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最終話 二人の未来★
しおりを挟む「んぅ、ふっ……」
絡み合う舌と舌。触れるだけのキスから、どんどん深くなっていく。
ディープキスをしながら、エルトンはクレアを寝台にそっと押し倒した。衣服を脱がして、露になった乳白色の肌に実る果実を口に含む。
「あっ、やぁっ」
乳首を押し潰されると、電流が走ったみたいに身体がびくん、と震えた。
もう一方の乳首は指で摘ままれたり、こねくり回されたりして、ストレートな刺激が下半身を直撃する。
この一年ですっかりエルトンに開発されたこの身体は、敏感だ。少し愛撫されただけで、すぐに恥部が疼いて仕方ない。
秘部からは愛液が溢れ出て、太腿の裏を伝う。
「エル、トン……も、早くきて」
自ら足を大きく開き、誘う。見せつけるそこはひくひくと肉襞が蠢き、愛液でつやつやに濡れていて淫らだ。
エルトンは僅かに息を呑んだ。
「……すっかり、淫らになりましたね」
「だってぇ……」
――早くこの疼きを鎮めてほしい。
――早くこの身にエルトンのモノを受け入れたい。
急かすクレアにエルトンは苦笑いしつつ、自身も衣服を脱いだ。クレアの上にのしかかり、そそり立った肉竿を膣口に押し当てる。
花弁のように開いた膣肉の中へ、長大な熱芯が迎え入れられていった。
「くっ……相変わらず狭いですね。食いちぎられそうだ」
エルトンは顔を歪めつつ、それでも中に馴染ませると落ち着いた。そろそろと腰を動かし始め、ゆっくりと抽挿する。
「あっ、あぁっ、あぁん……!」
クチュクチュと水音を立てて肉壁を擦られると、たまらなく気持ちいい。
喘ぎ声が止められないクレアの口を、エルトンの唇が塞ぐ。
「ふっ、んぅ、んん……!」
――体内が、すごくエルトンのモノを感じる。
モノの形までなんとなく分かる。すっかり、エルトンのモノの形になった肉壺は、貫く熱芯を包み込むように受け入れ、そして出て行こうとすると絡みついて離さない。
「すごく、気持ちいいですよ。クレア」
「わ、私も…っ……あぁっ」
腰を打ちつける速度が、どんどん上がっていく。
激しさを増す責めにクレアは感じさせられながら、エルトンの首裏に腕を回した。怒涛のような責めに、なんだか頭がぼぅっとしてくる。
「エ、ルトン……」
「なんです」
「好き。大好きっ」
性行為中に愛の睦言を言うのは、初めてのことだ。
エルトンは嬉しそうな顔をして、クレアの耳元に囁く。
「私も愛していますよ、クレア」
思いもしない言葉に、中がキュンとしまる。きつい締め付けにエルトンは一瞬顔を歪めたが、すぐ可笑しそうに笑った。
「今の言葉で感じたんですか? 可愛いですね」
「そ、そんなことない、もん」
否定しても、身体は正直だ。エルトンからの愛の睦言に全身が喜んでいる。
――やっと、聞けた。
「出しますよ」
「いいよ、全部中に出して……、あぁああああ!」
一息に貫かれて、クレアは達した。
中に熱い蜜液が注ぎ込まれるのを感じながら、もう一度エルトンとキスをした。
父が王城へやってきたのは、それから約一ヶ月後だった。
クレアが事情を話し、エルトンは頭を下げた。アディントン侯爵家を出るというクレアに父は最初こそ猛反対したが、それも「もう家の都合に振り回されたくない」というクレアの訴えで押し黙った。
「私が……間違っていたのかもしれんな」
父はぽつりとこぼす。
クレアを男児だと偽って育てたこと。本来ならクレアが生まれた時点で、他の男児を養子にとるべきだったのだ。それを血筋に固執するがゆえ、娘に苦労を強いた。
あるべき形に正そう、と父は笑った。それはクレアがエルトンの下へ嫁ぐことを許可したのも同然だった。
「アディントン侯爵家には養子をとる。その彼に次期アディントン侯爵になってもらおう。クレア、お前はエルトン君の下へ行くといい」
「父上……!」
「すまなかったな。思えば、お前の母も、お前の幸せを一番に願っていた。私はすっかりそのことを忘れてしまっていたようだ。ははっ、父親失格だな」
「そんなこと、ありません」
父からの愛を疑ったことはない。大切に育ててもらったことは分かっているし、感謝もしている。父は父なりに、クレアのことを思ってくれていたのだ。
「エルトン君」
父がエルトンを見やる。すっと手を差し出した。
「娘のことを頼むよ」
「はい。私の生涯をかけて幸せにします」
父の手を握り返し、エルトンは真剣な顔で返した。クレアとしては、嬉しいやら、気恥ずかしいやら。
クレアを迎えにやってきた父だが、そんなわけで、クレアを連れて行かずにアディントン侯爵領に帰っていった。ちなみにメイドも父に同行していった。
彼らを見送った後、クレアとエルトンは顔を見合わせて笑い合った。
それからのクレアは、というと。
「わわっ!」
鍋からスープが噴きこぼれた。火力が強すぎたようだ。
またもやらかしてしまったクレアを、気遣わしげな顔で覗き込むのはエルトンだ。
「大丈夫ですか? 火傷はしていませんか」
「だ、大丈夫!」
――エルトンの家で、慣れない家事に奮闘中だ。
アディントン侯爵邸に比べたら小さな家で、慎ましやかな暮らしで、家事も自分でやらなければならない。大変さはあるものの、それでもクレアは幸せだ。
だって、傍にエルトンがいる。これからずっとエルトンと生きていけるのだから。
「……そういえば、エルトン。あのね、夢を見たんだよ」
朝食の席にて、クレアは嬉々として言う。
「夢ですか? どのような夢です」
「エルトンとの間に二人の子供がいる、幸せな夢」
エルトンは目を丸くした。――が、すぐに優しく一笑した。
「そうですか」
「正夢になるかなぁ」
「しますよ。クレアが望むのなら」
「うん……!」
子供がいなくても、十分幸せだけれど。
でもきっと、エルトンの子供を産めたら、もっと幸せなことだ。
――どうか、いつか。
夢が現実となりますように。
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