12 / 57
友達未満恋人以上ってやつ。
しおりを挟む国王陛下がルンルンで退室して部屋の中は沈黙がながれる。
レックスだけがこの状況を楽しそうに眺めてる。
全面撤回。
レックス性格悪いわ。
流石、ユシン様の従者。
項垂れているユシン様を見ているとだんだん苛立ちが募ってくる。
いつものあの勢いはどこに行ったのよっっ。
あーもぅっっ。
「何で否定しないんですかっっ」
私は項垂れるユシン様に近づき怒りをぶつける。
「お前こそ何で…」
ユシン様はため息を混じりに私に目を向ける。
「私は何もしていませんが?」
私は腰に手を当てて胸を張る。
そんな私を見てユシン様は顔に青筋を立てる。
怖っっ…
「何故名乗った…」
「えっ?」
「何故名前を名乗ったんだ」
ユシン様は立ち上がり私に詰め寄る。
「へ…陛下に聞かれたら名乗るしかないでしょう?」
私は負けずと反抗する。
「まず否定しろよ。」
「はい?」
「そのまま名乗ったら肯定と同じだろう。」
こう…てい?
「肯定とは?」
「お前と私が恋仲だと…」
はい?
「名乗る前に恋人でないことを伝えてから名乗るのが普通だろ。せめて友人です位言っとけ。」
なんですか?その決まり…知りませんが?
「これだから馬鹿は…」
えっ?私のせいなんですか?
「どうすんだよっ…ったく」
ユシン様は額に手を当てて大きく息を吐く。
「まぁ。自身で巻いた種ですよ。
陛下の決定は絶対です。従うしかないでしょう?」
レックスがユシン様を見ながらしれっと言う。
レックス…絶対この状況楽しんでますわよね?
あーもうどうしてこうなるのよ…
やっぱあの時意地でも逃げるべきだった。
やばい…涙が出てきた。
「“どうすんだよ”はこっちのセリフです。自身のお父さんでしょ?今すぐ取り消して来てくださいよ…
私は国王陛下になんて何も言えないんですから…ユシン様がどうにかして下さい。うぐっずびっ…」
私が泣き始めたのを見てユシン様は頭を掻く。
「無理に決まってるだろ。父上の言う事は絶対だ。
それにあの笑顔…絶対楽しんでる。一筋縄では行かない…」
「そんなぁ…ぐびっ」
私は絶望に落とされる。
「ったくなんだよ。そんな嫌がる事か?お前にとったらこの俺との婚約だぞ?棚からぼた餅だろ。俺の方がショックでかいぞ。」
ユシン様は再びソファーに座ると項垂れる。
「そんなぼた餅いらない~どうせならロールケーキがいいの私は…ずびっ。」
「では、ロールケーキ準備させていただきますね。」
私が叫ぶとサラッとレックスがそう言うと颯爽に部屋を出て行きロールケーキを持ってくる。
ってそう言う訳じゃないからっっ。
ロールケーキは美味しく頂きますけど…
その後、何日もしない内に私がユシン様の婚約者になったことが発表された。
国王陛下…早くないですか?仕事。
他に仕事ないんですかね?
キュアとユア様は大喜び。
わたしのお母様は発狂しました。
私とユシン様はゲンナリしてます。
昼休みの中庭。
珍しくキュアとユア様がいないので私とユシン様2人きり。
婚約発表があったからか周りからの視線も前より穏やかになった。
「ったく…他の女とも遊べねーじゃん…」
「別に遊んで頂いて構いませんよ。」
「一応俺だって世間体を考えるんだよ」
「隠れてされている方は沢山いらっしゃいますよ」
「隠れてヤルなんてめんどくせー。」
「私もこれから失恋を乗り越えて超絶イケメンの優男捕まえて幸せな人生を歩む予定だったのに…」
「なんだ。お前は予定通りになってるじゃねーか?」
「はい?」
ユシン様は自身を指差す
「超絶イケメンの優男。」
「はい???」
どこが…
いや。イケメンである事は否定しませんよ。
私の好みではありませんが…
でも性格悪すぎでしょ?
優男とは真逆すぎて神様もビックリよ。
「これからどうするか…」
「とりあえず破談…ですよね。」
「婚約発表後すぐに破談なんてできる訳ないだろう。」
そう言って大きく息を吐くとユシン様は一枚の封筒を取り出す。
「…それは?」
「父上から渡された。お前と2人で出ろと」
「でる?」
私はその封筒を受け取り中身を見る。
「………」
「夜会の招待状だ。まぁ…その夜会で婚約のお披露目しろって所か。」
「いやいやいや。無理でしょ。私夜会なんて行った事ないし。」
そう言う私をユシン様はデコピンする。
「これから毎日王城で特訓だ。俺に恥をかかせるなよ」
ユシン様が鬼の顔でこちらを見る。
こわっ…
「とりあえず1年だ。最悪この学園を卒業するまでの我慢だな。」
「へっ?」
「それまでにいい方法を考える。」
「それまでどうすると?」
私が恐る恐る聞くとユシン様は呆れ顔で私を見る。
「円満な婚約者のフリを続けるって事だよ。」
ですよねー。
要は友達未満恋人以上の関係ですねー。
16
あなたにおすすめの小説
壊れていく音を聞きながら
夢窓(ゆめまど)
恋愛
結婚してまだ一か月。
妻の留守中、夫婦の家に突然やってきた母と姉と姪
何気ない日常のひと幕が、
思いもよらない“ひび”を生んでいく。
母と嫁、そしてその狭間で揺れる息子。
誰も気づきがないまま、
家族のかたちが静かに崩れていく――。
壊れていく音を聞きながら、
それでも誰かを思うことはできるのか。
白い結婚は無理でした(涙)
詩森さよ(さよ吉)
恋愛
わたくし、フィリシアは没落しかけの伯爵家の娘でございます。
明らかに邪な結婚話しかない中で、公爵令息の愛人から契約結婚の話を持ち掛けられました。
白い結婚が認められるまでの3年間、お世話になるのでよい妻であろうと頑張ります。
小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。
現在、筆者は時間的かつ体力的にコメントなどの返信ができないため受け付けない設定にしています。
どうぞよろしくお願いいたします。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
公爵夫人は愛されている事に気が付かない
山葵
恋愛
「あら?侯爵夫人ご覧になって…」
「あれはクライマス公爵…いつ見ても惚れ惚れしてしまいますわねぇ~♡」
「本当に女性が見ても羨ましいくらいの美形ですわねぇ~♡…それなのに…」
「本当にクライマス公爵が可哀想でならないわ…いくら王命だからと言ってもねぇ…」
社交パーティーに参加すれば、いつも聞こえてくる私への陰口…。
貴女達が言わなくても、私が1番、分かっている。
夫の隣に私は相応しくないのだと…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる