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第46話 モモの才
しおりを挟むコカトリスの襲撃を受け、休憩したパーティ。モモも今後は指示をしっかりと聞くという発言を見せ、仲間としても個々としても成長してきている。
まだ午前を過ぎ、午後に入ったばかりだ。アルはこのレベル上げ後には、ミノタウルスのダンジョンに向かう為、セリ先輩に相談していた。夕方までには戻ってダンジョンに行って報酬を捜すつもりだ。ゴーレム召喚以外に何が自分に身に付くのか。楽しみで仕方ない。アルは早く帰りたい気持ちが強かった。気もそぞろで仲間のレベル上げを続ける。
戦術は同じで、E級のオークや暴れ猪を狩っていく。だが、オークの恐怖は女性に対して強くなる。
「ぶもおおおおお!!!」
「・・・うう。何か生理的に受け付けない」
「カナ、無理ー。」
「アンタ達、急に怖気づかない!」
「私はこの身体を捧げる人を決めている、絶対に豚ではない!!」
アズとモモの方が、メンタル強くなっている気がする。特にモモはよく動く。周りも見ている。ドン臭い印象であったが、今はその印象は殆ど無い。むしろ周囲のサポートは、リンより上手になってきている。それは徹底してエゴを取り除く様に動き、自分がやりたい事より相手がやりたい事を優先している部分が強く影響しているのだろう。
それは他のメンバーにも伝わっている様で、信頼感に繋がっている様だ。同じ孤立していた過去を持っているモノとして非常に嬉しい。アルもまたサポートに徹して信頼感を上げていく。だがモモ程に上手くいかない。改めて尊敬する。こちらが出来るのは攻撃への防御くらいだ。
そうやって狩りを続ける。数体狩っていくと次々にレベルが上がっていく。皆レベルが2ずつ上がっていく。皆レベル9か。良い状態になってきたな。そう思っていた時にそれは起きた。
「ううううううううううううああああああああああああああ!!!!!!!!!!」
「モモ!!」
「どうした!!」
「何が起きたのー?」
モモがいきなりしゃがみ込み、呻き始めた。どうしたのかとパーティの皆が混乱し始める。口々にモモの名前を発して心配するもその声は届いていない様に思う。アルは心配でその身体を支えようとした。その時。
ズガガガガガガガガガガガガガガガガガアァァァァァァアアア!!!!!!!
モモの魔力が暴発した。
それは非常に濃密で、息が出来ない空間が出来上がった。
モモと自分達の間に土壁を出して防御する。一枚では足りず2枚3枚と出していくも直ぐにボロボロになっていく。
・・・・30秒ほどで魔力の暴発が治まる。
「モモ!!」
「おい!大丈夫か!!」
「カナ!回復!」
「わかったよー。」
「・・・あれ?モモ、ダメージないよぉ?」
皆が直ぐに近寄って確認するも、変化が判らない。それが更に不安を煽り、アルはモモを揺さぶっていく。
「おい!大丈夫か?死ぬなよ!?死なせないぞ!!言う事聞くって言ったろぉ!!死ぬなあ!!」
「・・・・アル君。」
「「「「モモ!!」」」」
「私は・・・大丈夫。・・・ねえ。アル君。私、魔力を自分の中に感じる・・・。初めて・・・感じた。ありがとう。アル君のおかげだよ。アル君に付いてきて本当に良かった。・・・・ずっと思ってた。私は引っ込み思案で、友達もいなかった。だけどアル君を見て感じたの。変われるって。付いてきて確信したよ・・・。私はアル君が好き。」
「「「「ええええええええええええ!!!!!」」」
「…大丈夫、今は返事しなくていいよ。でも好きなのは…知ってて…ほしいな。」
「・・・あ、ああ。分かった。だが俺はやる事がある。それをわかって…言ってるな?」
モモは頷く。頷いた後、アルの頬にキスをした。
「「ああああああああああ!!!!」」
リンとアズが大きな声を出している。
「…ごめんねアル君、…ごめんねリンちゃん。でも私は自分の気持ちに正直に生きるって決めたの。…私はアル君の邪魔はしません。運命に従います。貴方の選択を常に尊重します。…常にあなたに従います。」
そう言って、身体を起こすモモ。
「さて、魔法が使えそうです。使っても良いですか?アル君。」
あっけらかんとしている雰囲気が、周囲を混乱させる。
「・・・あ、ああ。やってみてくれ」
メモしていたモモの能力がこれだ。
~~~~~~~~~~~~~~~~
名前:モモ レベル:1
使用魔法:属性無し(闇属性の適応有)
使用技能:特になし(呪術Lv1、魔力吸収Lv1)
特殊状態:特になし(Lvが低く、魔力不足)
スキル:闇の波動、ネクロマンサー
~~~~~~~~~~~~~~~~
これに今の状態を当てはめる
~~~~~~~~~~~~~~~~
名前:モモ レベル:9
使用魔法:闇魔法Lv1
使用技能:呪術Lv1、魔力吸収Lv1
特殊状態:特になし
スキル:闇の波動、ネクロマンサー
~~~~~~~~~~~~~~~~
こんな感じだろうか。
前方にある石を狙って、攻撃をして貰った。
モモは手のひらに魔力を集めて放つ。これにより闇属性が詰まった球が石に向かって飛んでいく。当たった石は、音もなく削れていった。えぐれて見えるその形が威力を物語っている。
「モモ。どうだ?打つと気分が悪いとかは・・・」
「・・・最高の気分です。こんな才能を持てるだなんて。…アル君、この力は貴方の為に使います。感謝してます。・・・これぞ運命。」
呆然とするメンバー。
「・・・うん、まあその、なんだ?今すぐ決められる気がしない。取り合えず、今日はギルドに戻って終わりにしようか?俺、ミノタウルスのダンジョンにも行きたいし・・・」
周囲はその言葉を聞いて脱力してしまう。
「アル君凄いな、マイペース」
「ある意味、最強」
「カナも帰りたーい」
「…私はアル君に従います。」
「ああ、モモ。俺に従ってくれと言ったな?」
「はい!いつでも従います!」
「あー。普段は自分で考えてくれ。戦いの時だけだ。そんなに気が回らない。それは逆に俺に負担になる」
ガー――――――――ン!!!
「・・・・運命は時に苦々しい・・・」
他3人の会話が盛り上がる。
「アル君、最強」
「これは安心かも」
「カナ、早く帰りた~い」
そうやってギルドに帰っていく。G級・F級、そしてE級の討伐対象をギルドに報告。ギルドマスターがそれぞれのメンバーにE級のランクを認定した。
「この野郎、アルピエロ!仕事増やしやがって!」
そう言いながらも、非常にギルドマスターはにこやかだった。
受付にいたネムさんが、やや闇のオーラを出していた事になんらかの違和感を感じながらも、ミノタウルスのダンジョンに行きたい願望が強くなり、直ぐに帰っていく。
「ごめん。それじゃ俺、行ってくるね。」
そう言って、アルはギルドを発つ。目指すはミノタウルスのダンジョンただ一つ。
「良い雰囲気だったのに…。私は…闇属性を…習得しても…ダンジョン以下…?」
モモが崩れ落ちていく。
「モモ、アル君を好きならこの感じは仕方ない。アル君、出会ってから…ずっと非常識だから。」
「多分、ずっとこうだよ」
「カナわかんなーい」
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