黄昏に贈る王冠《ロイヤルクラウン》~無双の戦鬼は甘やかす!~

黎明煌

文字の大きさ
1 / 17
プロローグ「吸血姫と妹、そして戦鬼」

「ご主人様な吸血姫」

しおりを挟む


 この俺、酒上刃さかがみじんに与えられし朝の使命は、まずご主人様を起こすことから始まる。
 廊下に敷かれた絨毯を遠慮なく踏みしめながら、身体の動きを隈無くチェックしていく。

「む……」

 着慣れない学園の制服が少しだけ自分の動きをぎこちなくさせ、思わず眉を寄せてしまった。

 ──我が性能は主と妹のため、常に十全に発揮されねばならない。彼女達の幸福こそが我が覇道の勲。いざという時に「動けなかった」では少女達を守護する戦鬼せんきの名折れよ。

 違和感を修正しつつ二階に上がり、隅の一室の前へ立つ。そして遠慮なくコンコン、と重厚な木製の扉を叩いた。

「……」

 反応なし。
 彼女を起こす業務を続けて一ヶ月ほど経つが、もはや想定通りの反応過ぎて驚きもしない。
 俺は苦笑交じりのため息をついて、もう一度強めに扉をノックした。

「おいマスター、朝だ。起きろ」

 こちらから声をかけると、部屋の中からくぐもった呻き声が聞こえてきた。
 どうやらお目覚めらしい。小さい声で「学園行きたくない……」と言っているのが耳に届いた。

「入るぞ」

 一応、制服の襟を整えてからドアノブを回す。小気味のいい音と共に扉を開けば、優しいラベンダーの香りが俺を出迎えた。
 ……人工的な冷風もおまけにして。

「……またエアコンをつけっぱなしで寝たな。風邪を引くからやめろと言っているだろう」

 ピッと冷気を送り続けていたエアコンを止める。まったく、無粋な。
 俺は深紅のカーペットを踏みながら、天蓋付きベッドのこんもりした膨らみを少し目を細めつつ見やった。
 そんな視線の先にある膨らみはもぞもぞと動きながら「だって日本の夏暑いんだもの……」と呻いている。

「もう夏休みは終わったのだ。刀花とうかがもう朝飯を作っている、早く起きて支度をするぞ」

 少女の朝の支度はただでさえ時間がかかるのだからな。
 豪奢な部屋に散らばったお菓子の残骸やゲームのコントローラーを片付けながらそんな言葉を投げ掛けていれば……、

「うー……わかったわよ。よいしょ……」

 もぞもぞと動くシーツから、小動物のような動きでひょっこりと顔だけが出てきた。

「ふあぁ……おはよう、ジン」

 欠伸混じりに一人の少女が姿を現す。
 黄金を溶かしたかのような金髪がベッドの上にさらさらと流れ落ち、深紅に輝く瞳はまだ眠そうに細められている。陶器のような白い手で瞼を擦り、いまだ出る欠伸を少女は噛み殺した。

「うむ。おはよう我がマスター、リゼット。夏の朝日を食らえ」

 そんな彼女に容赦なくカーテンを開け放つ。夏の朝日が暗い部屋に差し込み、リゼットの目を焼いた。

「うー……あなたそれ吸血鬼にすること? ひどくない?」

 しかし彼女は眩しさに瞳を細めるのみで、消滅したりはしない。

「吸血鬼といっても苦手なだけだろう。平気で昼間に日傘さしてコンビニに行っているではないか」

 こちらの言葉に「うるさいわねぇ……」と言いながら吸血鬼の少女は身体をうんと伸ばす。シーツが流れ落ち、無防備なネグリジェ姿が露になった。

 リゼット=ブルームフィールド。イギリスから留学してきた吸血鬼のお嬢様であり、ひょんなことから俺のご主人様マスターとなった高校一年生の少女だ。

「喉が乾いたわ、血を寄越しなさい」
「そら」
「ふぎゃーーーー!?」

 俺はおもむろに霊力で作り上げた大鋏を取り出し、自分の首をチョンパする。噴水のように湧き出る俺の血をお望み通りぶっかけてやれば、我が主は猫のように髪を逆立たせ悲鳴を上げた。

「朝っぱらからなんという悲鳴だ。仮にも花の乙女だろうに」

 絶叫する彼女へと、カーペットに転げ落ちた首から話しかける。
 うむ、ここからだとネグリジェの裾から投げ出されたスラリと細い足がよく見える。我が主は相も変わらず美しい。
 だが、我が麗しの主はこれがお気に召さなかったご様子だ。

「こんなスプラッタ見せられたら普通そうなるわよ! 落ちた首から喋らないでよ気持ち悪い!」

 高い声で喚く我が主は「それにあなたの血は錆び臭すぎるからいらないって言ってるでしょ」とぶつくさ呟きつつベッドから下り、俺の首を雑に拾った。

「こら髪の毛を掴むんじゃない。円形脱毛症にする気か?」
「わ・た・し・よ、それになりそうなのは。あなたはもう少し加減ってもんを知りなさいよ」

 彼女は一言ごとに強調しつつプリプリと怒りながら、無造作に俺の頭を首の上に乗せる。
 ぐちゃりと水っぽい音がして、俺の頭と首は一瞬でくっついた。

「……逆なんだが?」
「お似合いよ?」

 ほう、主のお気に召しているとなれば俺に否応はない。
 俺はそのまま彼女の戯れに肩を竦め、ズボンのポケットから血の入ったパックとストローを取り出す。
 頭と身体が前後逆だろうがすいすい動く俺の様子を見てリゼットはドン引きしているが、これがお気に召したのであろう? 受け入れよ。

「もう、持ってるなら最初から出しなさいよ……」
「目は覚めただろう。始業式限定の出血大サービスというやつだ」

 げんなりした様子でパックを受け取り、血をチューチュー吸う彼女は白い目でこちらを見てくる。昨夜に頑張って考えたサービスだったのだがな、ダメだったか。

「まったくもう……」

 血塗れのリゼットが指を鳴らすと、周囲に飛び散った俺の血が霞むように消えてゆく。血の扱いに関してはそこそこやる。半人前だから基本ポンコツだが。

「お見事」
「……ふん、どうも」

 照れたように顔を背けて血を吸う。吸血鬼らしく尖ったその耳は赤く染まり、色白な肌に赤がよく映えた。彼女は褒められるのに慣れていないのだ。

「さすがは俺の主だ。だが、もう多少は多芸になってくれねば守護する立場として安心はできん。これからもより励むがいい」

 俺はこれ見よがしに次々と血で作られた剣やナイフ、果ては鎌を作り出しポンポンとお手玉のように投げる。そんな俺を見てリゼットは眉をヒクヒクとさせていた。

「見せつけてくれるじゃないのよ……」
「当然だ。我こそは、無双の戦鬼であ──」
「うわ出た」

 言葉の途中でリゼットが呆れたように手を振り、ドレッサー前の椅子に座る。
 そうして「こっちに来なさい」と言わんばかりに人差し指をくいくいと動かすのを認め、俺は彼女の傍らに控えてブラシを手に取った。

「ファンタジー世界ならまだしも、この現代社会で今時流行らないわよ戦鬼さん? 使いどころないじゃない」

 存在がファンタジーな吸血鬼様に言われるとはな。俺とて彼女に出会うまで吸血鬼というのを見たことがなかったのだぞ。
 俺は彼女の見事な金髪をブラシで梳きながら適当に相槌を打つ。

「草刈りに便利なんだぞ?」
「あなたそれで何回お屋敷の壁壊してるのよ」

 ガーとちっちゃい牙を見せ、我がご主人様はご立腹な様子である。
 必要な犠牲だったのだ……技術の発展には犠牲が付き物なのだ許せ。
 無視して髪のセットに集中する。ブラシで梳かした後は長髪の先端に大きめの白いリボンを括って纏める。
 そうやって朝からむくれるご主人様の相手をしながら、俺はさらに彼女の制服や下着を用意した。

「ちょっと、下着は私が用意するって言ってるでしょ」
「マスターが用意したら、上下色違いになって畳む時に面倒なのだ」
「所帯染みたことを……っていうか、ご主人様の下着を見てもっと言うこととかあるんじゃないの?」

 そう言ってリゼットは自慢の金髪を手で掻き上げ、紅蓮の瞳を挑発気味にゆらりと揺らす。しかしその頬は少し赤い。我がマスターは余裕ぶりたいお年頃なのだ。

「ほう……」

 そのご主人様とやらを、ためつすがめつ眺める。
 黄昏色に輝く金髪はまるで水のように流れる。日に当たるのを嫌がり太陽の下にでないため、その肌は雪のように美しい。薄着のネグリジェを程よくボリュームのある胸が押し上げ、扇情的に映る。
 美しい均整の取れた身体に強気な瞳が、彼女にバラのように咲き誇る雰囲気を纏わせている。まさに、女主人として相応しい凛としたオーラと言えよう。
 そんなリゼットお嬢様の芸術品のような容姿を認めた俺は「うむ」と一つ頷き、言葉を放った。

「えー上から八十三、ごじゅう──」
「きゃーきゃー!?」

 顔を真っ赤にして騒ぎ出し、一気に豪奢な雰囲気は霧散してしまった。

「あああ、あなた! なんで私の詳しい数値を!?」

 自分の身体を抱くようにしながら、信じられないものを見るかのような目付きでこちらを見てくる。知らんのか?

「いや普通に下着のタグに書いてあるだろう。誰が洗濯してると思っている」
「トーカじゃないの!?」
「俺も手伝っている。たまには部屋でゲームばかりしていないで家事を手伝え……とまでは言わんが、自分の下僕の仕事程度は把握しておくがいい」
 
 うっ、と気まずそうに顔を背けるリゼット。
 まったく、ぐうたらめ。まあ生活能力皆無のお嬢様には酷な話か。世話の焼ける可愛い女の子である。そんな部分も含めて採点は……、

「うーむ……九十点」
「……ちょっと、マイナス十はどこからよ」
「妹と同い年だからだマスター、もう一人妹ができた気分だ」

 俺が「もう少し背があったらな」と言うと、不満げにプクッと頬を膨らませる……が点数が高いのが満更でもなかったのか、一つクスリと笑みを浮かべ、その顔が長く続くことはなかった。
 そんなご主人様も可愛らしい……やはり、内心百点に書き換えておこう。いや百億点満点だな。我が主は妹と並び宇宙一可愛らしいのだ。異論は許さん。
 俺がそう心の中で讃辞を投げていれば、リゼットはからかうような口調でこちらに新たな命を下す。

「はいはいわかったわよお兄ちゃん? 着替えるから先に下へ降りて食事の用意をしておいて」
「一人で着替えられるのか? 下着をちゃんと上下揃えられるか?」
「頭と身体が揃ってないあなたに言われたくないわ」

 白い目で見てくるリゼットにクツクツと笑い、首をゴキリと治しながら俺は部屋を出ようと──

「おっと」

 したところで後ろから投擲された枕を掴む。
 振り返ると、我がご主人様は今朝一番に不機嫌そうな顔でこちらを睨んでいた。

「……忘れ物よ」
「……あぁ、なるほど」

 いかんな、どうやら俺も今朝は少し散漫なようだ。てっきり済ませたものとばかり思ってしまっていた。
 唇を尖らせる彼女をいじらしく思いながら、椅子に座る彼女の傍らに膝をつく。

「ご希望は、マスター?」

 聞くと彼女は少し恥ずかしげに「……お、おでこ」とだけ囁いた。

「なぜおでこ? いつもは──」
「だ、だって……」

 白い太股をもじもじと擦り合わせる。

「今日から学園だし、あんまり朝から蕩けちゃうのも……」
「なるほど」

 可愛らしい理由を聞いて微笑ましくなった俺は、彼女のお望み通り、金色の前髪を掻き分け──

「んぅっ!?」

 ……ることはせずに、彼女の唇に自分のものを重ねた。
 リゼットは一瞬目を見開くが、すぐにその紅い瞳をとろんとさせ、こちらの首に腕を回す。
 そうしてしばらく、互いの唇を啄み合った。

「……っ、はぁ……」

 熱い吐息を漏らしながら唇を離し、呼吸を整える我が主は恨めしげに俺を見る。その頬はリンゴのように真っ赤だ。

「……いじわる」
「鬼だからな」
「……おでこって言った」
「毎朝おはようのキスをしろと厳命されているのでな、実行しただけだ」
「ふぅん……命令だから? 仕方なく?」
「は、たわけめ」

 我が心は既にご主人様に奪われている。そのことは誰よりもよく知っていよう?
 今度こそ彼女の額に唇を落とし「刀花を手伝ってくる、早く着替えて下りてくるのだぞ」と言って部屋を出る。

「もう……ばか」

 背中にかかる、そんな甘い罵声を浴びながら。


しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双

四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。 「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。 教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。 友達もなく、未来への希望もない。 そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。 突如として芽生えた“成長システム”。 努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。 筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。 昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。 「なんであいつが……?」 「昨日まで笑いものだったはずだろ!」 周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。 陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。 だが、これはただのサクセスストーリーではない。 嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。 陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。 「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」 かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。 最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。 物語は、まだ始まったばかりだ。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

〈完結〉【書籍化・取り下げ予定】「他に愛するひとがいる」と言った旦那様が溺愛してくるのですが、そういうのは不要です

ごろごろみかん。
恋愛
「私には、他に愛するひとがいます」 「では、契約結婚といたしましょう」 そうして今の夫と結婚したシドローネ。 夫は、シドローネより四つも年下の若き騎士だ。 彼には愛するひとがいる。 それを理解した上で政略結婚を結んだはずだったのだが、だんだん夫の様子が変わり始めて……?

処理中です...