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色々と衝撃的な事実を知ってしまった日から何日か経過した。
学園生活はなんの変化もない。
学園外で国を揺るがす反乱が起き掛かっているなんて誰もが思わないくらい平穏な日々。
食堂でマルク様に婚約破棄をされた私に対する好奇な目や、サムル様やマルク様の噂もまだまだなくなってはいないけど、もうじき学園に入学してから初めての学力テストがある為か、少しづつ落ち着きを取り戻している。
マルク様は婚約破棄以来、サムル様の言いつけ通り部屋で謹慎をしていて一度もお会いしていない。
マルク様の謹慎に付き添っていられるローライ様の心境が心配ではあるけど、ローライ様は色々な覚悟を持って今回の行動を起こされているので第三者の私がとやかく言えるものではありません。
サムル様とアロンは、あの後マリコ先生の手続きの元、特別外出許可を得て学園の外に出ている。
国王陛下の身が心配であるけれど、これに関しては本当に私にできることなど何もない。
ただただ、国王陛下の…アロンとサムル様の無事をお祈りするしかありません。
「カロリーナさん」
放課後、いつものように帰り支度をしていると、珍しくハイルさんから声をかけられた。
ハイルさんはフォーン片手に私に近づくと、私の席の隣に座って小さな声で話し始める。
「陛下が先程、無事帰還されたそうです」
「本当ですか?よかったです」
ハイルさんの報告に私はホッと胸を撫で下ろす。
「陛下の帰路の最中…何もなかったのですか?」
「うーん。なんかバタバタと色々あったみたいだけど、大事になる前に全て沈静化出来たみたいだよ。」
やはり、心配は杞憂でおわらなかったのですね…
早く気づいて対応ができてよかった。
「で、今回の騒動はもう全て陛下の知る所となったので、明日、王城に上がる様にとサムル殿下から連絡がありました」
「明日…ですか?」
ハイルさんが私に一枚のカードを差し出す。
「マリコ先生が発行したカロリーナさんの特別外出許可証です。王城に上がる為にはドレスが必要でしょう?これを使って今日、一度自宅に戻って明日、9と半分の太陽に王城に上がってください」
私はそのカードを受け取るとコクリと頷く。
「とうとうここまで来ましたね。やっと断罪の時です。俺はその場にいけないのが残念ですが、思いっきりやってきてください。結果報告楽しみに待っていますよ」
ハイルさんはそれだけ言うと、フッと微笑んで席を立って颯爽と教室を出ていった。
部屋に戻ると、リナがカバン一つ持って帰省準備を終えて立っていた。
「カロリーナ様。お屋敷に先程、事情を報告しました。もうじき迎えの馬車が来ます。」
「相変わらず仕事が早いわね。リナは…」
私が少し笑うと、リナはとても優しい顔をする。
今まで一緒に過ごしてきてリナのこんな表情は初めて見る。
「カロリーナ様…ここまで長かったですね。私は全てを知る状態でカロリーナ様にお仕えしました。アローン様の苦悩も、カロリーナ様の辛さも近くでずっと見てきました。私のできることは本当に限られた事ばかりでしたが、私自身この時をどれほど心待ちにしていたか…」
リナはそう言いながらうっすらと涙を浮かべる。
いつも、与えられた事を完璧にこなして、何事にも動じず、どんな時でも真面目なリナの心の底からの言葉に私自身胸が熱くなる。
リナは…本当に私たちの事を思って常に仕えてくれていたんだね。
さぁ。これで全てが終わる。
失敗のしようなどないけど、最後まで何があるかはわからない。
気を引き締めて行かなくては。
学園生活はなんの変化もない。
学園外で国を揺るがす反乱が起き掛かっているなんて誰もが思わないくらい平穏な日々。
食堂でマルク様に婚約破棄をされた私に対する好奇な目や、サムル様やマルク様の噂もまだまだなくなってはいないけど、もうじき学園に入学してから初めての学力テストがある為か、少しづつ落ち着きを取り戻している。
マルク様は婚約破棄以来、サムル様の言いつけ通り部屋で謹慎をしていて一度もお会いしていない。
マルク様の謹慎に付き添っていられるローライ様の心境が心配ではあるけど、ローライ様は色々な覚悟を持って今回の行動を起こされているので第三者の私がとやかく言えるものではありません。
サムル様とアロンは、あの後マリコ先生の手続きの元、特別外出許可を得て学園の外に出ている。
国王陛下の身が心配であるけれど、これに関しては本当に私にできることなど何もない。
ただただ、国王陛下の…アロンとサムル様の無事をお祈りするしかありません。
「カロリーナさん」
放課後、いつものように帰り支度をしていると、珍しくハイルさんから声をかけられた。
ハイルさんはフォーン片手に私に近づくと、私の席の隣に座って小さな声で話し始める。
「陛下が先程、無事帰還されたそうです」
「本当ですか?よかったです」
ハイルさんの報告に私はホッと胸を撫で下ろす。
「陛下の帰路の最中…何もなかったのですか?」
「うーん。なんかバタバタと色々あったみたいだけど、大事になる前に全て沈静化出来たみたいだよ。」
やはり、心配は杞憂でおわらなかったのですね…
早く気づいて対応ができてよかった。
「で、今回の騒動はもう全て陛下の知る所となったので、明日、王城に上がる様にとサムル殿下から連絡がありました」
「明日…ですか?」
ハイルさんが私に一枚のカードを差し出す。
「マリコ先生が発行したカロリーナさんの特別外出許可証です。王城に上がる為にはドレスが必要でしょう?これを使って今日、一度自宅に戻って明日、9と半分の太陽に王城に上がってください」
私はそのカードを受け取るとコクリと頷く。
「とうとうここまで来ましたね。やっと断罪の時です。俺はその場にいけないのが残念ですが、思いっきりやってきてください。結果報告楽しみに待っていますよ」
ハイルさんはそれだけ言うと、フッと微笑んで席を立って颯爽と教室を出ていった。
部屋に戻ると、リナがカバン一つ持って帰省準備を終えて立っていた。
「カロリーナ様。お屋敷に先程、事情を報告しました。もうじき迎えの馬車が来ます。」
「相変わらず仕事が早いわね。リナは…」
私が少し笑うと、リナはとても優しい顔をする。
今まで一緒に過ごしてきてリナのこんな表情は初めて見る。
「カロリーナ様…ここまで長かったですね。私は全てを知る状態でカロリーナ様にお仕えしました。アローン様の苦悩も、カロリーナ様の辛さも近くでずっと見てきました。私のできることは本当に限られた事ばかりでしたが、私自身この時をどれほど心待ちにしていたか…」
リナはそう言いながらうっすらと涙を浮かべる。
いつも、与えられた事を完璧にこなして、何事にも動じず、どんな時でも真面目なリナの心の底からの言葉に私自身胸が熱くなる。
リナは…本当に私たちの事を思って常に仕えてくれていたんだね。
さぁ。これで全てが終わる。
失敗のしようなどないけど、最後まで何があるかはわからない。
気を引き締めて行かなくては。
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