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本編
【真白一人称視点】全部覚えておく
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「お前は?」
「好きです!」
「うん。なら、付き合おう」
ひぇ。夢では?
「夢じゃない」
先輩がエスパーだ。
「いや、声に出てるから。落ち着け」
先輩の手が俺の頭にまた乗った。今度はポンじゃなくて、ゆっくり撫でてる。
撫でてる!?
髪の毛を指が通っていく。優しい。壊れる。
ぁ゙ぁ゙……先輩が笑ってる。動画撮って良いですか。
動く壁紙は可能ですか。
「壁紙は写真だけにしとけ。真白、泣くなよ」
先輩の指が目元に触れた。涙を拭ってくれてる。
先輩。好きです。先輩に助けてもらって大学来れました。
「助けて? いつ?」
受験の日、迷子で、靴ひも。
「あー? ああ、確かそんなことあったな? え、あれお前?」
あ、ハンカチぁ゙りがとうございまず。ズビ。
「そのハンカチ、やるけど使えよ。保存はするなよ」
……。
「おい、黙るな」
「洗ってジッ◯ロックしたいです。兄はよくやってます。父と母もたくさん持ってます。普通です」
「……。それ柊はなんて言ってる?」
「家がパンクするからやめとけと笑ってました」
「それだな。真白の家どうなってんの?」
先輩が呆れた顔をしてる。でも怒ってない。肩に手を置かれた。温かい。
「普通です。兄は熱心に恋人さんを説得して婚約してもらってました」
「熱心。……して、もらった?」
「毎日たくさんメッセージ送って、時間が空けばすぐに会いに行って、記念日がたくさんあるから大変だけど楽しいと言ってました。恋人さんの写真もたくさん印刷して部屋に貼ってます。俺もやりたいけど先輩が嫌がるのは駄目なので我慢します。あ、写真をたくさん撮ったら編集して一つの画像にするのは印刷一つになりますか?」
あ! たくさん喋ってしまった。これは早口、長文。
どうしよう。
チラリと先輩を見ると何か考え込んでる。目が遠い。
これは、早口長文気づかれていないのでは。
「お前、一文以上話せるんだな」
バレてた!
「違い、ますん。あの、兄の話をするのは難しいので」
「短文で話すのが好きというわけではない?」
「早口長文は気持ち悪いと人から言われまして」
「は? 誰から?」
先輩の声が低くなった。怒ってる? 俺に?
「中学の同級生だったと記憶しています」
隣の席の女の子だったかな。もうあんまり覚えてない。
柊が忘れていいよと言ったのは覚えてる。
周りと少し自分が違うのはわかるから
それからは人に嫌がられないように気をつけているけど難しい。
先輩の手が俺の頭に戻ってきた。さっきより強く撫でられてる。
「別に早口でも、長文でも、俺は気にしない。真白の好きなこととか教えてくれるなら嬉しいから」
「先輩が好きです」
「即答かよ。うん、俺も」
先輩がまた笑った。
今日、何回笑ってくれただろう。数えておけばよかった。明日から数えよう。
先輩がベンチから立ち上がった。手を差し出してくる。
「帰るか」
「はい」
その手を取った。引っ張り上げてもらって立ち上がる。
先輩の手は大きくて、温かくて、離したくない。
でも離さないといけない。普通はすぐ離す。柊に確認したことがある。
離そうとしたら、先輩が離さなかった。
「このまま帰るぞ」
「手、繋いだままですか」
「嫌?」
「嬉しいです」
先輩と手を繋いで歩いてる。
夕焼けが綺麗だ。先輩の横顔がオレンジ色に染まってる。
風が吹いて、先輩の前髪が揺れた。
「先輩」
「何」
「今日のこと、全部覚えておきます」
「書くなよ」
「書きません。頭の中に保存します」
「……それはまあ、いいか」
先輩が俺の手を少しだけ強く握った。
いいって言ってくれた。頭の中に保存するのは許可された。
今日の日付。時間。天気。気温。
先輩の服。先輩の匂い。先輩の手の温度。先輩が笑った回数。
先輩が頭を撫でてくれた回数。先輩が「好き」と言ってくれた回数。
全部、全部覚えておく。
「先輩」
「ん」
「好きです」
先輩が笑った。
「知ってる」
呆れた顔だけど、嫌がってない。
繋いだ手が離れない。先輩が離さない。俺も離さない。
帰り道、オレンジ色の空の下、二人で歩いてる。
でも先輩が隣にいて、手を繋いでくれて、笑ってくれる。
俺の世界は今日、完璧になった。
あ、壁紙の答えをもらってない。
これは相談が必要。
完璧一歩手前になりましたと柊に報告しよう。
「好きです!」
「うん。なら、付き合おう」
ひぇ。夢では?
「夢じゃない」
先輩がエスパーだ。
「いや、声に出てるから。落ち着け」
先輩の手が俺の頭にまた乗った。今度はポンじゃなくて、ゆっくり撫でてる。
撫でてる!?
髪の毛を指が通っていく。優しい。壊れる。
ぁ゙ぁ゙……先輩が笑ってる。動画撮って良いですか。
動く壁紙は可能ですか。
「壁紙は写真だけにしとけ。真白、泣くなよ」
先輩の指が目元に触れた。涙を拭ってくれてる。
先輩。好きです。先輩に助けてもらって大学来れました。
「助けて? いつ?」
受験の日、迷子で、靴ひも。
「あー? ああ、確かそんなことあったな? え、あれお前?」
あ、ハンカチぁ゙りがとうございまず。ズビ。
「そのハンカチ、やるけど使えよ。保存はするなよ」
……。
「おい、黙るな」
「洗ってジッ◯ロックしたいです。兄はよくやってます。父と母もたくさん持ってます。普通です」
「……。それ柊はなんて言ってる?」
「家がパンクするからやめとけと笑ってました」
「それだな。真白の家どうなってんの?」
先輩が呆れた顔をしてる。でも怒ってない。肩に手を置かれた。温かい。
「普通です。兄は熱心に恋人さんを説得して婚約してもらってました」
「熱心。……して、もらった?」
「毎日たくさんメッセージ送って、時間が空けばすぐに会いに行って、記念日がたくさんあるから大変だけど楽しいと言ってました。恋人さんの写真もたくさん印刷して部屋に貼ってます。俺もやりたいけど先輩が嫌がるのは駄目なので我慢します。あ、写真をたくさん撮ったら編集して一つの画像にするのは印刷一つになりますか?」
あ! たくさん喋ってしまった。これは早口、長文。
どうしよう。
チラリと先輩を見ると何か考え込んでる。目が遠い。
これは、早口長文気づかれていないのでは。
「お前、一文以上話せるんだな」
バレてた!
「違い、ますん。あの、兄の話をするのは難しいので」
「短文で話すのが好きというわけではない?」
「早口長文は気持ち悪いと人から言われまして」
「は? 誰から?」
先輩の声が低くなった。怒ってる? 俺に?
「中学の同級生だったと記憶しています」
隣の席の女の子だったかな。もうあんまり覚えてない。
柊が忘れていいよと言ったのは覚えてる。
周りと少し自分が違うのはわかるから
それからは人に嫌がられないように気をつけているけど難しい。
先輩の手が俺の頭に戻ってきた。さっきより強く撫でられてる。
「別に早口でも、長文でも、俺は気にしない。真白の好きなこととか教えてくれるなら嬉しいから」
「先輩が好きです」
「即答かよ。うん、俺も」
先輩がまた笑った。
今日、何回笑ってくれただろう。数えておけばよかった。明日から数えよう。
先輩がベンチから立ち上がった。手を差し出してくる。
「帰るか」
「はい」
その手を取った。引っ張り上げてもらって立ち上がる。
先輩の手は大きくて、温かくて、離したくない。
でも離さないといけない。普通はすぐ離す。柊に確認したことがある。
離そうとしたら、先輩が離さなかった。
「このまま帰るぞ」
「手、繋いだままですか」
「嫌?」
「嬉しいです」
先輩と手を繋いで歩いてる。
夕焼けが綺麗だ。先輩の横顔がオレンジ色に染まってる。
風が吹いて、先輩の前髪が揺れた。
「先輩」
「何」
「今日のこと、全部覚えておきます」
「書くなよ」
「書きません。頭の中に保存します」
「……それはまあ、いいか」
先輩が俺の手を少しだけ強く握った。
いいって言ってくれた。頭の中に保存するのは許可された。
今日の日付。時間。天気。気温。
先輩の服。先輩の匂い。先輩の手の温度。先輩が笑った回数。
先輩が頭を撫でてくれた回数。先輩が「好き」と言ってくれた回数。
全部、全部覚えておく。
「先輩」
「ん」
「好きです」
先輩が笑った。
「知ってる」
呆れた顔だけど、嫌がってない。
繋いだ手が離れない。先輩が離さない。俺も離さない。
帰り道、オレンジ色の空の下、二人で歩いてる。
でも先輩が隣にいて、手を繋いでくれて、笑ってくれる。
俺の世界は今日、完璧になった。
あ、壁紙の答えをもらってない。
これは相談が必要。
完璧一歩手前になりましたと柊に報告しよう。
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