田舎土魔法使いの成り上がり ~俺は土属性しか使えない。孤独と無知から見出した可能性。工夫と知恵で最強に至る~

waru

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第6話 教えられて、解らせて

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「…ようやく着いたわね。何か疲れていそうだけど…大丈夫?」

Fクラス用の訓練場に来て早々、心配される俺。優しいクリスさんに癒される。



「…クリスさんに会えば、全て吹き飛びます。」



「だ・・だからよしなさいって・・・。」
しどろもどろになるクリスさん。


そんな軽口を叩いていた時に、Aクラスの風紀委員さんが来た。



「…訓練前に悪いな、邪魔する。」

「あら、珍しい。リセじゃない。どうしたの?」


二人は顔馴染みの様だ。
そりゃそうか。学年も同じだ。

「…ああ、クリス。用はアルピエロにあるのだが…良いか?」

「…構わないわよ?」



そう言って、こちらに向き直るリセ先輩。

「…アルピエロ、話がある。」

「…どうしました?」
今回はさほど嫌な予感がしないが…なんだろう?



「不躾な話なのだが…。怒らせたなら、謝る。私には…土魔法で風のサガや、火のマークを倒せるとは思えんのだ。そこでもう一度、魔宝珠で測り直して欲しい。コレは義務でも何でもない。私の疑問解消の為だ。」



赤髪の彼がマークという事に驚きを隠せないながらも、思った。

ああ、この人は真っ直ぐなんだろうと。
自分の正義を通す事や、自分の疑問を解消する事に一生懸命だなと。見ていて晴れやかな気持ちになる人間だなと、そう思った。

「…構いませんよ。」
アルは了解する。


「…済まないな。恥ずかしいかもしれないが…。」

しっかりと頭を下げてくる、リセ先輩。



「いえ、自分は田舎出身なので。…正直、これが恥ずかしいのか、判らないのです。」





目をパチクリさせるリセ先輩。

「…それは尚更、すまないな。」

言の葉を紡ぎ続ける。

「…コレは。この判断は、その人の人生を決定するものだ。」

「結果が悪ければ…非常に恥ずかしいとされるモノだ。そんなモノを…私の身勝手で再度、確認するのだ。君の気持ちを…考えれば、申し訳ないと思う。」




優しい感情を感じられる。


「…成程、それで土魔法の自分は恥ずかしいだろうと。そう言う事ですね?」



「・・・本当にすまない。」







Aクラス風紀委員。
リセ先輩。


本当に気持ちが良いくらい、誠実な人だ。

「…貴方が言うなら、俺はやりますよ。今の自分には、知っている事が少ない。何が良い事で、何が悪いのかも。…ただ貴方の言葉は信じられる。今のやり取りで、俺はそう思いました。だからやりますよ。」





「・・・ありがとうアルピエロ。」

礼を言って、準備を始めるリセ先輩。


「この魔宝珠に、手をかざしてくれ。それで判別の魔力を私が送る。」


頷き、云う通りにする。

…魔宝珠に手をかざし、リセ先輩が魔力を送る。

「…これはな、アルピエロ。特別な魔宝珠で、属性以外にもレベルと技能を知る事が出来る。…我が家の秘宝だ。」



「…え?そんな大事な物を!」


マジかよ、そんな事して良いのかよ。
急にこの人の行動力を、逆に疑い始める。


「…実家が学園のすぐ横でな。夕飯も喰わずに、走ってしまった。」


猪かな?
なんという男らしい行動力。



女なら惚れてしまうな。



そう考えていると、魔宝珠が光始める。

「…ッ!!出たぞ。・・・何だと!?」

「…え?どうなんですか?」






「こうなっている。…見てみろ。」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

名前:アルピエロ
レベル:4 称号:地に愛されし者

使用魔法:土魔法Lv3
使用技能:剣術Lv2、盾術Lv3
特殊状態:山の長の呪い

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


え?こんなもんなの?

つい言葉に出してしまう。

「・・・思ったより弱い。」



リセ先輩も返す。

「…レベルが高いのかと思ったが、総合してDクラス相当だ。」




そう言って、こちらをじっと見つめるリセ先輩。


「…は?」
耐えきれずに言う、俺。




少し考え込んで、リセ先輩が言う。

「・・・・何故これで勝てるのだ?」


おいおい。見ておいて、その感想かよ。

何かしらあるんじゃないの?

Dクラス相当も結構高いとか…。全体的な平均も知らない俺が、言うのも何だけど。この際に聞いてみても、良いかも知れんね。

「…ちなみに平均は?」



リセ先輩が、考えながら答える。

「…レベルの平均か?そうだな…レベルの平均はFクラスは1付近、Eは2~3まであれば良い方だろう。Dは4~5だ。…君は戦い慣れていたのではないのか?」





「…そうですね。12歳から16歳まで、田舎で魔物を狩っていました。一応、村の職業は魔物ハンターって事になっていましたから。村の畑や狩場によく魔物が入って来てたんで…」




そう言うと、その場の空気が変わったのを感じた。
いくら田舎者でも、友達が少なくても解る。

思考が制止したリセ先輩が言う。
「…は?」

返答に困る俺が言う。
「…え?」



…時間が確かにその時、止まっていた。


思考が戻ってきたリセ先輩が尋ねる。
「ち・・・小さいのか?」

「…いや、熊とかシカとかですね。」



また、一瞬止まる時間。



絞り出す先輩。
「・・・・中級クラスじゃないか。」


逆に焦り始める俺。
「…田舎だから弱いとかですかね?」


目つきがやや険しい、先輩。
「・・・・可能性はあるが、普通は中級クラスだ。レベル8以降の学園卒業生が対処に当たるレベルだな。」




「…。おかしいぞ。アルピエロよ、それなら何故、このレベルなのだ?」


疑問が止まらない、リセ先輩。


「…何なのだ?山の長の呪いとは?」

「…呪い?」




再度目をパチクリさせるリセ先輩。
「…自分で知らんのか?呪われてるぞ、お前。」







「…えええええええええ!?」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

名前:アルピエロ
レベル:4 称号:地に愛されし者

使用魔法:土魔法Lv3
使用技能:剣術Lv2、盾術Lv3
特殊状態:山の長の呪い

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

…本当だ。なんか特殊状態にある。
なにこれ…。



呆れ始めたリセ先輩。

「…全く。呪いの対処は、解呪出来るアーティファクトが有ったり、そういった事が出来る人間が水魔法で居たりするのだが・・・私は一人しか知らないな。同じ学年のAクラスに居るが、本当に忙しくてな。私も最近殆ど会っていない。」



なんとなく思う所がある。
相談したい事が、生まれ始める。

「…リセ先輩。俺、実際12歳くらいからレベル上がる声が聞こえないんです。コレは呪いとやらのせいでしょうか?」



「…普通なら死んでるぞ。アルピエロよ。レベルも上がらなくなったお前が、その状態でどう戦ってきたのだ?」

「工夫で」

「」




また、時が止まった。


もう一回、言ってみよう。

「…工夫で?」

「…聞こえてる。理解を越えただけだ。」






ため息をつく、先輩。


「…このレベルで、魔物と戦ってきたというのか。」



「…そうなりますね?」


ハッとした先輩。

「…す、すまなかった。恥をかかせた。」


どういう事だろうと、少し考えた。【このレベルで】という言葉で侮辱したと思ったのか。はたまたレベルの低さと土魔法を工夫でどうにかしていたのを暴いたのを、恥をかかせたという事なのか。判らないが、しっかり謝ってくれるリセ先輩。


「・・今日は帰る。」

「…困ったら、何でも言ってくれ。」



この人、切り替え早いな。

「…え、えと。」


急に遠い目をする先輩。
「…わかっている。」

「・・みなまでいうな。」

「幼少から、不遇の環境。」

「更に、レベルも上がらない状態。」





「・・そんな悲痛な環境。」

「でも生きる為に、魔物と命を懸けていたのだ。私には察する事すら、出来ない。」



「俺、何も言ってない。」



手を前に出し、何かを悟ったような表情で、首を横に振る先輩。

こいつ、厄介な人間だな。話を聞かないタイプの人間だ。

「…言わなくても良い。」

「そんな君の苦労を、日の下に明かしたのだ。」



「・・・恥をかかせた。本当にすまん」



この人、話聞かないな。



「大丈夫です。・・俺、これでも強いんで」

「何故、そう言える?」

「先生や赤髪君に勝ってますし。」



「…解せんな。工夫で勝てたなら、今後は勝てない可能性も高いだろう?」



「・・・常に先手を取りますよ。今の工夫が通用しないなら、違う手段を取るまでです。」

「成程、お前の武器はその思考力か。」


リセ先輩が悲しそうに言う。
「ただ、きっと頭打ちするだろう。」

「この世は、能力が絶対だ。」


それは俺に言っているのか、はたまた自分にそう言い聞かせているような…そんな気がする発言であった。


「・・そう・・・かもしれませんね。」

絞り出すような返答しか、出来なかった。

それを聞きつつ、手をヒラヒラと振って、リセさんは帰っていく。

話を聞いてんのか、聞かないのか。



クリスさんが言う。

「・・・そんなに悲しまないで。」

「世界には魔法を使えない人ばかりよ?魔法を使える私達が、めげては駄目よ?」



目をパチクリする俺。
悲しんではいないが、甘えておこうか。

「・・・はーい、クリスさん。」





「…アイツ、全然悲しそうじゃないけど?」

「・・・そう言わないの、リン。」



「一緒にこれから、Fクラスでやっていく仲間よ?」



俺はハッと思い出す。

「そうだ。訓練で能力を見るって言うのは?」



「・・・レベル1の私よりは、強いのは分かったわ。強いのね?アル君。」



「でへへへへへへ。」
嬉しくて仕方ない。



「でも素行不良の人は、模擬大戦に出れないのではないかしら?」





「えええええええ!!!!???」


こちらの反応見て、遊んでやがるな。


一呼吸ついて、クリスが言う。

「・・まあ、能力を見せて貰おうかしら?」



「・・・了解です!!」





周囲の人間の発言に、一喜一憂しながら訓練場で能力を見せていく。



「俺の能力は土魔法。使い方は主に4つです」

「4つ?」



「ええ、泥や土を使いクッション性を持った使用方法。石や岩を使用した強い打撃や守りの使用方法。」



「そして地面の操作による自分と相手の環境変化。最後に複合した使用方法です。」



まずは泥や土を見せる。



「どなたか、攻撃魔法を打って貰えますか?」



「え?大丈夫なの?」

「打ち消して見せます」


「じゃあ打つけど、責任取れないよ?」

そう言って非常に印象の薄い先輩が、風の魔法を打ってきた



「こう消します。」

泥を真空の刃に被せ、そのまま地面に刃ごと収納していった。



「おおおおお!!!」

周囲から歓声が起きる。

これは!気持ちが!!良い!!









「次に石や岩です。見てて下さい。」

土の山を出し、そこに向けて人間くらいの大きさの岩を投げる。



砂塵を捲き上げていく。
その有様に、また大きく歓声が挙がる。

「「わああああああ!!!!」」







これは!

これは気持ちがいい!!

女性ばかりというのが更に良い!!









気を良くして次に行こうとすると…



「アル君。もういいわ。訓練場が壊れちゃう…」



歓声だと思っていたのは、悲鳴だったようだ。



初日から、危ない奴認定をされてしまった…
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