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九話 心が痛いよぉ...

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「はい?」

え、まさかだけど間違えられてる!?う~んこのまま言ってもいいんだけど自分そのレイドさんの事まったくもって知らないんだけど...
そう強く考えるといきなり頭に誰かの記憶が入っていった。小さな村に一人、木剣を振っている10歳ぐらいの男の子の記憶だ。お母さんに「レイド」と呼ばれている。
これって、レイドさんの記憶....?でもまだ決まったわけじゃないし...
そこから記憶を見ても皆んなに「レイド」と呼ばれているので私は確信した。
これ、レイドさんの記憶じゃん‼
そこからどんどん見ていくととても冒険者として良い記録を残している。
…..なんでこんなレイドさんの記憶が流れて来たのかわからないけど、このまま妹になりきれば多少面倒なことになっても乗り切れると覚悟を決めた。

「はい!私レイドさんの妹のディルレットと言います‼」

そう言うとわぁぁあと歓声が上がった。私は自分で言っておいて心が痛むけどしょうがない、この世界で生きるためだと....思うよ?....

「やっぱりそうですよね‼レイドさんの面影がありますもの‼ではディルレットさん、登録ですよね!少々お待ち下さい。」

そう言ってカリーナさんは興奮を抑えながらもペコリときれいなお辞儀をして、受付から離れていった。

(ちょっと!なんでそんな事言うのよ‼)

「うん、自分ね、今すっごく心が痛い。」

(後でちゃんと理由教えてよね!!)

私はとりあえず耳元でじっと見つめているスピカをなだめて待った。

「おまたせしました!ではここに手をかざして下さい!このギルドカードが身分証になります!」

よかった...これでギルドカードが作れるのね。....ん~?まって、....自分のステータス見られたりしたらやばくない?えっ?やばいよね、これ。

「あの~ここに手をかざすとステータスって出ますか.....?」

「あっはい!出ますよ!」

終わった....やばいホントにどうしよう。てか皆んなからの視線が自分にとってはすっごく痛い。....逃げよう。なんとかしないと。

「あー私、忘れ物しちゃったー取りに戻らないとー(棒)」

「えっ?大丈夫ですか?」

「うん、そういうことだからー(棒)」

猛ダッシュでここを出よう、私はギルドの中は小走りで、ギルドを出ると猛ダッシュした。
何人か追いかけてきたけど何故か皆んなついてこれなかったみたいだった。
もしかして素早さが影響してるから...とか?アハハハハ....

そしてまた森に戻っていた。私はあんまり疲れてないけど心が疲れたから座って一息ついていた。

「ねぇ‼スピカ‼どうしよう‼」

(どうしたもこうしたも無いわよ。そんなの自分でなんとかしなさい。)

「うう~なんとかって....あ‼そう言えばなんか漫画で『隠蔽』?ってのがあった気がする、多分出来るよね?」

(その漫画って知識便利よね...欲しいわ。)

「ハハハハ....」

う~んとLv1ぐらいのステータスにして...あとは【忌み子】をなんとか隠せたらいいほうなんじゃないか?

『ステータスオープン』

「で」

『隠蔽』

そうすると文字がグニャグニャと曲がり始め、文字が消えた。

「あれ?」

(もしレベル1に戻すとしたら余った文字はどうすればいいのよ)

「あっそうか」

私は一回元に戻して考えていた。考えが出てこなかった。さっきまでずっとスピカが考えをだしては試していたけどどうしても上手くいかないまま一時間ぐらいが経過していた。
朝に出発したのに私の腹時計ではもう正午を指している気がしたようなしないような...

グゥゥゥゥゥゥ~

(.....今のっt「ああああ‼そうだよ‼私‼だってさぁ‼お城にいたときは夕飯しか出してもらえなかったんだよ!?そっからなんかテキトーに水とかしか飲んでないから‼」

(えっ?お城?)

「あっ.....ナンデモナイよ。」

(....聞かないであげるわ。)

「.....サンキュ」

てかやばい、なんか色々と自覚したら結構やばい状態だった気がする。
とりあえず私は食べ物を探そうと思って立ち上がった。

(ちょっと‼なんで立ち上がってるの!?おなかすいてるんでしょ?)

「食べ物を探そうと....」

(ダメよ!そんなむちゃさせないわよ!しょうがないから私がとってきてあげる!!その代わり、明日までにその『隠蔽』を終わらせなさいよ。)

そう私に人差し指を指して言うとなんか嫌そうな感じで森の奥に入っていった。
私は嫌そうにしながらも私のために取りに行ってくれる。ちょっとツンデレ?可愛い。
私は更に気合を入れて『隠蔽』を頑張った。
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