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邂逅のデス・レース ①
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その日は気持ちの悪い目覚めだった。最近、不気味な夢ににうなされているのだ。フック船長の様な容姿に下半身はクラーケンの様な化け物ー。
「まあ、顔でも見せに行ってくるか…右腕も気になるし。」
病み上がりで軽く痛みも残っているが、取り立てて特に立て込んだ用事はなかったのだ。気晴らしに青木博士に会いたい気分でもあった。
「やぁ、元気にしていたかい?」
ドームの様な場違いな建物の玄関からホイップクリームのチューブを片手に持った中年男が、陽気に出迎えてきた。
「まあまあだな…。まぁ、実際博士の造った玩具で助かった訳だし。それにしても、お腹ますますマズイね…。トドみたいだ。」
「玩具、言うな。なかなか社会に貢献してるんだぞ。それに、最近ダイエットマシンを発明したばかりなんだよ。」
倉庫の様に広い空間の中央には、アンティークなソファーとテレビが置いてあった。それらを取り囲むかの様に摩訶不思議なマシンが不規則に眠っていた。青木博士は奥のキッチンに向かい、電気ケトルを止めた。2人分のコーヒーをテーブルに置き、自分の分に生クリームをソフトクリームの様にたっぷりかけて飲んだ。カケルは吐きそうな顔になり、コーヒーをブラックのまま飲み干した。
「コレが、例のダイエットマシンか?」
部屋のすみに巨大なアスレチックの様な機械がそびえていた。
「そうなんだよ。君に是非、コレをやってもらいたい。」
「なら、博士が先にやり方見せてよ。」
「なら、見せてやろうじゃないか!」
博士は子供の様にはしゃいで、巨大なブランコをこぎ始めた。
カケルは博士を尻目に、コーヒーを継ぎ足し、漠然とテレビを眺めた。
『では、最新のニュースです。先週行われたビックウェーブカップで発生しました、痛ましい事件の速報です。どうやら、レースに最新のVXが数体紛れ込んでいた模様です。行方不明者20名。生存者はフランスの選手とイギリスの選手の2名となっております。井田さん、今回はなぜ回収された筈のVXが紛れていたのでしょうか?』
「何だって…、。日比谷未来も行方不明なのか!?」
「あぁ、あの件か。痛ましいー。あ…、ちょっと止めてくれないか…。止まらんのだよ。」
博士を乗せた巨大な振り子の様なブランコは激しく振り続け360度回転した。博士はあわてふためき、ひたすら手すりにしがみついている。
「ちょっと、静かにしてくれないか?」
カケルは博士を他所に、食い入る様にテレビを眺めていた。
ー何だ、アレは。ー
何の変哲もないレース中の映像だが、状況が明らかにおかしいのだ。皆途中から消えているのだ。そして辺り一面に黒い霧が覆ったかと思うと、霧は人の形になり、スカルの様な化け物がそこに姿を現したのだった。
「リゲル・ロード!」
カケルは眼を皿のように円く開けた。
「カケル君!!!」
博士の巨体が勢いよく不規則に回転し、そのままカケルの上にダイブした。カケルは下敷きになり、ソファーごと仰向けに倒れた。
「やめてくれよー」
カケルは溜め息をつき、苦しそうに天井を眺めた。
「悪い。悪い。お詫びだが…、お前にどれか好きなマシンを…」
「ソレはいいんだ。その代わり、俺がコイツとレース出来るようにうまくやってくれないか?」
「あぁ、出来なくはないが…命の保証は出来ないぞ。あ、忘れてたぞ…。」
博士は重い腰を上げ、クローゼットの方に向かうと、ハンガーラックからインナースーツを取り出した。
「わしらの開発した試作品だ。流石にスーツやメットは全て指定したのじゃないと駄目みたいだが、このインナーならボディーチェックもすり抜けられる。」
カケルはスーツを受けとると、テレビをまじまじと眺めていた。
かつてレイジはメンテナンスに来たあの日、おぞましい三体の魔物の視線を感じ、真っ先にその場から去りたかったと、話していた。
「コイツは、レイジが言っていた例の魔物と何か繋がりがあるかも知れないー。」
カケルは眉間に深く皺を刻み込んだ。
「まあ、顔でも見せに行ってくるか…右腕も気になるし。」
病み上がりで軽く痛みも残っているが、取り立てて特に立て込んだ用事はなかったのだ。気晴らしに青木博士に会いたい気分でもあった。
「やぁ、元気にしていたかい?」
ドームの様な場違いな建物の玄関からホイップクリームのチューブを片手に持った中年男が、陽気に出迎えてきた。
「まあまあだな…。まぁ、実際博士の造った玩具で助かった訳だし。それにしても、お腹ますますマズイね…。トドみたいだ。」
「玩具、言うな。なかなか社会に貢献してるんだぞ。それに、最近ダイエットマシンを発明したばかりなんだよ。」
倉庫の様に広い空間の中央には、アンティークなソファーとテレビが置いてあった。それらを取り囲むかの様に摩訶不思議なマシンが不規則に眠っていた。青木博士は奥のキッチンに向かい、電気ケトルを止めた。2人分のコーヒーをテーブルに置き、自分の分に生クリームをソフトクリームの様にたっぷりかけて飲んだ。カケルは吐きそうな顔になり、コーヒーをブラックのまま飲み干した。
「コレが、例のダイエットマシンか?」
部屋のすみに巨大なアスレチックの様な機械がそびえていた。
「そうなんだよ。君に是非、コレをやってもらいたい。」
「なら、博士が先にやり方見せてよ。」
「なら、見せてやろうじゃないか!」
博士は子供の様にはしゃいで、巨大なブランコをこぎ始めた。
カケルは博士を尻目に、コーヒーを継ぎ足し、漠然とテレビを眺めた。
『では、最新のニュースです。先週行われたビックウェーブカップで発生しました、痛ましい事件の速報です。どうやら、レースに最新のVXが数体紛れ込んでいた模様です。行方不明者20名。生存者はフランスの選手とイギリスの選手の2名となっております。井田さん、今回はなぜ回収された筈のVXが紛れていたのでしょうか?』
「何だって…、。日比谷未来も行方不明なのか!?」
「あぁ、あの件か。痛ましいー。あ…、ちょっと止めてくれないか…。止まらんのだよ。」
博士を乗せた巨大な振り子の様なブランコは激しく振り続け360度回転した。博士はあわてふためき、ひたすら手すりにしがみついている。
「ちょっと、静かにしてくれないか?」
カケルは博士を他所に、食い入る様にテレビを眺めていた。
ー何だ、アレは。ー
何の変哲もないレース中の映像だが、状況が明らかにおかしいのだ。皆途中から消えているのだ。そして辺り一面に黒い霧が覆ったかと思うと、霧は人の形になり、スカルの様な化け物がそこに姿を現したのだった。
「リゲル・ロード!」
カケルは眼を皿のように円く開けた。
「カケル君!!!」
博士の巨体が勢いよく不規則に回転し、そのままカケルの上にダイブした。カケルは下敷きになり、ソファーごと仰向けに倒れた。
「やめてくれよー」
カケルは溜め息をつき、苦しそうに天井を眺めた。
「悪い。悪い。お詫びだが…、お前にどれか好きなマシンを…」
「ソレはいいんだ。その代わり、俺がコイツとレース出来るようにうまくやってくれないか?」
「あぁ、出来なくはないが…命の保証は出来ないぞ。あ、忘れてたぞ…。」
博士は重い腰を上げ、クローゼットの方に向かうと、ハンガーラックからインナースーツを取り出した。
「わしらの開発した試作品だ。流石にスーツやメットは全て指定したのじゃないと駄目みたいだが、このインナーならボディーチェックもすり抜けられる。」
カケルはスーツを受けとると、テレビをまじまじと眺めていた。
かつてレイジはメンテナンスに来たあの日、おぞましい三体の魔物の視線を感じ、真っ先にその場から去りたかったと、話していた。
「コイツは、レイジが言っていた例の魔物と何か繋がりがあるかも知れないー。」
カケルは眉間に深く皺を刻み込んだ。
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