田舎土魔法使いの成り上がり ~俺は土属性しか使えない。孤独と無知から見出した可能性。工夫と知恵で最強に至る~

waru

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第26話 尊厳とイトと遠慮と

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街に着いて、イトに聞く。
「恥ずかしい事に…依頼を受けたのが、今回初なんだ。どうしたら依頼は達成になる?」



イトはびっくりした様な表情ながらも、応えようとする。

「ギルドに行けば・・・」
言い始めて、イトはハッとする。

「・・・こちらも恥ずかしいのですが、衣服が汚れています。コートのようなモノで隠していますが・・・。出来たら着替える時間を頂いてギルドに向かいたいです。依頼金も決めてなかったし・・・」

成程。
配慮が足りなかったか。…あとは依頼金か。全く頭になかった。良い体験だったかもしれない。ともすれば、あくどい商人に騙されていたかも知れない。今後、気を付けて行こう。

そう言いながら、非常に大きな建物に辿り着く。

どう見ても、自分は分不相応だ。
「ここです。ハウゼン家の武具店です。ココまでありがとうございます。」

「い・・いえいえ。ココなんですね。驚きました。」

「…ハウゼン家と知らずに助けたんですか?家紋を見せるようにしていたのですが・・・」

「家紋見ても判りませんよ。…俺、田舎生まれでこの店も知りませんでした。すみません。」

驚いた表情でイトが笑う。
「それでこんなに良い対応してくれるとは。お金を見ないで行動する方なんですね?」

「結果としてそうなっただけです。買い被らないで下さいよ。」


そんな話をしていると、ガタイの良い男が近付いてくる。

「貴様ら店の前で何してる?俺はこの店のガードマンだ」



怖い雰囲気だ。
そんな男に怖気づく事無く話す。

「この私に言ったの?」
イトさんが。

そう言ってコートのフードを下ろしていく。


「ッ!!お嬢様!!!」

「あああああ!!!!良かった!!」

「攫われたと聞いて!!皆で探していたのです!!」



豹変するガードマン。
半泣きで喜ぶその表情は、子供の様だ。


「すぐ!!すぐに旦那様へ!!!」

「待って。この人が助けてくれたの。もてなして下さる?」


「はっ!!どうぞこちらに。」
「い・・・いや。俺は外で待ちますよ。たまたまでしたから。」

「そんな事を言わずに!!」

強引なガードマンに連れて行かれ、豪華なソファに座る事となる。


・・・・居づらい。非常に居るのが辛い。何だろう。座っているだけなのに。

この立って待ち構える執事とか

下を向いて待つメイドさん

この世界は俺がいる場所じゃない。そう思って仕方ない。


そう思っていると、イトと恰幅の良い男性が一緒に来た。

「…お前か!!ワシはマイト。マイト・ハウゼンだ。愛するイトをよくぞ助けてくれた!!礼を言う!!何が欲しいのだ?何でも言うが良いぞ!!」


「いや・・・俺は何もいりません。イトさんが助かればそれで良いです。依頼中のたまたまで助ける事が出来ただけで・・・・」


「…なんと遠慮深い男だ。気に入った。交渉が上手いじゃないか。助けられて何もせんとはハウゼン家の名に恥じる。こちらから用意するか。」

「…いやいやいや!!本当に遠慮します。大した事してないんです。イトさんが依頼を付けてくれましたし・・・・」

「ふむ・・・本当の意見か?」
「はい。この雰囲気すら自分にはツライ物があります。この上、何かを貰えば…きっと物凄くもやもやします。」

イトさんが横から話に入ってくる。
「…お父様、私が依頼金で対応しますわ。」

「しかし・・・愛娘が助かったのだ。礼を尽くしたい」

「この方、今日が初めての依頼で。尚且つ、魔法学園の生徒だそうです。今後の援助を約束しますわ。」

マイトさんが驚いた表情でこちらを見る。どのワードが気になったのか、是非とも聞きたい。【初めて】の所か、はたまた【魔法学園】の所か。だが混乱するこちらにはそんな余裕もない。

「えええ?援助?そんな・・・」

「別に金銭では無いですよ?困ったら言って下さい。助けますよという意味です。」

「それなら・・・。よろしく、イトさん。」

「ふふ。不思議な人ね。」

マイトさんもイトさんも納得した様で、その場は収まった。

そんなやり取りの後、ギルドに向かう。

「あ、アイツ啖呵切っていった奴だ。」
ギルドに入るとゴロツキのような奴らから言葉が飛んでくる。

「ゴブリン狩ったのか?」
「荷物少ねえぞ?」

「失敗か。ざまあ無いな」

「土下座でもしろよ」
「クソガキが。」



「貴方、敵が多いのね」

コートを深く被っているイトさん。
「啖呵切ったのは間違いないですね。戦いは自信が有ったので。」

受付に来る。
「ネムさん、ごめん。ゴブリンとウサギ・ワイルドドックは狩れなかったよ。」

「良いんです。時間をかけてく・・・・」

「この人を助けて、時間が無かった。薬草と毒消し・麻痺消しは持ってきた」

「は?」

コートを脱ぐイトさん。
「私はハウゼン家に恨みを持つ商人に拉致されました。更に盗賊にも襲われていた時に、この方に助けて頂きました。その後、直接依頼をし安全な帰宅が出来ました。」

「え?え?」
「依頼金はその時に設定できなかったので、ここでします。」

「は・・・はい!!!」
「依頼金は金貨100枚とします。」

「えええええええ????」
「私の言い値です。手数料分は置いておきます。良いですか?」


ネムさんが言う。
「平均の20倍です!!金貨5枚が相場ですよ?」

「…ハウゼン家の誇りを守られました。ダメですか?」

「依頼主が言うなら・・・」

「成立ですね。」


そこにアルが飛んでいく。
「…いやいやいや!!イトさん。貰えないよ!!」


きょとんとした表情の女性が二人。
「え?」

「は?」

「…俺は相場分で良い。そんなの良くないよ。」


「い・・いや私はお金持ちで・・・」
「そうです!!ハウゼン家ですよ!」

アルは返す。
「…それでも自分の行動結果と報酬はかけ離れている。俺は納得しない。」

「ふふ。本当に不思議な人・・・」

「ああもう・・・すみません。イト様。この者、初めての依頼で・・・・」



「アルピエロ様の言う通りにします。手を煩わせました。」

「え?」

「今後、ハウゼン家はアルピエロ様を支援します。高潔な精神を持つ人だと確信しました。」

「…いやいやいや!!」

「…こんな初心者を!?」

「そう決めたのです。納得しませんか?」


そこにいるのは頑固者しかいないと、アルは理解した。

「・・イトさんが決めたなら。納得するよ。」

「ありがとうございます。アルピエロ様。」


ゴタゴタしたが、採取依頼報告とイトの依頼達成報告を終えて、金貨5枚と銅貨8枚を貰い、その場を去る。


「今後も宜しく、イトさん。」

「こちらこそ。アルピエロ様。武具は是非ともウチにご連絡くださいな。」

なんだか人の輪が広がっていくような、そんな予感がしている。
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