ガチャガチャガチャ 〜職業「システムエンジニア」の僕は、ガチャで集めた仲間とガチャガチャやっていきます〜

noah太郎

文字の大きさ
59 / 290
第一章 アクセルオンライン

58話 恋するダンジョン

しおりを挟む

現状を把握しよう。

現在のプレイヤーランクについてだ。

イノチには、リュカオーン戦の経験値が入っていたようで、『10』から『15』になっていた。

ミコトは始めたばかりで、もちろん『1』。

ここから当面の間は、二人ともプレイヤーランク『20』を目指すことになる。

場所はもちろん、『超初級ダンジョン』を選択した。

イノチにとって、苦い思い出がある場所だが、通常のモンスターより経験値が多く得られるためだ。

方法も単純で、スポーンするゴブリンなどの低レベルモンスターを、エレナたちが弱らせて、イノチとミコトがトドメを刺すというものだ。

もっと効率的に、経験値を稼げる方法はあるだろう。ランクも上がり仲間も増えた今、一気に5階層を目指すのも手だと思う。

しかし、それをしないのはミコトのためでもある。

RPGを経験したことのないミコトにとって、モンスターと戦うことは精神的な負担がかなり大きいだろう。

しかも、トドメを刺さないといけないのだから。

まずはミコトに、この世界に慣れてもらう必要があると判断したイノチは、この作戦を皆に打診し、エレナとフレデリカを説得したのだった。

視線を前に向ければ、前回、死に物狂いで逃げ帰ったダンジョンが、静かに佇んでいる。

携帯端末を手に取り、画面をダンジョン情報画面へと移す。


『超初級ダンジョン』
階層:地下5階
出現するモンスター:バグズ(Lv.6)、ゴブリン(Lv.2)、ホブゴブリン(Lv.3)、コックローチ(Lv.3)、デビルラット(Lv.4)
入手可能アイテム:蛮勇のベスト(R)、強化薬(キャラ・武器)
備考:期間中は何度でも出入り可能


前回同様の情報が、そこには記載されている。とりあえず、階層ボスには注意しておくことを心に留めたイノチは顔を上げる。


「よぉーし!みんな準備はいいか?!」

「うむ。」

「もちろんですわ!!」

「……」


見回すように声をかけるイノチに対し、フレデリカとウォタは返事をしたが、エレナは別のところを向いている。


「エレナ…どうした?」

「…え?あぁ…何でもないわ。」


訝しげな表情を浮かべるイノチに、エレナは肩をすくめて向き直った。

気を取り直して、イノチはミコトとゼンの方を向く。


「計画通り…俺らの後ろから来てね。」


その言葉にミコトがうなずくのを確認すると、エレナを先頭にして、一同はダンジョンの入り口へと足を踏み入れたのだった。




長い階段を降り、1階層に到達する。

前回と同様、壁面に等間隔で並ぶ青い松明が不気味さを演出している。

先頭を歩くエレナが、鼻をクンクンと鳴らす。


「BOSS…この先にいるわよ。」

「前と同じゴブリンかな?」


エレナはコクリと頷いた。


「それじゃ…計画通りよろしく!」


皆、イノチの言葉に頭を縦に振った。




「ホブゴブリン…いっちょ上がりね。ミコト…!」

「はっ…はい…!」


広間の中央で呼ぶエレナのところへ、ミコトが走って近寄る。


「ここに刺すと簡単で、感触もあまり感じないから…」

「ここですね…はぁ…」

「目をつむって…あたしが支えるからそのまま剣を下ろしたらいいわ!」

「ありがとうございます…ふぅ……やっ!」


ミコトが垂直に下ろした剣先が、ホブゴブリンの首筋に刺さり、光の粒子となって消えていく。

ホブゴブリンが消え去った後には、『キバ』がドロップしていた。


「ミコト、お疲れさま。ここで少し休憩しよう。」


ミコトの精神面を考慮して、一同は少し休憩を取ることにした。


「ミコト…慣れないだろうけど、頑張ろう!とりあえず、ランクはどれくらいになった?」

「ありがとう…えっと…今ので『11』になってるね。」

「もう…『11』!?さすがはイベントダンジョンってところか。俺は『17』になったし…けっこう順調だね!」


そのまま、ゴブリンたちのリスポーンを待つが、一向にそんな気配は訪れない。
前回の経験から考えれば、次の階層へ進まないと、一度クリアした階層のモンスターはリスポーンしないという事だろう。

一同は休憩を終え、2階層への階段を進む。




2階層では、広間に到達する前に作戦を確認する。

前回、ここで襲ってきたのは虫の集合体モンスターだったが、イノチは対処法をしっかり考えてきていたのだ。


「…といった感じだけど…どうかな?」

「なるほどね…虫は嫌だけど…これなら確かに効率的ね。」

「わたくしもOKですわ。」

「我らも問題ない。」


エレナ、フレデリカ、そしてウォタとゼンが頷いたのを確認すると、イノチはミコトに声をかける。


「この階層は俺の後ろから離れないでね。」

「うっ…うん!」


イノチのその言葉にミコトは人知れず顔を赤くした。




「エレナ!出たぞ!!」

「リョーカイ!!」


イノチの合図で、エレナが細く立ち並ぶ岩の上を飛び回り、虫たちの気を引きつける。

その間に、フレデリカが土魔法で大きな洞窟を別の位置に掘り上げていく。


「エレナ!準備ができましたですわ!!」


フレデリカの声を聞くと、エレナはその洞窟へと疾風の如く駆け出した。
そして、そのまま洞窟の中へ入り込むと、フレデリカが事前に用意していた小さな抜け道に入り込んだ。

虫たちはそれには気づかず、洞窟の奥へと飛んでいき、行き止まりに突き当たる。

ブーンッと羽を鳴らし、迷ったように飛び回る彼らは、後方に突然現れた小さな赤きドラゴンに気づくと、そちらに向かって一斉に飛びかかった。

しかし、ゼンはそれを一瞥すると一言だけ告げる。


「飛んで火に入る夏の虫とは、まさにこの事だな。」


ゼンの口から大きな炎の渦が放たれる。

突然の炎に、体を燃やしながら飛び回る虫たち。その様相はイノチの目に少しだけ幻想的に見えたのであった。




3階層へ進む階段の前で、小休憩をとっている。


「やっぱり…こいつらがバグズってモンスターだったんだな。」


イノチは、手に持った虫型モンスターの死骸を見ながらそう告げる。

大きく発達した複眼と、青く光る光沢のある外殻が一部焼け残っている。


「そっ…そんなの…早く捨ててよ!」

「へへっ…エレナは虫が苦手だもんなぁ!」


イノチは意地悪そうに笑みをこぼした。

ゼンが燃やし、ウォタが頃合いを見て消火した事で、ほとんど息絶えかけの虫たちを、イノチとミコトは一匹ずつトドメを刺していった。

プレイヤーランクがある程度上がったところで終わりにしたのだが、…おそらく千匹以上はいたのではないだろうか。

イノチのプレイヤーランクは『19』、ミコトは『16』まで上がっている。


「さて…」


イノチは持っていた虫の死骸を放り投げると、みんなの方へ顔を向けた。


「3階層からは、俺とエレナも初めてだ。まだ見たことがないモンスターもいるし、難易度も上がっていくと思う…」


イノチはゆっくりとみんなの顔を見渡していく。


「このまま、1階層と2階層を行き来してもいいんだけど、思っていたより俺たちのランクも早く上がったので、3階層にチャレンジしてみようと思うんだけど…どうかな?」

「賛成するわ!」

「ですわね…そろそろ思いっ切り戦いたいですわ!」


それを聞いたエレナとフレデリカは、待ってましたとばかりに声を上げた。イノチには、その瞳の奥に小さく炎が揺れているように感じられた。

横では、ウォタとゼンも無言でうなずいている。


「ミコトはどう?」

「えっ…わたし?」


イノチの顔を見て、頬が少し赤くなる。


「わっ…わたしも…賛成です…」

「よし!決まりだね!!」


その言葉に笑顔になるイノチを見て、ミコトは再び、顔を赤くするのであった。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~

シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。 主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。 追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。 さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。 疫病? これ飲めば治りますよ? これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。

離婚すると夫に告げる

tartan321
恋愛
タイトル通りです

私と母のサバイバル

だましだまし
ファンタジー
侯爵家の庶子だが唯一の直系の子として育てられた令嬢シェリー。 しかしある日、母と共に魔物が出る森に捨てられてしまった。 希望を諦めず森を進もう。 そう決意するシェリーに異変が起きた。 「私、別世界の前世があるみたい」 前世の知識を駆使し、二人は無事森を抜けられるのだろうか…?

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

処理中です...