ガチャガチャガチャ 〜職業「システムエンジニア」の僕は、ガチャで集めた仲間とガチャガチャやっていきます〜

noah太郎

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第四章 全ての想いの行く末

47話 陽動

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「そろそろ見えてくるぞ…」


ウォタがそう告げると、イノチは視線を高くする。少し離れた位置に、ランドール家の屋敷の一部を捉えた。

イノチとウォタは、ランドール家の屋敷の裏側、生い茂る林の中をバレぬよう静かに移動していた。陽動チームが囮になっている間にエレナを救出するため、屋敷の東側を目指しているのである。


「このまま行けば、エレナのところには簡単に辿り着けそうだな。」


イノチがそうつぶやくと、ウォタは自慢げに笑った。


「だから言ったであろう!我の作戦に狂いはない!」

(作戦って程のものでもないんだが…)


イノチは内心で苦笑いをこぼす。だが、ウォタの言う通り、クリスたちはフレデリカたちが囮だということには、まったく気づいてないようだ。

自分とウォタがいないことを怪しまないのも、神が目標を達成したと考えているからだろう。

自分を殺し、操っているウォタを連れて神界に帰ったとでも考えているのだろうか。そう考えれば、イノチは少し楽しくなった。

まるで、自分の手のひらで全てが転がっているような…そんな感覚を感じる。

だが、そんな気持ちもすぐに萎えてしまう。

そもそも今の自分たちは、ゼウスの手のひらで踊らされていることを理解しているからだ。


(なんだかなぁ…全部あのじいさんの思惑通りってのが気に食わん…)


そう内心ではムカついているが、今はエレナを助ける方が先だと切り替え、屋敷を目指す。




屋敷を囲う柵の前にたどり着き、ウォタは周りに誰もいないことを確認すると、イノチを抱えて一気に柵を飛び越えた。

音を立てる事なく着地すると、今度は近くの窓へと駆け寄った。イノチもそれに続き、窓の下の壁に身を寄せる。


「ウォタ…」

「しっ!」


話しかけようとして、それをウォタに遮られる。その直後に屋敷内の廊下を、執事たちが慌ただしく走っていく音が聞こえた。


「おそらくはミコトたちの所へ向かったんだろうな。」


ウォタはそう告げて立ち上がり、窓から屋敷内の様子を窺っている。そして、問題がないことを確認すると、窓ガラスの一部に爪を当て、音も立てる事なく円を描いたのだ。

ウォタが手を離した窓ガラスに、特に変わった所は見られなかったが、ウォタが改めて自分の爪をガラスに刺して、ゆっくりと引き抜けば、小さな穴が出来上がった。

その中に手を伸ばし、内側から鍵を開けると、ウォタは満足げに窓を引き開く。


「なら、行くぞ。遅れるな…」


なんだか楽しんでいるように見えるウォタに、イノチは小さくため息をつくと、その後に続くのであった。





「ゼ…ゼンちゃん!!こ…これどうするのぉ~!?」


ミコトは目の前の状況に焦りを露わにしていた。
忍び込めば、戦闘になる覚悟は持っていた。自分もゼンと共にそれなりの修羅場をくぐったのだから、乗り切れるはずだと…そう思っていた。


「ミコト!絶対にはぐれるなよ!メイ!お前もだ!」

「はい!しかし…これは…!」


ゼンの言葉にうなずいたメイだったが、次から次へと現れる執事とメイドに圧倒されつつあった。

西側の中庭から侵入したミコトたちは、すぐに気づかれ、何人もの執事とメイドたちに襲われることとなる。

すでに何人の敵を蹴散らしたかはわからないが、未だに増え続ける敵に焦りを隠せない。現在、視界に把握できるだけでも10人以上はいるが…


「おい!こっちだぞ!侵入者を捕らえろ!」


どんどん増援がくることに対し、何か手はないかと考えたミコトは、咄嗟にゼンに提案を投げかける。


「ゼンちゃん!あのスキルを…!」

「まだだ!頃合いを身計らなければならん!」


それは確かにそうだった。まだ、フレデリカたちから合図はない。この作戦では自分たちも陽動部隊…できる限り注目を浴びて、イノチたちが動きやすくすることが目的なのだ。

一気に倒してしまってもいいが、それではイノチたちの動きまで明るみに出てしまう。それでは意味がないのだ。

ミコトはそう思い、持っていた杖を握りしめた。


「そうだよね!エレナさんを助けなきゃ!」


ゼンはその言葉に笑みをこぼした。
だがその瞬間、空高く真っ赤な炎が打ち上げられた。それを見たゼンが声を上げる。


「このタイミングとはなぁ!!ミコト!さぁ!暴れるか!」


ゼンの声と共に、真っ赤な火花が空を染める。それを見たミコトの瞳も、意志の強さを表したように赤く輝いていた。





「お嬢さん…なかなかやりますな。」


双剣を両手に携え、クリスはそう微笑んだ。
その顔だけ見れば普通の優しい男爵家当主。しかし、目の前に立つフレデリカたちの様子を見れば、彼がそれだけでないことがわかるだろう。

肩で息をするフレデリカとアレックスの体はボロボロ。

フレデリカに限っては、切り傷だらけでこっぴどくやられている。だが、彼女は口元で笑う。


「さすが…ハァハァ…前フェーデですわ。お強いこと…」

「褒め言葉に預かり光栄ですな。」


クリスも笑いながら、丁寧に腰を折った。そして、頭を上げながらこう告げる。


「それでは、そろそろ終わりにしましょうか。私も忙しい身でしてね…」

「あら…それは残念ですわ…もう少し遊んでいただきたかったのですが…」


フレデリカはそう返して身構える。それに対して、クリスは大きく笑って言葉を返した。


「ハハハ…それはまた今度にしましょう。今度があれば…ですがね!」


その瞬間、クリスが笑みを深める。それを見たフレデリカがアレックスへ叫んだ。


「アレックス!来ますわよ!気をつけるのですわ!」

「うん♪」


フレデリカが大きくオーラを発現させ、アレックスも盾を構え直して黒いオーラを纏わせる。それを見たクリスは、右手に持つ剣でアレックスを指す。


「盾のお嬢さまから参りましょう!」

「げげっ…♪僕からなのかぁ♪よぉーし♪もっかいチャレンジだねぇ♪」

「では…」


紳士的な礼を行ったかと思えば、目にも止まらぬ速さで間合いを詰めてくるクリスに、アレックスは瞬時にスキルを発動。

漆黒の盾の周りには、黒い電撃が音を立てて走り始めるが、クリスはそんなことお構いなしに双剣を振りかざしてくる。

剣と盾が触れ合った瞬間に火花が散る。それに反応するようにバチバチと音が立ち、電撃がクリス目掛けて襲いかかる。

しかし、クリスはそれよりも早いスピードで電撃を全て掻い潜り、その代わりにといったようにアレックスに対して、四方八方から剣戟を放っていった。


「この人…ヤバすぎるよぉ♪」


クリスの剣戟に食らいつきながら、笑顔の中に焦りを浮かべたアレックスがそうつぶやく。


「アレックスを…」


そんな二人の側にフレデリカが接近し、クリスの後ろをとってそうつぶやく。そして、ガラ空きの背中に拳を放った。


「いじめるな、ですわ!!」


だが、その拳は簡単にかわされる。そして、フレデリカの後ろに回り込んだクリスが、フレデリカに目掛けてスキルを放った。


「双璧斬!!」


振り抜いた双剣から、青い斬撃が実体となって放たれる。


「ちぃっ!」


フレデリカは、自らの後ろから飛んでくる斬撃を避ける術がないことを悟った。しかし、アレックスが次の一手を打つ。


「フレデリカさん♪僕の盾を足場にぃ♪」


フレデリカはその言葉を聞いて、咄嗟にアレックスの盾を足場に体を捻らせた。高く飛翔した体は、クリスの攻撃をかわすことができたが、もちろんその斬撃はアレックスへと直撃する。


「痛ぁぁぁい…」


さすがにダメージが大きいのか、アレックスは斬撃の衝撃によろめいた。

それを横目に見ていたフレデリカだが、スキルを使ったことでできたクリスの隙を突くように、スカートのスリットの隙間から銃を取り出すと、すぐに詠唱を始める。


「獄炎の焔焔たる意志たちよ、我が手に集いて来たれ、全てを滅せ…」


赤黒い炎をまとった銃が、エネルギーを収束させるようにキィィィンと音を鳴らす。そして、フレデリカは容赦なくその言葉を綴った。


「アンファール・バースト!!!」


その瞬間、特大の炎がクリスに向けて放たれた。
だが、クリスは焦る素振りすら見せず、双剣の柄頭を揃え、それを回転させ始める。


「なかなかの魔法ですが…」


そう静かに告げるクリスは、襲いくる炎の威力を回転させた剣で分散させてしまった。しかし、フレデリカも笑っていることにクリスは気づいた。

そして、分散した炎の中から小さな火の玉が空へと上がり、小さく音を響かせて弾けたのだった。
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