ガチャガチャガチャ 〜職業「システムエンジニア」の僕は、ガチャで集めた仲間とガチャガチャやっていきます〜

noah太郎

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第四章 全ての想いの行く末

4話 会いたかったよ

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フレデリカは目の前の光景に言葉が出なかった。
煌びやかで立派だった門は跡形もなく、もはやそのほとんどが瓦礫と化している。


「ちょっと威力の設定、間違えたなぁ。爆発の加減とかって、未だによくわかんないんだよな。」


後ろでは、ぶつぶつとつぶやいているイノチの声が聞こえる。


「BOSS…これ、本当にBOSSが創ったのですわ?」

「あ…あぁ、そうだけど…」

「……。次にこういう類のものを創るときは、わたくしが手伝いますわ。」

「え…?そ…そう?やっぱり、まずいかった?」

「まずいなんてもんじゃないですわ。あれだけ巨大な門を一発で吹き飛ばす威力…魔力も使わずに簡単に生み出せるなんて…」


まずかったかと焦るイノチを横目に、フレデリカはバラバラの門から目が離せなかった。

イノチの能力の恐ろしさを目の当たりにして、目の前の現状を飲み込み切れていないのである。

しかし、彼女の中で勝っているのは疑心よりも好奇心だった。

錬金術師としての好奇心が、イノチのスキルをもっと試したいと叫んで止まないのだ。

しかし、門を見据える彼女の視界に、武装したレジスタンスたちが映し出され、フレデリカは正気に戻された。


「イノチさん、フレデリカさん!ありがとうございます!第一部隊が突撃を開始しました。俺たちも行きます。この後も作戦通りお願いします!」


指揮を取るリーダー格の男が駆け寄ってきて、そう告げると再び仲間たちの元へと戻っていく。


「フレデリカ、俺らもそろそろ行こうか。」

「えぇ…了解ですわ。BOSS…」


その男の背中を見つめながらつぶやいたイノチの言葉に、フレデリカもまた小さくうなづいたのであった。





「目指すはレオパルだ!!国王の首を獲れぇぇぇ!!」


その声に同調して、周りの者たちも大きく声を上げ、武装した集団は一斉に走り出した。

破壊された門を越え、彼らは王宮の敷地内へとなだれ込む。
その声の波は怒号となり、王宮全体へと大きく広がっていく。


「王をお守りしろ!!不届きもの共に天罰を下せ!!」


その反対側で、指揮官らしき兵士の一人がそう叫んだ。
甲冑に身を包んだ兵士たちがそれに反応し、隊列組んで槍を構え始める。

やはりと言うべきか、兵士たちには統率と冷静さがうかがえた。

誰がみても兵士たちが有利に見える状況であるが、武装した者たちはその足を止めることはしない。

声を上げ、自分達を鼓舞しながら、武器をかざして兵士たちへと突撃する。

しかし、両者がぶつかり合う…そう思われた瞬間だった。

隊列を組んでいた兵士たちの真ん中で、大きな衝撃が巻き起こったのだ。


「なっ…!何事だぁぁぁ!?」


驚く指揮官の目の前で、大きく立ち上がる人柱。
自分の部下たちが目の前で舞い上がり、散っていくのだ。

周りの兵士たちも響めき、動揺する中、その隙を狙って武装した集団が一気に攻め込んでくる。


「奴らが動揺している隙を狙えぇぇ!!」


不意をつかれた兵士たちは、武装した者たちの攻撃を防ぐことができず、一気に蹴散らされていった。


「くっ!魔導隊!!奴らを吹き飛ばせ!!」

「し…しかし、それでは仲間達まで!」

「構わん!早くやらんかぁ!!それとも…命令がきけんというのか!?これは王を守るため!王勅命と同義だぞ!!」


指揮官にそう怒鳴られ、ローブをまとった男は仕方なく指示を出す。


「魔導隊…敵殲滅を開始する!詠唱、用意!!」


その言葉を聞いて、周りにいたウィザードたちが詠唱を始めるが…


「ぐぁっ!」
「ぎゃっ!?」
「ぐはっ!」

「なっ…!ど…どうしたっ!?」


突然倒れ始める部下たちに、ローブの男は驚いた。
魔法を放とうとしていた部下たちが、見えない何かに切り伏せられていく。

そんな意味不明な状況に口をポカンと開けていた男は、ある違和感を感じて振り返ると、先ほどまで怒鳴っていた指揮官の男も血を流して倒れていることに気がついた。


「な…何が起きて…いひゅっ…」


そこまでつぶやいたローブの男もまた、自らの喉を切られたことに気づくことなく、その場に伏した。





「エレナさん、アレックスさん!助かりました!」


周りではまだ怒号が響き渡っている中、レジスタンスの一人がエレナとアレックスにそう声をかける。


「全然だよぉ♪でも、おっきな人の柱ができてたねぇ♪」

「はぁぁぁ…手応えないわね…。」


嬉しそうに笑うアレックスの横で、つまらなさそうにつぶやくエレナを見て、レジスタンスの男は苦笑いを浮かべた。


「エ…エレナさんたちが強過ぎるんですよ!でもこれで、第一段階はクリアできそうです。どのチームも王宮内の兵士たちによる防御網は突破できてるみたいなので…」

「ということは、次は『創血の牙』の人たちが出てくるんだねぇ♪」

「ア…アレックスさん、なんだか楽しそうですね…」


アレックスの言葉に、レジスタンスの男はさらに苦笑いを浮かべたが、すぐに切り替えて話を続ける。


「おそらく、レオパルがいるのは謁見の間。しかし、建物の前にはアレックスさんの言うとおり、『創血の牙』の奴らが防御を固めているはずです。奴らをどうにかしない限り、中には入れません。」

「わかってるわ!ここから先は、あたしたちの本当の出番ってこと。あんたたちはとりあえず、戦線を死守し、王宮への出入り口の守りを固めなさい。あたしたちが活路を開くから。」


その言葉を聞くと、レジスタンスの男は「よろしくお願いします。」と頭を下げて、仲間の元へと戻っていった。


「さてと…アレックス、準備はいいかしら?」


それを見送りながら、エレナが口を開く。


「僕はいつでも大丈夫だよぉ♪」

「なら、作戦の続きね!楽しみはこれからよ!」

「おー♪」


エレナの言葉に、アレックスは嬉しそうに拳を上げた。





「轟雷を操りし天の主よ、その力、一条の光となりて、彼の者に降り注がん!!ライトニングボルト!!!」

「「「ぎゃぁぁぁぁ!!!」」」


フレデリカの雷魔法が兵士から兵士へと伝い、断末魔とともに黒焦げになった兵士たちがその場に倒れていく。


「なっ!なんだあのウィザードは!あんな強力な魔法など見たことないぞ!!」


フレデリカを見ていたリシア帝国軍の指揮官が、そう動揺を漏らした。


「たっ…隊長…今の一撃でほとんどの兵がやられてしまいました!敵が…一気に攻めてきます!」

「くっ…!こんな情報は聞いていないぞ!『創血の牙』の情報では、敵は市民が武装したレベル!そうであったではないか!」

「わ…私にも何が何だか…ぎゃっ!」


目の前で報告していた部下の背に矢が突き刺さり、甲冑の擦り音とともに崩れ落ちる。

驚いたままその眼を前に向ければ、弓を構える男の周りから、武装した者たちが武器を掲げてこちらに走ってくる様子が見えた。


「創血の牙めぇぇぇ!まさか、嘘の情報をぉぉぉ!!…くそぉ!貴様らぁ。リシア帝国軍を舐めるなぁ!」


指揮官である男はそう叫び、腰から剣を抜き放った。
前から走ってくるレジスタンスを一人、また一人と斬り伏せていく。

さすがは指揮官を任されるだけのことはある。
その強さに、レジスタンスたちは恐れをなして足を止め……るはずもなく、数の暴力でその男を押し潰してしまった。


「BOSS!倒れた仲間にポーションを!」

「はいよ!」


イノチは怪我をしたレジスタンスのメンバーたちに、ポーションを与えていく。


「あ…ありがとうございます。」

「気にしないでください。僕らは仲間なんですから!」


イノチの言葉に、ポーションを飲みながら彼は笑った。

一通り、怪我人の対応を終えたイノチが周りを見渡す。
フレデリカの援護もあって、レジスタンスは東門の入り口を
無事押さえることができたようだ。

リーダー格の男がそれぞれに指示を出し、レジスタンスたちが配置についていく。

その様子を見て、イノチはつぶやいた。


「次は…奴らだな。フレデ…!」


しかし、その瞬間、突如として占拠した東門前の広間に何かが落下し、轟音と共に砂ほこりを巻き上げた。


「な…なんだ!?」


驚いたイノチたちは、舞い散る砂ほこりの中心を注視する。
次第に晴れていく煙の中に、誰かいるのがうかがえる。


(誰だ…?考え得るのは創血の牙だろうけど…)


その人物は鎧を…全身にまとった漆黒の鎧を揺らしながら、ゆっくり立ち上がる。

そして、イノチに顔を向けて不敵につぶやいた。


「君が……会いたかったよ。」
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