堕天使と悪魔の黙示録

RYU

文字の大きさ
7 / 42

ブラック・ジョーカー ②

しおりを挟む
「念の為に例の13体の螺子は全て抜き取りました。ただ…一応、地下は完全に封鎖しときましょう。当分の間、24時間体制で監視するようにしてください。あと、ちょっとでも何か違和感がしたら、直ぐに僕を呼んでください。」
レイジに言われるまま、マネージャーはそそくさと携帯で管制室と取り合った。彼が話し終えた3秒後、鋼鉄のシャッターは鈍い音を立てながら、ゆっくり閉じた。

「この度はわざわざすみません…。ついでといってはなんですが…。来月、指定の口座に580万程、振り込んどきますので…」
「え!?流石にウチもこんなにバカデカい大金は頂けませんよ。今回も80万位で大丈夫です。」
レイジは眉間に深く皺を寄せ、想定外の大金に唖然としていた。
「義手の分500万程上乗せしときました。」
「…はぁ?」
「この子に右腕を造って頂けないでしょうか? 
 アレからこのように塞ぎこんじゃっているんですよ。」
「右腕・・・・・・ですか?僕は、人相手にそういう物は造った事はないですよ?しかも、義手にあの大金は高すぎますよ。」
「その分、生身と区別がつかないようなかなり精密な義手を造ってくれますか?私は組織の端くれですが、この子にこの様な事しかしてあげられないんです。私は非力な凡人ですので…。大鳥さんの様な魔術師に託すしかないので。」
マネージャーは切羽詰まったかのように矢継ぎ早に早口で喋った。
「その…、魔術師っていうのは、やめていだだきますかね…?僕、そう呼ばれるの苦手なんで。」
レイジは角刈りの頭をかきながら、軽く首を傾げた。

     それから2週間後、レイジは完成させた義手を荷台に積め、再び組織に出向く事となった。場違いな建物の入り口には、例のマネージャーが額を拭いながら申し訳なさうにペコペコ頭を下げていた。
     レイジは、旅行にでも行くかの様な場違いなサイズの荷物を担ぐと、案内されるまま少年の元へ向かった。

     広い研究室には、最先端の模型やあたかも人間そっくりの自動人形≪オートマドール≫がずらりと並んでいた。コレを見る度にレイジは『不気味の谷』を連想させる。彼等が人間に似れば似る程、人間達は彼等等に嫌悪感を抱く事もあるらしいのである。
        レイジは、リュックからから工具箱と完成させた右腕を取り出し、少年に近くの椅子に座るように促した。
「どうだ?動かせるか?」
レイジは少年に右腕を装着させ螺子をくるくる回し、彼の顔を覗きこんだ
「スゴいや…。本物みたいだ…。」
少年は右腕をヒラヒラ動かし、猫の様に眼を大きくしていた。
「そういえば、アンタ、名前は何て言うんだ?歳は幾つだい?」
「…俺はカケルだ。12だよ。」
力強い喋りだが、若干声が震えている。明らかに強がっている様だ。自分に警戒しているのだろうか?レイジは身長193センチの長身であり、筋骨隆々で堀の深い顔立ちをしている。おまけにぶっきらぼうで第一印象も悪い。子供が警戒するのも無理はない。
「…本物みたいだね。」
少年は意味深なことを呟き、納得したかの様だった。
「おじさんって、ホントに『魔術師』なの?」
「俺は30なんだが…。しかも『魔術師』なんて言う呼ばれ方は嫌いなんでね。」
「ふぅん。そのうち俺にもスゴい奴、造ってよ。ボディガードっていうやつ。ターミネーターみたいに最強で、主人公を守ってくれるカッチョイイのがいいな。」
「あぁ…、アンタがジョンの様に有名人になったら考えてやってもいいがな。」
レイジは冗談交じりに苦笑いをし、カケルの頭を乱暴に撫でた。そして大災害でも起きたかの様な真剣な面持ちで、カケルと正面で向き合った。
「いいか、彼等自動人形≪オートマドール≫を侮ってはいけない。特にVXは特別なんだ。彼等は最強の味方にもなるが、最悪の強敵にもなり得る。命を落とすかも知れない。扱いを間違えると大火傷をしてしまうんだよ。」
「…つまり、ヒーローにでもモンスターにでもなるって事?」
「そういう事だぜ。アンタ、物分かりが良いな。」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

リボーン&リライフ

廣瀬純七
SF
性別を変えて過去に戻って人生をやり直す男の話

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

ビキニに恋した男

廣瀬純七
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち

ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。 クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。 それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。 そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決! その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

処理中です...