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ワクワクと難関、国家魔導士一級への道
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深い霧が、世界そのものを白く塗つぶしていた。
その闇白の海を、特急魔導列車エクスプレス・アルカナが、稲妻のようなスピードで駆け抜けていく。
セイラ・ウィンドレッドは、いつにも増して緊張していた。
これから自分は、人生を掛ける大きな難関に挑もうとしている。
これは、魔女と人間のハーフの中で、自分が初めてかも知れない。
「あと、45分でアカデミーに着くな……どうしよう。上手くいくかな……」
セイラは、ソワソワした。
彼女は、人間界のごく普通の家庭の出身だ。魔女学園の卒業生は、九割が純血の家系だ。
自分はハーフだから、落ちこぼれてばかりだという、気持ちがあった。
魔法薬の時間は、
爆発ばかりさせていた。
魔法史の時間は、
居眠りしてしまった。
飛行の授業は、
調子乗って学園のエリア外まで冒険した。
そんな自分にも、強みがあった。
それは、精霊や魔法生物と心を通わせる事だ。
高いの魔力の波長を合わせ、精神を同調させる。
セイラは魔女学園で、生物委員に所属していた。個体ごとに魔力の性質や特性が異なり、新しい発見があり、やり甲斐があった。
時には大怪我してしまうことがあるけれど、それをひっくるめて彼等との時間はとてもかけがえのない宝ものだった。
「待っていてね。お母さん。」
セイラが挑戦するのは、一級魔導士の資格だ。国が指定する国家資格であり、合格率35パーセントから20パーセントという狭き門だ。多くの魔導士が諦めてきた難易度の高い資格である。
だが、この資格を取得すると、魔導士としての世界が拡がる。
新しい可能性、希望の道が開けてくる。
夢やワクワクがこの先にある。
母が残した、希望をもたらすと言われる精霊石の在処を探す手掛かりが、開けて来る。
窓の外を眺めて物思いに耽っていると、背後から人の足音が聞こえてきた。
「セイラ、お久しぶり。元気してた?」
振り返ると、そこには親友のブリギッドの姿があった。
「おはよう、ブリギッド、久しぶり。」
セイラは、ブリギッドに手を振った。
ブリギッドは、良家の魔導の血が流れている。彼女の家系は、代々魔法省の官僚に所属しており錬金術にも携わっている。
彼女も将来、親の後を継いで魔法省に入り王侯貴族の護衛の仕事をする事になっている。半分人間の血が入り、人間界の田舎で虫取りして奔放に暮らしていた自分とは天と地の差である。
そんな彼女は、ハーフである自分に差別や偏見の眼差しを向ける事なくフレンドリーに接してくれる。
セイラは、彼女から魔法界の事やしきたり、魔法生物や歴史等、沢山教わってきた。
しばらくすると、霧が晴れ幾何学模様の建物が薄っすらと姿を現した。そして、前方に古びた豪勢な建造物が姿を現した。セピア色に錆びた外壁は、1000年以上の歴史を刻んでいた。
「そろそろだね……緊張するな……」
「セイラなら、大丈夫だよ。」
2人は、国家魔道士1級試験を控えている。
これから、専門アカデミーで120時間の座学と200時間の実技を受講し、試験に挑む。
国家魔道士1級の資格は、
受講する者は殆ど少ない。
1級はいうリスクが伴う試験だ。
悪魔が出現するとまで言われ、国が指定する危険生物が生息する森での実技演習がある。重症を負う者や体調不良を起こす者が少なくない。
危険な目にあってまで取りなくないと言うのが、多くの人魔法使いの本音である。
セイラの卒業した魔女学園では、卒業生120人の内の20人が1級にチャレンジする。
「ええと…座学は、120時間、闇の魔術理論、悪魔契約の法体系、王族護衛の概要、魔力暴走時の法的責任、国家魔法機密保持規約、精神耐性訓練理論……
知識不足で国家問題になることを防ぐためのカリキュラムとする。うう…難しい…読んでいるだけで、頭がクラクラする。」
セイラは、学園から渡されたパンフレットを眉を顰めながら眺めていた。
「実技も難しそうね。結界展開速度試験、対悪魔模擬戦、護衛陣形演習、不意打ち対応訓練、魔力枯渇状態からの立て直し……特に護衛任務の失敗=国家危機なので、反応速度と判断力が重視される……だって。」
「48時間連続模擬護衛、睡眠制限あり、突発トラブル複数発生 もあるってよ…どうしよう…上手くいくかなぁ…」
セイラの心臓は、緊張でバクバクしていた。
景色はあっと今に過ぎ去り、幾何学模様の建物が近づいてきた。汽車はスピードがゆっくりになり、車輪はキーと音を立てて停車させた。
受講生は、スーツケースを抱えて次々と車内から降りてきた。
駅を出ると、すぐ目の前にはアカデミーの門があった。
門の前では、眼鏡を掛けた細身の中年女性が出迎えてくれた。
「私は、この国家魔道士資格1級を担当することになった、リータ・スキャマンと言います。皆さんは、3ヶ月間ここで訓練をし試験に挑んで貰います。」
「大丈夫かな……?合格率低いよね……」
「そうだね、セイラ。でも、1級は回数制限ないっていうから、何回でもリトライすればいいんだよ」
受講生は、指定された講義室に案内され、それぞれの席に着いた。
教壇には、70歳位の細身の丸渕眼鏡の男性教授が立っていた。
「今回、オリエンテーションと、闇の魔術理論と悪魔契約の法体系を担当する事になりました、アーデルハイドと言います。皆さんは、これからプロの国家魔導士を目指す事になります。一級は、二級とは異なり責任が重くのしかかります。時には危険が伴いますので、自分の身は、自分で守らなくてはなりません。魔法は奇跡ではありません。魔法とは、己の強い意志と技術の結晶です。私は今まで、闇に呑まれてしまう者を何人か見てきました。こうならない為にも、皆さんは強い精神力を養って下さい。」
彼はそう言うと、
映写機を映し出した。
「では、早速講義に入ります。資料を後ろに渡して下さい。これは、100年前に起きた、忌まわしき戦争です。純血主義とそれに対抗する側の戦いです。
純血主義者の中には、悪魔と契約する者が居たと言われています。
魔王石に取り憑かれたと言われています。」
先生は一番前の生徒らに資料を渡すと、早口でボソボソ喋り始めた。
セイラは、早速ついて来れなくなってしまった。
セイラは睡魔と戦いながら真剣に授業に向き合っていた。
鉛筆を持つ指がカクンと折れる。ノートの端に、自分でも意味のわからない「ミミズのような線」が伸びていく。重たいまぶたをこじ開けるために、自分の頬をパチンと叩く。
教科書の「闇社会の抗争史」という漢字の羅列が、ただの黒いシミに見えてくる。先生の声が遠くの呪文のように聞こえる。
専門学校の固い椅子の上で、セイラの意識は半分、夢の中にいた。
「……この時代の裏社会における、血の契約は……」
先生の声は子守唄みたいに遠くて、ノートの上には、いつの間にか踊るような波線が引かれている。
ダメだ、起きなきゃ。
自分の頬を軽くつねったその時、教科書の隅にある「小さな紋章」が目に留まった。
(あれ……?)
霧が晴れるみたいに、記憶が繋がる。
掃除をしていた母さんが大事そうに撫でていた、古い写真。
そして、あの人がぶっきらぼうに教えてくれた「俺たちの居場所」という言葉。
――心臓が、ドクンと大きく跳ねた。
鉛のような眠気はどこかへ消え、指先にじわっと熱い汗がにじむ。
点と点が繋がった衝撃で、セイラの世界から一気に色が戻ってきた。
「悪魔と契約すると、代償を支払わなくてはなりません。寿命や命、大切な人、記憶、未来、宝石や貴金属など財産を捧げる人が現れました。ですが、現在では悪魔契約は魔法界でも問題視されており、厳粛な法体系の元、取締が行われています。金色の閃光を放つ蘇りし魔女アルアは、悪魔と契約していると言われ…」
その瞬間、
セイラの背筋に冷たい水が走る。心臓の音が急に耳元で大きく鳴り始める。さっきまで重かったまぶたが、嘘みたいに大きく見開かれる。
母が、亡くなったあの日、辺りは金色のか閃光で眩しかった記憶がある。
目が焼け付くような金色ー
ーあはは、まさかね…
まさか、あの母ですら、あんな危険な魔女となんか…
セイラは、苦笑いし首を傾げた。
幼少期に、母に連れられ魔法界に初めて来た時の事を思い出した。
シリウスと言う名の美少年が、魔法について色々教えてくれた。
彼は気弱だけど、温和で聡明だった。
彼は純血ながら人間とのハーフである自分に、一切の差別意識がなく、母を亡くして強がっている自分に優しく寄り添ってもくれた。
これは、今となっては
暖かく甘酸っぱい思い出である。
これは、幸せなひと時だった。
そんな彼は、今となっては冷淡で近寄り難くなった。純血主義のエリート家系の御曹司だからか、彼は次第にドライになっていった。
昔弾んでいた会話も、今となっては続かなく彼は自分を避けるようになった。
母が言っていた事を思い出した。
ー魔法は、人に希望をもたらし人をを変えるものだ。
魔法は、人の苦しみを浄化させるものだ。
ーうん、そうだよね。お母さん。
彼も、きっと変われるよ。
セイラは、そっと窓の外の青空を眺めた。
その闇白の海を、特急魔導列車エクスプレス・アルカナが、稲妻のようなスピードで駆け抜けていく。
セイラ・ウィンドレッドは、いつにも増して緊張していた。
これから自分は、人生を掛ける大きな難関に挑もうとしている。
これは、魔女と人間のハーフの中で、自分が初めてかも知れない。
「あと、45分でアカデミーに着くな……どうしよう。上手くいくかな……」
セイラは、ソワソワした。
彼女は、人間界のごく普通の家庭の出身だ。魔女学園の卒業生は、九割が純血の家系だ。
自分はハーフだから、落ちこぼれてばかりだという、気持ちがあった。
魔法薬の時間は、
爆発ばかりさせていた。
魔法史の時間は、
居眠りしてしまった。
飛行の授業は、
調子乗って学園のエリア外まで冒険した。
そんな自分にも、強みがあった。
それは、精霊や魔法生物と心を通わせる事だ。
高いの魔力の波長を合わせ、精神を同調させる。
セイラは魔女学園で、生物委員に所属していた。個体ごとに魔力の性質や特性が異なり、新しい発見があり、やり甲斐があった。
時には大怪我してしまうことがあるけれど、それをひっくるめて彼等との時間はとてもかけがえのない宝ものだった。
「待っていてね。お母さん。」
セイラが挑戦するのは、一級魔導士の資格だ。国が指定する国家資格であり、合格率35パーセントから20パーセントという狭き門だ。多くの魔導士が諦めてきた難易度の高い資格である。
だが、この資格を取得すると、魔導士としての世界が拡がる。
新しい可能性、希望の道が開けてくる。
夢やワクワクがこの先にある。
母が残した、希望をもたらすと言われる精霊石の在処を探す手掛かりが、開けて来る。
窓の外を眺めて物思いに耽っていると、背後から人の足音が聞こえてきた。
「セイラ、お久しぶり。元気してた?」
振り返ると、そこには親友のブリギッドの姿があった。
「おはよう、ブリギッド、久しぶり。」
セイラは、ブリギッドに手を振った。
ブリギッドは、良家の魔導の血が流れている。彼女の家系は、代々魔法省の官僚に所属しており錬金術にも携わっている。
彼女も将来、親の後を継いで魔法省に入り王侯貴族の護衛の仕事をする事になっている。半分人間の血が入り、人間界の田舎で虫取りして奔放に暮らしていた自分とは天と地の差である。
そんな彼女は、ハーフである自分に差別や偏見の眼差しを向ける事なくフレンドリーに接してくれる。
セイラは、彼女から魔法界の事やしきたり、魔法生物や歴史等、沢山教わってきた。
しばらくすると、霧が晴れ幾何学模様の建物が薄っすらと姿を現した。そして、前方に古びた豪勢な建造物が姿を現した。セピア色に錆びた外壁は、1000年以上の歴史を刻んでいた。
「そろそろだね……緊張するな……」
「セイラなら、大丈夫だよ。」
2人は、国家魔道士1級試験を控えている。
これから、専門アカデミーで120時間の座学と200時間の実技を受講し、試験に挑む。
国家魔道士1級の資格は、
受講する者は殆ど少ない。
1級はいうリスクが伴う試験だ。
悪魔が出現するとまで言われ、国が指定する危険生物が生息する森での実技演習がある。重症を負う者や体調不良を起こす者が少なくない。
危険な目にあってまで取りなくないと言うのが、多くの人魔法使いの本音である。
セイラの卒業した魔女学園では、卒業生120人の内の20人が1級にチャレンジする。
「ええと…座学は、120時間、闇の魔術理論、悪魔契約の法体系、王族護衛の概要、魔力暴走時の法的責任、国家魔法機密保持規約、精神耐性訓練理論……
知識不足で国家問題になることを防ぐためのカリキュラムとする。うう…難しい…読んでいるだけで、頭がクラクラする。」
セイラは、学園から渡されたパンフレットを眉を顰めながら眺めていた。
「実技も難しそうね。結界展開速度試験、対悪魔模擬戦、護衛陣形演習、不意打ち対応訓練、魔力枯渇状態からの立て直し……特に護衛任務の失敗=国家危機なので、反応速度と判断力が重視される……だって。」
「48時間連続模擬護衛、睡眠制限あり、突発トラブル複数発生 もあるってよ…どうしよう…上手くいくかなぁ…」
セイラの心臓は、緊張でバクバクしていた。
景色はあっと今に過ぎ去り、幾何学模様の建物が近づいてきた。汽車はスピードがゆっくりになり、車輪はキーと音を立てて停車させた。
受講生は、スーツケースを抱えて次々と車内から降りてきた。
駅を出ると、すぐ目の前にはアカデミーの門があった。
門の前では、眼鏡を掛けた細身の中年女性が出迎えてくれた。
「私は、この国家魔道士資格1級を担当することになった、リータ・スキャマンと言います。皆さんは、3ヶ月間ここで訓練をし試験に挑んで貰います。」
「大丈夫かな……?合格率低いよね……」
「そうだね、セイラ。でも、1級は回数制限ないっていうから、何回でもリトライすればいいんだよ」
受講生は、指定された講義室に案内され、それぞれの席に着いた。
教壇には、70歳位の細身の丸渕眼鏡の男性教授が立っていた。
「今回、オリエンテーションと、闇の魔術理論と悪魔契約の法体系を担当する事になりました、アーデルハイドと言います。皆さんは、これからプロの国家魔導士を目指す事になります。一級は、二級とは異なり責任が重くのしかかります。時には危険が伴いますので、自分の身は、自分で守らなくてはなりません。魔法は奇跡ではありません。魔法とは、己の強い意志と技術の結晶です。私は今まで、闇に呑まれてしまう者を何人か見てきました。こうならない為にも、皆さんは強い精神力を養って下さい。」
彼はそう言うと、
映写機を映し出した。
「では、早速講義に入ります。資料を後ろに渡して下さい。これは、100年前に起きた、忌まわしき戦争です。純血主義とそれに対抗する側の戦いです。
純血主義者の中には、悪魔と契約する者が居たと言われています。
魔王石に取り憑かれたと言われています。」
先生は一番前の生徒らに資料を渡すと、早口でボソボソ喋り始めた。
セイラは、早速ついて来れなくなってしまった。
セイラは睡魔と戦いながら真剣に授業に向き合っていた。
鉛筆を持つ指がカクンと折れる。ノートの端に、自分でも意味のわからない「ミミズのような線」が伸びていく。重たいまぶたをこじ開けるために、自分の頬をパチンと叩く。
教科書の「闇社会の抗争史」という漢字の羅列が、ただの黒いシミに見えてくる。先生の声が遠くの呪文のように聞こえる。
専門学校の固い椅子の上で、セイラの意識は半分、夢の中にいた。
「……この時代の裏社会における、血の契約は……」
先生の声は子守唄みたいに遠くて、ノートの上には、いつの間にか踊るような波線が引かれている。
ダメだ、起きなきゃ。
自分の頬を軽くつねったその時、教科書の隅にある「小さな紋章」が目に留まった。
(あれ……?)
霧が晴れるみたいに、記憶が繋がる。
掃除をしていた母さんが大事そうに撫でていた、古い写真。
そして、あの人がぶっきらぼうに教えてくれた「俺たちの居場所」という言葉。
――心臓が、ドクンと大きく跳ねた。
鉛のような眠気はどこかへ消え、指先にじわっと熱い汗がにじむ。
点と点が繋がった衝撃で、セイラの世界から一気に色が戻ってきた。
「悪魔と契約すると、代償を支払わなくてはなりません。寿命や命、大切な人、記憶、未来、宝石や貴金属など財産を捧げる人が現れました。ですが、現在では悪魔契約は魔法界でも問題視されており、厳粛な法体系の元、取締が行われています。金色の閃光を放つ蘇りし魔女アルアは、悪魔と契約していると言われ…」
その瞬間、
セイラの背筋に冷たい水が走る。心臓の音が急に耳元で大きく鳴り始める。さっきまで重かったまぶたが、嘘みたいに大きく見開かれる。
母が、亡くなったあの日、辺りは金色のか閃光で眩しかった記憶がある。
目が焼け付くような金色ー
ーあはは、まさかね…
まさか、あの母ですら、あんな危険な魔女となんか…
セイラは、苦笑いし首を傾げた。
幼少期に、母に連れられ魔法界に初めて来た時の事を思い出した。
シリウスと言う名の美少年が、魔法について色々教えてくれた。
彼は気弱だけど、温和で聡明だった。
彼は純血ながら人間とのハーフである自分に、一切の差別意識がなく、母を亡くして強がっている自分に優しく寄り添ってもくれた。
これは、今となっては
暖かく甘酸っぱい思い出である。
これは、幸せなひと時だった。
そんな彼は、今となっては冷淡で近寄り難くなった。純血主義のエリート家系の御曹司だからか、彼は次第にドライになっていった。
昔弾んでいた会話も、今となっては続かなく彼は自分を避けるようになった。
母が言っていた事を思い出した。
ー魔法は、人に希望をもたらし人をを変えるものだ。
魔法は、人の苦しみを浄化させるものだ。
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