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そのいち
しおりを挟む人間、恥で死ねる。
それは本当のことでした。
死んだのは身体じゃなくて心だけどね!
皆さんこんにちは!
私はリェーナ・サマリンといいます。
しがない田舎伯爵の長女です。
うちは田舎なもんで、王宮の権勢争いにはほとんどお呼びはかからず、ただひたすらにお父様とお母様は領地を治めています。
不可はなく、金はホドホドにあるけれど、いかんせん田舎。
国境領地だと『辺境伯』という、なんかカッコいい名前をもらえるのに、うちはただの田舎伯爵なんです。
家は四歳上の兄様が継ぐから、私はどこかに嫁ぐことになりますが、山を越えた隣領のバーベリ伯爵家の長男が幼馴染みなので、そこへ行く気満々でした。
だって。
二歳上のパヴェルは穏やかで優しい人なの。
山には山賊がいて、山越えが大変だから会えるのは年に数回。だけど、会えば楽しくて。
会えない時も手紙のやり取りがずっと続いているわ。
いつだって私を大事にしてくれて、幼い頃からイイ感じだったから。
両家の両親も、私が学園に入学するタイミングで婚約してはどうかと、口約束だけど話が上がり、とても嬉しかったわ。
学園は各領地にもあるけれど、なんと言っても一番の格式を誇るのは、王都の王立学園よ。
入学するのも難しければ、進級するのも難しく、更には卒業するのが一番難しいと言われている最高学府なの。
パヴェルはその王立学園にとても良い成績で入学し、留年することなく最終学年の三年生になったわ。
超・優・秀!(ドヤァッ)
そして私はというと……、お父様たちが金貨を積んでくれた教育のおかげで、優秀の「秀」位ではあると思う。
地頭はそんなに良くはない。けれど、幼い頃からの学習習慣と、魔石に魔力をブッ込む特異な天恵があるおかげで、まあ、なんと! 王立学園に合格出来ちゃいました!
魔石は魔物を倒すと取れる石で、魔道具には欠かせない動力部としてとても重宝されているものなの。
弱い魔物から取れる大した魔石でなくても、私が魔力をブッ込めば、あーら不思議、魔石の力が上がるのです。
他の人が魔石に魔力を注いでも、魔石の力が上がることはありません。
これは私の特殊な天恵なのです。
唯一無二の力ではあるけれど、有用かと言われると正直、そうではありません。だって、魔物を倒せば手に入りますもん、魔石。魔石に力を注ぐより、魔道具に合う魔石をお店で選べば済む話。
私の天恵は、どの位の魔力が魔道具に必要なのか、バロメーターとして開発の研究にこそ力を発揮するものでしょう。微妙な差の魔石を取り揃えなくて済みますからね。
これでパヴェルと一年、一緒に学園生活を送ることができます。
パヴェルは王立学園に行ってからとても忙しいらしく、一度も領地に帰って来ていません。
もちろん、私も会っていません。
ならば、私から会いに行くまで。
私頑張った……!
私、デキる子……!
驚いたパヴェルが見たいから、私が王立学園に入学することはパヴェルには秘密にしました。
パヴェルのおじ様とおば様も、一度も帰って来ないパヴェルに思う所があったのか、快く協力してくれました。
婚約の話は、パヴェルと直接話してから。
結婚は家と家との話ではあるけれど、パヴェルから直接、求婚、されたい……っ!
兄様だけは、「パヴェルにきちんと連絡してからの方が……」とモゴモゴ言っていましたが、王立学園でパヴェルと甘い青春を過ごし、中退することなく無事に卒業して、すぐにパヴェルと結婚するという夢の中にいた私は、兄様の忠告を聞き流しました。
今思えば。
兄様は領地の学園を卒業しましたが、次期領主として築いている人脈があります。
だからこそ、知っていたのでしょう。
パヴェルに恋人がいることを。
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