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第二章〜学園〜

第二章 第五十話 衝撃~セレナーデ教の秘密~

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 生徒会長との模擬戦から一週間がたった。
 すでに入学から二か月以上たちそろそろ夏休みムードが高まってきていた。

「そろそろ夏休みだな!グランはどこかに行くのか?」

「僕は家族と自分の領地に戻るよ」

「いいよな~自分の家の領地があるなんて」

「フレッドリックはないの?」

「うちは準男爵だから産まれた時から王都だよ」

「なるほどね~フレッドリックの家も名誉貴族だったね」

「でもなんでグランの家は領地持ってるんだ?騎士爵だったよな……」

「確かに……その辺は俺も気にしたことなかったな」
 その後疑問が解けないままほかのみんなが来て夏休みの予定の話へと戻っていくのであった。

「おはよう~二人とも」

「何の話をしていたのですか?」
 
「そろそろ始まる夏休みはどう過ごそうかって話だよ」

「みんな自分の領地に戻る感じか?」

「私はグランと一緒かな?私の家も同じ方向にあるし」

「私たちは一緒にお互いの領地を巡る予定よ」

「私たちは王女ですから」

「一応何かあった時のためにある程度は王都にいないといけないのよね。別にどこかに行っちゃいけないって訳ではないのだけどね」

「大変なんだね……お土産買ってくるからね!」

「私たちも!」

「何か希望があれば言ってね。できるだけ添えるようにするから」
 しばらくして担任のステインが入ってきてホームルームが始まり今日の連絡がされる。

「おはよう皆!今日の授業は夏休み前の特別授業だ。全員大講義室に集まるように」

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 大講義室に全校生徒が集まり講師を待っていた。

「特別授業なんて聞いてないけど楽しみだねグラン!」
 ティナは尻尾をふりふりしながらそういった。

「多分夏休み前だから安全教室とかそんなところだと思うぞ」

「懐かしいわねSNSとか交通安全とかよくやったわ」

「でも両方ともほぼほぼないのに何をするんだろう?」
 グランやナミア、エリザベートの転生組は前世でよくやっていた講義を思い出していた。
 しかしその予想は外れることになる。

「お待たせしました!それでは講師の方々に登場していただきましょう!」
 そういって出てきたのはグランがよく知っている人物だった。

「本日講師を務めるカール・レア・ベルセリアだ」

「同じく講師でカールの妻のニーナ・レア・ベルセリアよ」

「父様!?母様!?何でここに!?」
 講師として出てきたのはグランの父であるカールと母であるニーナだった。
 これにはティナも驚いたらしく「お義父様とお義母様が講師……?」とつぶやいていた。
 ナミアたちはグラン叙爵の時に会っているがなんでグランの両親が?と戸惑い気味だ。
 ほかの人も誰だ?といった反応が多い。
 そんな中さらに驚く発言をした。

「これから夏休みを迎える君たちにこの国のことについて話しておきたいと思う」

「かつてと呼ばれた私たちが実際に体験した話よ」


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~カール&ニーナside~
 私たちはこれまで冒険者として数多くの地域を巡ってきた。
 その過程で様々な人と仲良くなったり、時には対立したりもしたよ。
 そんな旅を続けているうちにいつの間にか私たちは剣聖と聖女と呼ばれるようになった。

 始めは噂程度だったがその称号はいつしか世界規模で通用していったんだ。
 どの国へ行っても冒険者たちに尊敬され、恐れられていた。
 やがて国からも正式に称号を与えられた。

 でもその裏で世界は動き出していたんだ……グラハム教の手によってね。
 セレナーデ教ではその時内部で意見が対立して二つの派閥に分かれた。
 片方は今皆さんが信仰している教えと同じだがもう一つのほうが問題でな。
 
 ある日突然一部の人間が通称邪神と呼ばれる神を信仰する反セレナーデ派が現れたんだ。
 そいつらがセレナーデ教会と分裂した後は聖セレナーデ神聖国はこの事実を必死で隠そうとした。
 だがもうその時には遅かった。
 
 急激に勢力を伸ばした反セレナーデ派はその後グラハム教と改名し今もその勢力を伸ばしてるわ。
 そんなグラハム教は始めこそ真面目に勧誘活動をしてたんだけど今ではテロ組織になってるの。
 皆さんがこの事や私たちを剣聖と聖女だと知らなかったのは箝口令が敷かれていたからよ。
 
 だから剣聖とか聖女の存在自体は絵本で知っていたと思うけど実際に誰なのかはわからないはずよ。
 でももう隠しきれなくなってきてるわ。
 奴らの活動が活発化してるからね。
 
 そんなわけで今年から情報を開示することになったの。
 一人でも被害者を減らすためにもね。
 ということでこれから夏休みでいろいろなところに行く皆さんに私たちからある技を伝授するわ。

 もし巻き込まれたり奴ら見かけたそれを使って捕縛して欲しいの。
 これは国から出ている緊急依頼よ。
 緊急依頼は冒険者、傭兵、騎士、そしてその見習いを徴兵して使える依頼なの。
 
 もちろん無理にとは言わないわ。
 でもいざというとき身を守る事ができるように私たちが派遣されてきたのよ。
 じゃあこれから始めるから全員校庭に移動してね。
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