してくるとんでもなくスマートで完璧な答え。この化けたPC“マドンナ”を使って、彼、誠司は核融合発電、超バッテリーとモーターによるあらゆるエンジンの電動化への変換、重力エンジン・レールガンの開発・実用化などを通じて日本の経済・政治状況及び国際的な立場を変革していく。 さらに、こうしたさまざまな変革を通じて、日本が主導する地球防衛軍は、巨大な星間帝国の侵略を跳ね返すことに成功する。その結果、地球人類はその星間帝国の圧政にあえいでいた多数の歴史ある星間国家の指導的立場になっていくことになる。 この中で、自らの進化の必要性を悟った人類は、地球連邦を成立させ、知能の向上、他星系への植民を含む地球人類全体の経済の底上げと格差の是正を進める。 さらには、マドンナと誠司を擁する地球連邦は、銀河全体の生物に迫る危機の解明、撃退法の構築、撃退を主導し、銀河のなかに確固たる地位を築いていくことになる。

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち

ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。 クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。 それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。 そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決! その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

処理中です...