婚約破棄をされましたが、婚約解消された隣国王太子に恋しました。

はゆりか

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8、メイル兄様の婚約①

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リラとメイル兄様の恋バナをする様になってから私はメイル兄様を見かける度に今まで以上に観察する癖がついてしまいました。

今日もメイル兄様とランとトゥイは絶妙な距離感です。

でも、最近のメイル兄様は少しおかしいです。

以前の様に忙しそうに公務をこなしていますが、時折何か考え込んだり…物思いに耽ってみたり…

なんだかソワソワしてる?

いつも余裕なメイル兄様が最近余裕がない感じがします。

近くにいるランとトゥイはなんだかそんなメイル兄様を見て楽しそうにしていますし…


メイル兄様に何があったのでしょうか?

ランのあのメイル兄様に向ける嬉しそうな視線。
トゥイがメイル兄様に向ける愉しげな笑顔。

何か関係に進展でもあったのかしら?




それから数日後、メイル兄様はランとトゥイを引き連れて隣国ドイル国へと向かいました。数日不在になるそうです。


メイル兄様が外交に行くのはとても珍しい事なので皆驚きました。

ドイル国に一体何があるのでしょうか?
以前ゲイル兄様から聞いた災害の件かしら?

メイル兄様が行く位なのですからきっと重大な何かがあるんでしょうが、政治的な事はよくわかりません。


ただ、しばらくメイル兄様の観察ができない事が残念です。




それから1ヶ月程経ったある日。

朝いつもの様に起きて朝食の為にダイニングに向かうと、珍しくメイル兄様が朝食の席にいました。

お母様もゲイル兄様もノエルもなんとなく落ち着きがありません。


「メ…メイル兄様…珍しいですわね。」
私がメイル兄様に声を掛けると「あぁ。」と微笑んで返事を返してくれる。


うわっ…

朝から爽やかなメイル兄様の笑み…流石にカッコいいですね。


何だか私は急に緊張してしまう。

いや。普通に兄妹ですからね。
仲の良い家族ですからね。
大好きな自慢のお兄様ですからね。

緊張する必要なんてないんですけど、いつもいない人がそこにいるって落ち着きませよね。


私が席に着くと祈りを捧げて朝食を…

「皆に言う事がある。」

朝食を食べようとするとメイル兄様が皆に向かって話し始める。


「なんですか?メイル。あらたまって…」

お母様が食事を始めながらメイル兄様に目を向ける。


「先日、ドイル国に行きドイル国と同盟を結ぶ事になりました。」

メイル兄様がそう言うと、お母様とゲイル兄様が動きをとめる。 

「同盟ですか?」
お母様が目を見開く。

「何故ドイル国と?何か意味が?」
ゲイル兄様は不思議そうにメイル兄様に聞く。


メイル兄様はランに目を向けると、ランはお母様とゲイル兄様に書類らしき紙を配る。

お母様とゲイル兄様はその書類にすぐさま目を通す。

「ドイル国とは長年友好国としてやって来ている。歴史を見るとドイル国と帝国との関係性も他国と比べてもとても強い。これからは共に国を育てて行く協力関係になっても良いのではないかと思い同盟を提案した。」

メイル兄様は自信満々にそう言うとフッと笑う。
メイル兄様のこの顔は何度か見た事がある。

絶対的王者の顔だ。


「よくできている資料ね。いつから計画していたのかしら?メイルから提案したのですか?」

「はい。でも計画したのは最近になってからですよ。ドイル国は今、国のあり方を見直し改革を望んでます。帝国としてその改革の力になれればと考えてます。」

メイル兄様は急に何かを思い出すかの様に優しい顔をする。


「そう。貴方が決めたのであればそれなりの理由もしっかりしているのでしょうから文句はいえません。ただ、国内外から異論の声も上がるでしょう。しっかりおやりなさい。」

お母様はそれだけ言うと手にしていた資料を近くにいた侍女に渡して止めていた食事を再開する。

「兄上なら大丈夫でしょう。私に何か出来ることがあればお声掛けください。」

ゲイル兄様も書類をテーブルに置くとメイル兄様に対してそう言って頭を下げて微笑む。


同盟…

この帝国と友好を結んでいる国は少なくありませんが、同盟を結んでいる国は過去に遡ってもありません。

いまいち実感が湧きませんが、凄い事なのですよね…
有能なメイル兄様だからこそ出来る事なのでしょうが、同盟を結ぶ事によって何か国に変化が現れたりするのでしょうか?


「それと…」

私が考えているとメイル兄様が何かを躊躇う様に声を出す。

皆の視線が再びメイル兄様に向かう。


「それと?まだなにかあるの?」

お母様がメイル兄様の言葉に首をひねる。



「それと、もう一つ。私に婚約者ができた。」



ガシャン…

私達だけでなく、ダイニングにいるメイドや従者達もみんなが一斉に固まる。


お母様に至っては目も口も大きく開けてフォークとナイフを床に落とす。

ゲイル兄様は口に含んだ水を吐き出してしまい、普段感情をあまり出さないノイルも大きく目を見開いて信じられないものを見る様にメイル兄様を見ている。


私もあまりの驚きにフォークにさしたミニトマトを落としてしまった。


メイル兄様に婚約者…

ラン?トゥイ?それとも別の人?
同性婚はまだこの国では珍しいですよ。

メイル兄様大丈夫かしら?



「こ…こ…婚約者?想い人とか恋人でなく?」

お母様が珍しく動揺を隠せず席を立ち上がるとメイル兄様に詰め寄る。

「そうですね。婚約者…ですね。あちらの国では正式に認められましたから。」

メイル兄様はそんなお母様から目線を逸らし、何かを思い出した様に嬉しそうに微笑む。


メイル兄様がデレた…

何?何?メチャクチャ貴重なんですが…


「だれ?誰なの?」

お母様の興奮がヒートアップしていく。

「ドイル国のバルメルク公爵令嬢アエリア嬢です。」

メイル兄様はそんなお母様の気迫に押される事なく落ち着いた態度で答える。


お母様はメイル兄様の言葉に喜びを噛み締める様に目に涙を溜めて小刻みに震えている。




公爵令嬢?
令嬢?
女性⁉︎


「メイル兄様の恋人はランかトゥイではなかったのですか?」
私は思わず立ち上がりメイル兄様に向かって叫んでしまう。

「…何をいっているんだ。お前は。」
メイル兄様は呆れた顔で私を見る。

空気を読まず急に名前を出されたランとトゥイは驚いた表情を私に向けてから口を押さえて後ろを向いてしまった。

ゲイル兄様に目を向けると頭を抱えて首を振っている。



「ん?ちょっと待って…」

喜びを噛み締めていたお母様が先程とは打って変わって厳しい表情をする。

「ドイル国のバルメルク公爵令嬢?私の思い違いかしら?確かドイル国の王太子の婚約者ってそんな様な名前の…」

お母様がブツブツと呟き始める。


「はい。王太子の婚約者でした。」
メイル兄様がしれっと答える。


ガシャン…

再びダイニングにいるみんなが一斉に固まった。


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