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四十二話 新魔法の試し打ち

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――私達はオーク討伐に向かっていた。

「そろそろバイオウルフが出てもいい頃合いだが....」

そう、レイド兄さんが言った瞬間に後ろでガサッと草が揺れる音がした。突然音がしたお思ったら今度は狼が飛び出してきた。真っ黒な毛並みでところどころ白いところがある。

「来たぞ!バイオウルフだ!」

レイド兄さんは私を守るように囲っている。私も戦闘態勢に入りながらもこれがバイオウルフねと関係ないことを考えてしまう。

バイオウルフが一体、率先して突っ込んで来たところをレイド兄さんは逃さず綺麗に切断する。多分素材を傷つけないように慎重にやっているんだと思う。バイオウルフがその後、警戒しながらジリジリと間合いを詰めてくる。見た感じ群れで行動していてざっと20ぐらいはいることを確認した。けどレイド兄さんがなりふり構わず群れに突っ込んでいって倒していくので私のところに流れてくるのは少なく、とてもやりやすかった。その中で新魔法について考えてみた。新しい魔法は補助系がいいのかな?とか。考える前にあっさりと終わってしまったからあんまり考えて無いんだけどね。

「終わったから素材取るぞ~」

「はーい。」

私はもうなれた手順で素材を剥ぎ取った。いや~いつかはなれるだろうと思ってたけどもう慣れるとは....やっぱなれって怖いわ~。そこから20体もの素材を剥ぎ取り、これであとはオーク討伐だけとなった。

「ところで少しは新魔法考えたのか?」

「いや~う~ん今までは攻撃だったから補助系?とか。」

(良いんじゃない?でも闇魔法で補助系って思いつかないわね....)

「う~ん。」

歩き始めて数分。道も少し険しくなってきた頃、大きな足音がした。もしかしたらオークかもしれない。

「近いな。」

「うん。」

レイド兄さんが率先して前に出てそのまま歩き始めると案外早く足音のする場所へと着いた。想像したとおりオークだった。隣の木と同じかそれ以上くらいある。こん棒を持っていて言い方は悪いけど太っていた。私は『サーチ』をかけた。前にゴーレムと戦ったときから魔物を見たときに反射的にやるようになったのだ。

「二体いるな、一体は俺がやる。残りは二人でやれ。」

『サーチ』をかけ終わる前にレイド兄さんが気づいた。そしてオークに突っ込んでいった。私はその背中を見て、『サーチ』なしでも気づけるように頑張ろうと誓った。そして一体のオークはレイド兄さんに。もう一体は私達がやることになった。

(それで?どうするの?)

「う~ん。ちょっと今思いついたのをやっていい?」

(えっ?)

強くイメージ。新しい魔法だから慎重に。それを心がけて私はオークに手をかざした。
黒の闇魔法で個人的にぴったりだと思う魔法。

『ブラックアウト』

私がそう言うとオークの目の周りが黒いモヤで覆われた。私はその姿を見て成功しているか祈った。

(えっ、何したの?)

「えっと、成功したらなんだけど対象の相手を盲目にさせる魔法にしたんだ。視界って奪われると結構何もできないでしょ?」

スピカは感心したのかと思えば苦笑いをした。

(よくそんなえげつないことを考えるわね....)

「それ褒めてるの?」
(まぁいいわ、とっとと倒しちゃいましょ?)

「そう切り捨てるスピカも私は怖いと思うけどね....」

思ったとおりサクッとオークを討伐できた。正直今まで死線をくぐり抜けてきたんだもの、負けるはずがないと確信していた。そしたらレイド兄さんも終わったっていう報告があったから、毎回のように依頼完了の素材を剥ぎ取って街に戻り、依頼を完了して素材も買い取ってもらって....ってまぁ平穏だよね。

「じゃあ金も手に入ったし、宿で一泊でもするか。」

「まじで⁉やったね!」

「でも武器も新調するんだぞ。」

(分かってるわよ~)

私達はこの街で評判の良い宿の部屋をとり、少し部屋で休憩していた。

「そういえばディル、新魔法はできたのか?」

「ああ、それ?できたと思う。まだ完璧じゃ無いと思うけどね。」

(またとんでもない魔法を生み出したのよ?全く....)

「それで?どんな魔法なんだ?」

「『ブラックアウト』っていう魔法。」

「何だそれ?」

「使ってみても良い?」

私はレイド兄さんの許可が降りたのでレイド兄さんに『ブラックアウト』をかけることにした。レイド兄さんの眼に黒いモヤが出てくる。

「.....これまた。」

「大丈夫?レイド兄さん。」

「対象の相手を盲目にさせる魔法か?」

「あったり!やっぱ分かっちゃうか~」

(えげつないけど使えそうよね。)

「折角出し他にも作ろうと思ったけどイメージできなかったや。」

そんなくだらないことを話していると今までの疲れが一気に私達に来て武器屋に行こうとか言ってたのにすぐに寝てしまった。スピカはお風呂に必ず入ってたけどね。
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