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19話 このエルフ、〇〇につき
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ヘルフラワーが居なくなったおかげで、森の中の視界が鮮明になってきた。痺れ粉も先ほどの魔法で全て灰と化したみたいでホッと一息つく。
そして、ふと視線を前に戻すとターの姿が確認できた。
「助かったよ。この装備でヘルフラワーと対峙するのはちょっと無理があったし。君のおかげで戦わずに済んだ。」
エルフを抱えたまま彼女に御礼を告げたが、彼女は一言「いーえ。」とだけしか返してくれなかった。それはどこか不満げで、何かに苛立っている様にも見える。
だが、こういう態度は今に始まった事ではない。俺は特に気にする事なく、抱えていたエルフを近くの木の下へと下ろした。
「おい。大丈夫か?」
しゃがみ込み、頬を数回ほど軽く叩いて呼びかけると、彼女は意識を取り戻す。
「う……ん…………」
「お!よかった。生きてたな。」
その事にホッと一安心して彼女の様子を窺った。
ゆっくりと目を開けた彼女は木漏れ日の眩しさにその目を擦り、キョロキョロと辺りを見回した後、俺の顔を見て動きを止める。
「大丈夫か?怪我とかはしてないみたいだけど……どこか痛いところはないか?」
そう尋ねてみたが、彼女は頭を横に振った。
とりあえず無事で何よりだ。だけど、さっきからずっと俺の事を見ている事が気にかかる。俺の顔に何かついているのだろうか。とっさに家を飛び出したから身だしなみは確認できてないが、顔はちゃんと洗ったはず。
と、疑問を巡らせていた俺に対して、エルフがとった行動は予想外過ぎた。
「あぁ!!あなた様が命の恩人なのですね!!」
「のわぁ!!な……何を……!!」
突然抱きつかれてその場に仰向けに倒れ込む。
だが、そんな事はお構いなしに俺の胸に顔を埋めるエルフの女性。顔をスリスリと押し付け、俺の匂いを嗅ごうとするその様子は変態にしか見えなかった。
「お……おい!やめろって!」
「いやです!!命の恩人には我が身を持ってその恩をお返しせねば!!」
言っている意味がわからないが、俺の体を押さえつけたまま突然服を脱ごうとするエルフに対して、俺は動揺を隠し切れない。
というか、なんという馬鹿力なのだろうか。俺はこのマウント状態を一切覆す事ができずにいる。
「ちょ……!おま……何をして……!?」
「ですから!この身を持ってあなた様への恩義をお返しするのです!」
「いや……意味わからんって!や……やめろ!脱ぐな!」
エルフはすでに上半身の着衣を脱ごうとしており、その隙間からは大きくてたわわに実った禁断の果実の一部が見え隠れしている。
一瞬、それに見惚れてしまった俺の抵抗が止まる。
「いざ参りますわ!あなた様ぁぁぁぁぁ!!」
それを好機と捉えたエルフの眼が光り、一気に服を脱いで裸になろうとしたところで、エルフが白目を剥いて倒れ込んだ。
「あ……あれ?」
突然の事に状況を理解できない俺を、汚いものを見る様な目でターが見下ろしている。
「……見てられないわね。バカじゃないの?」
「これ……君が……?」
「峰打ちよ。そのうち気づくでしょ。」
そう言いながら、俺にのしかかる様に倒れているエルフを彼女は足で蹴り飛ばした。その拍子に仰向けに転がったエルフは、乱れた着衣のまま白目を剥いて倒れており、そこにはエロさも妖艶さも微塵も感じられない。
「助かった……まじで。」
立ち上がってお礼を述べる俺に、ターは相変わらず眉間にシワを寄せたまま鼻を鳴らした。
「キモいわ。あなたもこの女も。こんなところでふしだらな。」
「いや……俺だって抵抗してたんだけど。」
「でも、一瞬彼女の胸に見惚れてたじゃない。まじでキモいわ。あり得ない!」
それについてはぐうの音もでない。男の性ってやつは状況を選ばずに顔を出すもので、なかなかコントロールするのは難しいのだ。
反論せずに苦笑いしていると、ターは呆れた様に振り返って歩き出す。
「帰るのか?」
「えぇ、朝食がまだでしょう?」
「だな。このエルフの人はどうする?」
「放っておいて問題ないわ。助けて損したくらいよ。」
相変わらず冷たいなとは思ったが、連れて帰ってまたあの状況になるのだけは俺としても避けたい。
それにこの辺りは基本的に魔物は出ないエリアだから、放っておいても大丈夫だろう。
そう考えた俺は、持っていたタオルをエルフに掛けてあげる。乱れた服を隠すのには少し心許ないが、ないよりはマシだろうからな。
俺はそのまま立ち上がってターの後を追った。
・
・
その日の夜。
玄関のドアを叩く音に気づいた俺がそのドアを開けると、目の前には朝助けたエルフが立っていた。しかも、顔をぐちゃぐちゃにして泣きながら、その場にしゃがみ込んでしまったのだ。
話を聞けば、今夜泊まる場所がないらしく、一晩でいいからここに泊まらせて欲しいというのだ。
朝の事を思い出すと少し悩ましいが、一晩だけならと思ってターに視線を向けると、彼女は呆れた様に大きなため息をついた。
てか、ここは俺んちだぞ!なんでお前に許可を得る必要があるんだ!
内心ではそうイラつきつつ、落ち着いた表情をエルフに向ける。
「わかった。今晩だけですよ。そして、朝の様な事は絶対にしないでくださいね。」
俺が提示した条件を快諾し、エルフは我が家へと足を踏み入れる事となった。
そして、ふと視線を前に戻すとターの姿が確認できた。
「助かったよ。この装備でヘルフラワーと対峙するのはちょっと無理があったし。君のおかげで戦わずに済んだ。」
エルフを抱えたまま彼女に御礼を告げたが、彼女は一言「いーえ。」とだけしか返してくれなかった。それはどこか不満げで、何かに苛立っている様にも見える。
だが、こういう態度は今に始まった事ではない。俺は特に気にする事なく、抱えていたエルフを近くの木の下へと下ろした。
「おい。大丈夫か?」
しゃがみ込み、頬を数回ほど軽く叩いて呼びかけると、彼女は意識を取り戻す。
「う……ん…………」
「お!よかった。生きてたな。」
その事にホッと一安心して彼女の様子を窺った。
ゆっくりと目を開けた彼女は木漏れ日の眩しさにその目を擦り、キョロキョロと辺りを見回した後、俺の顔を見て動きを止める。
「大丈夫か?怪我とかはしてないみたいだけど……どこか痛いところはないか?」
そう尋ねてみたが、彼女は頭を横に振った。
とりあえず無事で何よりだ。だけど、さっきからずっと俺の事を見ている事が気にかかる。俺の顔に何かついているのだろうか。とっさに家を飛び出したから身だしなみは確認できてないが、顔はちゃんと洗ったはず。
と、疑問を巡らせていた俺に対して、エルフがとった行動は予想外過ぎた。
「あぁ!!あなた様が命の恩人なのですね!!」
「のわぁ!!な……何を……!!」
突然抱きつかれてその場に仰向けに倒れ込む。
だが、そんな事はお構いなしに俺の胸に顔を埋めるエルフの女性。顔をスリスリと押し付け、俺の匂いを嗅ごうとするその様子は変態にしか見えなかった。
「お……おい!やめろって!」
「いやです!!命の恩人には我が身を持ってその恩をお返しせねば!!」
言っている意味がわからないが、俺の体を押さえつけたまま突然服を脱ごうとするエルフに対して、俺は動揺を隠し切れない。
というか、なんという馬鹿力なのだろうか。俺はこのマウント状態を一切覆す事ができずにいる。
「ちょ……!おま……何をして……!?」
「ですから!この身を持ってあなた様への恩義をお返しするのです!」
「いや……意味わからんって!や……やめろ!脱ぐな!」
エルフはすでに上半身の着衣を脱ごうとしており、その隙間からは大きくてたわわに実った禁断の果実の一部が見え隠れしている。
一瞬、それに見惚れてしまった俺の抵抗が止まる。
「いざ参りますわ!あなた様ぁぁぁぁぁ!!」
それを好機と捉えたエルフの眼が光り、一気に服を脱いで裸になろうとしたところで、エルフが白目を剥いて倒れ込んだ。
「あ……あれ?」
突然の事に状況を理解できない俺を、汚いものを見る様な目でターが見下ろしている。
「……見てられないわね。バカじゃないの?」
「これ……君が……?」
「峰打ちよ。そのうち気づくでしょ。」
そう言いながら、俺にのしかかる様に倒れているエルフを彼女は足で蹴り飛ばした。その拍子に仰向けに転がったエルフは、乱れた着衣のまま白目を剥いて倒れており、そこにはエロさも妖艶さも微塵も感じられない。
「助かった……まじで。」
立ち上がってお礼を述べる俺に、ターは相変わらず眉間にシワを寄せたまま鼻を鳴らした。
「キモいわ。あなたもこの女も。こんなところでふしだらな。」
「いや……俺だって抵抗してたんだけど。」
「でも、一瞬彼女の胸に見惚れてたじゃない。まじでキモいわ。あり得ない!」
それについてはぐうの音もでない。男の性ってやつは状況を選ばずに顔を出すもので、なかなかコントロールするのは難しいのだ。
反論せずに苦笑いしていると、ターは呆れた様に振り返って歩き出す。
「帰るのか?」
「えぇ、朝食がまだでしょう?」
「だな。このエルフの人はどうする?」
「放っておいて問題ないわ。助けて損したくらいよ。」
相変わらず冷たいなとは思ったが、連れて帰ってまたあの状況になるのだけは俺としても避けたい。
それにこの辺りは基本的に魔物は出ないエリアだから、放っておいても大丈夫だろう。
そう考えた俺は、持っていたタオルをエルフに掛けてあげる。乱れた服を隠すのには少し心許ないが、ないよりはマシだろうからな。
俺はそのまま立ち上がってターの後を追った。
・
・
その日の夜。
玄関のドアを叩く音に気づいた俺がそのドアを開けると、目の前には朝助けたエルフが立っていた。しかも、顔をぐちゃぐちゃにして泣きながら、その場にしゃがみ込んでしまったのだ。
話を聞けば、今夜泊まる場所がないらしく、一晩でいいからここに泊まらせて欲しいというのだ。
朝の事を思い出すと少し悩ましいが、一晩だけならと思ってターに視線を向けると、彼女は呆れた様に大きなため息をついた。
てか、ここは俺んちだぞ!なんでお前に許可を得る必要があるんだ!
内心ではそうイラつきつつ、落ち着いた表情をエルフに向ける。
「わかった。今晩だけですよ。そして、朝の様な事は絶対にしないでくださいね。」
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