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晦冥の花嫁①
聖都セントリエル──山々に囲まれたすり鉢状の盆地に根を張る、ルクスエヴァンスの首都である。
中心に鎮座するセントリエル宮殿は、教皇を抱きこの島の中心に建てられた信仰の源。白亜の巨大な建造物は、テラー教の神として崇められる太陽を一心に浴び燦然と光り輝いている。荘厳な建築物を囲むよう街が広がっており、遥上空から見下ろす鳥から見れば、宮殿から伸びる白い煉瓦道が光を反射し白くひかり、宛ら蜘蛛の巣のように見えるだろう。
未だ何者でもないリシュは教会に入る事が許される身分ではない。セイルのような地方都市では身分の高い者が少ない故に曖昧に許されていたが、傭兵以下の身分のものは教会に足を踏み入れる事は出来ない。それ故に宮殿の前に開かれた広いアベンゼル広場で毎朝祈りの為に膝をつく信徒に紛れ、リシュは太陽がこの大地を照らす一日に感謝の祈りを捧げていた。
長い祈りを終え顔を上げる。冬にセイルを発ち、長い船旅を終えこの聖都に身を置くようになりもう三月。春の訪れがこの美しい都に穏やかな風を運んでいる。焦がれた聖都。信仰の根源。荘厳で強大な白亜の宮殿の白い壁面に掘られた精緻な彫刻のひとつひとつを視線が撫でるたび、畏怖すら覚える心地である。同時にまた、忘れていた右足の鈍い痛みが、全身に拡がってゆく心地がした。
ふ、と視線を逸らした先、最近ようやく見慣れた少年がこちらへ向かい歩いてくるのが見えた。
「リシュ様、旦那様がお探しです。今日は最終調整の為に仕立て屋が来る日ですよ」
昨日伝えたと思いますが、と少し不機嫌そうに呟くその顔に、リシュは慌てて小さく頭を下げた。
「すみません、忘れていました」
少年の名はマウト・ロシェット。聖都で暮らすようになってからメガラの代わりにリシュの世話をしてくれているまだ年若い少年だ。使用人とは言え身元は健やかで、聖都に住まう貴族の末の子供らしい。ロシェット家は元々商人の出。若い時分は奉公に出す習わしらしく、マウトも例に漏れずリーベルの家に奉公に来ているそうだ。
その為か、幾らリーベルの婚約者とは言え奴隷としての存在しか知らぬリマ族に膝をつく事を深層で嫌悪している事は、人の心に敏感なリシュは感じていた。
「あの、学舎には」
教会に入れない代わりに、教育の為の学舎がセントリエルには多数ある。リシュもまたその一つに通っているのだが、一日も欠かさず出席している事から不安になって問い掛けた。何より今はようやく終焉なき聖戦が始まった頃を教わっている。リシュが今生きる時代の始まりの歴史は、リシュの心を強く惹いていた。
「今日はお休みです。昨日すでに教長様にはお伝えしてあります」
その答えにリシュは微かに肩を落とす。
「仕立て屋の次は宝石商、その次は花屋、それから──」
次から次へと放たれる今日の予定を健気に指折り数えながらも、その多さに眩暈がする。
「結婚式も間も無くですから、しっかりして頂かないと」
「はい、そうですね」
結婚──まるで実感がない。わずかばかりの時を遡れば薄汚れた奴隷の身であった自分が、美しい貴族の青年と結婚をするだなんて。
真摯なリーベルが改めてプロポーズをしてくれたのは、セントリエルに到着して直ぐ、二月前の事だった。勿論リシュは頷いた。それは使命感だけでは決してない。やはりリーベルはリシュにとってあたたかな光であり、その健やかな美貌はいつでもリシュの心を奪う。彼と共にこの先の人生を生きてゆく事に、何の不服もなければ拒否する理由もない。それどころか涙して喜ぶリーベルを前に、何も他者に与えられぬ自分にも喜びを与える事が出来たのだと思わせてくれたリーベルはやはり、リシュにとってただ一人、未だ不明確な愛を誓うべき相手である。
胸の奥に深く沈めたあの金色は、もう浮かんではこないだろう。
プロポーズの時に見せたリーベルのひどく緊張した面持ちを思い出しながらまだ住み慣れぬ屋敷へと歩みを進めようとした所で、マウトはふとリシュの右頬に視線を止めた。
「お待ちを。髪がほつれております」
そう言うと、傷ひとつない指がリシュの頬にかかるほつれた髪を慎重に整えてゆく。
婚姻の儀の日取りは、もうひと月後と迫っていた。その日の為と伸ばした髪は、毎朝ティナが髪を結ってくれている。この広いセントリエルを暇さえあれば歩き回るリシュの為、肩に付かぬよう編み込んだ髪を頸で纏めてくれている。毎朝綺麗に咲いた小花を添えて。そのティナの気遣いに、リシュはいつも心があたたまる心地がしていた。
「ありがとうございます」
髪を直してくれたマウトに、リシュは微笑み掛ける。ぎこちなかった笑みは、リーベルや優しい使用人達のお陰で随分と解れた。
「……美しいですね」
マウトが突然そう小さく呟いた。当然リシュは何の事かと小さく首を傾げる。
「あ、いえ、髪が。その髪の色はリマ族のものですが、僕が見て来たものとはまるで違う。健康と栄養があれば、皆その美しい髪なのでしょうか」
リシュには分かりかねて、曖昧に微笑んだ。それきり、マウトも口を開く事なく屋敷へと歩き出した。不自由な足を引きながら、リシュは思いを馳せた。
聖都には、沢山のリマ族が暮らしているらしい。暮らしていると言うよりも、奴隷として使われているのだそう。しかし未だリシュは出逢った事がなかった。リシュの噂は瞬く間に聖都を駆け抜けていてリシュを奴隷と見るものはいないが、好奇の視線は今もまだ背中に突き刺さっている。本来その視線を避ける性質のあるリシュが暇さえあればこの広い聖都を許す限り歩き回っている理由は、確かに自らの民族への好奇心であった。リマ族は、一体何処にいるのか。毎日美しい聖都の町を歩きながら、リシュはそんな事を考えていた。
屋敷に戻ると既に仕立て屋は応接室に入り、仕上げを待つだけの衣装をリーベルが広げて眺めていた。
「ごめんなさい、リーベル」
慌てて駆け寄るリシュを、リーベルは長い腕で抱きとめる。まだ辿々しくもその背に腕を回し、リシュは胸元から鼻先を擽るリーベルの香りに深く安堵した。
「おかえり」
「ただいま」
額に落ちる口付けを待って身体を離し、リーベルに手を引かれるままソファに腰を下ろす。仕立て屋は都一の職人だそうで、気難しそうな老父である。リシュは神経質そうな細面から視線を逃れ使い込んだ指ばかりを見ていた。
「これであとは細かい装飾の作業に入りますので、一度合わせてみてください」
リーベルに顔を覗き込まれて慌てて視線を上げる。
「着て見せてくれ、リシュ」
リシュは小さく頷いて服に手を伸ばそうとした所で、傍で控えていたティナがそれを止めた。
「こんな人目のあるところでお着替えなんて、気を遣って下さいまし、旦那様」
「ああ、そうだね」
リーベルは小さくごめんね、とリシュに囁いたが、リシュにとって肌を見せる事に抵抗はなかった。採石場でもガレー船でも、腰布一枚しか与えられていなかったようなものだ。女性に慣れぬうちは困惑したが、セイルでは別れの日までメガラにいつも身体を洗ってもらっていたし、今もマウトがその役割は引き継いでいる。しかしティナがそう言うのだから、これからは気を付けた方が良いのかもしれない。そんな事を思いながら、ティナに促されるままリシュは腰を上げた。
「旦那様は見てはダメですよ。当日のお楽しみです」
ティナに手を引かれ、隣の部屋へ。せっかちなティナに急かされるまま衣装に腕を通して行く。
「綺麗──」
助力を得て全て着終わると、ティナはそう言ってまるで花が咲くように微笑んだ。
「お似合いです」
黒一色に見えていたその衣装は、精緻なレース編みの装飾が施されていた。きちんとした採寸が取られ、リシュの細いばかりでまだ頼りない身体のラインを拾いながらも、その肉体の膨らみに合わせて編み込まれた模様が表情を変える。細い腰で絞られた腰元から滑らかに拡がる裾野は床に付くほどで、少し丈が長く思えたがティナはこれがいいのだとリシュに強く訴えた。
「やはり黒にして正解でしたね。リシュ様の深雪のようなお肌にはやはり黒です。お美しいわ」
そう言いながら髪をしきりに触っているところを見ると、当日の髪をどう結うのかもう考え始めているようだ。リシュの成長は著しく、もうティナよりも背が高くなってしまったから、彼女が触りやすいようにと腰を折ってはみたが、慌てて制されてしまった。
「これにあとはマントが付きますの。男性同士のご婚礼ですと、ヴェールではなくマントになるのですよ」
どんなマントなのだろうと考えながら、ふとリシュは相変わらず衣装を細かく確認しているティナを振り返る。
「リーベルの衣装も、僕は当日まで見られないの」
「ええ、リシュ様もお楽しみです。旦那様のお衣装は白にしたのですよ。さぞ美しいでしょうね、お二人が並んだら」
余りにもティナが自分の事のように喜ぶものだから、思わず微笑むリシュを見てティナもまた嬉しそうに微笑んだ。
長い船旅と聖都での三月で、ティナはリシュにとって友と呼べる存在となっていた。メガラがいない事の不安は、全てティナが拭い去ってくれたのだ。快活で、勝ち気で、裏表のない優しい彼女をリシュはとても好いていた。
このまま最後の仕上げに入ってもらって問題ない事を伝え仕立て屋が帰ると、次は宝石商が間をおかずにやってきた。宝石商に関して言えば、リーベルがリシュの為に贈るものを選ぶと言う話しだったため、リシュは隣に座って眺めていれば良かった。花屋はティナが呼んだらしく、先程見た婚礼衣装に合う花の算段をして早々に帰してしまった。
当日の料理のメニューに招待客への招待状。招待客が泊まる宿屋の手配──やる事は掃いて捨てるほどあるようだ。リシュは隣で膝をそろえて座っているだけだったが、それを全て考え、決めて手配して行くなど、目が回りそうであった。
この屋敷の優秀な使用人たちは、ウィドーの指示の元それぞれに割り振られた婚礼への準備で大忙し。リシュの側を離れないのはティナばかりだが、それもまた婚礼の準備なのだから頭が下がる思いであった。
全ての商人の背中を見送ると、リシュは思わず深い息を吐いた。隣で同時にリーベルも溜息を吐き、どちらともなく目を合わせる。そのちいさな同調にどこか嬉しくなり、額をくっ付け笑い合った。
「最後はティナだね。僕は少しウィドーと話してくるから、好きなものを選んで」
リーベルはそう言ってリシュの頬を指先で軽く撫でると部屋を後にした。入れ替わるように応接室へと戻ったティナの細い腕には大小様々な箱が抱えられている。
「リシュ様、髪飾りなのですが」
言いながらテーブルの上に箱が並べられてゆく。来る日の為にティナが毎晩遅くまで髪飾りの見本をつくっていた事をリシュは知っていた。まだ見ぬ衣装に合うように、何通りも。
「あまり派手なものはお嫌ですか」
リシュは曖昧に小さく頷いた。婚礼衣装も、宝石も、やはりリシュには気が引ける。儀式なのだからそれなりの礼服はあるのだろうとは思っていたし、リーベルが喜ぶのであれば、と思う程度である。
「こう言う方がお似合いなのですけど」
そう言ってティナが取り出した髪飾りは、赤いダリアをメインに使い白い花々や葉を添えた大ぶりのもの。もう頭の中で決まっているのか、右耳後ろ辺りに当てている。美しい髪飾りではあるが、リシュには少し派手に思える。
「少し派手かな。もう少し控えめなものだと、こちらですね」
そういって新しい箱から取り出されたものは先程とは違い、小ぶりのカサブランカを基調に白い小花を添えたもので、漆黒の髪に寄り添うような控えめなものだった。
「どちらがお好みですか」
そう問われても、リシュは言葉が出なかった。未だリシュは自ら決める事が苦手だ。それにティナが寝る間も惜しんで自分の為に作ってくれたのだと思うと、どれかひとつを選べそうにない。その心を汲んだように、ティナは出逢った時より少しだけ大人びた瞳を細め微笑んだ。
「今日見た衣装だと、こちら二つがいいと思いますが……旦那様に決めて頂きますか?」
優しい気遣いに頷いて、二人はリーベルの書斎へと向かった。
書斎ではリーベルとウィドーが招待客のリストを最終確認しているようだった。リシュに気付いたウィドーが優しく微笑み作業の手を止める。
「リーベル、髪飾りを」
二つの髪飾りを持って近付くリシュそを見てリーベルは徐に立ち上がると、しなやかな指先で顎を引き寄せる。余りにも突然の行動、間近で見上げた清廉な美貌を前に、頰が燃える心地がした。
「リーベル、人目が」
恥じらうように俯くリシュの頬は、どの花よりも可憐に色付いている。
「綺麗だ、リシュ。日に日に君は美しくなってゆく」
そう言って、リーベルは優しい眼差しでリシュを見詰める。呑まれてしまいそうな大きな青碧の瞳は、出逢った頃のもののよう。重い影は消え去り、ただただ輝いている。はしたなく、瞼を閉じてみようか。そうリシュが思った時、ティナの咳払いが書斎に響いた。
「旦那様、髪飾りを」
「ああ、ごめん。ついつい見惚れてしまう」
慌てて俯くリシュの手の中にある箱を覗き込みながら、リーベルは顎先に手を当てる。
「赤も綺麗だけど、やはり白が良いかな」
「確かに、白の方がお髪が映えますね。ではカサブランカに致します」
「ありがとう、ティナ。よろしく頼むよ」
かしこまりました、と膝を折るティナから逸れた視線が再びリシュの元へと戻る。
「リシュ、また夕食で」
そう言って、リーベルはリシュの頬に口付ける。また少し頬を染め、リシュはティナと共に書斎を後にした。
それからの日々、リシュは婚姻の儀に際して行われる手順を学舎が終わってからマウトより教えられる事となった。婚姻の儀は歴とした儀式である。広大なセントリエルでは毎日行われている最も市民に馴染んだものではあるが、やはり奴隷として生きてきたリシュにとっては一番縁遠い物でもある。
「旦那様とリシュ様の婚姻の儀はセントリエル大聖堂にて行われます。立会人はナウセル司教との事です。トルキア亡き後にその座についた司教様ですね」
マウトはいつも通り何処か冷めた調子でそう説明すると、自室の本棚の前で立ち尽くすリシュを扉の前へと導いた。
「まずリシュ様は旦那様の西側に。陽が落ちる方角です。大聖堂ですと、西は左になります。大聖堂に入り深く一礼を。礼を終えたら主祭壇の前へと歩きます。ゆっくりですよ。慌ててはいけません。貴方は足も悪いし、旦那様がおられるので、心配はないと思いますが」
「そうですね」
扉の正面に位置する出窓を主祭壇に見立て、二人は深く礼をすると足並みを揃えてゆっくりと窓へと歩む。大聖堂はもっと広く、左右の椅子には招待客の他、その瞬間だけ身分格差なく教会に立ち入る事が許された信者も希望があれば座る事ができるのだとマウトは歩きながら教えてくれた。
「主祭壇の前にはこのような紋様の絨毯がありますので、そこに膝を付きます。お尻はつけないで。旦那様の方が身分が高いので、リシュ様から膝を付いて下さい。これは先日教皇レウシスから説かれた新たな教えですので、覚えておいて下さい」
はい、と返し、リシュは不自由な足を庇うように膝を付いた。マウトも追って膝を付くと、左手が差し出される。
「旦那様も膝を付かれたら、旦那様が左手を出しますので、リシュ様も右手を腰の高さ辺りで掌を重ね合わせて下さい。必ず旦那様の手を上に。これも最近の物です。掌を合わせたら目を閉じて、テラーへ誓いを立てます。ジラはお持ちですね」
「は、はい」
「百二十四頁を開いて下さい」
慌てて懐に仕舞い込んでいたジラを取り出し百二十四頁を開く。最近文字を覚えたリシュには眩暈がしそうな長さの誓いの一文を前に言葉を失うリシュを待つ事もなく、マウトは儀式の段取りの説明を続けてゆく。
「これを暗記して頂き、旦那様と共に誓います。あまり大きな声ではやらないように。大聖堂は響きますので」
ジラを懐に戻し、リシュは小さく頷いて見せる。
「誓いを終えたら司教様よりお言葉を賜って、その後はいよいよ血の契りです」
「血の、契り?」
「テラー教に於ける古より続く儀式のひとつです。血を交わし合う事で、永遠を誓うのです」
ようやく立ち上がったマウトに促されリシュもまた立ち上がると、出窓にマウトが用意した小さな針刺しが置いてあった。一本だけ刺された針に、マウトは親指を軽く押し当てる。
「本番は勿論本物の針です。針に指を刺し、こうして……」
向かい合わされ、リシュは間近でリーベル以外の人物と見詰めあう居心地の悪さに思わず視線を逸らす。
「瞼は開けていていいのですか」
「閉じて下さい。旦那様に身を任せて」
はい、と返事を返し、薄く瞼を閉じる。
「失礼、少し触れます。血が膨れたらこうして唇に紅を引くように」
乾いた指先が唇に触れ、リシュは微かに身体を跳ね上げた。ゆっくりと親指をなぞる感覚に意識を集中させ、来たる日を想像する。これがリーベルと永遠の愛を誓う為の儀式だと思うと、竦むような心地である。
しかしリシュが考え込む程暗闇は長い間続き、唇の端でとどまったままの指先の感触も離れては行かない。
「マウト」
一向にこの先を説明もせず、瞼を開けさせようともしないマウトの名を呼び、リシュは不安に眉を寄せた。
「この後は、どうしたら良いですか」
「え、あ、瞼を開けてください」
言われ瞼を開くと、まだあどけなさを残した少年の頬が微かに色付いている。
「同じよう、僕の、唇に」
珍しくどもるマウトに促され、リシュも針に親指を落とし、瞼をきつく閉じるマウトの唇をゆっくりと親指でなぞった。
「こうですか」
強さはどの程度なのか、なぞる速さはこれでいいのか、初めての儀式の前に聞きたい事は山のようにある。けれどマウトは瞼をきつく閉じたまま、震えるように微かに息を荒げている。
「マウト」
不安になって呼び掛けると、ようやく我に帰ったかのように瞼を開き、マウトは慌てて身体を引いた。
「すみません、えっと、血の契りでしたね」
「はい」
訝しげなリシュを置いて、マウトは早口で捲し立てる。
「終わりましたら血を拭う布が用意されていますので手を拭き、身体を主祭壇の方へ向けてください。司教様が儀式が滞りなく済んだ事を教えて下さいますので、深く礼をして大聖堂を出ます」
リシュは深く頷く。儀式自体はとにかく身分の高いものへの配慮を忘れなければ難しい物ではなさそうだが、誓いの文面の丸暗記が一番骨が折れそうだ。
「とにかく、こう言う流れになります」
「分かりました。ありがとうございます」
「明日から毎日練習しましょう」
「はい、よろしくお願いします」
リシュが深く頭を下げ、その日の練習を終えた。
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