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天使と悪魔
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翌朝、全てがなかったかのように気怠げな日常が始まった。
昨日、例の化け物がいなくなってすぐ、マコトは慌てて警察を呼んだが、いつのまにか遺体の残骸が全て幻であったかのようにすっかり消えていたのだ。
ニュースで行方不明者100人の情報が流れた。人気の多い繁華街の筈なのに、目撃者はマコトの他に誰もおらず、神隠しにかかったかのような状況が起きていた。
大学では、ほとんどこの話でもちきりだった。授業中もこっそりスマホで検索したり、ソワソワしているものが多かった。
小学校の頃だっただろうかー。河川敷で、近所の同級生が高校生ぐらいの不良グループに人質になった時の話しだ。その子は、恐喝にあってるようである。青年は溜息をつくと、そのグループの中に入っていった。
青年は、不良の一人の頭を掴んだ。
しかし、青年は、軽々と不良を持ち上げお腹に秒速でパンチを食らわせた。不良はジムのサンドバックように九の字になる。そして軽々と15メートル先の川の中に押しやられた。川の水は高々とに水飛沫を上げていた。不良は打ち上げられた魚のようにぶくぶく泡を吹いていた。取り巻きは無言で青ざめ、其の場を去った。
本来、彼は勉強もスポーツも喧嘩もほとんど手を抜いても卒なくこなしていた器用な少年だった。しかし、年を重なるごとにんだんそれが何か取りついているような奇妙な感じになり、それも昔のトラウマとの因果もあり、次第に手を抜くようになっていった。
家に帰り、二回の寝室で横になる。毎日、刺激のない淀んだ毎日である。
あの日、霧に包まれた鬱蒼とした森で、学校の友人たちは食い殺された。とんがり帽子の少女の姿の化け物にー。しかし、自分だけは生き残ってしまったー。
自分は10年前のあの頃から何も変わっていなかった。かつてのトラウマから、1ミリも抜け出せない。どう頑張ってもトラウマが脳裏を支配していたのだ。全ては、宇宙の摂理でできているのだと思わずにはいられない。
そう思うようになってから、退廃的で偏屈な性格になってしまった。心に分厚い氷の扉を作った。そして、自分に近づく者にはわざと傷つけるようなことを言うようになってしまった。しまいには次第に孤立するようになった。
しばらくウトウトすると、時計の針は夜の七時になっていた。
すると、何処からか女の甘ったるい声が聞こえてきた。
『マコト-。マコトー。』
「だから、何なんだ、何なんだよ、あんたは。何で俺の名をー?」
急に窓が開くと、そこから、美女が姿を現した。
青年は不安に覚え、そばにある木のバットを握りしめた。
化け物の身体はみるみる木のようになっていき、触手を伸ばした。
美女の身体がグニャグニャ変形した。
すると、床に巨大な穴が空き、メキメキ巨大な樹木が多い茂った。
そこには青空が広がり、一面木々に囲まれていた。広大な山々が広がっていた。
「ど、何処だー!?ここは・・・」
美女は不気味に微笑んだ。
「ここは、『グリーンキャピタル』ですわ。」
美女は悪冷えることせずに、肩をすくめる。
「助けを呼んでも無駄ですわ。」
ーーーと、美女の手が触手のようににょきにょき伸びてきた。その手は徐々に木の枝のように茶色くゴツゴツした感じになり、うねうね伸びてく。そしてたちまち美女の口が裂けたかのようにパックリ広がった。
「こんにちは。マコト。」
美女は不気味に笑っていたー。
マコトは逃げようとしたが、身体が思うように動かなかった。身体は木の枝にがっちり拘束されており、自由は効かなかったのだ。
するといきなり、つむじ風のような突風に襲われた。身体の自由が効いたのだ。美女の動きが一瞬停止した。すると、綺麗に切断された木の枝とともにマコトは落下した。
真下にはブーメランのような形の大太刀を携えた少年の姿があったー。
「やれやれ、保護するように言われたが、このとおりだ。」
少年は落下するマコトをキャッチすると、その場に寝かせた。
その横顔を見た瞬間、息をのんだ。中性的な美少年だった。容姿端麗であり、透き通るエメラルドの目ー、綺麗なブロンドの髪は後ろで編んでいた。右目は前髪で隠れて見えない。華のある容姿だが、しかし、少年らしさがなかった。きりッとしたシャープな顔立ちである。幾度の修羅場を経験した年季の入ったの表情をしていた。
少年は真顔になって話し始めた。
「私はハンターだよ。ずっとあんたの事を探してしていたんだ。」
「それ…、どういう事ですか?」
「私は、あんたを保護しに来たんだよ。」
化け物の身体はみるみる木のようになっていき、触手を伸ばした。
美女の身体がグニャグニャ変形した。
メキメキ巨大な樹木が多い茂った。
眼前には化け物が薄気味悪く笑みを浮かべ、無数の木の枝をうねうねさせている。目は徐々に細く、口はますます大きく広がる。枝には、タコの吸盤のような物が無数についていた。そこからはガスが漏れており、微かに塩素のような匂いを覚えた。少年はマコトを乱暴に後方に突き飛ばした。
「危ない、あっち行ってろ!」
マコトは言われるがまま、全力で逃げた。
化け物の触手は束になり、猛烈な速さでマコトに迫ってきた。竜巻のような鋭い突風が巻き起こる。少年は右手に巨大なせ、突風を纏った。如く触手を切断した。切断された無数の触手が降ってくる。切断面は黒紫のガスを撒き散らし、ボコボコ不気味な音を立て、再生する。生ごみのような不愉快な臭いが舞ってくる。マコトはその悪魔の如くおぞましい光景を目の当たりにし、身震いをした。静かに霧が立ち込めてくる。少年の姿が見えない。
「お、おい・・・、あんた、何処だ!?」
マコトが叫ぶが、霧は段々濃く広がっていく。マコトはむせこんだ。煙の向こうから、とてつもない爆音が無数に聞こえてくる。地面全体が、大きくぐらついた。マコトは近くの樹木にしがみつく。
すると、霧の中から化け物の生首が宙を舞ってくる。化け物はマコトと目が合うと、ニンマリ笑った。マコトは、恐怖で身体が固まった。
「では、地獄の底でお会いしましょう。」
生首はぐしゃりと落下し次第に溶けていき、そして蒸発していった。
そこでまた意識が遠のいた。
マコトが目を覚ますと、見慣れない不思議な空間で横になっていた。外を見るとそこには異世界が広がっていた。
漆黒とグレーのビル群が夕日に照らされ、天まで届きそうな位怏々とそびえていた。空には不思議な形の乗り物が縦横無尽に飛び回っていた。別の窓からは巨大な要塞じみた建物に、摩訶不思議な形状をした巨大な建造物が睨み付けるかの様にずっしり構えている。
さっきまで見ていた温かみのある雰囲気とは似ている様で全く違っている。
科学技術をこれでもかと言うほど誇張しているようであるが、異次元過ぎて恐怖を感じてしまう。隙間なくみっしり建てられているビルに威圧感を覚えた。そして、重苦しさを感じるほどのグレーな景色にマコトは眩暈を感じた。どす黒い鉛の物体に押し潰されそうな感覚に襲われたのだった。マコトは頭がクラクラしベッドに戻ると、頭の中を整理した。
そこで、奇妙なことに気が付いた。たまにみる夢の中の世界とそっくりなのであった。
ここは、地球なのだろうかー。
マコトは不安を覚えた。
するとけたたましく、入口のドアが開く音がした。
「やあ、起きたかい?」
あの時、自分を助けた少年が入ってきた。
「誰ですか?あなたは…」
「やれやれ…自分がした記憶も無いのか…。まあいい。覚醒するのは、時間の問題だしな。」
少年バンダナを外すと、頭をボリボリ掻いた。
「か、覚醒だと・・・何なんだ?あんたは・・・」
自分より少し若い感じの少年が、やけに上から目線である。そのどことなく鼻のつく物言いにマコトはムッとした。
「…いや、何も知らなくていい。」
少年は溜息をつき、パイプに火を点した。
「…どういう意味ですか…?」
そして重たい声を出した。
「…私は、お前を保護しに来たんだ。今は、しばらく大人しくしてろ。」
昨日、例の化け物がいなくなってすぐ、マコトは慌てて警察を呼んだが、いつのまにか遺体の残骸が全て幻であったかのようにすっかり消えていたのだ。
ニュースで行方不明者100人の情報が流れた。人気の多い繁華街の筈なのに、目撃者はマコトの他に誰もおらず、神隠しにかかったかのような状況が起きていた。
大学では、ほとんどこの話でもちきりだった。授業中もこっそりスマホで検索したり、ソワソワしているものが多かった。
小学校の頃だっただろうかー。河川敷で、近所の同級生が高校生ぐらいの不良グループに人質になった時の話しだ。その子は、恐喝にあってるようである。青年は溜息をつくと、そのグループの中に入っていった。
青年は、不良の一人の頭を掴んだ。
しかし、青年は、軽々と不良を持ち上げお腹に秒速でパンチを食らわせた。不良はジムのサンドバックように九の字になる。そして軽々と15メートル先の川の中に押しやられた。川の水は高々とに水飛沫を上げていた。不良は打ち上げられた魚のようにぶくぶく泡を吹いていた。取り巻きは無言で青ざめ、其の場を去った。
本来、彼は勉強もスポーツも喧嘩もほとんど手を抜いても卒なくこなしていた器用な少年だった。しかし、年を重なるごとにんだんそれが何か取りついているような奇妙な感じになり、それも昔のトラウマとの因果もあり、次第に手を抜くようになっていった。
家に帰り、二回の寝室で横になる。毎日、刺激のない淀んだ毎日である。
あの日、霧に包まれた鬱蒼とした森で、学校の友人たちは食い殺された。とんがり帽子の少女の姿の化け物にー。しかし、自分だけは生き残ってしまったー。
自分は10年前のあの頃から何も変わっていなかった。かつてのトラウマから、1ミリも抜け出せない。どう頑張ってもトラウマが脳裏を支配していたのだ。全ては、宇宙の摂理でできているのだと思わずにはいられない。
そう思うようになってから、退廃的で偏屈な性格になってしまった。心に分厚い氷の扉を作った。そして、自分に近づく者にはわざと傷つけるようなことを言うようになってしまった。しまいには次第に孤立するようになった。
しばらくウトウトすると、時計の針は夜の七時になっていた。
すると、何処からか女の甘ったるい声が聞こえてきた。
『マコト-。マコトー。』
「だから、何なんだ、何なんだよ、あんたは。何で俺の名をー?」
急に窓が開くと、そこから、美女が姿を現した。
青年は不安に覚え、そばにある木のバットを握りしめた。
化け物の身体はみるみる木のようになっていき、触手を伸ばした。
美女の身体がグニャグニャ変形した。
すると、床に巨大な穴が空き、メキメキ巨大な樹木が多い茂った。
そこには青空が広がり、一面木々に囲まれていた。広大な山々が広がっていた。
「ど、何処だー!?ここは・・・」
美女は不気味に微笑んだ。
「ここは、『グリーンキャピタル』ですわ。」
美女は悪冷えることせずに、肩をすくめる。
「助けを呼んでも無駄ですわ。」
ーーーと、美女の手が触手のようににょきにょき伸びてきた。その手は徐々に木の枝のように茶色くゴツゴツした感じになり、うねうね伸びてく。そしてたちまち美女の口が裂けたかのようにパックリ広がった。
「こんにちは。マコト。」
美女は不気味に笑っていたー。
マコトは逃げようとしたが、身体が思うように動かなかった。身体は木の枝にがっちり拘束されており、自由は効かなかったのだ。
するといきなり、つむじ風のような突風に襲われた。身体の自由が効いたのだ。美女の動きが一瞬停止した。すると、綺麗に切断された木の枝とともにマコトは落下した。
真下にはブーメランのような形の大太刀を携えた少年の姿があったー。
「やれやれ、保護するように言われたが、このとおりだ。」
少年は落下するマコトをキャッチすると、その場に寝かせた。
その横顔を見た瞬間、息をのんだ。中性的な美少年だった。容姿端麗であり、透き通るエメラルドの目ー、綺麗なブロンドの髪は後ろで編んでいた。右目は前髪で隠れて見えない。華のある容姿だが、しかし、少年らしさがなかった。きりッとしたシャープな顔立ちである。幾度の修羅場を経験した年季の入ったの表情をしていた。
少年は真顔になって話し始めた。
「私はハンターだよ。ずっとあんたの事を探してしていたんだ。」
「それ…、どういう事ですか?」
「私は、あんたを保護しに来たんだよ。」
化け物の身体はみるみる木のようになっていき、触手を伸ばした。
美女の身体がグニャグニャ変形した。
メキメキ巨大な樹木が多い茂った。
眼前には化け物が薄気味悪く笑みを浮かべ、無数の木の枝をうねうねさせている。目は徐々に細く、口はますます大きく広がる。枝には、タコの吸盤のような物が無数についていた。そこからはガスが漏れており、微かに塩素のような匂いを覚えた。少年はマコトを乱暴に後方に突き飛ばした。
「危ない、あっち行ってろ!」
マコトは言われるがまま、全力で逃げた。
化け物の触手は束になり、猛烈な速さでマコトに迫ってきた。竜巻のような鋭い突風が巻き起こる。少年は右手に巨大なせ、突風を纏った。如く触手を切断した。切断された無数の触手が降ってくる。切断面は黒紫のガスを撒き散らし、ボコボコ不気味な音を立て、再生する。生ごみのような不愉快な臭いが舞ってくる。マコトはその悪魔の如くおぞましい光景を目の当たりにし、身震いをした。静かに霧が立ち込めてくる。少年の姿が見えない。
「お、おい・・・、あんた、何処だ!?」
マコトが叫ぶが、霧は段々濃く広がっていく。マコトはむせこんだ。煙の向こうから、とてつもない爆音が無数に聞こえてくる。地面全体が、大きくぐらついた。マコトは近くの樹木にしがみつく。
すると、霧の中から化け物の生首が宙を舞ってくる。化け物はマコトと目が合うと、ニンマリ笑った。マコトは、恐怖で身体が固まった。
「では、地獄の底でお会いしましょう。」
生首はぐしゃりと落下し次第に溶けていき、そして蒸発していった。
そこでまた意識が遠のいた。
マコトが目を覚ますと、見慣れない不思議な空間で横になっていた。外を見るとそこには異世界が広がっていた。
漆黒とグレーのビル群が夕日に照らされ、天まで届きそうな位怏々とそびえていた。空には不思議な形の乗り物が縦横無尽に飛び回っていた。別の窓からは巨大な要塞じみた建物に、摩訶不思議な形状をした巨大な建造物が睨み付けるかの様にずっしり構えている。
さっきまで見ていた温かみのある雰囲気とは似ている様で全く違っている。
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そこで、奇妙なことに気が付いた。たまにみる夢の中の世界とそっくりなのであった。
ここは、地球なのだろうかー。
マコトは不安を覚えた。
するとけたたましく、入口のドアが開く音がした。
「やあ、起きたかい?」
あの時、自分を助けた少年が入ってきた。
「誰ですか?あなたは…」
「やれやれ…自分がした記憶も無いのか…。まあいい。覚醒するのは、時間の問題だしな。」
少年バンダナを外すと、頭をボリボリ掻いた。
「か、覚醒だと・・・何なんだ?あんたは・・・」
自分より少し若い感じの少年が、やけに上から目線である。そのどことなく鼻のつく物言いにマコトはムッとした。
「…いや、何も知らなくていい。」
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