ストーカー後輩を放置できなくて矯正してたら、なぜか付き合うことになった

ささい

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本編

【日向視点】偶然の顔をした必然

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真白と付き合い始めて、一ヶ月が経った。

毎日メッセージが来る。
毎日会いたいと言われる。
毎日好きだと言われる。
最初は多いなと思っていたが、今では来ないと落ち着かなくなった。

慣れって怖いな。

何時に、どこで、何を食べたかを毎日聞かれる。
多分、一般的にはかなりうざがられる質問じゃないかと思うが
俺はそれを嫌だと思うどころか嬉しく感じる。

付き合いたてだからかもしれない。
この先はわからないが、嫌がる自分を想像できなかった。

紙には記録していないと言っているから信じている。
柊への報告は黙認。
一応外部とのコミュニケーションの範囲と考えておく。

……外部ストレージ? 考えるのはやめよう。

最初は記録はやめるように言っていた。今はもう好きにさせている。
真白家の話を聞いてから、諦めたとも言う。
遺伝には勝てないし、楽しそうな真白を否定したくはない。

俺も真白の一日を聞くようになった。
何を食べたか、誰と話したか、何を考えていたか。
聞いて、覚えて、安心する。

真白を矯正するつもりだった。 普通にしてやるつもりだった。

気づいたら、自分が真白側に寄っていた。

柊に「どっちが矯正されたんすかね」と笑われた。
やっぱり否定できなかった。


振り返ってみる。

最初は気持ち悪かった。図書館でノートを拾って、中身を見て、背筋が冷たくなった。
『日向先輩動向ログ』。
俺の行動が全部記録されていた。

普通なら逃げるか通報する。もしくは、関わらない。

俺は逃げなかった。
なんでだろう、と今でも思う。気持ち悪かったのは本当だ。でも、それだけじゃなかった。
真白の目がまっすぐだった。俺を見る目に、悪意がなかった。ただ純粋に、俺を見ていた。

放置できなかった。

こいつを放っておいたら、いつか本当に道を踏み外す。そう思った。思ってしまった。
長男の性だ、と言い訳した。
世話焼きなんだ、と。下に双子がいるから、面倒を見るのが癖になっているんだ、と。

全部嘘だった。

最初から、真白が気になっていた。
気持ち悪いと思いながら、目が離せなかった。
矯正すると言いながら、近くにいる理由を作っていた。

偶然じゃない。
真白が俺を見つけたのも、俺が真白を放置できなかったのも、全部必然だった。



「先輩」

隣を歩く真白が、俺を見上げている。

「何」

「今、何考えてましたか」

「お前のこと」

「嬉しいです。俺も先輩のこと考えてました」

「知ってる」

真白が笑った。嬉しそうに、眩しそうに。
この顔を見ると、安心する。この顔を見ないと、不安になる。
共依存だと、柊に言われた。否定しなかった。否定する気もなかった。

俺たちは普通じゃない。
でも、普通じゃない俺たちなりの形がある。

ストーカー後輩を放置できなくて、矯正してたら、なぜか付き合うことになった。

……なぜか、じゃないな。

放置できなかった時点で、もう決まってたんだ。
偶然の顔をした、必然だった。
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