ガチャガチャガチャ 〜職業「システムエンジニア」の僕は、ガチャで集めた仲間とガチャガチャやっていきます〜

noah太郎

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第一章 アクセルオンライン

58話 恋するダンジョン

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現状を把握しよう。

現在のプレイヤーランクについてだ。

イノチには、リュカオーン戦の経験値が入っていたようで、『10』から『15』になっていた。

ミコトは始めたばかりで、もちろん『1』。

ここから当面の間は、二人ともプレイヤーランク『20』を目指すことになる。

場所はもちろん、『超初級ダンジョン』を選択した。

イノチにとって、苦い思い出がある場所だが、通常のモンスターより経験値が多く得られるためだ。

方法も単純で、スポーンするゴブリンなどの低レベルモンスターを、エレナたちが弱らせて、イノチとミコトがトドメを刺すというものだ。

もっと効率的に、経験値を稼げる方法はあるだろう。ランクも上がり仲間も増えた今、一気に5階層を目指すのも手だと思う。

しかし、それをしないのはミコトのためでもある。

RPGを経験したことのないミコトにとって、モンスターと戦うことは精神的な負担がかなり大きいだろう。

しかも、トドメを刺さないといけないのだから。

まずはミコトに、この世界に慣れてもらう必要があると判断したイノチは、この作戦を皆に打診し、エレナとフレデリカを説得したのだった。

視線を前に向ければ、前回、死に物狂いで逃げ帰ったダンジョンが、静かに佇んでいる。

携帯端末を手に取り、画面をダンジョン情報画面へと移す。


『超初級ダンジョン』
階層:地下5階
出現するモンスター:バグズ(Lv.6)、ゴブリン(Lv.2)、ホブゴブリン(Lv.3)、コックローチ(Lv.3)、デビルラット(Lv.4)
入手可能アイテム:蛮勇のベスト(R)、強化薬(キャラ・武器)
備考:期間中は何度でも出入り可能


前回同様の情報が、そこには記載されている。とりあえず、階層ボスには注意しておくことを心に留めたイノチは顔を上げる。


「よぉーし!みんな準備はいいか?!」

「うむ。」

「もちろんですわ!!」

「……」


見回すように声をかけるイノチに対し、フレデリカとウォタは返事をしたが、エレナは別のところを向いている。


「エレナ…どうした?」

「…え?あぁ…何でもないわ。」


訝しげな表情を浮かべるイノチに、エレナは肩をすくめて向き直った。

気を取り直して、イノチはミコトとゼンの方を向く。


「計画通り…俺らの後ろから来てね。」


その言葉にミコトがうなずくのを確認すると、エレナを先頭にして、一同はダンジョンの入り口へと足を踏み入れたのだった。




長い階段を降り、1階層に到達する。

前回と同様、壁面に等間隔で並ぶ青い松明が不気味さを演出している。

先頭を歩くエレナが、鼻をクンクンと鳴らす。


「BOSS…この先にいるわよ。」

「前と同じゴブリンかな?」


エレナはコクリと頷いた。


「それじゃ…計画通りよろしく!」


皆、イノチの言葉に頭を縦に振った。




「ホブゴブリン…いっちょ上がりね。ミコト…!」

「はっ…はい…!」


広間の中央で呼ぶエレナのところへ、ミコトが走って近寄る。


「ここに刺すと簡単で、感触もあまり感じないから…」

「ここですね…はぁ…」

「目をつむって…あたしが支えるからそのまま剣を下ろしたらいいわ!」

「ありがとうございます…ふぅ……やっ!」


ミコトが垂直に下ろした剣先が、ホブゴブリンの首筋に刺さり、光の粒子となって消えていく。

ホブゴブリンが消え去った後には、『キバ』がドロップしていた。


「ミコト、お疲れさま。ここで少し休憩しよう。」


ミコトの精神面を考慮して、一同は少し休憩を取ることにした。


「ミコト…慣れないだろうけど、頑張ろう!とりあえず、ランクはどれくらいになった?」

「ありがとう…えっと…今ので『11』になってるね。」

「もう…『11』!?さすがはイベントダンジョンってところか。俺は『17』になったし…けっこう順調だね!」


そのまま、ゴブリンたちのリスポーンを待つが、一向にそんな気配は訪れない。
前回の経験から考えれば、次の階層へ進まないと、一度クリアした階層のモンスターはリスポーンしないという事だろう。

一同は休憩を終え、2階層への階段を進む。




2階層では、広間に到達する前に作戦を確認する。

前回、ここで襲ってきたのは虫の集合体モンスターだったが、イノチは対処法をしっかり考えてきていたのだ。


「…といった感じだけど…どうかな?」

「なるほどね…虫は嫌だけど…これなら確かに効率的ね。」

「わたくしもOKですわ。」

「我らも問題ない。」


エレナ、フレデリカ、そしてウォタとゼンが頷いたのを確認すると、イノチはミコトに声をかける。


「この階層は俺の後ろから離れないでね。」

「うっ…うん!」


イノチのその言葉にミコトは人知れず顔を赤くした。




「エレナ!出たぞ!!」

「リョーカイ!!」


イノチの合図で、エレナが細く立ち並ぶ岩の上を飛び回り、虫たちの気を引きつける。

その間に、フレデリカが土魔法で大きな洞窟を別の位置に掘り上げていく。


「エレナ!準備ができましたですわ!!」


フレデリカの声を聞くと、エレナはその洞窟へと疾風の如く駆け出した。
そして、そのまま洞窟の中へ入り込むと、フレデリカが事前に用意していた小さな抜け道に入り込んだ。

虫たちはそれには気づかず、洞窟の奥へと飛んでいき、行き止まりに突き当たる。

ブーンッと羽を鳴らし、迷ったように飛び回る彼らは、後方に突然現れた小さな赤きドラゴンに気づくと、そちらに向かって一斉に飛びかかった。

しかし、ゼンはそれを一瞥すると一言だけ告げる。


「飛んで火に入る夏の虫とは、まさにこの事だな。」


ゼンの口から大きな炎の渦が放たれる。

突然の炎に、体を燃やしながら飛び回る虫たち。その様相はイノチの目に少しだけ幻想的に見えたのであった。




3階層へ進む階段の前で、小休憩をとっている。


「やっぱり…こいつらがバグズってモンスターだったんだな。」


イノチは、手に持った虫型モンスターの死骸を見ながらそう告げる。

大きく発達した複眼と、青く光る光沢のある外殻が一部焼け残っている。


「そっ…そんなの…早く捨ててよ!」

「へへっ…エレナは虫が苦手だもんなぁ!」


イノチは意地悪そうに笑みをこぼした。

ゼンが燃やし、ウォタが頃合いを見て消火した事で、ほとんど息絶えかけの虫たちを、イノチとミコトは一匹ずつトドメを刺していった。

プレイヤーランクがある程度上がったところで終わりにしたのだが、…おそらく千匹以上はいたのではないだろうか。

イノチのプレイヤーランクは『19』、ミコトは『16』まで上がっている。


「さて…」


イノチは持っていた虫の死骸を放り投げると、みんなの方へ顔を向けた。


「3階層からは、俺とエレナも初めてだ。まだ見たことがないモンスターもいるし、難易度も上がっていくと思う…」


イノチはゆっくりとみんなの顔を見渡していく。


「このまま、1階層と2階層を行き来してもいいんだけど、思っていたより俺たちのランクも早く上がったので、3階層にチャレンジしてみようと思うんだけど…どうかな?」

「賛成するわ!」

「ですわね…そろそろ思いっ切り戦いたいですわ!」


それを聞いたエレナとフレデリカは、待ってましたとばかりに声を上げた。イノチには、その瞳の奥に小さく炎が揺れているように感じられた。

横では、ウォタとゼンも無言でうなずいている。


「ミコトはどう?」

「えっ…わたし?」


イノチの顔を見て、頬が少し赤くなる。


「わっ…わたしも…賛成です…」

「よし!決まりだね!!」


その言葉に笑顔になるイノチを見て、ミコトは再び、顔を赤くするのであった。
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