【完結】友達未満恋人以上そんな関係ありですか?

はゆりか

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侍女レイシア

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「殿下はお噂とはだいぶ印象がちがいますね。お嬢様が大切にされている様でノリエは安心しました。」

私が一人で悶々としていると、ノリエが私に向かって嬉しそうに本日微笑む。

「大切…」

トクンと胸が鳴る。

今日のユシン様は本当に優しかった。
大切にされていた。

普段とは大違い。


どっちが本当のユシン様なんだろ…ん?


んん?


そういえばユシン様は夜会で“ここは公の場だからな。私も色々弁えてる”って言ってた。

胸のトキメキが一気に引いていく。



やばっっ。
やばいやばいやばい。

思わず引っかかる所だった。
色々あって吹っ飛んでいたわ。
今日のユシン様は公の場だから社交用の仮面を被っていたに違いない。

あの優しさも、あの笑みも全て社交用よ。
いつ、どこで、誰に見られているか分からないものね。


恐ろしき貴族社会…
私は騙されないわ。

危なかった…


「お嬢様?」
「な…なんでもないわ。自分を戒めてたの。」
「戒め?」

ノリエは眉間に皺を寄せて怪訝な顔をする。


謎?が解けて1人納得していると、両親が私の部屋に入ってきて何も言わず私を優しく抱きしめてくれた。

「良かった。頬の赤みはだいぶ引いてきたわね。」
「大変だったろう。我が家に力がないばかりにお前に苦労を…申し訳なかったな。」

「お父様…お母様…」


ユシン様が両親にどう話をしたのかは分からない。
でも、上手く話してくれたのだろう…


帰る前にもう一度ユシン様は私の部屋に顔を出してくれるかと思っていたけど、お父様からユシン様はもう帰ったと聞いて少し悲しくなっ…いえ。悲しくなんてありません。

胸がギュッと締め付けられるけど、私はそれに気付かないフリをする。

寝て起きれば忘れる感情よ。



両親は私に対してどう対応したら良いか困り果てている。
弱小男爵家の我が家はこう言う貴族のいざこざに慣れていない。
いざこざに巻き込まれる前に我が家など弾かれてしまうから。

でも、私がユシン様の婚約者(仮)になった事で我が家の状況も変わる。

その事に両親も今更ながら気づいたのかもしれない。

お父様もお母様も貴族社会に馴染んでいないから貴族社会の泥臭い一面を目の当たりにしてどうしたらいいのか分からないのだろう。


2人が私を心配してくれているのは分かるけど…

嫌だな…こういうの…



コンコン

「失礼いたします。」

沈黙が続く私の部屋の扉がノックされると我が家のノリエ以外のもう1人の使用人であるサブーロ(55)が入ってくる。

「王城よりお嬢様に使いの者がきておりますがお通ししてもよろしいですか?」

「王城から?」
「はい。第一王女様の侍女と言う事ですが…」
「エリカ様の?」
「お嬢様の付人に任命されたとおっしゃっているのですが…」

…付人?

お父様とお母様にチラリと目線を送ると、2人は明らかに固まっている。

「…わかったわ。話を伺うわ。」
「かしこまりました。」
「お父様とお母様もご一緒して頂けますか?」

私がコテンと頭を傾げて両親にそう伝えると2人は目を見開いて驚いた表情をする。

「ま…マリア。どうしたの…そんな喋り方…貴方は本当にマリア?」

「正真正銘私ですけど?」

エリカ様の名前が出たから無意識に淑女教育の成果を思わず発揮してしまいましたわ。

下の応接室(と言ってもただのダイニング)に行くと、ドレスを着る際にコルセットをギュウギュウに締め上げた時のエリカ様の侍女が大きな鞄一つ持って立っていた。

「えっ…と…」

私が戸惑っていると、その侍女は私に対して満面な笑みを浮かべて深々と頭を下げる。

「マリア様。エリカ様より勅命いただき、今後マリア様の側付をさせて頂きます『レイシア』と申します。よろしくお願いします。」

え…側付?本気?

「いや。私に側付なんて…」
「エリカ様からのご命令ですので。」
「いや。でも…。」
「エリカ様だけではございません。陛下からも正式に要請されております。」

陛下からも?
それって断れないって事ですよね…

お父様とお母様は目が点になっています。


「わ…我が家は狭くて住み付きさせる事もできませんよ。」
「私の事はお気になさず。倉庫でも屋根裏でも空いているお部屋を少しお貸しいただければ。」

この人なにをいってるんですか?
王女様の侍女にそんな扱い出来るわけない。

「王女様の侍女なら貴族出身なのでは?そんな方に…」
「ご安心ください。私は平民出身ですので。」

平民出身?
王女様の侍女なのに?

「お嬢様。せっかく王女様がお嬢様の為にお寄越しになった方です。お嬢様は第四王子殿下の婚約者になられたのですからこれまで以上に気遣いが必要になってまいります。私やサブーロではまかないきれない部分も出て参ります。ありがたく受け入れられたらどうでしょう。ねぇ旦那様、奥様。」

私だけでなくお父様とお母様も固まっているとその状況を見ていたノリエが仕方なしに助言してくる。

「…そ…そうだな。陛下からの要請もあると言う事だし…」
「では、私は部屋の準備をしてまいりますよ。」

さすがはノリエ。我が家の年長者。
お爺様の頃から屋敷にいたノリエにはお父様も頭が上がりません。


「ありがとうございます。」

レイシアはノリエに対して深く頭を下げると私の方を見てニッコリする。

「マリア様。よろしくお願いします。まずはドレスを着替えましょう。それから、身体に傷など無いか確認させて頂きますね。」

「え…えぇ…」



だんだん周囲を固められてる感。
…一体、私はどうしたらいいのでしょうか?
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