ストーカー後輩を放置できなくて矯正してたら、なぜか付き合うことになった

ささい

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本編

【日向視点】ナワバリバトル

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学食で席についていたら、いちごミルクを持った柊が通りかかった。

「柊」

声をかけたら、柊が足を止めて振り返った。

「あ~、日向先輩。珍しっすね、先輩から声かけてくるの」

「話がある」

「レンのことですか」

「……そう」

柊は少し笑って、向かいの席に座った。
いちごミルクにストローを刺しながら、こっちを見る目はどこか冷めている。

「付き合うことになった」

「知ってまーす。昨日の夜、報告来たんで」

先を越された。真白の報告速度を甘く見ていた。

「ていうか先輩、ものすごーく今更なんすけど。男同士ですよね。
 いいんすか。世間体とか、将来とか、家とか」

「男だから好きになったわけじゃない。真白だから好きになった。
 相手が真白じゃなかったら、この話自体が存在しない」

ストローを咥えたまま柊は固まった。珍しい顔だった。

「先輩、それ本人に言いました?」

「言ってない。泣かせたくないからだ」

「……なるほど。で、先輩は何しに来たんですか。
 わざわざレンの居ない時を狙って俺と話すってことは、何かあるんでしょ」

「報連相の話なんだけど」

「レンのですか」

「ああ。今は全部お前に行ってるだろ。報告と連絡は、俺にも入れてほしい。
 最初は並行で。最終的には俺が先に受けたい」

「それ独占欲ですか」

「情報の一元管理だと思ってもらえればいい」

「法学部っぽwww」

笑われた。腹は立つが、まだ目的を果たしていない。

「相談は俺だけじゃ足りないと思ってる。
 真白は俺の前だと冷静じゃなくなる。第三者の視点がないと判断を誤る可能性がある」

「難しい言葉で誤魔化すのやめてもらっていいすかwww
 要はレンを独占したいけど、俺を切れないってことですよね」

日向は続く言葉を待つ。
徐々に人が減りつつある食堂は、静けさを連れてくる。

「先輩、俺とレンの付き合い何年か知ってます?
 ほーれんそーも、レンがスマホ持ち始めてからやってるんで。
 レン、放っとくとやばいのわかりますよね」

「それは、分かる。……例のノートも見た」

「あー、あれ見ちゃったんだ。で、それでも俺が引き継ぐ、と」

柊がテーブルに肘をついて、顎を乗せた。

「先輩、レンのこと好きですか。ヤバいとこも含めて。ストーカー気質も」

「含めてだ。今は矯正中だが」

「矯正。ウケる。先輩のは矯正っていうか、管理じゃね?
 ルール決めて、守らせて、報告させて。それ、まんま管理じゃないですか」

「……必要なことだ」

「否定はしないですよ。レンにはそういうのあったほうがいいだろうし。
 ただ先輩のほうが、よ~っぽどやばいなって思っただけで」

「俺が、やばいって?」

「レンは衝動的ですけど、先輩は違うじゃん。明確な意図を持って、計画的に囲い込んでる」

図星だった。逃がしたくないから逃げられないように動いている。
柊は一瞬、笑みを消した。

「先輩、面白いですね。レンがハマるの分かるわ。
 ……まあ、いいですよ。報・連・相、先輩にも入れるように言っておきます。
 俺が止めてもレンは先輩に報告するでしょうし。ただ、条件あります」

「何だ」

「相談は必ず俺にも来るようにしてください。
 さっき先輩も言った通り、第三者の目は残しておいたほうがいい」

「……分かった」

柊が立ち上がった。

「あと。レンがガチでやばそうだったら、俺が隠しますんでー。
 レンの家の鍵、俺も持ってるんで。先輩が暴走したら、レンを保護しまーす」

「俺が暴走する前提か」

「先輩、もう結構暴走してると思いますけどーw」

また否定できなかった。柊はトレーを持って、軽く頭を下げた。

「じゃ、そういうことで。レンのことよろしくお願いしまーす。
 ……あ、でも。レンを隠してさ、先輩がめちゃくちゃ探し回るの、
 それはそれで面白いかもしれない」

「……お前、性格悪いな」

「あは、よく言われまーすwww」

柊は笑って、学食を出ていった。
一人残った日向はため息をついた。

報連相の並行運用は認められた。
完全な勝利ではない。でも、前進はした。

独占欲でも何でも、真白が俺の隣にいる。
それが一番大事だ。

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