ガチャガチャガチャ 〜職業「システムエンジニア」の僕は、ガチャで集めた仲間とガチャガチャやっていきます〜

noah太郎

文字の大きさ
52 / 290
第一章 アクセルオンライン

51話 うちに来ない?

しおりを挟む

「たっ…助けていただいて、ありがとうございました!」


少女はイノチたちに向かって頭を下げた。

その後ろにはボコボコに顔が腫れ上がった男二人と、今だに白目を向いたオールバックの男が木に縛り付けられている。


「いやぁ~無事でよかったよ!…て、あれ?肩、怪我してるじゃん!」

「あっ…はい、さっきの爆発で木片が飛んできて…それで切ったんだと思います。」

「けっこうひどいね。よかったら…えっと…これ使って!」


可愛らしい少女が相手ということもあり、テンションの上がっているイノチはポーションを差し出した。

すると、それを見た少女は何かに気づき少し驚いた様子を見せる。


「あっ…ありがとうございます。でも、大丈夫です。私も持ってますので…」

「えっ…?持ってる…てことは、君もしかして…」


驚くイノチに向かって、少女はクスッと笑った。


「私の名前…プレイヤーネームは『ミコト』って言います。あなたと一緒で、このゲームのプレイヤーです。」

「そっ…そうなんだね…」

「…どうしたんですか?」


彼女がプレイヤーだと聞いて、イノチは驚きを隠せなかった。この子はどこまで真実を知っているのだろう。

イノチの態度を見て不思議そうにするミコトを、イノチは見つめることしかできないでいる。


「お二人さん?お楽しみのところ、ちょっといいかしら。ミコト…あなたに質問なんだけど、なんでこいつらに追われていたの?」


そんなイノチに気づいてか、エレナが横から口を挟んだ。話を変えようと、ミコトに質問を投げかけたのだ。


「あぁ、それが…よくわからないんです。私は今日初めて、このゲームにログインしたんです。チュートリアルを終えて、この森に転送させられたんですけど、とりあえずマップを見ながら街を目指していたら、突然、この人たちに囲まれてしまって…」

「襲われたってこと?」

「えぇっと…最初は黒いフードを被った男の人がいて、人を探してるって。今日が初めてだから知りませんって言ったら、今度は『お前、プレイヤーだな?』って聞かれて…」

「それで囲まれたのね。」

「はい。」

「しかし、よくそんな状況で逃げられたですわね。」

「そっ…それは…」


フレデリカにそう問われ、ミコトは少し戸惑った表情を浮かべている。何か話しにくいことでもあるのだろう。

少しの間、一同に沈黙が訪れる。
しかし、それを破るようにどこからともなく声が聞こえてきた。


「ミコト…彼らには隠さなくても大丈夫だよ。」

「ゼンちゃん…いいの!?」

「あぁ…それに見知った気配もするからな。」

「そうなんだねぇ!それならよかった!」


ミコトは一人でほっと胸を撫で下ろし、笑顔で誰かと話しているのだ。

それを見たイノチたちは、少し怪訝な表情を浮かべる。


「あっ…あの…ミコトさん?誰と話してるの?」

「え…?あぁっ!ごめんなさい!!つい話に夢中になっちゃって!!」


ミコトは顔を真っ赤にして、テンパった様子であれやこれやと体を動かし始めた。

その行動に唖然とするイノチたち。
するとそれを見兼ねたように、今度は声の主がその姿を現したのだ。


「すまないね、ミコトはテンパるとこうなるらしいのだ。彼女を救ってくれたこと、感謝する。私の名前はゼンだ。以後お見知りおきを。」

「ちっ…小さな赤いドラゴン…?」

「あぁ、この姿は本来とは違うがね。君の…そこにいる彼と一緒だ。」

「…彼っていうと、もしかして…」


イノチが自分の首飾りに目を落とすと、今度は青い小さなドラゴンが姿を現した。


「やはり、ゼンであったか…あの魔力と魔法はそうだと思ったのだ。」

「久しいな、ウォタよ。」

「あぁ、500年振りか…しかしお主、なぜこんなところに…」

「簡単な話さ…彼女に召喚されたのだ。」

「ほほう!召喚とな?お主の主人はよほどの使い手と見た!」

「そっ…そんな…わわわっ…わたしはただ教えられた通りにガチャ魔法を使っただけで…とととっ特別なことなんて!!」


急にウォタに褒められて、再びあたふたするミコト。そんな彼女を見て、苦笑しながらイノチはゼンへ問いかけた。


「なるほどな…さっきの爆発はゼンさんがやったのか。でもさ、それだけ強いんならこいつらなんて簡単に倒せたんじゃない?」

「まぁ確かにそうだが…この森はモンスターの生息域だからな。あまり目立った行動をすれば、それに刺激された奴らがどんどん集まる。ミコトを余計に危険な目に合わせたくなかったのだ。それに…」

「それに…?」


ゼンは少しだけ、何かを考えるように目を閉じると再び口を開いた。


「先ほど、ミコトが言った黒いフードの男…やつはおそらく、ミコトやお主と同じプレイヤーだろうな。ミコトにそう聞いてきたことからも推測できる。」

「確かにそうね…でも、それがなにか…」

「お主ならいきなり襲ってくる奴に、自分の手の内を明かしたいか?」

「…っ!?俺…に言ってる?!」


ゼンはエレナでもフレデリカでもなく、イノチに向かって問いかけてきたのだ。その瞳は真っ直ぐにイノチを見据えている。

イノチはその瞳から、ゼンが本当にミコトを守ろうとしている強い意思のようなものを感じとった。

すぐに真面目な顔に戻り、ゼンの質問に答える。


「俺だったら絶対明かさないね…自分のアドバンテージを相手に明かすなんて、殺してくださいって言ってるようなもんだ。」

「そうだろう…お主らが駆けつける少し前まで、フードの男のものらしき視線をずっと感じていた。おそらくは監視されていたのだろうな。こやつらに追い詰められたと同時にその気配はなくなったがな…」

「監視…プレイヤー狩り…まさかな。」


イノチは辺りを見回す。
タケルに聞いた話が本当であれば、このジパンにもPK(プレイヤーキル)を行う奴らがいるってことだ。

もしかしたら黒いフードのやつは…


「BOSS、安心なさい!今この周辺には私たち以外の気配はないわ!」

「ですわね!わたくしの索敵にも半径1キロ圏内にはモンスター以外、反応なしですわ!」


イノチの不安を吹き飛ばすほどに、エレナとフレデリカが自信満々に鼻を高くしている。イノチには、それがなんだかおかしかった。


「ありがとう!二人とも!とりあえず、こんな物騒なとこは早くおさらばしよう!ミコトさんは『イセ』を目指すんだよね?」

「はい。とりあえずは街へ行っていろいろ考えようかと思ってます。」

「そっか!それなら、今日はうちに来ない?泊めてあげるよ!」

「え…!?」
「あら…」
「ふーん…」
「ほう!」


イノチの発言にミコトは驚いて顔を赤くし、エレナたちは「やるじゃん、BOSS」と言った表情を浮かべている。


「ん…?みんな、どうしたの?」

「いえ、BOSSもなかなか隅に置けないなぁと思いましたのですわ!」

「はぁ…?!どういうこ…ハッ!」


意味がわからず、フレデリカに聞き返そうとして、イノチはどこからか殺気に似た視線を感じる。

焦って振り返ると…

ゼンがこちらを睨んでいて、その後ろでミコトが顔を真っ赤にして、言葉を失っていたのだ。


「よもや、そのようなふしだらなことをぬかすとは…初めて会った女子に自分の家に来いとは…小僧、それがいったいどういうことかわかっておるのだろうな?」

「ちょっ…ちょっと待て…ゼンさん、俺は別にそういう意味で言って…」

「では、どういう意味か説明してもらおうか!」


その横でミコトの頭からボンッと煙を吐き出される。


「イノチさん…エッチですよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

乙女ゲームの正しい進め方

みおな
恋愛
 乙女ゲームの世界に転生しました。 目の前には、ヒロインや攻略対象たちがいます。  私はこの乙女ゲームが大好きでした。 心優しいヒロイン。そのヒロインが出会う王子様たち攻略対象。  だから、彼らが今流行りのザマァされるラノベ展開にならないように、キッチリと指導してあげるつもりです。  彼らには幸せになってもらいたいですから。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

【完結】ドアマットに気付かない系夫の謝罪は死んだ妻には届かない 

堀 和三盆
恋愛
 一年にわたる長期出張から戻ると、愛する妻のシェルタが帰らぬ人になっていた。流行病に罹ったらしく、感染を避けるためにと火葬をされて骨になった妻は墓の下。  信じられなかった。  母を責め使用人を責めて暴れ回って、僕は自らの身に降りかかった突然の不幸を嘆いた。まだ、結婚して3年もたっていないというのに……。  そんな中。僕は遺品の整理中に隠すようにして仕舞われていた妻の日記帳を見つけてしまう。愛する妻が最後に何を考えていたのかを知る手段になるかもしれない。そんな軽い気持ちで日記を開いて戦慄した。  日記には妻がこの家に嫁いでから病に倒れるまでの――母や使用人からの壮絶な嫌がらせの数々が綴られていたのだ。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

処理中です...