【完結】生まれたときから今日まで無かったことにしてください。

はゆりか

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番外編 同盟式典そして新たな話へ

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ハリスの騒動があってから3ヶ月後。
ドイル国とグランドールメイル帝国の同盟が正式に締結された。

今日はその同盟式典。
場所はグランドールメイル帝国の王城。

ドイル国や帝国からは王族と上位貴族当主が参加している。

私ももちろん参加します。
式典での私の立ち位置はドイル国側ではなく帝国皇帝であるメイル様の横。

今、この時より私はドイル国の公爵令嬢アエリア・バルメルクではなく、グランドールメイル帝国皇帝の婚約者のアエリア・バルメルクとなる。



私はこのままドイル国には戻らず帝国に留まる事になっている。

共に帝国に来たお父様とお母様とは昨日、生まれて初めてゆっくり話をした。
2人からは今までの謝罪とこれからは今まで苦労した分、幸せになって欲しいと涙ながらに言われた。
その涙をからは今まで感じることができなかった愛情を十分に感じた。

式典は厳正に慎ましく何の問題もなく終わりを迎え、その後のパーティーではそれぞれの国の貴族が情報など今後の関わりを話をして両国の親交を深めた。


ドイル国は今、新たな道を歩んでいます。
ケンビット様が中心となり国民の声にきちんと耳を傾けて今までのドイル国の王家中心の制度を見直されている。

ケンビット様が一般市民にも協力者が欲しいとおっしゃっていたのでユウキに頼み、パルム達をケンビット様に紹介してもらった。それから、ケンビット様は度々[パルムパルム]に行っては上にいると王族では知り得ない国の情報をパルムやゼノから得ているようです。


血筋に囚われたドイル国の過去を見直し、帝国と同盟を結び帝国の文化を今まで以上に取り入れる事によってきっとドイル国はこれからいい方向に進むと信じている。



「アエリア」

パーティー会場をぼんやり眺めているとメイル様から声をかけられる。

「国王陛下とのお話は終わったのですか?」
「ああ。もう終わった。アエリアは両親と話さなくていいのか?」
「昨日話しましたから……それに、これが最後ではありませんし大丈夫です」

私は少し離れた所で国王の隣に立っているお父様とお母様を見つめる。


「そうか……じゃあ私の家族を紹介させてくれ」
「メイル様の?」

急な事に驚く私にメイル様はフッと笑みを浮かべて有無を言わずに私の手をとりエスコートする。

「まず、私の母。現皇妃のカーラだ」

カーラ様は私に礼をする。
目元がメイル様にとても似ているとても綺麗な方……

「はじめまして。カーラ様。ドイル国バルメルク公爵家アエリア・バルメルクと申します。これからよろしくお願いします」

私は戸惑いつつも失礼がないように淑女の礼をする。
すると、カーラ様はクスクスと笑い始める。

「そんなかしこまらないで。これからは義親子になるのだから。女気が全くなかったメイルに貴方のような素敵な女性が来てくれて嬉しいわ。これからよろしくね。アエリア」
「こちらこそよろしくお願いします。カーラ様」

私が深々と頭を下げるとカーラ様はニコリと優しく微笑んでとめる。

優しそうな方でホッとする。

「そして、弟のゲイル。妹のティナ。末弟のノイルだ」
「よろしくおねがいします。アエリア様」

ゲイル様がスッと私の前に手を差し出す。
私が応えようと手を出そうとすると、メイル様がゲイル様の差し出した手を弾いた。

ゲイル様はそんなメイル様の行動に目を見開くと急に後ろを向いて口に手を当てて声を殺して笑い始めた。

「よろしく」
ノイル様はそれだけ言うと目の前にあったチョコレートを口に頬張る。

「もう。ノイルったら最初が肝心なのよ‼︎ 挨拶くらいきちんとしなさいよ」
そう言いながらティナ様がこちらを見る。

「それにメイルお兄様。私達弟妹の紹介が雑じゃございません?」
そう言ってティナ様はメイル様に一歩近づいてから私の方を見る。

「はじめまして。お義姉様。私はティナと言います。私姉妹に憧れていたんです是非お義姉様と呼ばせてください」

お義姉様?
私の身体中の体温が一気に上昇する。

「いや……まだ私は婚約者ですので……」
「えっ⁇ でもメイル兄様が選んだ方ですもの。きっとすぐ結婚されるのでしょう?」
ティナ様はチラリとメイル様を見る。

「ティナの好きに呼べばいい。だろ? アエリア」
メイル様は私を揶揄うような笑顔を見せる。

私は先程よりも顔が熱くなる。

「……メイル様が良いのであれば」
「やった。ありがとうお義姉様」

ティナ様が満面の笑みで私に近づこうとするが、急に動いた為かバランスを崩す。
危ないっと思って手を差し出すが、私もメイル様も間に合わない。


ティナ様が転んでしまう……


そう思った瞬間、誰かがティナ様を支えた。

目の前に薄茶色の長い髪が揺れて私はホッとする。

「……ケンビット様」

ケンビット様は一度こちらを見て微笑むと目線をティナ様に移す。

「大丈夫ですか? お怪我は?」
ティナは呆然とケンビット様を見つめる。

「お一人で立てますか? 椅子を持ってきましょうか? それとも医務室へ……」

ケンビット様が一緒に来ている従者に目を向ける。
すると正気に戻ったティナ様が瞬間的に顔を真っ赤にしてビシッと急に立ち上がる。

「だっ……大丈夫です‼︎ ありがとうございます」

ティナ様はそれだけ言って猛スピードでゲイル様とノイル様の後ろに隠れた。


「すまない。ケンビット助かった。あれは私の妹だ」
メイル様はケンビット様に近づきため息を混じりに言う。

「そうでしたか……お怪我がないようでよかったです」
ケンビット様はチラリとティナ様の方を見て微笑む。


「で、何か要件でも?」
「えぇ。アエリアに」
「私に?」
メイル様が少し不服そうな顔をする。

「今日でもうドイル国を出るのだろう?中々会うことが出来なくなるから最後に挨拶をと思ってね」

そう言ってケンビット様は微笑み2つの小さい箱を差し出す。
私が戸惑っているとケンビット様は私の手を掴みその箱を手のひらに乗せる。

「これは?」

「まだ、マリーナの魅了にかかっている時だったがアエリアと揃いの物が欲しいと思って注文していたんだ。色々あって忘れていたが、つい先日届いた。何度か処分を試みたんだけど、私にはどうしても捨てられなくてね。アエリアに処分をして欲しい」

「えっ?」

「私が持っていると未練がましいだろう? 図々しいとはおもうが、私の最後の願いだ」

箱を開くと中には綺麗な赤色の石が付いたネックレスが入っていた。

私がどうしたらいいか戸惑っていると、隣にいたメイル様がネックレスを取り出して私に着けると、もう一つを自身の首に着けた。

「本心としては癪だがアエリアがこれを渡されて捨てられる訳がなかろう。アエリアに重荷を与えるな。お前の想いは私が引き継ぐ。お前の想いの分もアエリアを幸せにする。これはその誓いだ。ケンビットの想いを忘れぬようこれは私が頂く。それでいいか?」

ケンビット様は一瞬目を見開いてから「かなわないな……」とボソリと呟きフッと笑う。

「皇帝陛下」
「なんだ?」

「あなたがアエリアを大切にしているのは分かっています。でも万が一でも貴方が一度でもアエリアを泣かすようなことがあればすぐに取り返しに行きますから覚悟しておいてください」

そう言ってケンビット様はいたずらっ子のように微笑む。

「ふっ……臨む所だ」

ケンビット様とメイル様は顔を見合わせると互いに笑いあって拳をコツンと合わせる。


その姿をみて私は涙が溢れてくる。
そんな私に気付いてメイル様が私に寄り添う。

そして、ケンビット様はそんな私達に笑顔を向けて軽く会釈をすると静かにその場を去っていった。


ケンビット様の後ろ姿を見ているとメイル様が私の額に優しくキスをして強く抱きしめる。


「寂しいか?」
「いえ。嬉しいです」

私はメイル様に対して笑顔を向ける。
メイル様も私を見て微笑む。

そんな私達をみて皇妃様をはじめゲイル様やティナ様、ノイル様は嬉しそうに微笑んだ。





パーティーが終わりそれぞれが部屋に戻った後、メイル様が妹のティナ様に質問攻めにあったのはまた別の話……


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