間違えましたっ!!

存在感の薄い者

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優しさに触れて

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今日は朝から天気のいい晴れの日だった
私の心は逆にどんより曇っていたが・・・

「行く気しないわー」

朝起きて携帯を見ると念押しのようにメールがきていた

「今日のデートダサい格好で来たらその場で着替えさせるからそのつもりで」

内容は私にとってげんなりするものだった

「一体なんなのよあいつ!」

携帯を放り投げて、ベッドに体を預けた
弱みを握られているため何も言い返すことができず朝からテンションはMaxで低かった
でもそろそろ用意をしないといけない時刻だ
ため息を1つ吐きのろのろと起き上がり、準備を始めた

家から出ると隣の家からも人が出てきた
何気なくみるとそれは拓海君だった

「・・・っ!」

昨日のケンカ別れを思い出し、気まずくなる
そのままそそくさと家を出ようとしたが彼の家を通り過ぎる時声をかけられた

「待って、桜!」

その言葉によって私は地面に足を縫いつけられた
止めたにもかかわらず黙っているので振り返り、こちらから問いかけた

「・・・何?」
「えっと・・・昨日はゴメン・・・・」
「こっちこそゴメン・・・・内緒何て言って・・・・」
「今からどっか行くの・・・?」
「・・・・う、うん、友達と遊びに・・・・それじゃ」
「桜・・・・・・」

これ以上詮索されたらまた空気が悪くなるので私は足を進めた
後ろからの声と視線に私は罪悪感を抱きながら逃げるように走った

待ち合わせ場所に着くまで私は全速力疾走した
走っていると突然腕を引かれ思わずこけそうになるところを誰かの腕が私を抱きとめた
ビックリして恐る恐る相手の顔を見ると知っている顔だった

「なんだ、相崎君か・・・」
「なんで泣いてるんだ?」
「え?」

そう言われて目に手をやって初めて自分が泣いていることに気づいた
それから次々と涙があふれ、八つ当たりするかのように彼の胸をたたきながら罵声を浴びせた

「全部なにもかもあなたのせいよっ!!」
『違う!全部私のせい・・・私が靴箱を間違えていなければ・・・』

「こんなふうに泣くのも、こんなに胸が痛いのも!全部全部あんたのせい!!あんたなんか大っキライっっ!!」
『違う・・・一番嫌いなのはドジばかりする私自身・・・』

心にもないことを次々と言ったにも関わらず彼はただじっとされるがままになっていた
その反応を意外に感じながらも私は少しの間彼の胸を借りて泣いていた

しばらくして落ち着いた私は自分の行動を恥、彼の顔を見上げ謝った

「・・・相崎君、もう大丈夫ありがとう・・・グスン・・・・・それからゴメンね」
「いや別に・・・言われ慣れてるし、それより泣かれる方が大変っつうか・・・・」

彼は何かをするのでは無く、ただ私が泣きやむのを待ってくれたらしい
彼の発言内容に少なからず衝撃を受けながらも噂とは裏腹に彼の優しさに触れ益々さっきのことを申し訳なく感じた

『本当だったらそのまま怒って帰ってもおかしくないのに』

悪いとは思うが彼の意外な一面を知れて私は心の中が温かくなるのを感じた
それから次第にクスクスと笑ってしまった
そんな私を見て彼は一瞬驚いた顔をしなぜかすぐに顔を赤くした
そのかわいい仕草に私はさらに笑ってしまう

「フフフフッ、ゴメンね相崎君があまりにもかわいいことするからつい」

笑っている私に向かって彼はプイと横を向きムスッとむくれながらも小さくつぶやいた

「煉」
「え?」
「だから、今日から煉でいい・・・俺だけ桜っていうのもなんか不公平だ」
「じゃぁ、煉君?」
「おっ、おう」

彼は私の呼びかけに返事をしながらも照れているのか顔が真っ赤である
また私が笑うと今度は彼が反撃してきた

「初めて笑ったな・・・・そっちの方がかわいいから好きだ」
「・・・・・?・・・っ!!?」

彼は少し微笑み、さらっと爆弾発言をした
最初は言ってる意味が分からなかったが内容が頭に入ってくると私の方が耳まで真っ赤になっていた

「顔が赤いぞ、熱でもあるのか?」

そう言いながら私の前髪を手でかきあげ、彼が顔を近づけてきた
私は思わず目をつぶり、次の瞬間ゴツっという音がし恐る恐る目を開けると彼の顔が度アップで見えた
彼は私とおでこ同士をくっつけて私に熱が無いかを測っているらしいが逆に私は余計に顔の熱が上がる羽目になった

『煉君ってよく見るとイケメンだな、乱暴なことしなかったら絶対モテたよね』

何気なく失礼なことを思いながら、早く離れないかなと心臓の音と共に願った

「熱は無いみたいだな」

気が済んだのか彼は顔を離し、さりげなく私の手を掴み歩き出した
ところが途中で立ち止まってこちらを振り返り、上から下まで私を見ると満開の笑顔で口を開いた

「制服もいいけど今日の格好もかわいいな」

彼はきっと今女の子を口説いているのではなく、ただ単に思ったことを言っているという感じだ
その証拠に、彼の顔には無邪気な笑顔が浮かんでいる
それをぼーっと見惚れていると彼がまた私の手を引いて歩き出した

「じゃ行くか」

私の胸はずっとさっきから煉君の天然さにより鳴りっぱなしだった

『私の心臓帰るまでにもつかな・・・・?』
______________________________________
ここまで読んで頂きありがとうございます!
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