ガチャガチャガチャ 〜職業「システムエンジニア」の僕は、ガチャで集めた仲間とガチャガチャやっていきます〜

noah太郎

文字の大きさ
36 / 290
第一章 アクセルオンライン

35話 圧倒の連携

しおりを挟む

サリーはタケルからの合図を確認すると、リュカオーンに向かって駆け出した。

後ろでは、助けたプレイヤーが声をかけてきたが、そんなことは構わずに腰にあったダガーを抜剣する。

吸い込まれそうなほどに、きれいな紫青の刀身を持つそのダガーは、シンプルなデザインの中にどこか凶々しさを醸し出している。

それに加えて、サリーはもう一つある物を懐から取り出した。

小さなナイフのように薄い刃が確認できるが、鍔(つば)などの柄の部分はない。

まるでナイフ型の手裏剣のようなそれを、サリーは何本か手に持つと高く跳躍する。

そして、リュカオーンの顔めがけて投擲したのである。


ドスドスドスッ


重く鈍い音がして、投擲した武器がリュカオーンの鼻の横あたりに突き刺さる。

突然の痛みに怯みつつ、リュカオーンがサリーの方へと顔を向けた。


《ぐっ…またノミが湧いてでやがったか!!調子に乗りやがって…くそ!》


リュカオーンは悔しげにそこから距離を取ろうとするが…


「おらぁ!!"リコレクター"!!」


ガージュが盾を自分の前にかざしてそう叫ぶと、盾が青色の光を放つ。

すると、どうであろう。
リュカオーンはガージュから目が離せなくなったのだ。


《ぐぅ…敵視のスキルか!!小賢しい真似を!!》


再び、広範囲魔法を発動しようと、自分の周りにに漆黒の丸い歪みを発生させるリュカオーン。

しかし、今度はフレデリカの魔法がそれを防ぐ。


「同じことを何度もさせるわけないですわ!!」


バリバリッと音をたて、何本もの白光の筋がリュカオーンの体に撃ち放たれる。


《がっ…がぁぁぁぁぁぁ!!》


激しい電撃が体全体を駆け抜け、リュカオーンの皮膚は先ほどよりもひどく焼け焦げていく。

怯んだリュカオーンの隙をついて、今度はエレナが2本のダガーによる斬撃を連続で繰り出した。

疾風の如くエレナが横をすり抜けると、その軌跡をなぞるように、リュカオーンの体の上を斬撃が走っていく。


《ガハッ…グググググ…》


血飛沫を上げ、体を引きずるリュカオーンは苦しそうに頭を下げた。その一瞬をサリーは見逃さず、一気にたたみ込もうとして後方から飛びかかった。

が…


《…グ…調子にのるなよ!!》

「「……っ!!」」


サリーに気づいていたリュカオーンは尻尾を振り下ろした。

砂ほこりを巻き上げ、地面に叩きつけられたサリーに気を取られ、エレナとフレデリカの攻撃の手が、一瞬だけ緩んでしまう。

リュカオーンはそれを見逃さない。


《カスどもが…死ねっ!!》

「しまっ…!!」


再び、漆黒の歪みが周囲に現れたことに、エレナは焦りを浮かべた。

唯一、あの雷を防ぐことができるのはガージュと言う鎧の男だけだ。しかし、彼のところまで全員が戻る暇などない。
だからと言って何もしなければ、このままあの黒い雷に撃たれ全滅もあり得る。

エレナは遅れながらも、リュカオーンに飛びかかった。しかし、攻撃のターンはもはや完全にやつに移行している。


《手こずらせやがって…これで最後だ!》

(間に合わない…!くそ…!!)


リュカオーンがそう叫び、漆黒の歪みから黒い雷の電撃がバチバチッと音をたてる。

エレナが相討ち覚悟で飛びかかるその時であった。


「…そのお目目…ちょうだいします…」

《なっ…!?貴様…!!》

「えっ!?」


リュカオーンの瞳には、銀髪の影が映し出されていた。そしてそこには、紫青に光るダガーも。

驚くエレナを尻目に、生々しい音とともに、リュカオーンの右目から真っ赤な血飛沫が飛び散った。


《ギャオォォォォォォォォ!!》


悶え、絶叫をあげるリュカオーンのことなどお構いなしに、今度は左目に忍び寄り、無表情で再びダガーを振り上げるサリー。

しかし、暴れるリュカオーンの右足が彼女を叩き飛ばし、壁に叩きつけられ砂ほこりが舞い上がる。


「くそっ…さっきから攻撃をモロに喰らいすぎなのよ!」


少し離れた位置に着地したエレナは、受け身も取らずにリュカオーンの攻撃を受けたサリーを心配して、駆け寄ろうとするが…


「ご心配なく…」

「えっ…?!あんた…今…あれ?」


目の前で吹っ飛んだはずのサリーが、すました顔で自分の後ろにいたことにエレナは驚きを隠せない。

しかも、体を見るとキズやほこりは一切ついていなかったのだ。


「あんた…どうやって…」

「話は…あいつを倒してからにしましょう…」


サリーは、ふらつきながらもこちらを睨みつけているリュカオーンを見据えて、そう答える。


《きっ…貴様ら…絶対に許さん…よくも俺の目を…!》

「サリー!ガージュ!彼女たちと協力して、一気にたたみかけるんだ!!」


あきらかにダメージを蓄積している様子のリュカオーンを、離れたところで確認したタケルはサリーたちに指示を送る。


「「YES Sir!!」」


サリーとガージュは、リュカオーンめがけて駆け出した。エレナがタケルを一瞥すると、こちらに向かってニコリと笑みを送ってくる。


「ちっ…なんか気に食わないんだけど…」

「やるしかないですわね…」


怪訝な表情を浮かべるエレナに、フレデリカは一言だけ声をかけると、サリーたちの後を追う。

エレナとフレデリカは、気を引き締め直すと、リュカオーンへの最後の攻撃に遅れて参加するのであった。





《こいつら…いったい何なんだ!!…グゥ…》


リュカオーンは明らかに焦っていた。

今もまさに、エレナたちの攻撃を何度も受け、徐々に自分の生命力が削られていくことを感じている。

なぜ、自分がこんなにもダメージを受けているのか…
なぜこんなにも追い詰められているのか…

その理由がわからないのだ。

御方から承った"絶対的防御"の効果は、アクアドラゴンの攻撃さえ防ぐはずだったのに…


《…くそ、なぜ"絶対防御"が破られたのだ…ガハッ…なぜ、こんなことに…!?しかも、あのデカブツの敵視スキルで動くこともできんとは…》


ガージュの"リコレクター"と言うスキルにより、身動きが取れなくなっているリュカオーン。

襲いくる斬撃や魔法をかわせずに、その苦しみに耐えている。


《…そうだ、あの小僧…あいつが俺の足元で何かをしてから…グッ…こうなったんだ…あの野郎は…どこにいやがる!!》


そう悔しさを滲ませるリュカオーンの視界にあるものが映る。

自分に向けられた視界を埋め尽くすほどの斬撃や魔法の隙間から、少し離れた場所にいるイノチの姿を捉えたのだ。


《見つけたぞ…!小僧!!お前を殺せば…この意味不明な状態も解けるのではないか!!?》


突然、リュカオーンが上に顔を上げ、大きな咆哮を上げた。

ただの咆哮。
スキルでもなんでもない大きな咆哮であったが、辺りを震わせるには十分な大きさだった。

その振動でガージュの体制が一瞬崩れる。


「しまった…スキルが…解ける!!」


敵視のスキル"リコレクター"は、ガージュが盾を敵に向け、それから発せられる魔力により、相手の視線、動きを封じ込めるスキルである。

そのリュカオーンに向けていた盾が、一瞬だけずれてしまったのだ。

リュカオーンにとって狙ったわけでもなく訪れた好機。

その一瞬で、リュカオーンはイノチに向かって駆け出したのだ。


「なっ…やばい…BOSS!!」

「まずいですわ!!」


エレナは、リュカオーンを追って一気に駆け出した。フレデリカも魔法を放つ準備をしつつ、その後を追う。

完全に意表を突かれたタケルも、すぐにサリーに指示を出し、自分もイノチの方へと駆け出した。

しかし、到底追いつける訳がないほどの距離がそこにはある。

イノチとリュカオーンの距離が徐々に縮まっていく。


《カハハハ…!小僧!死ねぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!》


咆哮とともに、リュカオーンのキバがイノチへと襲いかかったのだった。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~

シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。 主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。 追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。 さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。 疫病? これ飲めば治りますよ? これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。

離婚すると夫に告げる

tartan321
恋愛
タイトル通りです

私と母のサバイバル

だましだまし
ファンタジー
侯爵家の庶子だが唯一の直系の子として育てられた令嬢シェリー。 しかしある日、母と共に魔物が出る森に捨てられてしまった。 希望を諦めず森を進もう。 そう決意するシェリーに異変が起きた。 「私、別世界の前世があるみたい」 前世の知識を駆使し、二人は無事森を抜けられるのだろうか…?

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

処理中です...