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十話 野宿の終わり

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(帰ったわよ。どう?進んだ?)

「うん。あともうちょいぃぃ。」

スピカが手ぶらで帰ってきた。てっきり野いちごとか持ってくるかと思ったのに。まぁなにかあるんだろう。

(これは....一体何やってるの?)

スピカが興味深く聞いてきたのに対して私は鼻を鳴らした。

「私が言った『隠蔽』は『隠』がかくすという意味を持つんだよね。だから消すとか変えるとかじゃなくてかくそうと思って。ちなみに『蔽』の意味はわからないかな~。」

(なによそれ、まぁいいわ。それで?隠すってどうやって隠すのよ。)

「ふっふっふ~それはね。本物のステータスの上にニセのステータスを貼り付けるのさ‼」

(ほっ、ほう?)

「まぁ見ててよ。鑑定しながら見れるかな?」

もちろんスピカが私のステータスを見るとLv.1のステータスになっている。

(じゃあ見るわよ?)

『鑑定』


《 名前 ディルレット   年齢17歳 女  Lv.1  色   緑 風属性        》
《 体力 332  魔力 236  攻撃力 270                》
《 防御力 470  素早さ 120                          》
《 【自分を知る者】ステータスを見ることが出来る                》

結構いい出来だと思う。我ながらかな。まぁすっごい偏ってるステータスだな。
【忌み子】は速攻で消した。【忌み子】なんてあったら色々とやばいし。
けど一番迷ったのが色と属性。何にしたらいいかわからずにとりあえず緑の風属性にした。何かあればスピカの風属性使えばいいしね。

「どうかな?」

(うん、まぁ、いいんじゃないかしら?この偏ってる数値がちょっとおかしいけど...) 

「まぁまぁまぁ。成功したんだからいいじゃない。ところでスピカ?私のご飯は?」

(ちゃんと持ってきたわよ。ちょっとまってて。)

『アイテムボックス』

そう言うとポンポンと食べ物が出てくる。主に果物だ。

(とりあえず探したけどこれしかなかったわ。無いよりはマシでしょ?)

「うん‼ありがとう。いやぁ~ホントにありがたいよ。」

私はスピカがくれた果物をたっぷり食べた。果物だったからかあまり喉は渇かなかった。
果物の中にはでっかい野いちごみたいなのとハート型のトマト?のようなものが主にあった。結構美味しくてペロリと食べ終えてしまった。お腹も満たってもう一回イニーギルドに向かってもいいかもしれない。

「ふぅ、お腹いっぱい。ホントにありがとう‼『隠蔽』も終わったしもういつでも街に行けるよ‼」

(そう。それじゃあ早くここを出ましょう?もうちょっとで日が暮れるわよ。)

「今日こそは野宿をやめたいしね....」

そして私は素早さのせいで10分ぐらいでついてしまった。門を通るときからは全く同じ手順で、さっきの人と変わっていて幸いだった。

「あの...大丈夫でしたか?その...忘れ物というのは...」

おずおずとカリーナが聞いてきた。それはそうだ、だって憧れの人の妹(仮)に会ったのにすぐに帰っちゃったから。自分でやったことだけどカリーナ可愛そう。

「うん。大丈夫だよ。忘れ物はなかったみたいけど時間がかかっちゃったね、ごめんね。早速冒険者登録出来るかな?」

そう言うとカリーナは機嫌が良くなって後ろにあった装置をだした。またここに手をかざせばいいんだろう。私は何も躊躇なく手をかざした。そうすると下にあったカードに私のステータスがのり始めた。全部のステータスがカードになったらカリーナがそのカードを取り、私とカードを往復して首を動かした。

「あの~カリーナさん?」

「すすすすっごいです‼Lv.1でこのステータスはすごすぎますよ‼本当にディルレットさんに来ていただいて誇らしいです‼」

そんなにすごいステータスだったんだ。もうちょっと数減らしたほうが良かったかな?
まぁけど、これで終わるんだったら早く宿に泊まりたいぞ‼

「これで冒険者登録はおしまいです。」

そしてカリーナはギルドカードを渡してきた。ギルドカードにはステータスは載っておらず、名前と年齢、色と属性、Lvが書いてあった。

「早速だけど依頼ってあったりするかな?今色々あって無一文で....」

「でも貴方は今なったばかりでEランクです。今日は休んだほうが....」

「Eランク?」

「説明します。」

カリーナの説明によるとEランクからSランクまであって、依頼をこなす量が多いほどランクが上がるらしく、でも自分よりも圧倒的に簡単な依頼は受けては行けないとのこと。だからつまりは自分のレベルにあった依頼を受けろだ。ちなみに依頼を失敗したらお金がかかるらしい。だけど私がこの説明を聞いても駄々をこねるからカリーナは怪しんでるけど訳アリとして納得してくれたようだ。でも自分で言っといて結構暗くなっている。日が沈みかけている最中だ。私もカリーナも悩んでいると後ろから肩をガッと掴まれた。
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