◆◆お別れなので「王位継承セット」をプレゼントしたら、妹カップルが玉座を手に入れました。きっと喜んでくれてますよね◆◆

ささい

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あふたぁさぁびすは万全です

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私はマイア・フォン・エルトリア。
伯爵家の長女です。18歳になりました。
話し方がよく伯爵家の子らしくないと言われますが、
ずっと王宮の宝物庫の奥で杖のお手入れ係をしていて、
人とやりとりするのが苦手だからかもしれません。

今日は、王宮で過ごす最後の日になるかもしれません。

数日前、神殿長に「もうお役目は終了だ」と言われました。
お祖母様から引き継いだ杖をお手入れする仕事も、これで終わりのようです。
新しい担当の方が決まったのでしょう。

昨日、オルフェン様という隣国の皇太子様が、
「君を我が国に迎えたい」とおっしゃってくださいました。
とても素敵な申し出だったので、喜んで行きますってお返事をしました。

早く新しい国を見てみたいです。
オルフェン様が教えてくださる横文字も、もっと覚えたい。

そして今日、王宮の広間に来るよう言われています。
きっと、お別れ会をしてくださるのだと思います。
この国のみんなとお別れになるから、何か贈り物がしたくて、
古い杖を作り変えることを思いつきました。

「えーっと、確か……かすたまー、さくせす?
 お客様を大事にすることだっておっしゃってたような」

知ったばかりの横文字を口に出したものの意味がさっぱりわかりません。
付け焼刃はいけませんね。もっと勉強します。

ひとまず、贈り物です。
私は机の上の「材料」に手を伸ばしました。
それは、王家の宝物庫から出してきた古い杖です。

素手で触ってはいけないって神殿長に言われてたけど
何も起きないから白い手袋はもう付けていません。

見つかったら怒られるかもだけど、誰も見に来ないから大丈夫です。
誰も来ないから独り言が多くなりました。
お祖母様もそういうこと言ってたから自然なことだと思います。

でもこれ、「聖なる杖」と呼ばれているけれど、どう見てもただの棒なんですよね。
まっすぐで金色をしているけど、ちょっとくすんでるし。古い感じ。
確かに魔力は通りやすい気がします。そんなに魔力は入ってないです。

もうちょっとわかりやすい特別さがあれば良かったんですけどね。
だからこれはやっぱりただの棒です。うん。

それに、神殿の人が「もう使わない」と言っていたのだから、
きっともったいないと思って保管しているだけなのでしょう。
お祖母様もよくお菓子の缶を何かに使うからと
たくさんしまっていました。あれと一緒ですね。

でもすぐに捨ててしまうのは確かにもったいないですもんね。
オルフェン様が『りさいくる』は『さすてなぶる』って言ってました!
また隣国の横文字使ってしまいました。
これはオルフェン様が使っていた言葉なので合ってます。きっと。

「りさいくる! 使ってあげないと棒も可哀想ですよ~」

気合いを入れて、杖を手に取って、ボキっと折ります。
乾いた音が部屋に響きました。なかなかの音です。
想像以上にすぐ折れました。
数百年仕舞い込んでいたから弱っていたんでしょうね。

「これでよし。で、三つに分けて……王冠と、マントと、杖にしよう」

この国の人は杖が大好きなんです。
魔法を使える人は杖をすごく大事にしています。
私は要らないと思うんですけど。
だって手でぱーっとするほうが早いし簡単なんですよ。

素手で棒だったものに魔力を注ぎ込む。
棒の欠片が淡く光り始める。いい感じ。
捏ねて形を変えていく。
こねこね。むにむに。
一つは黄金の王冠に、一つは真紅のマントに、そしてもう一つは新しい杖に。

「ふふ、上手くできた! カシアン様とミュリエラ、きっと喜んでくれるわ」

二人が王様と王妃様になったら、きっと素敵ね。

カシアン様は私の婚約者だったけれど、今はミュリエラの婚約者。
妹が欲しがったから、私は喜んで交代した。

そんなカシアン第二王子様は、私との婚約中に色々お話してくれた。

「王太子の補欠として人生を終わりたくない」とか「俺だって、王になる資格はあるはずなのに」って。

その時の私は、ただ頷いて聞いていた。
カシアン様は向上心に溢れた素晴らしい方だと思った。
王様になりたいという夢を持っているなんて、立派だわ。

そんな向上心あふれるカシアン様は、ミュリエラと一緒にいるときの方が幸せそうだった。
二人が幸せそうに笑っているのが私は嬉しかった。
ミュリエラの笑顔を見ると、私も幸せな気持ちになるの。
可愛い私の妹のためにもがんばらないと!

「カシアン様が王様になって、ミュリエラが王妃様になったら、みんな幸せよね」

私は二人の幸せな未来を想像しながら、三点セットに更に魔力を注ぎ込んでいく。

壊れないように。
長持ちするように。
カシアン様が立派な王様になれるように。
ミュリエラが愛される王妃様になれるように。

「でも、責任感も大事だよね……途中で取り上げられたら大変だし、固定の魔法もかけておこう」

指先から、固定魔法が三点セットに染み込んでいく。

「それから、王様の重みも必要よね。軽すぎたら、威厳が出ないもの」

重量調整の魔法も施す。
上下に振って重さを確かめる。
ちょっと軽いかな。
これはカシアン様が着けるときに調整しよう。

「それと王様は、民の声を聞くことが一番大事だよね」

私は、以前読んだ本のことを思い出していた。
『立派な王とは、民の声に耳を傾ける者である』と書いてあった。

「じゃあ、民の声が聞こえるようにしてあげよう! いつでも、どこでも!」

私は王冠に特別な魔法を編み込む。
デメトリア王国の民全員の想いを、王冠の持ち主に届ける魔法。

丁寧に、一つ一つの機能を確認しながら、魔法を重ねていく。

固定魔法、重量調整、民の声を届ける機能――うん、うん、全て完璧!

気が付けば、元の聖杖よりもずっと機能的なものが出来た。

「完璧! これなら、数百年は持つわ。カシアン様、きっと立派な王様になれる!」

私は満足そうに笑うと、完成した三点セットを空間魔法で収納した。

今日、王宮でお世話になったみんなにお礼を言って、カシアン様とミュリエラにこれを渡そう。

そして、オルフェン様と一緒に、新しい国へ。

(あふたぁ……さぁびす! お客様への心遣いのことよね。
 オルフェン様、また横文字言葉を教えてくださるかしら

私は鼻歌を歌いながら、お別れ会と旅立ちの準備を整えた。
楽しみだなあ。新しい国で、新しいことをたくさん学びたい。


***


「マイア・フォン・エルトリア!」

王太子様が、とても大きな声で私の名前を呼んだ。

「貴様の行いは、我が国の数百年の歴史に対する冒涜である!
 即刻、この国から立ち去れ! 二度と、デメトリアの地を踏むことを許さぬ!」

あ、お別れの挨拶ね。
「立ち去れ」っていうのは、つまり「行ってらっしゃい」ってことよね。
ちょうどよかった。私、今日オルフェン様と一緒に隣国に行くつもりだったの。

「はーい!」

私は元気よく返事をした。
王太子様の顔が、何だか変な色になってる。大丈夫かしら。
周りを見渡すと、国王様や貴族の方々が並んでいる。みんな、とても緊張した顔をしている。
あ、カシアン様とミュリエラもいるわ。

オルフェン様は、私の隣で静かに笑っている。
エドワルドさん――オルフェン様の秘書官さんは、何だかとても青い顔をしている。

「あの、王太子様?」

私は手を挙げた。

「立ち去れって、出て行って良いってことですよね?
それなら、オルフェン様の国に行くことを決めたんです!
ちょうどよかったです!」

王太子様のお顔が、何だか赤くなったり青くなったりしている。
きっと、お別れが寂しくて感情が高ぶっていらっしゃるんだ。
私のことを、そんなに大切に思ってくださっていたなんて。 嬉しい。

「……っ! 貴様、まだ――」

「あ、そうだ!」

私はぽん、と拳を手のひらに打ち付けた。
大事なことを忘れるところだった。

「私、お礼を持ってきたんです!」

そう、お礼。
私、王宮でずっとお世話になったもの。お礼をしないで出ていくなんて、失礼だわ。

「お礼……だと……?」

国王様が、何だか声を震わせている。
感激してくださってるのかしら。
私のお礼、とびきりの「さぷらいず」になっちゃうかな。

「はい! 私、王宮でずっとお世話になりましたから!
 それに、カシアン様にも色々と教えていただきましたし!」

カシアン様を見ると、顔が真っ青になっている。
あら、お別れ悲しんでくれてるのかな。
私もちょっと寂しいので、お揃いです。
よし、寂しさも吹っ飛ぶさぷらいずしちゃいますね。

「カシアン様、王様になりたいんですよね!」

私がそう言った瞬間、広間がしーんと静まり返った。
カシアン様は、婚約中によく「王になりたい」って言ってたわ。
向上心があって素晴らしいと思ったの。

「向上心があって立派だなと思って、私、考えたんです!
 カシアン様が王様になって、ミュリエラが王妃様になったら、みんな幸せになれるって!」

「ま、待て――」

カシアン様が何か言おうとしたけれど、私はもう待てない。
早く見せて喜ばせたい。

「だから、作っちゃいました!」

私は懐――正確には空間魔法の収納――から三点セットを取り出した。

黄金に輝く王冠。

漆黒のマント。

そして、荘厳な杖。

「じゃじゃーん! 王位継承三点セット・マイアスペシャルです!」

私が三点セットを掲げた瞬間、広間がざわめいた。

「王家の宝物庫にあった、あの古い棒が原料なんです!
 ただの棒だったので、もったいないからカシアン様用に作り直しりさいくるました!」
 
侍従長さんが目を見開いて、神殿長さんが何か叫んでいる。

「ま、まさか聖なる杖が――!」

神殿長さんが、泡を吹いて倒れた。
お、驚きすぎではないですか? 大丈夫かな。
国王様も王太子様も、何だか固まっている。
あれ? まだちょっと地味すぎたのかも。
そうだよね、王様たちが身につけるものね。
魔力足せばいいかな。

「ちょっと地味みたいなので、魔力足しちゃいますね!
 えいっ、えいっ! よいしょーっ!」

私が三点セットに魔力を注ぎ込むと、空気がぶわっと震えて、三点セットがさらに眩く光り始めた。
うん、完璧だわ。

「カシアン様、これを身につければ、きっと立派な王様になれますよ!
 私が居なくても壊れないように、数百年分の魔力を詰めておきました!」

「き、貴様――! 何を――!」

国王様が何か叫ぼうとした瞬間、床に倒れ込んだ。
あら、国王様も倒れちゃった。
王太子様も膝から崩れ落ちている。貴族の方々も次々と倒れていく。
みんな、嬉しいのかしら。

気がつけば、立っているのはカシアン様とミュリエラ、それにオルフェン様たちだけだった。

「……マイア」

カシアン様が、感激のあまり震える声で私を呼んだ。

「これを……俺たちに……?」

「はい! カシアン様なら、きっと素敵な王様になれます!」

カシアン様とミュリエラが、顔を見合わせている。
二人とも、嬉しそう……かしら? 何だか難しそうな表情だけれど。

「……マイア、ありがとうございます」

カシアン様が、震える手で王冠に触れた。
ミュリエラもマントに手を伸ばしている。

「二人とも、やる気満々ね! 嬉しい! 向上心のある二人ならきっと大丈夫!」

私は二人の肩をがっしりと掴んで、励ました。

「頑張ってくださいね! 応援してます!」

「ひっ……!」
「あ、ぐ……っ!」

あら、二人とも変な声を出してる。
照れてるのかしら。可愛いわ!

「もう、二人とも照れちゃって! 遠慮しなくていいのに!」

カシアン様が、王冠を持ち上げようとしている。
あれ? 重そう? でも王様は大変なものだから
きっとその重みを実感してるんだわ。

「お、重……っ! これ、は……っ!」

「王様の重みって大変ですよね!
 でも。これを身につけて玉座に座れば、きっと立派な王様になれますよ!」

私が説明すると、カシアン様の顔が何だか変な色になった。
ミュリエラもマントを羽織ろうとして――膝をついた。

「きゃっ……!」

「まあ! ミュリエラ、大丈夫!? 王妃様って最初は大変かもしれないけど、
 その重みにもすぐに慣れるわよね!」

二人とも、とても頑張ってる。

「さあ、外れないようにしっかり身につけてね!」

私はカシアン様を手伝って、王冠をしっかり頭に被せてあげた。
やっぱりちょっと形が合わないみたいだから、魔力で調整してあげよう――

「ぐ、ぐあああああああっ!」

カシアン様が大きな声を出した。
ふふ、嬉しそう。よかったわ。
王冠が、カシアン様の頭にぴったりと収まった。

その瞬間、カシアン様の表情が変わった。

「あ、ああ、ああああああああああっ!」

カシアン様が頭を抱えて叫んでいる。

「カシアン様? どうかなさいました?」

カシアン様の顔を覗き込むと、涙を流しながら何か言っている。
嬉し泣き?

「うるさい……っ! やめろ……っ! 頭の中で喋るな……っ!」

頭の中?
ああ、民の声が聞こえ始めたのね。

「それは国民の声ですよ。これで、カシアン様は民の声がいつでも聞こえるようになりました!
 王様に必要なのは、民の声を聞くことですから! 便利でしょう?」

私はにっこり笑った。
カシアン様、やっぱり感動して泣いてるわ。

「あ、あれ……? 外れ、ない……?」

「はい! 途中で外れないように、ちゃんと固定しておきました!
 責任感、大事ですから!」

カシアン様、感動しすぎて言葉が出なくなっちゃったかな。
ミュリエラも、マントを羽織ったまま床に座り込んでいる。

「お姉様……これ、本当に外れないの……?」

「ええ! 二人とも、一生王様と王妃様でいられるように、しっかり固定してあるの! 素敵でしょう?」

ミュリエラが、涙を流している。
あら、ミュリエラも感動してるのね。

二人とも、とても喜んでくれてるわ。
私、頑張って作ってよかった!

これでお別れ会もお開きかしら。
そろそろ出ないと遅くなっちゃうもんね。

「じゃあ、お別れ会ありがとうございました。
 さようなら! ずっとずっと玉座を離さないで頑張ってね!」

私は二人に元気よく手を振った。

「た、助け――」

カシアン様が何か言おうとしたけれど、また頭を抱えてしまった。
民の声、たくさん聞こえるのね。絶対、立派な王様になれるわ。

「オルフェン様!」

私はオルフェン様の方を振り返った。
オルフェン様は、とても楽しそうに笑っている。

「お待たせしました! じゃあ、行きましょう!」

「ああ、そうだね、マイア」

オルフェン様が私の腰に手を回して、エスコートしてくださる。
わあ優雅だわ。さすがオルフェン様。
エドワルドさんは、相変わらず青い顔をしている。体調悪いのかしら。

広間を出る直前、私は思い出した。

「あの、オルフェン様。昨日教わった言葉、使ってみたいんですけど……」

「どの言葉だい?」

「えーっと……あふたぁさぁびす……でしたっけ?」

私はオルフェン様を見上げながら、満面の笑顔で胸を張った。

「あふたぁさぁびす万全です!」

オルフェン様が、くすくすと笑っている。

「……ははっ、完璧だよマイア。素晴らしい顧客満足カスタマー・サクセスだった」

「かすたまー……? 美味しそうな響きの言葉ですね!」

「ああ、とても美味しい言葉だ。我が国では、よく使うよ」

私たちは広間を後にした。
背後では、カシアン様とミュリエラが座り込んでいる。
お別れは寂しいけど、私ができることはもう何も無いよね。
大丈夫。二人とも、きっと立派な王様と王妃様になれるわ。

「マイア、我が国に着いたら、君に教えたい言葉がまだたくさんあるんだ」

「本当ですか! 嬉しいです、オルフェン様!」

新しい国。

新しい言葉。

新しい出会い。

楽しみだわ。

私、きっとオルフェン様の国でも、たくさんお役に立てると思うの。
壊れた物があったら、直してあげよう。古い物があったら、新しく作り直してあげよう。
棒を作ってもいいかも。帝国用の棒も素敵じゃないかな?

私は、オルフェン様と並んで城を出た。
デメトリア王国での生活は終わり。
でも、新しい生活が始まるの。

ああ、楽しみ。

とーっても、楽しみだわ。
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