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ユシンside ②ー4
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「ユーラ様がユシン殿下にお話があるとのことです。ご一緒願えますでしょうか?」
「何の話だ?今日でなくてはならないのか?」
「詳しいことはお会いしてからとの事で伺っておりません。ただ、至急確認したい事があるとのことです。」
「確認したい事?」
協力を仰いだ状況で無下には出来ず、マリアの事が気にはなったが仕方なしにユーラの待つ部屋へと向かう。
早く行ってとっとと用を済ましてしまおう。
そう思い軽い気持ちで行ったのが間違えだった。
「ユシン。どういう事かしら?全く信じられないわ。」
俺の顔を見るなり怒りをぶつけて来るユーラ。
「…どういう事とは?話が見えないのだが…」
「ケビンよ。」
「兄上がどうしましたか?」
「昨日お願いしたわよね。あの分からずやをどうにかしてって」
「昨日の今日で何かできる訳ないでしょう。…何かあったのか?」
俺が呆れ気味に尋ねるとユーラは俺の胸ぐらを掴んで激しく揺さぶる。
「あの石頭っ。私が下手にでたら調子に乗ってまた見当違いな事を言ってくるのよ。」
「はぁ…今度は何をしたのです?」
「お友達に最近できた美味しいチーズケーキのお店を聞いたから誘ったのよ。その…ケビンは昔からチーズケーキが好きでしょう?普通なら私の誘いを喜んでくれたって良いでしょう?そしたら何でわざわざ食べに置く必要があるのかって。王城のパティシエが作ったものがこの国で一番だって。どうしても食べたいなら取り寄せすれば良いって。」
「あぁ…」
あの兄上が言いそうな事だな。
何の悪びれもなく…
「そうじゃないでしょう?たまには一緒に外にお出かけしたって良いじゃない。どうしてもお店に行きたいって行ったらあの人なんて言ったと思う?」
「…一人で行けとか?」
「さすが兄弟ね。まさにその通りよ。」
ユーラは近くにある机をバンっと叩くと怒りを少し鎮める様にハァハァと息を整える。
なんでこんなに拗らせているのか。
第3王子のケビン兄上とマリダス公爵家のユーラの婚約は世間一般的に政略だと思われているがそうじゃない。
お互いがお互いを思っている恋愛だ。母上をこよなく愛している恋愛主義の父上がよっぽどの理由がない限り政略結婚なんて許すはずがない。
かたちはどうあれ幼い頃から兄上はユーラを思っている。
ユーラも兄上を好いている。
お互い思い込みが激しく気の強い性格で、最終的に2人して想いを拗らせまくっている。
それに巻き込まれるのがいつも俺だった。
だからある程度の年齢になってからは面倒事に巻き込まれたくなくて2人からは距離をとっていたのだが、早々にまた巻き込まれるとは…
「で、俺にどうしろと?」
「こうなったらユシン。貴方が付き合って。」
「は?」
「チーズケーキ食べにいくわよ。そしてケビンに自慢してやるんだから。」
「いや…そこで俺を巻き込むのは間違っているだろう?
それこそ兄上のいう通り一人で食べに…「断ったら昨日の話、どうなるか分かっているわよね?」
そう言ってユーラは俺を逃さない様に腕を掴んでニヤリと悪魔の笑みを浮かべる。
俺に拒否権はないって事か…
仕方なく俺はユーラに連れられるまま玄関先に向かうとマリアが1人こちらを見て立ち尽くしていた。
俺を待っていたのだろう。
ユーラと共にいる俺を見て明らかに驚きの表情をしている。
「あら?この子は…」
ユーラの声にハッとする。
やばい。マリアをまだユーラに関わらせたくない。
何度も言うが、ユーラは姉上以上にめんどくさい女だ。
きっとユーラはマリアと話せばマリアの事を気に入る。
そうしたら私からマリアを引き離そうとするだろう。
ユーラは気に入った人物を自分の近くに置きたがる。
ユーラにとって俺は王族の中の落ちこぼれと思われているのは自覚している。
落ちこぼれの俺よりいい相手がいると言って俺からマリアを奪うだろう。
「ユーラ。急ぐのだろう?」
早くユーラの意識をマリアから離さなくては。
マリアの不安げな顔に胸が苦しくなるが、俺は平然を装ってマリアから離れようとする。
「ユシン様っっ」
そんな俺の気持ちを押しつぶすかのようにマリアが切ない声で俺を呼び止める。
「あの…淑女教育やダンスレッスンは…」
やはりマリアは真面目だな。
夜会が終わったのだから知らんふりをして逃げればいいのに。
意味はないが、続けて欲しい。
でも、それを伝えたらユーラがマリアに興味を示すだろう。
タイミングが悪いな。
俺は軽くため息を吐くとマリアをゆっくりと見る。
「夜会も終わったしもう必要ないだろう?今日から自由にすればいい」
「自由に…?」
ショックを受けた様なマリアの顔を見て俺も胸が苦しくなりすぐに顔を背けてしまう。
なぜそんな顔をするんだ?
君は最初逃げていただろう?
マリア…君は今何を思っている?
「何の話だ?今日でなくてはならないのか?」
「詳しいことはお会いしてからとの事で伺っておりません。ただ、至急確認したい事があるとのことです。」
「確認したい事?」
協力を仰いだ状況で無下には出来ず、マリアの事が気にはなったが仕方なしにユーラの待つ部屋へと向かう。
早く行ってとっとと用を済ましてしまおう。
そう思い軽い気持ちで行ったのが間違えだった。
「ユシン。どういう事かしら?全く信じられないわ。」
俺の顔を見るなり怒りをぶつけて来るユーラ。
「…どういう事とは?話が見えないのだが…」
「ケビンよ。」
「兄上がどうしましたか?」
「昨日お願いしたわよね。あの分からずやをどうにかしてって」
「昨日の今日で何かできる訳ないでしょう。…何かあったのか?」
俺が呆れ気味に尋ねるとユーラは俺の胸ぐらを掴んで激しく揺さぶる。
「あの石頭っ。私が下手にでたら調子に乗ってまた見当違いな事を言ってくるのよ。」
「はぁ…今度は何をしたのです?」
「お友達に最近できた美味しいチーズケーキのお店を聞いたから誘ったのよ。その…ケビンは昔からチーズケーキが好きでしょう?普通なら私の誘いを喜んでくれたって良いでしょう?そしたら何でわざわざ食べに置く必要があるのかって。王城のパティシエが作ったものがこの国で一番だって。どうしても食べたいなら取り寄せすれば良いって。」
「あぁ…」
あの兄上が言いそうな事だな。
何の悪びれもなく…
「そうじゃないでしょう?たまには一緒に外にお出かけしたって良いじゃない。どうしてもお店に行きたいって行ったらあの人なんて言ったと思う?」
「…一人で行けとか?」
「さすが兄弟ね。まさにその通りよ。」
ユーラは近くにある机をバンっと叩くと怒りを少し鎮める様にハァハァと息を整える。
なんでこんなに拗らせているのか。
第3王子のケビン兄上とマリダス公爵家のユーラの婚約は世間一般的に政略だと思われているがそうじゃない。
お互いがお互いを思っている恋愛だ。母上をこよなく愛している恋愛主義の父上がよっぽどの理由がない限り政略結婚なんて許すはずがない。
かたちはどうあれ幼い頃から兄上はユーラを思っている。
ユーラも兄上を好いている。
お互い思い込みが激しく気の強い性格で、最終的に2人して想いを拗らせまくっている。
それに巻き込まれるのがいつも俺だった。
だからある程度の年齢になってからは面倒事に巻き込まれたくなくて2人からは距離をとっていたのだが、早々にまた巻き込まれるとは…
「で、俺にどうしろと?」
「こうなったらユシン。貴方が付き合って。」
「は?」
「チーズケーキ食べにいくわよ。そしてケビンに自慢してやるんだから。」
「いや…そこで俺を巻き込むのは間違っているだろう?
それこそ兄上のいう通り一人で食べに…「断ったら昨日の話、どうなるか分かっているわよね?」
そう言ってユーラは俺を逃さない様に腕を掴んでニヤリと悪魔の笑みを浮かべる。
俺に拒否権はないって事か…
仕方なく俺はユーラに連れられるまま玄関先に向かうとマリアが1人こちらを見て立ち尽くしていた。
俺を待っていたのだろう。
ユーラと共にいる俺を見て明らかに驚きの表情をしている。
「あら?この子は…」
ユーラの声にハッとする。
やばい。マリアをまだユーラに関わらせたくない。
何度も言うが、ユーラは姉上以上にめんどくさい女だ。
きっとユーラはマリアと話せばマリアの事を気に入る。
そうしたら私からマリアを引き離そうとするだろう。
ユーラは気に入った人物を自分の近くに置きたがる。
ユーラにとって俺は王族の中の落ちこぼれと思われているのは自覚している。
落ちこぼれの俺よりいい相手がいると言って俺からマリアを奪うだろう。
「ユーラ。急ぐのだろう?」
早くユーラの意識をマリアから離さなくては。
マリアの不安げな顔に胸が苦しくなるが、俺は平然を装ってマリアから離れようとする。
「ユシン様っっ」
そんな俺の気持ちを押しつぶすかのようにマリアが切ない声で俺を呼び止める。
「あの…淑女教育やダンスレッスンは…」
やはりマリアは真面目だな。
夜会が終わったのだから知らんふりをして逃げればいいのに。
意味はないが、続けて欲しい。
でも、それを伝えたらユーラがマリアに興味を示すだろう。
タイミングが悪いな。
俺は軽くため息を吐くとマリアをゆっくりと見る。
「夜会も終わったしもう必要ないだろう?今日から自由にすればいい」
「自由に…?」
ショックを受けた様なマリアの顔を見て俺も胸が苦しくなりすぐに顔を背けてしまう。
なぜそんな顔をするんだ?
君は最初逃げていただろう?
マリア…君は今何を思っている?
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