【完結】生まれたときから今日まで無かったことにしてください。

はゆりか

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番外編 エリアーナside③

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失恋を味わい、自身の恋心を胸に閉じ込め、フェルトンとは今まで通りの関係性を保った。

自分の言いたい事。やりたい事を胸に秘めて我慢したのはこの時が初めてで、最初は色々と辛い気持ちが消えなかった。

でも、その気持ちにも慣れてきた頃、フェルトンの父、国王フィルネルが死去し、フェルトンは王の葬儀の日に王位継承権を放棄する宣言をした。

王太子だったフェルトンの義母兄ランドルが国王に即位して、ナリエ叔母様が王妃となり、新国王の唯一の子供である即妃の子。アムールが王太子となった。


そして、私がそのアムールの婚約者候補の一人としてあがった。

信じられなかった。

正妃であるナリエ叔母様の事がありながら姪の私を側室の産んだ子の元に嫁がせるなんて……

王家は一体何を考えているのか?

人としての心があるとは思えなかった。

お父様も流石に激怒した。
私も絶対に王家には入りたくなかった。


それと同時に、フェルトンも自身の思い通りにできない状況に苦しんでいた。

王位継承権を放棄して、ユリマーリアと共なる為にこの国を出るつもりだったのに、フェルトンの中にいる人物がそれを許さないらしい。

フェルトンがこの国を出れない?

その状況に“嬉しい”と思ってしまった自分自身が忌まわしくも感じて私の精神はもうぐちゃぐちゃだった。

胸に秘めたはずの恋心と、自身を取り巻く環境に流石に私も疲れてしまった。

全てを投げ出したくなった。

でも、だからといって時は待ってくれない。
刻々と進んでいく。

何もしなければ、状況を好転させることなんてできない。
何もしなければ、きっと事態は悪化の一途を辿る。

自身の人生を人任せになんかできない……


だから私は考えた。

私の大切なお父様のために……
思い通りにいかず苦しんでるフェルトンの為にもなる方法を……



昔から王家に忠誠を誓っていたバルメルク公爵家は純血者血筋を何より重要視していた。

そんな家で育ったお父様は完全純血主義者の人間。
純血の子孫を残せないならお家断絶でも構わないと言う位。

その為、姉・ナリエの事もあり、純血の血筋を保てなくなった王家に対しての忠誠は今では薄れてきている。

それなら、純血者である私とフェルトンの子供がバルメルク公爵家の後継になればお父様はきっと喜ぶ。

王位継承権を放棄したフェルトンが公爵家に来て、当主になったら第二夫人としてユリマーリアを迎え入れる事ができれば、お父様願いも叶い、フェルトンも愛する人を迎えられる。

たとえ『愛』を得られなくても、私がフェルトンの近くにいる事が叶う。


それで全てが上手くいくのでは?


お父様にとっては絶対的に良い条件だし、私を溺愛しているお父様だから私が提案すればなんとかなる。

でも、フェルトンが私の提案に乗ってくれるかは賭けだった。

私は常識に囚われない人間だったけど、フェルトンは意外と常識人だったから……


私は……フェルトンに幸せになって欲しい。

ランバード中の人とユリマーリアさえ了承すればきっとフェルトンはこの提案をのんでくれるはず。

一筋縄にはいかないだろうど、もしもの時は私自身が動けばいい。


一か八かの捨て身の提案ではあったけど、フェルトンは悩みながらも私の提案を了承してくれた。

今まで生きてきた中で一番嬉しかった。




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