15 / 22
忍び寄る魔の影
しおりを挟む
「サラー?」
ルミナは不安げにサラを見ていたが、サラはビクリともしないー
緑の渦は益々強くなり、二人を飲み込んだー。触手は、ミリミリ音を立てヒビが入っていく。
「ーサラ?」
ルミナは不安げに再び声を掛けるがら応答はないー。サラは、身体をくの字にしてがっくりしている。
すると、とてつもなく強い突風が周囲を覆い尽くした。ガタガタと強い地震とと地崩れが遅いかかり、アスファルトがぱっくり割れ、その中から上半身は女、下半身は茨の蔦の様な姿をしたダークネスが出現したのだ。緑の渦は益々強くなり、ルミナは再び目を覆ったー。
「こいつ・・・召喚されたのかー?何処から湧いて出たー?」
少女は、触手をダークネス向けて巻でけようとしたが、ダークネスは茨の蔦ツタのような両腕を強くしなやかに跳ね返すー。少女は再び触手をくねらせ、ダークネスに襲いかかるも、ダークネスの発する強い突風が少女を取り囲み、少女は強い悲鳴を上げたー。
すると、サラはその場に倒れこんだ。すると強い突風が徐々に弱まり、ダークネスはピタリと動きを止め、自身が出てきたアスファルトの割れ目の中に姿を沈めた。
アスファルトには、頭部だけの少女がそこにいた。
「ごめんなさい。ごめんなさい。私、お腹ペコペコで、幾ら食べても満たされないの。気が付いたらこうなってたの。ねぇ、どうして?」
少女は泣きじゃくる。
「慈悲を求めても無駄だよ。私の仕事はあんたを狩ることなんだからな。」
ルミナは、ゆっくり少女ち近づく。すると、触手になった髪がルミナの両腕両足を巻き付いた。
「ねぇ。お姉さん、こっち来てよー。」
さっきまで泣きじゃくっていたはずの少女はうって変わり、にんまりほくそ笑む。
ルミナは、力を入れると触手を思い切り引っ張る。触手はミリミリ亀裂を立て、散り散りになった。
そして大太刀を構えると、少女の頭部を真っ二つに切り裂いた。赤黒い血が迸り、遺体はみるみる腐敗し蒸発していった。
フィールドはドロドロに溶け、鮮やかな田畑が出現した。
途中から、ルミナは違和感を感じていたー。既視感の様な強い重苦しい何かに見られている様な感覚を感じたー。時折、動きを停止させる、少女のダークネスー。いとも簡単に振りほどく事の出来た触手ー。その気配はエリアムの物とは違い、とてつもなく強力な魔の力であるー。
ルミナはサラを抱えると車の後部座席に乗せた。すると、後方からエリアムが銃を携え、歩いてくる姿があった。
「いつからいたんだよ?」
ルミナはエリアムを軽く睨み付けた。
「10分位前だが・・・」
エリアムは真顔で、10メートル後方の白い車を指さした。
「ーこの前はすまなかった。」
「ああ、別にいいよ。あの時あんたが止めてくれなきゃ、私は今頃、化け物になっていたところだよ。あんたが怒る気持ちは分かるよー。」
ルミナは軽く溜め息をついたー。
「それならもう、いいんだ。」
エリアムは、低い声で話す。
「ずっと、どこ行ってたんだよ?」
「ーそこら辺をぐるぐる迷っていたー。奴のフィールドを見つけてに入るのには苦労したがー。」
エリアムは軽く髪をかきあげた。
「まさか、ずっと見ていたのか?」
「ああ。侵入する際からずっと、奴のオーラの流れを遮断して、うまくお前達を誘導したのだがー。」
「いやらしいな。」
「時間を止めていたんだ。それに、これで、お前のダークネス化が解消されるかもしれないし。」
エリアムは淡々と話す。二人は車に腰掛け、ガードレールの向こうの山々を眺めていたー。夕焼けが山々を照らしだし、景色を鮮やかに美しく彩っているー。
「あんたも薄々、感づいていたんじゃないのか?組織の内部にダークネスが何体か、潜んでいるってことにー」
「ーまあなー。アイツら嘘臭いしー。」
「なぁ、お前の例の計画は、上手くいくのかー?」
「かなり危険な賭けだが、やるしかないだろー。」
ルミナは生まれてきてこの方、自分はずっと異質な存在だということに思い悩まされた。
まだ研修生時代だった、本当の思春期の少女だった頃ー、施設を抜け出して、普通に人間の男と付き合ったことがあったが、彼と自身との間には大きな隔たりがあった。相手の男はごく普通の人間の男だったが、自分との間に明らかな隔たりを感じたー。彼は光側の人間だった。普通に友達も沢山いて、普通に皆から好かれている。同じ景色を見ている筈なのに、180 度違う景色を見ていた。向こうは虹色の眩しい世界の中で生きていた。自分は、ドブ鼠のようであった。
そんなとある朝、男と寝ていた頃、地面から黒い巨大影が出現し、口をぱっくり開けると男を呑み込んだ。唐突な事なので、何か何だか状況が理解できずにいた。
それからというものの、自身の身に大きなピンチがある度に、決まって何者かが、守ってくれている様な感じに囚われたー。
それは昼間の太陽がさんさんと照りつけている時刻ではなく、曇りや雨の日、夕暮れから暗い時刻に必ず起こるー。
今回の件で、ある程度確証が取れた。
「ーなあ、今更あんたに話すけど、昔からずっと私の事をつけ回している奴が居るみたいなんだ。」
ルミナはライターを取り出すと、タバコに火を灯した。
「ーどういう意味だー?」
「今まで、何故か思い当たる節があるんだ。戦いの時、ダークネスが出現した時、他の仲間は重症になる事が多く、仕舞いには亡くなった者だって居たのにー私だけ軽傷で済んだりする事が多くてー。特に、スキルを発動もしてないどころか、何も戦ってもいない時とかもあってなー。私がピンチの時は強力な何者かに守られているような気がするんだよな。」
ルミナは煙を吐き出すと、夕焼け空をぼんやり眺めていた。
「それは仲間か?誰か、心当たりは居ないのかい?」
エリアムもタバコを咥え、ルミナから火をもらう。
「いいや、仲間じゃないと思う。彼女達の発動する力スキルを見ても、特に何も感じないから。奴から守られてると感じた時のゾクゾク感とは、全然違うんだ。」
ルミナの身体全身の痣が、ジリジリ傷んできた。そしてそれは熱を帯びるような感覚になっていった。
「その、奴って、僕は、メリーの事だと思うのだがー」
「いいや、メリーのオーラとも違うんだ。ー組織の奴らとも違うー。何かー、重苦しくて重圧感があるんだ。」
ルミナは上着の袖を強く握りしめた。
「他のダークネスかー。僕が昔出会ったダークネスは、タイプが真逆そうだから、違うだろうしなぁー。」
エリアムは顎に指を当てて、眉を八の字に寄せた。
とある廃墟の一角で、ドールの一団が行進をして、数千の群れをけいしていた。ドールは皆、同じ様な姿をしており、首から上は狼の様な姿をしており、直立二足歩行をしていた。ザーザー雨が滝の様に地面に打ちつけ跳ね返している。
時刻は既に夜の12時を回っていた。すると、人気のない静かな廃墟の奥から、カツカツとヒールの音が反響した。深紅のシルクハットと深紅のトレンチコートー。右手にはステッキを携え、上質な白い手袋をしている女が姿を現した。
「大分、涼しくなったわね。ついでに塵共も利用して消し去ったら、もうこれで楽だわー。」
柔らかな色っぽい声である。女は不気味にほくそ笑むー。彼女は傘をしてないのに、何故か全く濡れてはいなかったのである。
ルミナは不安げにサラを見ていたが、サラはビクリともしないー
緑の渦は益々強くなり、二人を飲み込んだー。触手は、ミリミリ音を立てヒビが入っていく。
「ーサラ?」
ルミナは不安げに再び声を掛けるがら応答はないー。サラは、身体をくの字にしてがっくりしている。
すると、とてつもなく強い突風が周囲を覆い尽くした。ガタガタと強い地震とと地崩れが遅いかかり、アスファルトがぱっくり割れ、その中から上半身は女、下半身は茨の蔦の様な姿をしたダークネスが出現したのだ。緑の渦は益々強くなり、ルミナは再び目を覆ったー。
「こいつ・・・召喚されたのかー?何処から湧いて出たー?」
少女は、触手をダークネス向けて巻でけようとしたが、ダークネスは茨の蔦ツタのような両腕を強くしなやかに跳ね返すー。少女は再び触手をくねらせ、ダークネスに襲いかかるも、ダークネスの発する強い突風が少女を取り囲み、少女は強い悲鳴を上げたー。
すると、サラはその場に倒れこんだ。すると強い突風が徐々に弱まり、ダークネスはピタリと動きを止め、自身が出てきたアスファルトの割れ目の中に姿を沈めた。
アスファルトには、頭部だけの少女がそこにいた。
「ごめんなさい。ごめんなさい。私、お腹ペコペコで、幾ら食べても満たされないの。気が付いたらこうなってたの。ねぇ、どうして?」
少女は泣きじゃくる。
「慈悲を求めても無駄だよ。私の仕事はあんたを狩ることなんだからな。」
ルミナは、ゆっくり少女ち近づく。すると、触手になった髪がルミナの両腕両足を巻き付いた。
「ねぇ。お姉さん、こっち来てよー。」
さっきまで泣きじゃくっていたはずの少女はうって変わり、にんまりほくそ笑む。
ルミナは、力を入れると触手を思い切り引っ張る。触手はミリミリ亀裂を立て、散り散りになった。
そして大太刀を構えると、少女の頭部を真っ二つに切り裂いた。赤黒い血が迸り、遺体はみるみる腐敗し蒸発していった。
フィールドはドロドロに溶け、鮮やかな田畑が出現した。
途中から、ルミナは違和感を感じていたー。既視感の様な強い重苦しい何かに見られている様な感覚を感じたー。時折、動きを停止させる、少女のダークネスー。いとも簡単に振りほどく事の出来た触手ー。その気配はエリアムの物とは違い、とてつもなく強力な魔の力であるー。
ルミナはサラを抱えると車の後部座席に乗せた。すると、後方からエリアムが銃を携え、歩いてくる姿があった。
「いつからいたんだよ?」
ルミナはエリアムを軽く睨み付けた。
「10分位前だが・・・」
エリアムは真顔で、10メートル後方の白い車を指さした。
「ーこの前はすまなかった。」
「ああ、別にいいよ。あの時あんたが止めてくれなきゃ、私は今頃、化け物になっていたところだよ。あんたが怒る気持ちは分かるよー。」
ルミナは軽く溜め息をついたー。
「それならもう、いいんだ。」
エリアムは、低い声で話す。
「ずっと、どこ行ってたんだよ?」
「ーそこら辺をぐるぐる迷っていたー。奴のフィールドを見つけてに入るのには苦労したがー。」
エリアムは軽く髪をかきあげた。
「まさか、ずっと見ていたのか?」
「ああ。侵入する際からずっと、奴のオーラの流れを遮断して、うまくお前達を誘導したのだがー。」
「いやらしいな。」
「時間を止めていたんだ。それに、これで、お前のダークネス化が解消されるかもしれないし。」
エリアムは淡々と話す。二人は車に腰掛け、ガードレールの向こうの山々を眺めていたー。夕焼けが山々を照らしだし、景色を鮮やかに美しく彩っているー。
「あんたも薄々、感づいていたんじゃないのか?組織の内部にダークネスが何体か、潜んでいるってことにー」
「ーまあなー。アイツら嘘臭いしー。」
「なぁ、お前の例の計画は、上手くいくのかー?」
「かなり危険な賭けだが、やるしかないだろー。」
ルミナは生まれてきてこの方、自分はずっと異質な存在だということに思い悩まされた。
まだ研修生時代だった、本当の思春期の少女だった頃ー、施設を抜け出して、普通に人間の男と付き合ったことがあったが、彼と自身との間には大きな隔たりがあった。相手の男はごく普通の人間の男だったが、自分との間に明らかな隔たりを感じたー。彼は光側の人間だった。普通に友達も沢山いて、普通に皆から好かれている。同じ景色を見ている筈なのに、180 度違う景色を見ていた。向こうは虹色の眩しい世界の中で生きていた。自分は、ドブ鼠のようであった。
そんなとある朝、男と寝ていた頃、地面から黒い巨大影が出現し、口をぱっくり開けると男を呑み込んだ。唐突な事なので、何か何だか状況が理解できずにいた。
それからというものの、自身の身に大きなピンチがある度に、決まって何者かが、守ってくれている様な感じに囚われたー。
それは昼間の太陽がさんさんと照りつけている時刻ではなく、曇りや雨の日、夕暮れから暗い時刻に必ず起こるー。
今回の件で、ある程度確証が取れた。
「ーなあ、今更あんたに話すけど、昔からずっと私の事をつけ回している奴が居るみたいなんだ。」
ルミナはライターを取り出すと、タバコに火を灯した。
「ーどういう意味だー?」
「今まで、何故か思い当たる節があるんだ。戦いの時、ダークネスが出現した時、他の仲間は重症になる事が多く、仕舞いには亡くなった者だって居たのにー私だけ軽傷で済んだりする事が多くてー。特に、スキルを発動もしてないどころか、何も戦ってもいない時とかもあってなー。私がピンチの時は強力な何者かに守られているような気がするんだよな。」
ルミナは煙を吐き出すと、夕焼け空をぼんやり眺めていた。
「それは仲間か?誰か、心当たりは居ないのかい?」
エリアムもタバコを咥え、ルミナから火をもらう。
「いいや、仲間じゃないと思う。彼女達の発動する力スキルを見ても、特に何も感じないから。奴から守られてると感じた時のゾクゾク感とは、全然違うんだ。」
ルミナの身体全身の痣が、ジリジリ傷んできた。そしてそれは熱を帯びるような感覚になっていった。
「その、奴って、僕は、メリーの事だと思うのだがー」
「いいや、メリーのオーラとも違うんだ。ー組織の奴らとも違うー。何かー、重苦しくて重圧感があるんだ。」
ルミナは上着の袖を強く握りしめた。
「他のダークネスかー。僕が昔出会ったダークネスは、タイプが真逆そうだから、違うだろうしなぁー。」
エリアムは顎に指を当てて、眉を八の字に寄せた。
とある廃墟の一角で、ドールの一団が行進をして、数千の群れをけいしていた。ドールは皆、同じ様な姿をしており、首から上は狼の様な姿をしており、直立二足歩行をしていた。ザーザー雨が滝の様に地面に打ちつけ跳ね返している。
時刻は既に夜の12時を回っていた。すると、人気のない静かな廃墟の奥から、カツカツとヒールの音が反響した。深紅のシルクハットと深紅のトレンチコートー。右手にはステッキを携え、上質な白い手袋をしている女が姿を現した。
「大分、涼しくなったわね。ついでに塵共も利用して消し去ったら、もうこれで楽だわー。」
柔らかな色っぽい声である。女は不気味にほくそ笑むー。彼女は傘をしてないのに、何故か全く濡れてはいなかったのである。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ドマゾネスの掟 ~ドMな褐色少女は僕に責められたがっている~
桂
ファンタジー
探検家の主人公は伝説の部族ドマゾネスを探すために密林の奥へ進むが道に迷ってしまう。
そんな彼をドマゾネスの少女カリナが発見してドマゾネスの村に連れていく。
そして、目覚めた彼はドマゾネスたちから歓迎され、子種を求められるのだった。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる