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悪魔の降臨
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とある南第三地区ー。この街の中心部に巨大なショッピングモールが建設された。地上550メートルを誇るこの建物は、歴史的な建造物が無造作に置かれており、あらゆる技巧を凝らしている。今や、この街のシンボルとなっている。
そんな中、2階の通路にぽっかり黒い穴が空いた。その穴は徐々に大きくなり、次第に黒い渦を形成していった。人々は悲鳴を上げて逃げるも、何か強力な磁石の様な物に引っ張られる可かのように次々と渦の中に飲み込まれ、そして、消失していった。
「こんにちは。皆さん。」
ダークネスは、両手にスカートを摘むと律儀にお辞儀をする。見た目は、15か16位の少女であろうか?中世の貴族を彷彿とさせる気品のあるゴスロリファッションに、リボンのついたツインテールをしている。そしてまた再び黒い渦が出現し、もう一人のダークネスが現れた。その瞬間、人々は立て続けに髑髏となり灰とかした。
「あら、おじ様。ごきげんよう。」
少女は仲間のダークネスに再び同じ体勢でお辞儀をした。
「久しぶりだな。シャーリー。」
「3年ぶりかしら。懐かしいですわ。あと、ここは制圧しましたわ。」
少女は冷淡に微笑みながら話す。
「相変わらずだな。お前は、我が同胞の中でも、なかなか有名だぞよ。強欲だとな。」
ダークネスは、初老の男の姿をしている。シルクハットにトレンチコート、丸ぶちめがねを眼鏡をかけていた。彼は、上機嫌にパイプを吸っている。
「あら、おじ様。だってそうしないとやっていけませんわ。それに、おじ様だって、それは同じ事ですわ。おじ様の手腕は中々有名ですわよ。」
「ほほう。こやつめ。ワシはビジネスでやっておるのだよ。子供の欲望と同じにしないでおくれよ。」
「まあ、おじ様ったら、呆れるわね。結局、同じではありませんの?」
「こ、この化け物め。」
遥か後方からひとりの男が震えながらライフルを構えている。そして男は引き金を引いた。そして連射の雨を浴びせた。しかし、二人は全身に弾を浴びつつ、視線をこっちに向けたまま、びくりともしない。
「ほほう。こやつは、随分タフであるぞ。」
初老の男は物珍しそうに若い男を眺めている。若い男はむき出しにして、じっと初老の男を見ていた。
「これはレア者ですわよ。おじ様。」
シャーリーは、面白そうに青年を見つめている。
「だから、このままにしておくには惜しい人材だよ。」
初老の男は髭を引っ張りながら煙りを吐き出す。
「貴殿に新たな力を授けよう。」
初老の男は、ゆっくり青年に近づいた。青年は後ずさりしようにも、身体が岩のように重くなり、動くことが出来ない。そして、初老の男は全身に黒灰色の羽の様なものがみるみる生えていった。そして、巨大な鳥の様な姿に変貌した。そして、彼は片方の翼を青年の頭に当てた。黒い渦が眼前に迫っていく。
「うわああああああ!」
若い男は悲鳴を上げながら、そのまま黒い渦に飲み込まれた。
とある山道で、若い女二人が山道をドライブしていた。4月の花と緑が生い茂り風の爽やかな気候の中、二人は景色を堪能していた。しばら森の中を走ると、そこには一面の田園風景が広がっていた。さっきまで蛙の泣き声がシーンと鎮まり、風も弱まっている。
しばらく走るとまた元来た道に戻っていた。二人はナビを起動するも、圏外になっている。
ふと、目の前のガードレールには奇妙な少女がいた。年齢は12、13ぐらいだろうか。何故か少女はは、季節外れのぶかぶかの帽子、分厚いトレンチコートに、ボロボロのマフラーをしていた。親は何処にいるのだろうか?二人は周囲を見渡すも、その子の親らしき人は見当たらない。人が誰も居ないのだ。この界隈の人だろうか。二人は躊躇するも、話し合い、道を尋ねる事にした。
「すみません、地元の方ですか?」
少女はゆっくり頷く。
「道、知ってるよ。」
そしてほくそ笑んだ。
ルミナはぼんやり湯船に浸かっていた。
時刻は午後5時を回っていた。天井の隙間から日光が照らし出されている。自分はもう、すっかり日光に弱くなっていた。曇の時も、夕暮れ時も隙間から差し込む光を見ると、目眩を覚えるのだ。
ー自分はもしかしたら、本当に化け物なのかも知れないー。
ルミナの身体には無数の痣のような傷がある。コレは、110年前のダークネスの出現により出来たモノである。仲間を失い、自身が生き残った際に命と引替えに、右目と全身を負傷した。右目は亡くなった親友から移植したものである。全身の痛々しい傷は治そうと思えば、組織の全技術の結晶を利用し、幾らでもそうしてもらえる。自力でも、力スキルを持ちいり、そうする事が出来る。しかし、何故かその傷を治すことに、どうしても罪悪感と躊躇いの気持ちがある。もし、治したら亡くなった仲間達より先に行ってしまい、彼女たちの事を忘れてしまうのではないのかという懸念があった。
湯船からあがると、丁度エリアムとすれ違った。
「何だ、もう帰っていたんだな。」
ルミナはぼんやり顔を合わせず、ボソッと言い放った。
「ー」
エリアムは無視すると、そのまま洗い場へ向かった。
「何処、行っていたんだよ?」
「ーちょっと、組織の方へ。野暮用だ。」
えリアムは顔を合わせる事無く、石鹸を使い、顔を洗い始めた。
ルミナは軽く溜め息をつくと、バスローブを着た。
リビングに向かうと、サラがルミナに写真を手渡した。
「ルミナ、仕事よ。コレはさっき、メリッサから、渡されたのよ。」
写真の中に2人の若い女が笑顔でピースサインを出していた。しかし、彼女たちのすぐ後ろに化け物がにんまりほくそ笑んでいるのが見える。ブカブカの帽子を被った顔の浅黒い少女が、眼光を光らせにんまりほくそ笑んでいた。
「ルミナ、これってー。」
「ああ。そういうことだろう。こいつは紛れもなくアストリアンだ。」
「彼女たちはもう、手遅れね。そこの畑はみんな化け物の身体の一部なんでしょ?」
「ああ。そういう事になるだろうな。」
ルミナは眉間に皺を寄せてその様を凝視していた。
「ルミナ、一応、エリアムも一緒だからー。」
「いいや、アイツは駄目だ。何なら、私、1人でもいい。」
ルミナは頑なに首を横に振る。
「ー私も向かうわ。」
「仕方ねぇな。」
ルミナは、面倒くさそうにワインを飲み干した。
翌朝、2人は事件が発生した場所へ向かう為、車で山道を走っていた。サラが運転している傍ら、ルミナは頬杖つきながら、ぼんやり景色を眺めていた。
「あの子は元は人で魔術師の家系だったんだろうな。それから、死んでドールとして蘇り、力をつけて大量に人を食らってアストリアンに昇格したんだろう。」
「元、人間の少女ー?」
「ああ。人間の少女だ。元々の魔力が強かったから、アストリアンにドールにされて蘇ったんだ。コイツはフィールドの扱いが上手いから、昼間でも活動出来るのだろうな。」
ルミナは苦虫を噛み潰したような顔ををし、淡々と話す。
「-惨めなモノね。」
サラは顔を濁らせた。
「サラ、アストリアンに同情してんじゃねーよ。あいつはもう人ではないんだ。かつての記憶も理性も殆どないんだぞ。」
ルミナは肘をつき景色を見ながら、呆れて外の景色を眺めていた。
「知ってるわ。ただ、時々、心が痛むのよ。」
「お前なぁー。」
ルミナは溜息をついた。元々、ルミナは人間嫌いで物事をシビアに合理的に考える節がある。その為、人情という物には疎かった。アストリアンは討伐の対象でしかない。しかし、確かにそれはそうだ。ドールやアストリアンの中にも元人間は数多くいる。かつては人としての自我を保ち、たくさんの仲間たちといろんな思い出を積み重ねてきたのだろう。
だが、もう今はあの子は只の少女ではない。人々を蹂躙じゅうりんする異形の怪物なのだ。直ちに討伐しないと犠牲者が蔓延して、最悪、ドールが増えるだろう。
しばらく道を走っていくと、いつの間にか元来た道を再び走っていたことに気が付いた。時計とコンパスは針がグルグル回転している。
「既にもう、フィールドの中ね。」
「ああ。ここは奴の胃袋の中だ。」
しばらく車を走らせると、ガードレールの脇に少女が立っていたので、停車させた。
「お姉さん方も迷子?」
少女はにっこり微笑んで近づく。見た目は12~13歳位で、ブカブカの帽子を被っている。分厚い緑のトレンチコートに、黄色いスカーフを巻いている。
「ああ。そのようだぜ。」
ルミナは少女を一瞥すると、隠し持っていた大太刀を構えた。
「じゃあ、乗せて。私分かるから。」
少女はあどけない笑みを見せた。
「悪いね。あんたは、コレで終わりだよ。」
ルミナはそう言うと、秒速で少女の頭部を切り落とした。すると、頭部の切断面からスライムの様な物があふれ出し、魚の腐敗したような臭いがした。そこから黒い無数の触手の様な物が出現し、触手だけで蜘蛛のような体勢で直立したのだ。
「あら、惜しかったわね。もう少しで完全に殺せたのに。アルファのおねえさん。」
少女は頭部をカクカク伸ばし始め、小刻みに揺れた。そして、全身に黒黒としたオーラを放った。
「ねえ、私今、すっごくお腹すいてるの。お姉さんたち、なんか美味しそうね-。」
少女の揺れは大きくなり、首が長く伸び、二人を襲う。目は大きく円形になり、真っ赤に光っている。
二人は間を取る。少女はカクカク首が揺れれ、ギザギザに伸びた。髪は触手の様な形状になり、波打ち、二人を襲う。二人は構えると力スキルを発動した。
ルミナは大太刀を振り上げ、全神経を集中させる。その瞬間に風の束は波のようにうねり、とてつもなく強い暴風が吹き荒れた。
そして全腕力を用いて両腕を振り下ろす。そして、襲い掛かる無数の触手を八つ裂きに切り刻んだ。職手は骨ごと微塵に裂かれ、そして黒い血飛沫を浴びた。サラは、茨のツタを出現させ、毒を発生させ、次々と溶かした。
すると、少女の触手がスライムの様に歪つになり、そこからボコボコと大量の人間の上半身が出現したのだ。
「こいつ、今まで何人喰らってきたんだ?」
「今まで1000人以上は喰らっているはずだわ。」
サラは指折り数えた。
「ルミナ、この子を攻撃しても、効かないわ。多分、本体はコレじゃない。」
「え!?本体は何処だよ?」
二人は本体の気配を探るも、何処にも見当たらない。
「お姉ちゃん達の身体頂戴。」
少女は歯をギザギザにさせ、べろを出している。身体を徐々に膨張させ、くねくねと身体を不安定に揺らす。そして、少女のベロから酸のような物が溢れ出て、アスファルトが湯気を出して溶け出した。塩素に似たビリビリとした臭い臭いを感じ、二人は鼻を摘んだ。
二人は触手に絡まれた。キツく縛られ、身体が自由にならない。
すると、サラががっくりもたれ掛かった。
「ーサラ?」
彼女の身体を緑色の風が包み込み、チクチク突き刺さる様なとてつもなく強い暴風が吹き荒れた。
「ーサラ、おい、サラどうしたんだよ!?」
ルミナはサラに近付こうと緑の渦の中に入っていこうとしたが、風が強すぎて、なかなか近寄れないー。ルミナとサラとの距離は5メートル程であるが、強い風で皮膚がヒリヒリする。
サラはずっと無言で虚ろな目をしており、
瞳はハイライトがすっかり消え失せていた。
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ダークネスは、両手にスカートを摘むと律儀にお辞儀をする。見た目は、15か16位の少女であろうか?中世の貴族を彷彿とさせる気品のあるゴスロリファッションに、リボンのついたツインテールをしている。そしてまた再び黒い渦が出現し、もう一人のダークネスが現れた。その瞬間、人々は立て続けに髑髏となり灰とかした。
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「久しぶりだな。シャーリー。」
「3年ぶりかしら。懐かしいですわ。あと、ここは制圧しましたわ。」
少女は冷淡に微笑みながら話す。
「相変わらずだな。お前は、我が同胞の中でも、なかなか有名だぞよ。強欲だとな。」
ダークネスは、初老の男の姿をしている。シルクハットにトレンチコート、丸ぶちめがねを眼鏡をかけていた。彼は、上機嫌にパイプを吸っている。
「あら、おじ様。だってそうしないとやっていけませんわ。それに、おじ様だって、それは同じ事ですわ。おじ様の手腕は中々有名ですわよ。」
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「まあ、おじ様ったら、呆れるわね。結局、同じではありませんの?」
「こ、この化け物め。」
遥か後方からひとりの男が震えながらライフルを構えている。そして男は引き金を引いた。そして連射の雨を浴びせた。しかし、二人は全身に弾を浴びつつ、視線をこっちに向けたまま、びくりともしない。
「ほほう。こやつは、随分タフであるぞ。」
初老の男は物珍しそうに若い男を眺めている。若い男はむき出しにして、じっと初老の男を見ていた。
「これはレア者ですわよ。おじ様。」
シャーリーは、面白そうに青年を見つめている。
「だから、このままにしておくには惜しい人材だよ。」
初老の男は髭を引っ張りながら煙りを吐き出す。
「貴殿に新たな力を授けよう。」
初老の男は、ゆっくり青年に近づいた。青年は後ずさりしようにも、身体が岩のように重くなり、動くことが出来ない。そして、初老の男は全身に黒灰色の羽の様なものがみるみる生えていった。そして、巨大な鳥の様な姿に変貌した。そして、彼は片方の翼を青年の頭に当てた。黒い渦が眼前に迫っていく。
「うわああああああ!」
若い男は悲鳴を上げながら、そのまま黒い渦に飲み込まれた。
とある山道で、若い女二人が山道をドライブしていた。4月の花と緑が生い茂り風の爽やかな気候の中、二人は景色を堪能していた。しばら森の中を走ると、そこには一面の田園風景が広がっていた。さっきまで蛙の泣き声がシーンと鎮まり、風も弱まっている。
しばらく走るとまた元来た道に戻っていた。二人はナビを起動するも、圏外になっている。
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「すみません、地元の方ですか?」
少女はゆっくり頷く。
「道、知ってるよ。」
そしてほくそ笑んだ。
ルミナはぼんやり湯船に浸かっていた。
時刻は午後5時を回っていた。天井の隙間から日光が照らし出されている。自分はもう、すっかり日光に弱くなっていた。曇の時も、夕暮れ時も隙間から差し込む光を見ると、目眩を覚えるのだ。
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湯船からあがると、丁度エリアムとすれ違った。
「何だ、もう帰っていたんだな。」
ルミナはぼんやり顔を合わせず、ボソッと言い放った。
「ー」
エリアムは無視すると、そのまま洗い場へ向かった。
「何処、行っていたんだよ?」
「ーちょっと、組織の方へ。野暮用だ。」
えリアムは顔を合わせる事無く、石鹸を使い、顔を洗い始めた。
ルミナは軽く溜め息をつくと、バスローブを着た。
リビングに向かうと、サラがルミナに写真を手渡した。
「ルミナ、仕事よ。コレはさっき、メリッサから、渡されたのよ。」
写真の中に2人の若い女が笑顔でピースサインを出していた。しかし、彼女たちのすぐ後ろに化け物がにんまりほくそ笑んでいるのが見える。ブカブカの帽子を被った顔の浅黒い少女が、眼光を光らせにんまりほくそ笑んでいた。
「ルミナ、これってー。」
「ああ。そういうことだろう。こいつは紛れもなくアストリアンだ。」
「彼女たちはもう、手遅れね。そこの畑はみんな化け物の身体の一部なんでしょ?」
「ああ。そういう事になるだろうな。」
ルミナは眉間に皺を寄せてその様を凝視していた。
「ルミナ、一応、エリアムも一緒だからー。」
「いいや、アイツは駄目だ。何なら、私、1人でもいい。」
ルミナは頑なに首を横に振る。
「ー私も向かうわ。」
「仕方ねぇな。」
ルミナは、面倒くさそうにワインを飲み干した。
翌朝、2人は事件が発生した場所へ向かう為、車で山道を走っていた。サラが運転している傍ら、ルミナは頬杖つきながら、ぼんやり景色を眺めていた。
「あの子は元は人で魔術師の家系だったんだろうな。それから、死んでドールとして蘇り、力をつけて大量に人を食らってアストリアンに昇格したんだろう。」
「元、人間の少女ー?」
「ああ。人間の少女だ。元々の魔力が強かったから、アストリアンにドールにされて蘇ったんだ。コイツはフィールドの扱いが上手いから、昼間でも活動出来るのだろうな。」
ルミナは苦虫を噛み潰したような顔ををし、淡々と話す。
「-惨めなモノね。」
サラは顔を濁らせた。
「サラ、アストリアンに同情してんじゃねーよ。あいつはもう人ではないんだ。かつての記憶も理性も殆どないんだぞ。」
ルミナは肘をつき景色を見ながら、呆れて外の景色を眺めていた。
「知ってるわ。ただ、時々、心が痛むのよ。」
「お前なぁー。」
ルミナは溜息をついた。元々、ルミナは人間嫌いで物事をシビアに合理的に考える節がある。その為、人情という物には疎かった。アストリアンは討伐の対象でしかない。しかし、確かにそれはそうだ。ドールやアストリアンの中にも元人間は数多くいる。かつては人としての自我を保ち、たくさんの仲間たちといろんな思い出を積み重ねてきたのだろう。
だが、もう今はあの子は只の少女ではない。人々を蹂躙じゅうりんする異形の怪物なのだ。直ちに討伐しないと犠牲者が蔓延して、最悪、ドールが増えるだろう。
しばらく道を走っていくと、いつの間にか元来た道を再び走っていたことに気が付いた。時計とコンパスは針がグルグル回転している。
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「ああ。ここは奴の胃袋の中だ。」
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「ああ。そのようだぜ。」
ルミナは少女を一瞥すると、隠し持っていた大太刀を構えた。
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「ねえ、私今、すっごくお腹すいてるの。お姉さんたち、なんか美味しそうね-。」
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ルミナは大太刀を振り上げ、全神経を集中させる。その瞬間に風の束は波のようにうねり、とてつもなく強い暴風が吹き荒れた。
そして全腕力を用いて両腕を振り下ろす。そして、襲い掛かる無数の触手を八つ裂きに切り刻んだ。職手は骨ごと微塵に裂かれ、そして黒い血飛沫を浴びた。サラは、茨のツタを出現させ、毒を発生させ、次々と溶かした。
すると、少女の触手がスライムの様に歪つになり、そこからボコボコと大量の人間の上半身が出現したのだ。
「こいつ、今まで何人喰らってきたんだ?」
「今まで1000人以上は喰らっているはずだわ。」
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「え!?本体は何処だよ?」
二人は本体の気配を探るも、何処にも見当たらない。
「お姉ちゃん達の身体頂戴。」
少女は歯をギザギザにさせ、べろを出している。身体を徐々に膨張させ、くねくねと身体を不安定に揺らす。そして、少女のベロから酸のような物が溢れ出て、アスファルトが湯気を出して溶け出した。塩素に似たビリビリとした臭い臭いを感じ、二人は鼻を摘んだ。
二人は触手に絡まれた。キツく縛られ、身体が自由にならない。
すると、サラががっくりもたれ掛かった。
「ーサラ?」
彼女の身体を緑色の風が包み込み、チクチク突き刺さる様なとてつもなく強い暴風が吹き荒れた。
「ーサラ、おい、サラどうしたんだよ!?」
ルミナはサラに近付こうと緑の渦の中に入っていこうとしたが、風が強すぎて、なかなか近寄れないー。ルミナとサラとの距離は5メートル程であるが、強い風で皮膚がヒリヒリする。
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